またつまらないひとりごとです。
Payolaという言葉がある。
ロックの歴史に詳しい人ならご存知かもしれない。
僕もあんまり詳しくは無いのだが、
なんでも、レコード会社や、アーティストサイドが、
ラジオ局に、曲をかけてもらうために賄賂を渡すという行為のことを、
Payolaと呼ぶらしい。
きっと、ロック、ポピュラー音楽の歴史の中で、
このPayolaという行為は、いつでもはびこってきたのだろうと、そう思う。
日本のラジオ曲でも、いきおい、番組というのは、レーベル側、アーティスト側にとっては、買い取るものになっているようだし、
音楽業界の形が激変した現在の厳しい環境の中では、
よりいっそう、露出を得るというのは厳しく難しいものになっているだろう。
以前、結構前だが、礼拝の後にY牧師の家で、皆で談笑していたとき、
例の映画、なんつったっけ、Dream Girlsという映画、モータウンとかそのへんを題材にした映画を見ていて、
その映画でも、このPayolaが描かれていた。
それを見てY牧師は、”Music industry is all about politics”とか言っていた、
僕は、そうだね、でも今はそのシステムさえ崩壊して、政治の力学はもっとややこしくなっているよ、
と言いたかったが、英語力が無いため、うまくいえなかったのだけれど。
とまれ、なんにしても売り出すには金が必要だ。
たとえばDir en greyが、ここまで世界的にヨーロッパ等で知られるようになるために、どれだけのものをつぎこんだか、という話もあるし、
そのへんのモデルにせよ芸能界にせよ、バンドにしたって、そのことがわかるまでには、そんなにかからないはずだ。
金の無いやつは・・・・
という現実だ。
そのへんの壁を壊すのがインターネットだったはずだが、
それがうまく機能することは、ごくまれで、ほんの少しの機会に限られていた。
それが実情だ。
2000年代、世の中の変化の中で、数年前は、アメリカのシーンとか、
インターネットとインディーズの新しい時代、みたいな新鮮な空気が、結構あったはずだが、
今はどうなんだろう。
しょせんネット時代とはいっても、
業界の規模が小さくなっただけで、
話題になるのはメジャーレーベルから出ているバンドばかり、
という状況が見えてきたりして、
僕はちょっとやる気が失せていたりする。
とまれ、僕もついにPayolaに手を出してみた。
Jangoというウェブサイトのことだ。
インターネットの音楽関連サイトで、
わくわくしたり、どきどきしたことは、何度かある。
恥ずかしながら何度かある。
しかし実際にインターネットがその期待にこたえてくれたことは数少ない。
インターネットの黎明期から、いろんな音楽関連ウェブサイトが日本でも海外でも立ち上がったけれど、
ネットが本当にちょっとでも宣伝、パブリシティとして使えるようになったと感じたのは、いわゆるWEB2.0という概念が浸透しきった後だといっていい。
たとえば僕がMySpaceに本気で取り組もうという気になったのは、2007年の晩秋のことだと記憶している。
MySpaceはなんだかんだ、大きなあれはないけれども、着実にやっぱ見返りはあるカタい場所であると思う。
Purevolumeあたりも、結構カタいサイトだったんだけれど、キッズとたくさんコミュニケーションも取れたしね。でも最近、ちょっと、どうでもよくなってきた。すごいことを言うと、ぶっちゃけ、キッズは、金にならないし。
SonicbidsやOnlinegigsといった、ちゃんとした特定の目的を持ったサービスは、もちろんやればしっかりと役にたってくれるけれど、
そしてimeemはかなりどきどきさせてくれるサイトだった。これまた子供が多かったけれど、なによりアメリカやヨーロッパ以外の、第三世界というか、いろんな国の人々が入り混じっているのがよかった。そして、アニメファンが多かった。国内だとアニメ、同人といったマーケット層には、まったく縁がないけれど、皮肉なことに、海外に出ると、日本のアニメのファン層は、僕らのターゲットとかなり重なる。
そしてimeemはかなりカオスな場所だった。往々にして、管理されていない整備されていないカオスな場所の方が、インターネットというのは面白い場となるようだ。
なんというか「狩り場」として、いい場所だった。
imeemを通じて、メーリングリストの登録が、結構いいペースであったものだ。
