リヴァーブの話です、また。
過去にもサイト移行前の日記で何度か書いていると思う。
別にエンジニアでもなく、お金もなく、バージョンの関係でマイナーなものしか試していないけれど、それでも自分はちょっとリヴァーブフェチというか、Reverbというものについて、ちょっと偏った偏向的な趣味嗜好があるのは確かで。
で、OSのバージョンが上がったので、試せるやつが増えたから、またちょっとだけ試してみよう、って。
現状ね、自分が今、手持ちにあるリヴァーブのプラグインで、愛用してるやつ、つったら、今はこんな感じで。
メインで一番汎用性が高いのが、相変わらずEventide UltraReverb。
これは、”Atomic Live”から使い始めて、”異能レース””無責任なメシア”のリミックスでもがんがん使って、”Jesus Wind”でももちろんがっつり使って、そんで「鍋島デモ」や”Overture”でもがんがん使ってる。
結局、僕にはこれが一番使い勝手が良いのよね。
この曲なんかは記録を見ると、リズムギターも、ギターソロも、ヴォーカルも全部UltraReverbだね。
これはUltraReverbを入手してすぐに使ってみた作品。スタジオライブの作品で、わかりやすく空間定義している。
あと思い出したけど、こういうシンプルなピアノはリヴァーブがわかりやすいから良い例だった。
10代の頃に書いた昔の曲で恥ずかしいけれど、2015年にミックスし直したやつ。ピアノもヴォーカルもEventide UltraReverb。
で、その次に来るのがたぶんHOFAのAlgoVerb。
HOFA Systemの中に入ってるやつ。
これは、僕が昔、古いWindowsでやっていた時にTC Native Reverbを持っていて、ああいう広大で美麗で幻想的なリヴァーブが恋しいなぁ、って思ってた時に、それの代わりになるような立ち位置。
小さい空間もぜんぜんいけるけど、やっぱどちらかといえば広大で美麗な空間が得意なやつだと思う。そして、過去日記にも書いたけど、ある時TCのM40とか言うのを試す機会があって、TCもやっぱ良いんだけど、それよりもさらに味付けが濃いめでゴージャスな感じ。あんまし正式な作品ではまだ使ってないけど、「Color of Hers」のミックスし直したピアノの2曲には、これを採用した。ばっちりだった。
これはクオリティは素晴らしくて、僕が言うところのtweakabilityっていうのか、応用性、操作性も素晴らしく、シンプルで小さなインターフェイスながら、本当に使える。表現力もあるし、最高クラスのアルゴリズムリヴァーブであることに間違いないと思う。HOFA Systemの中に入ってるせいか、IQ-Reverbと比べてあまり世間では話題にならないし、ぜんぜん注目されてないけどね。Systemのオマケというには素晴らし過ぎると思う。
で、あらためて書いておくと、
僕はコンボリューションのリヴァーブはちょっと苦手で。
もちろん、LogicProには例のSpace Designerが付いてるし(「Ai No Iro」で使った)、その他もろもろやフリーやデモなど、いくつか試してはいるんだけど、どうにもコンボリューション式のリヴァーブは苦手で。なんかやっぱStaticっていうか、死んでる感じがするんだよね。あとは、リアルかもしんないけれど、結局バンドとかロックでは昔ながらのアルゴリズミックリヴァーブの方がしっくり来る気がするし。自分はしょせん80年代的なハードロックを演ってる人だし。。。。
Larger Than Lifeな表現力があった方がいいんだよな。それがアルゴリズムリヴァーブの醍醐味だと思うから。
もちろん、これは僕が自分の音楽性ではあまり必要ない、合わない、というだけで、たとえばこれがクラシックとか、ジャズの録音をしますよ、ってなったら一秒もためらわずに良いコンボリューションリヴァーブを入手すると思うけど。
でもその場合も、以前試して印象のよかったHOFAのIQ-Reverbを選ぶだろうな。。。
あそこは基本、バーゲンとかしないから、入手する機会がなくて(汗)
その次に来るのは、
