
現在、新しい作品”Godman EP”(仮)のギタートラックの録音に取り掛かっておりますので、先週ソーシャルメディアにポストした内容になりますが、下記のとおり報告させていただきます。
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写真には若返り&美形化フィルターかかってますんで騙されないよう(笑) そのままでは見苦しいから、エチケットでもある。自撮りで反転してるのも実は非現実だしな〜。
さかのぼって2019年の頃、僕は大切な作品”Nabeshima”を作るにあたり、ギターアンプ、愛称”Imaria”を手に入れた。
それは廉価版メーカーの、誰も見向きもしないレアモデルだった。だが僕には「これだ、これしかない」ということがわかっていた。
ヘッドだけ入手してキャビを手に入れないわけにはいかないので、同じ廉価版メーカーの2×12のキャビを購入した。信じられない低価格であった。
それは木造アパートのロフトに保管され、ごくごく小さな音による動作テストの用途にしか使われなかった。
制作にあたって、Imariaアンプヘッドはスタジオへ持ち込んだし、ライブの際には小型アンプヘッドLittle Imariaを持ち出したりしたが、この2×12の廉価版のキャビネットはまともな音で鳴らすということはなかった。
僕は大きな音で鳴らしてあげられないこのキャビを不憫に思ったものだ。
当時一時期通っていた教会が近所にあった。
インターナショナルな教会だったが、せめてその教会に持ち込み、礼拝の後や、人のいない平日などに鳴らしたり、練習や録音ができないものだろうかといつも考えていた。しかしそれは考えるだけ無駄であったとも言える。
2023年の初夏のある日、アパートで火事が起きるという予想だにしない出来事があり、僕たちは麻生キリスト教会にお世話になることになった。矢部牧師や教会の皆さんには本当に感謝している。
そして、運良く燃えはしなかったものの、煤と灰にまみれた機材の一部は、教会の倉庫となっている部屋に持ち込まれ、ひどい匂いだったが、夏の間3ヶ月ずっと窓を開け放ち換気して、また危険を顧みず必死にクリーニングした結果、なんとか使えるようになった。
そしてそのまま、Imariaアンプ、50WのコンボアンプNavy Combo、そしてこの2×12の廉価版キャビも、動作不良を乗り越えてなんとか使えるようになり、そのまま教会の礼拝堂で鳴らされ、僕はそれを使って”Coming Back Alive”と名付けられた作品をレコーディングした。
レコーディングだけでなく、数々のイベント、賛美イベント、練習、またキッズの遊び道具として、それらのアンプとキャビは使われ、大きな音で鳴らされることになった。教会の礼拝堂だから、爆音というわけにはいかないが、それでも結構、ちゃんと鳴らすことができて、それを使って賛美ができることに、僕は本当に嬉しく思っていた。
この2年あまりの間、この2×12のキャビは、そういった音楽イベント、コンサート、バンド練習、賛美、何度も何度も使われてきた。それはとても幸せなことだ。もちろん、今月行われたHeavy Metal Churchのライブでも使った。最高の音だった。
ずっと鳴らし込んだことで、スピーカーも育ち、安定したいい音になってきた。
廉価版とはいっても、実は案外と貴重な実力派のキャビ&スピーカーだということは、これまでのリサーチと実践の結果でわかっている。
そう、僕にとっては理想のアンプであり、また理想のキャビネットだったのだ。
あれから2年後の今、新ドラマーのKenshinくんと共に、新たな作品を作ろうとしている。それはかねてから計画していたOzzyオマージュのEPだ。またそれは2年前にこの麻生キリスト教会にも遊びに来てくれたイギリス人の風変わりなクリスチャンメタラーのJonathan氏に約束した作品でもある。(ジャケ写もその時に撮らせてもらった。)
だが2年前の当時と違い、今ではこの麻生キリスト教会にもたくさんの人がいる。たくさんのゲストや、地元の人々も出入りするようになり、大きな音を鳴らしてレコーディングすればたぶん迷惑をかける。
いつまでも機材を置いておけないという事情もある。これは僕らにとって音楽的な次へのステップでもある。
前へ進むのだ。
色々考えて、僕はこの機会にこのキャビをスタジオに持ち込み、そこでレコーディングすることにした。
別にスタジオに普通にある4×12のマーシャルのキャビを使えばいいのだが、今回の曲目には2×12のキャビの方が合う気がしているのだ。
それに、この2年間、教会の礼拝堂で鳴らし込んだこのキャビを、今度はスタジオで、誰に遠慮することなく爆音でぶち鳴らしてみたかった。
まずはテストしてみた。
いいじゃないか。やはり理想だ。
4×12で鳴らす時と比べても、違和感ははっきり言ってない。
低音の迫力やスケール感は4×12に軍配が上がるが、やはりミッドレンジのクリアさや表現の正確さという意味では2×12には代え難い価値がある。
そして、教会でレコーディングした時は、周囲に気を遣いつつもなるべくがんばって「ぎりぎり箱鳴りするかどうか」くらいの音量まで出していたが、スタジオで遠慮なく鳴らすとしても、やはりあまり音量を上げると音が暴れ制御できなくなる。結果的に「軽く箱鳴りする程度」がちょうどよく、なので音量的には教会で録った時と実際にはそれほど大きな違いはないかもしれない。それはバンドで鳴らせば当然爆音になるけど、単体で鳴らせば適温というか適した音量になるのだから。
(まあ、その頑張って礼拝堂でぎりぎり音量を上げた結果は、僕らImari Tonesの”Above & Below”や”What The Devil Hates”を聴いて確認してみてくれよ)
後日追記。
やはり音量上げてしまいました。そして音量を上げていけば、結果として4×12にも負けない迫力や低音が出てくるように思ったね。ばっちりだよ。いいね2×12。
今回の内容は、ある意味で前作以上に古典的な「クラシックハードロック」古臭いメタルである。
しかし、Imaria & マイキャビという自分の音を見つけ、教会で鳴らし込んだその音をスタジオで活かせるというのはこれ以上ない幸せである。
バンドマンのはしくれとして、このような幸運が、そして、
このような機会がこれから何度与えられるかわからない。
だからこそ、一回一回が大切な音の一期一会である。
ベストを尽くして良いサウンドを収録したい。
(いまどき、わざわざキャビ鳴らしてマイク立てて録ってるんだー、みたいな。すみませんオールドスクールですので)