だから、imeemが無くなってしまったことは、今でも、やはり残念なことだと思う。
特にアメリカでは、インターネットを通じた新しいインディーズ時代の音楽活動に現実的に使えるようなウェブサイトやサービスが結構あるのに、
インターネット黎明期には結構日本でもいろんなサービスが立ち上がったのに、
それ以降、気がつけば日本にはそうしたサービスは、ほとんど無くなってしまった。
インディーズとしてインターネットを活用する環境というのは、日本の方が、いつのまにか、圧倒的に環境が無い、遅れている、という状況になってしまった。
imeemが無くなって以降、しかしわが軍も、
Bandbox経由のライヴ音源無料配信や、Reverbnationのシステムを通じて、
小規模ながらも、メーリングリストの登録を増やしてきたり、してきた。
Reverbnationを初めて見たときにも、正直、かなりわくわくした。
その幻想は、もちろん、すぐに打ち砕かれたけれど、
それでも、Reverbnationは、すごくインディーズアーティストの側に立った、シリアスで信頼できるウェブサイトだと思う。
もしこのReverbnationが無くなってしまうようだと、いよいよ、インターネット時代の、新しい時代が来るかも、という夢も、幻と消えてしまうかもしれない。今、これからが、正念場のような気がしている。
最近、ようやくMySpaceのフレンド数が一万を越えた。
世の中的にも、ネット上のコミュニケーションというのか、オフィシャルサイトみたいな扱いも、最近ではfacebookがオフィシャルみたいになってきている。
いろいろあった音楽サイトもやはり淘汰されてきた。
音楽配信は、Appleがevilでwickedな面を見せてくるにつれ、アップル、つまりiTunesを通さない配信が次第に増えてくるかもしれない。
AmazonMP3がシェアを伸ばすかもしれないし、BandcampやBandboxがどうなっていくかも運命の分かれ目だ。
そして、Spotifyが力をつけてくるなどの要素もあり、より新しい時代のストリーミングのサービスが主流になってくるかもしれない。
21世紀も、10年代に入り、インディーズ新時代の淡い幻想が、いくぶん崩れかかっているような気がする今、
しかしそれは、システムどうこうよりも、真にインディーズな活動を力強く信念を持ってするアーティストが少なかった、居なかっただけかもしれない。
逆にいえば、真に信念を持ってインディペンデントな活動を行うアーティストは、どの時代でもどの環境でも居たかもしれない。
とまれ、今、エアプレイといえば、ラジオ以上に、インターネット上のストリーミングのことだ。
というわけで、このタイミングで、遅ればせながら、Jangoに参入してみた。
エアプレイを金で買う。
そう、間違いなく、インターネット時代の、これはPayolaだ。
やってみて間もなく、数件のファン登録、つまりメーリングリスト追加につながった。
どうだろう、ようやく見つけた、本当に使えるプロモーションツールとなるだろうか。
いろんなサービスがある。
予算と手間があればbroadjamだってTaxiだってやってみたい。
しかしそんな予算と手間と暇は無い。
いくつかのサービスを、いくばくかの予算を使い試してみたけれど、
結果につながるものは、本当に少なかった。
そして結果として僕は思うようになった。
直接リスナーとつながれるのでなければ、意味がない。
僕はいつも思う。
業界にアピールするのでもなく、
メディアにアピールするのでもなく、
レーベルやヴェニューにアピールするのでもなく、
聞いてくれるリスナーに直接アピールしてこそ、結果につながるし、
そうでなくては間に合わない、と。
特にインディペンデントな道を歩いて、それを積み上げていこうと思うのならば、
なおさら、自分たちで少しずつでも。
信じられるのはリスナーだけだ。
狭くなっていく世界の中で、なんとか良い方法を見つけていくのが、僕らのしごとだ。
関係ないけれど、MONOのウェブサイト久しぶりに開いたら、日本語のページがなくなっているような気がするんですが、気のせいでしょうか。
facebookに書き込んでる日本のファンなんて、ほぼ、居ないしね。
しかし、実はもうひとつ、機を見て挑戦してみたいウェブサイトがある。
日本人が挑戦しない場所。
一件だけ、日本人の成功例がある。
人が居ない場所を見ると、行ってみたく、なる。
とまれ、すべては些細なこと。
以上。