これもEventideで、Tverbおよび2016 Stereo Room。
T-verbは、リヴァーブというよりはルームマイクシミュレーターみたいなもんなので、そんでもって、これは本当に素晴らしいんだけど、僕の旧式のMacBookだとちょっと重いし、ここぞという時にしか使わない。自然だし、表現力も素晴らしいし、かといってEventideらしい面白味もあるし、なんというのか空間を定義する能力においては最強クラスかと思う。
“Jesus Wind”でもアコースティックのインストとかに使ったと思う。
2016 Stereo Roomは、これは80年代っぽいやつだけど、ミックスの中で存在感を失わずに距離感を定義するには、やっぱり昔からの定番だけあって、抜群の結果になるわけだ。単体で聴くとちょっとわざとらしい、って思うかもしれないけど、ミックスの中でバンドサウンドとして聴くと、ぴったりはまる。たぶんアルゴリズミックリヴァーブってそういうこと。
たぶんドラムとかリードギターとかに部分的に使ってるだけだから例を示せない(汗)
そんなふうに、結局、USBドングルは使わないって決めてたからLexiconは選択肢に無かったので、気が付けばEventideの大ファンになっていて。
で、今回もいくつか試したけど、やっぱり改めてEventideのリヴァーブは良いと思う。派手でもないし、最新の今っぽいツールではないけれど、やっぱり相当、良いと思うぞ、Eventideのリヴァーブ。みんな気付いてないか、気付いていても黙ってるだけか。
で、そんなEventideから新作つーか、復刻版のSP2016 Reverbが出るつーから、これはどうしてもと思って入手したけど、これがまた良かった。たぶん使う。
2016 Stereo Roomと同じ使い方ももちろん可能だろうし、あとはModernモードとか、しょせん古いリヴァーブの復刻版だから期待してなかったんだけど、Modernモード試してみたら、なんか全然キレイじゃん! これはびっくりしたよ。使い方としてはそれでもやっぱり古典的な使い方になるだろうけれども、これぞ80s的な使い方で、Lexiconのあれやこれやと同じような感じで使えるんだろう。
これあらためていじってみると、ヴィンテージモードはもちろん、モダンモードも非常に説得力があるので、80年代再評価のレトロブームみたいのと相まって、見た目もキャッチーだし、Eventideのリヴァーブの良さを世に知らしめるヒット作になるかもしれない。わかりやすいし。High Density Plateとかすげえ楽しい。これはむしろモダンモード、おまけじゃなくて本命かも。ただの復刻版じゃなかったよ。
これは僕としても今後メイン級になるかもしれない。惚れた。
あとは、たまーにValhalla Vintage Verbも適材適所で使うことがある。
これは、すごく良いと思うし、僕もわりと2014年頃から使ってるけど、世間での人気はそれからぐいぐい上昇してもはや定番だと思うし。
でも僕はValhalla DSPで好きなのは実はUberModなので。Vintage Verbも大好きなんだけど、独特の美意識のある美しい空間を描いてくれるけど、若干実用上には限度を感じていて。シチュエーションが合わないと使わない。覚えてるところだと”Jesus Wind”の中で”God’s People”って曲のリヴァーブはこれだったと思う。
Overtureアルバムでもどっかで使ってると思うけど覚えてない。(記録を見たら「さむらわない」という曲のリズムギターで使ってた)
最近じゃプラグインの世界で、古いプレートリヴァーブの再現モノが流行ってるらしいけど、僕も抜け目なく、「鍋島」のヴォーカルはヴィンテージのPlate系が肝になる、という読みがあったので、かねてからValhalla Plateをゲットしておいたよ。これは、作者のプレートフェチが行き過ぎてて、そのせいでわりと渋い系のプレートになっていて、却ってマーケット的な「今流行りの」みたいな要素が少ないので、実用的に地味に使えるんじゃないかと期待している。まぁEventideのPlateとどっちがいいか競争だけどね。本物っぽい渋いエミュレートがいいのか、それともLarger Than Lifeないかにもデジタルっていう派手なプレートがいいのか、そこだよね。
