現在では「日本初の本格的クリスチャンヘヴィメタルバンド」として知られるImari Tones (伊万里音色)、バンドとしてのスタートは2004年頃に遡る。その頃はクリスチャンバンドではなくごく普通のバンドであり、どちらかといえば日本のオルタナティブ、ギターロック等に近い楽曲を演奏していた。[Tone、はらっち、みねっち」のラインナップは1年2ヶ月という短い期間の活動だったが、“Hero of the Light” (光のヒーロー)というキャッチーで自由奔放なアルバムを生み出した。ここに発見された古い映像をもとに、当時の情熱を伝えるミュージックビデオを呈示する。
さてこのバンド、Imari Tonesが、「クリスチャンメタル」とか言い出したのは2008年の初頭のことですが、それまでは普通のバンドだったわけです。(って、普通だったかどうかはわかりませんが)
このバンドの起源って、やってる自分自身、いつからなのか、どこからどうしてこうなったのか、よくわからないところがありますが、録音作品のヒストリーとしては1998年までは遡ることが可能です。
けれども、一人でちまちまと自宅録音で作品を作っていた僕が、それをバンドにしよう、と思い立ち、そして実際にバンドになったのが、だいたい2003年とか2004年頃。
2003年は「バンドにしようと頑張っていた」時期なので、ちゃんと活動が始まったのが2004年。
そういった次第で、「バンドとしての結成は2004年」と答えるようにしています。
その頃のメンバーは、[Tone、はらっち、みねっち]の3人でした。
そのメンバーによる活動は、1年と2ヶ月ほどであったと思います。
けれども、それは素晴らしく充実した日々だった。
そしてその「最初のImari Tones」で、バンドとして最初に作り上げた作品が”Hero of the Light”(光のヒーロー)です。
この作品には今でも自信を持ち、そして誇りに思っています。
今では僕らは「日本初の本格的クリスチャンメタルバンド」なんて言って、どちらかといえば正統派ヘヴィメタルを志向しているわけですが。(とはいえ、実際に聴いてもらえば、全然違ったりもするのですが)
けれども当時は、どちらかといえば「日本のオルタナティブ、ギターロック、パンク、等の要素にポップやハードロックが程良くブレンドされたもの」といったサウンドを鳴らしていました。とはいえ、聴いていただければ実際には非常にストレートな「日本のロック」です。
その理由はいくつかあります。ひとつは、時代状況として、正統派のハードロックやヘヴィメタルを鳴らすことが、あまり考えられない時代であったこと。ふたつには、ひとりの作曲家として、ライヴハウスの最前線で音を鳴らす若いバンドとして、そういった時代状況に正面から向き合い、格闘したかったこと。みっつめには、僕自身、様々なタイプの音楽をやりたいという思いがあり、それらをすべてやっちゃえばいいやと思っていたからです。
(そんな僕が、そしてこのImari Tonesというバンドが、80年代的な古典的なHR/HMにまっすぐに向き合うようになったのは、やはり2006~2007年に制作した”Japanese Pop”が大きなきっかけでした。)
そして敢えて言えば、今ではほぼ海外のオーディエンスをターゲットに、「世界に向けて」音楽を発信している我々ですが、この”Hero of the Light”の時期は、Imari Tonesが、もっとも日本のロックバンドらしかった時期、と言えると思います。
さて、何年か前に、僕は自宅に保存されていたアーカイブの中に、何本かの古いビデオテープを見つけました。なにしろ「ビデオテープ」ですので、手元に再生装置もすでに所持しておらず、中身を確認するのに時間がかかりました。けれども、僕はそれをなんとかデジタル化して保存することが出来ました。
なにしろ2004年、2005年当時の活動です。しかも駆け出しの無名のバンドですので、ライヴの際にビデオで撮影して映像を残すなんていうことはあまりしていなかった。もちろん当時はスマートフォンなんてものは無かったわけです。
今回、発掘された映像素材を見ても、音声がちゃんと記録されていなかったり、ノイズが多かったり、曲の途中で切れていたりと、不完全な部分の多いものでした。
けれども、これらの素材を使って、ミュージックビデオが作れないかな、と僕はずっと思っていました。
その第一弾として、この機会にやってみたのが、この「丘上烈風」です。
この曲は、当時、Imari Tonesがバンドとしての活動を始めるにあたり、最初にバンドとして取り組んだ曲のひとつ。
僕としても、とても思い入れのある曲です。
2000年代(ノーティーズ)前半のオルタナティブな雰囲気の中に、エモーショナルな情景をきっと感じてもらえると思います。
15年、16年の歳月を経て、ようやく制作されたミュージックビデオ。
若い頃の自分の姿を見るのは、(音楽はまだしも、姿を見るのは)、ちょっと不思議な気分ですが、溢れ出る情熱、エナジー、時を経ても尚フレッシュなサウンドを、感じていただければ幸いです。