あとは贅沢だけどWaveArtsのMasterVerbを持っていてね。
これもかなり細かい設定のできる「夢のアルゴリズミックリヴァーブ」だけど、理系ヴァーブっていうか、理系っぽいディベロッパーさんは基本、好きなんだけど。
残響は人工的になるきらいはあるけれど、ちゃんと設定してあげれば自然にもなるし、遊び甲斐があるんだよね、このリヴァーブ。プリセットがあまりいけてないのが残念なんだけどね。これもよくLexicon系と呼ばれていることが多いけれど、ぱりっとして温かい系のリヴァーブが得意だと思うので、たとえば暖かめで近い距離の部屋とか、必要な時に色を付けるために使っている。
Overtureでも何箇所かで使っていたと思う。。。覚えてるのは例のラップの曲”Revive The Nation”の自分のラップにかけたような記憶がある。サビのヴォーカルもそうみたい。「鍋島デモ」でもどこかで使ったと思うが、覚えていない。。。
あとはたかだがIKではあるが、Macを入手して最初に手に入れたリヴァーブプラグインはIKのCSR (Classic Studio Reverb)だったので、2014年上半期に録音したところの”Revive The World”アルバムは、かなりの部分このリヴァーブを使ってると思う。これも、全然悪くないんだよね。ゴージャスってわけじゃないけれど、無理のない音だし、やっぱりIKは基本、音楽の官能ってことをわかってる製品が多いので、結果は出るんだよね。でも、最近はあんまり使わないかな。言葉の使い方が難しいけど、空間自体をコンパクトにまとめたい時に使うような感覚。ルームの広さではなく、レンジ感とか感覚の話。”Unknown Road”のリヴァーブはこれだと思う。良い見本だと思う、リヴァーブの使用例として。あとはJesus Windでも”The Peace”って曲の全体にかかってるリヴァーブはこれだったと思う。
そう、昔はね、古いWindowsでCubase走らせていた時に。
Waves TrueVerbが本当に大好きで。今もあったらきっと使うんだろうけど。使い過ぎて失敗したくらいなので。
それとTC Native Reverbがあって、それからCubase付属のReverb32ってやつがあって、その3つがみっつとも全部好きだったから。
古い作品は全部TrueVerb。これなんかわかりやすいかな。
これはReverb32のルームのプリセットを中心に使った記憶が。
この曲のギターのリヴァーブはTC Native Reverbだったね。ドラムはわかんない。この頃はまだ古いWindows使ってた。
TCの例だとこれなんかもわかりやすいかな。
あとはこれも何度か日記に書いているけれど、
恥ずかしい話なんだけれど、あれほど「わざとらしい」「奥行きがない」「不自然」と酷評していたEAReverbの廉価版、EAReverb SEも持っていてね。
Overtureの中の”Cat Licks”っていう曲で使った。ていうか”Forgiven”でも使ったな。。。。「鍋島デモ」でもどっかで使ったような。
すごいわざとらしい、不自然なリヴァーブだと思うんだけど、独特のモジュレーションは面白いし、小さめのぱりっとした空間にバンドサウンドを放り込む用途には向いていることも否めない。。。。
というかCat Licksはこのリヴァーブの音なくしては出来なかった曲だしね。。。。
(まだリリースしてないけど)
Cat LicksリリースしてBandcampにのっけたらまたサンプル引っ張ってきます。
> 追記。のっけました。Cat Licks。このエフェクトっぽいモジュレーションかかったリヴァーブがEARerverbの特徴だと思っているんだけれど。
まぁ、あとはLogicPro標準のSpace Designer、PlatinumVerb、EnVerbとかも用途によっては使ってますよ、ってことで。
これSpace Designerを使ったわかりやすい例。
で、今までに、バージョンの関係とか、USBドングルは絶対に使わない、とか、色々な自分勝手な制約で、定番のやつとか、人気のあるやつとか試してないんだけど、
過去に試したことのあるのはたとえばこんな感じ。テキトー極まりない印象はこんな感じ。
Overloud BREVERB
ネーミングで一本取られた感じ。名前だけでお腹いっぱいで試す気にならない。まっとうなリヴァーブだと思ったし、悪くなかったし、実用性もあると思ったけれど、かといって今一歩だったという印象。若干音が暑苦しかった記憶が。
2C Audio AetherおよびBreeze
評判はすげえいいらしいんだが、わざとらしい、自分の求める表現力は得られない。無駄に濃ゆいばかりで目的が達成出来ない。そのわりに重い。ただの重装備アルゴリズムリヴァーブじゃんよ、みたいな。
Acon Ditigal Verberate
すごくまっとうなリヴァーブだし、音も堅実だし、好印象なんだけど、ちょっとリアル感を追求し過ぎていて使いにくい。僕がアルゴリズムリヴァーブに求めるLarger Than Lifeな表現力に乏しい。真面目過ぎるというのか。
UVI Sparkverb
見た目はすごく素敵なんだが。音はあまり奥行きがない。基本キャラクターが一種類だけで表現力に乏しい。音自体はきれいだが、操作性も含めて、エレクトロニックな音楽をやる人がクリテイティヴなサウンドツールとして使う用途のものだと感じた。
EAReckon EAReverb2
これも見た目は派手でそそるんだけど、音がすばらしくわざとらしい。そんなに堅実じゃない。でも、結局SEを何度か使ってるので、もはや批判は出来ない。クリテイティヴなツールとして使えばいいのかも。
HOFA IQ-Reverb
今までにちょっとだけ試したコンボリューション方式のリヴァーブの中では一番好印象だった。クラシックの録音するなら明日にでも買いに行きます。
TC Electronic M40
2016年12月の日記にも書いたと思うが。やっぱり繊細で美しい。温度は低め。昔使ってたし、嫌いじゃない。でも、今となっては別にいいや、って。
まだ他にも色々試したと思うんだけど覚えてない。。。。。
で、今回試したのが、
Exponential Audio Phoenix VerbおよびR2
112dB Redline Reverb
FabFilter Pro-R
のみっつ、というかよっつ。
2C Audioももういっぺん試そうかと思ったんだけど、なんか嫌われてるのかインストール出来なかった。。。。もういいや、別に。
ざっくり印象。
112dB Redline Reverb
印象は良い。音がきれい、そして、くっきり系。
プリセットの名前が、よくわからんがたぶん明らかにLexiconを意識していて、
ぱりっとした温かい音という印象。明るい音だと思う。
音はとても堅実で、はっきりいって印象はかなり良く、自分の好みにも近い。
堅実な音という意味で、僕がいつも使っているEventide UltraReverbにわりとキャラクターが近い部分もあり、もちろん音の温度や方向性は違うものの、セッティングを調整するとほとんど同じ音になったりする。
そういう意味では、こういうクラシックスタイルのアルゴリズムリヴァーブなんてものは、ひとつの形とか定番というものは、すでに完成されて世に出揃っているのであって、そのへんはたとえばオーバードライブのペダルとかと一緒だなあと思う。LexiconもEventideも、そういう意味では基本的にはあんまり違わないのだろう。
で、そんなふうに印象はすこぶる良かったものの、このクッキリ系の音をどう評価するか、それが難しいところであり、近い距離のRoomも、遠い距離のHallも良く表現しているものの、くっきり系の音が、僕はちょっと安っぽさにつながってしまうと感じた。悪くはなかった。かなり使い勝手も良さそうだった。でもこれなら俺はEventideの方がいい。
fabfilter Pro-R
恥ずかしながらfabfilterって試すのも初めてで。みんな今はこの手のEQを使ってるんでしょ?
何年か前に、友人のバンドのギターの人と会話していたら、プラグインの話になって、僕はファブフィルターって知らなくて、だって別に最新情報とか興味ないし録音もどうでもいいもん、まぁここ1、2年くらいまたライブ活動が停滞したせいで、チェックするようになってしまったけれど。。。
そんな恥ずかしい思いをしたfabfilter。
これも評判の良いらしいリヴァーブ。
立ち上げてみて、すげえ音がきれい。
超クリア。というか、クリア系。やたらつやつやしている。
オーバードライブで言えば、トランスペアレント系、みたいな。
このへんは時代の進歩というか、技術の進歩なのか、なんかしらんが。
非常にモダンなクリアな音のリヴァーブであることは間違いないと思う。
そして、表現力も申し分ない。狭いルームも、広いホールも、距離感を見事に表現する。でも、めっちゃクリア。
これは優秀なプラグインであることは間違いないと思う。
だが、基本のキャラクターがこれ一種類しかない、と思えた。
そんでもって、プリセットも色々試してみたのだけど、何をやってもやっぱり基本的にこの「超クリア」な音にしかならないので、そこに自ずと限界を感じた。
そういう超クリア、超モダン、な音が欲しい場合には良いんだろうけれど。
たとえば、コンボリューションリヴァーブの例と同様に、じゃあクラシックとかジャズの録音をやりますよ、とかなら良いかもしれない。
が、僕の用途だと、こんなやたらキレイでクリアなものを持って来られても、ミックスに馴染まねえよ、みたいな予感が盛大にする。。。。
で、これはレトロ志向の年寄りの愚痴なんだけれど、やっぱ今の時代では、録音機器とか、こういうプラグインエフェクトとかも、限られたプロではなく、大衆を相手にした商売になって久しいので、音楽制作の上での実用性よりも、むしろマーケット的な売りというか、売るための戦略で、「やたらクリア」とか「やたらどうのこうの」というわかりやすく比較できる製品を作ってしまう傾向があると思う。オーバードライブのペダルで言うと、やたら抜けの良いやつとか。
オーバードライヴのペダルでもそうだし、ギターの歪みでもそうなんだけれど、
物事っていうのはそうそう全部が都合よくは行かなくて、
たとえばひとつのものを得るには、ひとつのものを犠牲にしなきゃいけない、とか、
抜けを良くすれば低音がなくなる、とか、その逆とか。
うまく言えないが、たとえば濃密なリヴァーブを得ようとすれば、音が曇っちゃう、とか。
音っていうのはそういう難しいものだと思う。味でもそうだし、表現とか、みんなそう、この世界では。
バンドのアンサンブルでも同じ。みんながみんな、全部を完璧に、ってわけにはいかない。そしてもし全部を完璧にしたら、きっとすごくつまらなくなる。
だから、物事っていうのは、そういった限界や制約がある中で、どの位置に、それぞれのバランスを見出していくか、ってことになってくる。
そうした中で、なるべく基本を大切に、上質なものを用意した上で、さらに様々な状況に対応したバランスを取ることが出来るよう、正直なtweakabilityというのか調整機能、パラメーターが用意されたもの、それがたぶん、僕の考えるところの「良い道具」ってもの。
Eventideのリヴァーブはわりとそのへんが正直で、しっかりしてるから、まぁ古典だから当然なんだろうけれど、僕は使い易いと感じる。今の時代ではぜんぜんまったく、派手な音では無いけれど。(でも、1980年代にはきっと派手な最新のサウンドだったんだろうしな。。。)
ともあれ、このPro-Rはすごく優秀なプラグインだと思うし、なんだかんだ言って、時代の流れで、こうしたハイファイでクリアな方向にどんどん進んでいくのは自然なことだし。
またなんだかんだ言って、そういった中で世の中が進歩し、それによって新しい音楽とか新しいサウンドが生まれるのは否定しない。
きっと、もっとモダンな方向性の音楽をやってる人には、最高の道具だろう。
でも残念ながら僕はしょせん80年代風味のハードロックが基本の、インディ個人録音の人だから、どう考えても俺が使う道具じゃねえな、と。
とか言って、何年か後には使ってるかもしれないから、人生というのは油断がならない(笑)
機会があれば試す、触れてみる、っていう気持ちは常に持っていたいとは思うのだが。。。
でも歳は取るからねえ。
で、あれだ、
Exponential Audio
Phoenix Verb (およびR2)
もう一週間くらい前に試したので、忘れちゃった(笑)
Exponential Audioと言えば、元Lexiconのエンジニアの人がやってる、やっぱりLexiconの延長線上の、ハイクオリティなリヴァーブとして評判のやつ。
で、ここの作者の人、なんかいっぱい、何種類もリヴァーブ作ってるし、リヴァーブというものに対して、偏執狂的な情熱というか、こだわりを感じるよね。
何種類もリヴァーブ作っていて、モジュレーション系のマルチエフェクトも作ってるっていう点ではValhalla DSPと同じなんだけれど、
Valhallaさんが親しみ易いムードのウェブサイト、製品、価格等なのに対して、Exponentialさんは、なんかもっと、気難しい感じがする(笑)
僕は基本的に、理系っぽい生真面目さを感じるディベロッパーさんは好きなので、その意味ではこのExponentialさんも、そういう感じではあるんだけれど、なんか怖い(笑)
んで、実際に試してみると、Acon Verberateによく似た印象というか。
音はキレイだし、ナチュラルで美しいんだけれど、ちょっとナチュラルさにこだわり過ぎて、生真面目過ぎて使いづらい印象が。。。。
よく覚えてないんだけど、すぐにアンインストールしちゃったし。
その作者の偏執狂的なこだわりが主張し過ぎているのか。。。。
クオリティ的には、今回試した中でも、他のやつ以上に良かったと思うんだけど、なんか覚えてないけど使いづらかった気がする。。。
意外と音のキャラクターもいじれなかったし。なんかプリセットも微妙だった気がするしね。
そうそう、もいっぺん、今いじってみて思い出した。すごい音きれいで自然だけど、なんか冷たい。どうがんばっても冷たい系になる。R2はもうちょいキャラクター系だっていうけどやっぱり印象は変わらない。
音はしっかりしてるし、堅実だから好きなタイプだけどね。なんかやっぱAcon Digital Verberateに近い。
堅実で素直で、プロの道具と呼べるけど、キャラクターとか表現力の上で今一歩面白くない。
どっちにしても、自分の手持ちのEventide&HOFAと比較して、「別に」って結論だったのは間違いない。
音の自然さ、とかは知らんけど、ゴージャスな美麗ヴァーブって意味では、HOFA AlgoVerbの方が上だと思うし。
自然って意味では、このExponential Audioのウェブサイト見ると、映画業界の人がいっぱい載ってる。ユーザーの欄に。そういう用途が合うのかもしれない。
思うに、リヴァーブなんてものは。コンボリューションはまたそれはそれだけど、最初から好きじゃないし。
アルゴリズミックリヴァーブ、なんてものは。
今の時代にあっては、というか。
一定以上の良質なものであれば、どれも基本のクオリティには大差ないというか、みんな似たようなもので、どれも良い、というか。基本的に完成されていると思うので。
これだけいくつか試してみると、「どれもおんなじだな」って(笑)
ただ、それぞれにキャラクターや特徴はやっぱりあるので、
使う人の好みの問題。
GUI、インターフェイスの見た目とか使い勝手とか。
あとはブランドイメージとか(笑)
んでも、何年か前の日記にも書いたけど、
やっぱ、今の時代となっては、逆に、一般大衆向けプラグイン市場なので、マーケティングの宣伝文句が先行した、微妙なクオリティのものも多い。
その意味では、昔からの老舗の方が信用出来るのも、残念ながら事実。
誰が、自分にとって、自分の用途に合う道具を作ってくれる、信頼出来るディベロッパーなのか、まぁ楽器であれどんな道具でも同じだけれど、
そこは注意して見極めた方がいいですよねえええええええ。
プラグインってことで言えば僕のお気に入りのディベロッパーは、あれとか、これとか。それとか。
あんまし流行っぽくなくて、そんなに高くない値段でやってくれるとこで、真面目なツールであれば。
いつの時代でも「普通の道具」ってのが、一番貴重かもしれない。
もういっぺん言うけど、Eventideのリヴァーブって、別段、どうってことのない普通のリヴァーブだけど、ひょっとしたら凄いのかもしれない。
とりあえず、手持ちのやつでいいや。
追記:
Reverbということで言えば、
実家から持ち帰った古いサンレコを読んでいたところ、
「原音に干渉するか否か」という言葉を見つけた。
つまりリヴァーブというのは、初期反射の中で逆相の成分とかが返ることによって、原音が曇ったり、奥まった位置に移動したりする。
それを良しとするか、良くないとするか、それはケースバイケースであり、そういった効果が邪魔な時もあれば、必要な時もあると思う。
だが現代のマーケットにおいては、基本的には原音に干渉せず、クリアなままに保たれるリヴァーブが好まれる傾向がおそらくあるのではないかと思う。
それは上記のとおり、現代ではこういったツールは本職のエンジニアではなく、一般ユーザー向けに作られているからだ。原音をクリアに保つ方がユーザー受けがいいと思われるからだ。
本来であれば、必要に応じて、原因に干渉する効果を得るのか、それともなるべく原音に干渉しない残響を得るのか、それは使う人が必要に応じて設定するものであると思う。初期反射のブレンド量とか、タイプとか、残響の周波数とか、プリディレイをうまく調整するとか。
本来はこのへんも「物理的な制約」の中でバランスを取って判断していくべき要素だ。
使われ方の問題と言ってしまえばそれまでだが、何をやっても「クリアできれいな音」しか得られませんよ、っていうんじゃ、僕はそれは表現上の制約だと感じる。
僕がEventide UltraReverbを使い易いと感じるのは、そのへんの原音に干渉するか否か、という点も、必要に応じてきちんと設定できる正直さにある。そんで、原音に干渉する場合の表現力も非常に説得力があって気に入っている。まあ、昔ながらのリヴァーブと言えばそうなのだろう。
UltraReverbで唯一、というか設定できないパラメーターとして聴く人の立ち位置のポジションがあるが、それが欲しい場合にはSP2016 Reverbの方を使えばいいと思う。あるいはUltraReverbでも設定によっては立ち位置の調整が出来るのかもしれないが、僕はやり方を知らん。
この立ち位置のパラメーターはたとえばWaves TrueVerbなんかにも付いていたことを記憶している。
> もうひとつ、これはまともに定番をいじったこともない素人エンジニアのたわごとであるが、
USBドングルは使わないっていう主義で、Lexiconのプラグインもやっぱり試すことが出来ないので、
しかしネットをふらふらしていたら、960っていうLexiconのインパルスレスポンスを見つけた。
まぁ探せば、こういうインパルスレスポンスのファイルとかは色々なものが、世界中の有名なホールから、定番の機材まで、あると思うので、それをフリーの適当なコンボリューションリヴァーブに突っ込めば、なんとなくこういう音なんだな、というのは知ることが出来る、かもしれない。
それでも、もちろんコンボリューションである限りは「死んでる」「staticだ」と感じるけれども。
とにもかくにも、あらためてその「960」ってやつのLexiconのIRを試してみたところ、
やっぱ、なんというか標準的な定番のデジタルリヴァーブ、という意味合いでは、Eventideのものとかなり同じような感じであった。
けれども、Eventideの方がちょっと、日本語がわからんけど外連味っていうのか、若干面白い成分が入っているのも否めない。それがギターサウンドと相性が良く、僕は使い勝手が良いと感じるのだろう。
Lexiconの方はもう、なんかド定番という感じの、より標準的な使い易さを感じた。
この使い易い、標準の感じが、たぶんLexiconが業界標準として使われてきた理由なんだろう。つまらんと言えば、つまらんかもしれない。
とはいえ、たぶんLexiconもその時代によって、もっと古いやつとか、いろいろ種類やそれぞれの特徴があるのだろうから、一言では言えない。
でも、今回試してみた「960のIR」に感じては、そういう「ド標準」を感じた。ド標準の素直な使い易さを感じた。そしてやっぱり、定番である以上、Eventideのものともやっぱり大差はなかった。
他者の480を再現したプラグインを試してみたら、また違う感想になるかもしれない。
でも、それならやっぱりSP2016 Reverbでも十分に面白いかもしれないよ。
> 後日追記(2019年3月)
Plugin Alliance (brainworx)のbx_rooMSを4ドルで入手出来たので、ちょっとだけ試してみて、ざっとの印象で感想を書いてみる。レビュー、というほどでもない。
音の印象は、ド標準、という感じ。まさに業界スタンダードのあの感じを普通に持ってきた感じ。
温度も熱くもなく冷たくもなく、標準。
そして、響きというかリヴァーブのテールは非常になめらかだ。このなめらか感は好きな人はいると思う。そして、いかにも標準なところを狙いつつも、ややモダンな音になっているのもポイントだと思う。ここについては相当にクオリティは高い。
欠点としては、音の種類がやはり基本的に一種類しかない。アルゴリズムというのかね。
あくまで簡易なリヴァーブという感じがする。だからPlateとか期待しない方がいい。Roomはまだなんとか許せる。HallとChurchが本命かな。比較的大きめの空間で、「どうだ、リヴァーブだぞ(しかも業界標準っぽい音だぞ)」っていうふうな使い方をするのに適していると思う。
そして、初期反射の調整がほとんど無いことも致命的だと思う。明らかにこれも今っぽい使い方で「原音に干渉しない」感じのリヴァーブで、だから初期反射はいじれない設計になってるんだと思う。この時点で僕としてはこれは「本格的なリヴァーブユニット」ではなく「簡易リヴァーブ」という評価になる。表現力がかなり限られてしまうからだ。
あとは入力のレベルが妙に高いので、Sendは少なめに送った方がいい。多めにすると今度は破綻してくる。そのへんも若干使い勝手が悪いような気がしている。
ちなみに僕のダウンロードしたバージョンの段階で、プリセットの選択もやりづらい。プリセットはいちいち評価してる時間がないが、インターフェイスの上部についている簡易プリセットはわかりやすい。が、やはりHallとChurch以外はどうかなぁ、といった印象。
MS機能が売り、ということなのだけれど、Stereo Widthを広げる機能、brainworxのプラグインにはよく付いている低音をまとめるMono Maker機能、あとはM/S別にEQをかけることが出来る、という程度のもので、ぶっちゃけ売りにするほど充実したものとは言えないと思う。EQは2バンドしか付いていないが、まぁそうはいったものの、SideだけにEQをかける、とか、やはり微妙に便利な場面もあるかと思う。
またEventideのStereo RoomとかSP2016にあるようなSource Distanceというスライダーがあるが、あんまり効果が無いような気がした。使い方を間違えているのだろうか。
とはいえ、リヴァーブテイルのなめらかさは相当なものだし、業界標準リヴァーブっぽい音と、そのシンプルさは評価出来る。また、リヴァーブフェチの僕にとっては、「いかにもっていう感じの美麗ホールリヴァーブ」の選択肢がもうひとつ増えただけでも嬉しい。そういう「いかにも美麗ホール」の用途にはすごく適していると思うから。
また、モジュレーションも結構エグくかかるので、M/S機能も含めて、エフェクトっぽい空間を作り出す用途には適しているかもしれない。
ただ、結論としてはさっき書いたように、シンプルな使い勝手を意識しているせいか、表現力に乏しいので、レギュラーとして使うことは恐らくないだろうと思う。標準的ど真ん中の音色だが、そのぶんこのリヴァーブならではの魅力というのもあまり無いように思う。バーゲン時はともかくとして、定価で買う価値は無いと正直思う。