こういうの見るとぎっちり感想書かずにはいられないので
やっぱりひととおり書いておこうと思います。
Animetal USA
しょせん色物企画だとは思います。
僕はどっちかというと否定派で、
まあでも、賛否両論あれど、これだけ話題になっていたり、メディアへの露出も得ることができたりしている時点で、企画としてはそれなりに成功していると思うのですが、
やっぱり正直見ていてつまらなかったです。
良かった、楽しかったという感想もたくさん見かけましたが、
僕らは次のStryperのために前列近くで観戦したのですが、
あそこまでアリーナの前列に居て、皆これほど冷めているというのは、過去に体験したライヴでも初めてだったように思います。
少なくとも、アーティストに対する、ファンの熱狂のようなものは、やはり無かったと思います。
あとは、昔のアニメの曲とか、若い世代は知らないと思うので、
僕自身よくわかってなかったし、
むしろ「残酷な天使のテーゼ」でやっとちょっと反応がある、くらいの感じもしました。
そして、当然といえば当然ですが、演奏はものすごく上手かったです。
ギターのサウンドとプレイが特に素晴らしかった。
マイク・ヴェセーラも安定したヴォーカルを聞かせていた。
バンド全体としても、その格好に負けないくらい、
典型的なイメージ通りのヘヴィメタルの見本のようなサウンドでした。
マイク・ヴェセーラとルディ・サーゾが妙にノリノリでした。
個人的にはやはり文句なくワーストアクトだと思います。
コブシも演歌もある本家ANIMETALならともかく、
彼らにはあまり、これらの曲を演奏する理由が無いんじゃないかと。
わかりきったことですが。
お仕事ごくろうさまです。
当日のtweet.
アニメタルUSA 最高の演奏技術で最低の企画を強行。口をあんぐり開けて苦笑するしかない。メンバーのノリノリな様子がさらに客席との温度差を助長する。あんなに盛り上がらない最前列は初めて見た。アイドルらしき女の子たちが出て来た時には全力で脱力。史上最も演奏の上手いワーストアクト。
インペリテリの完璧な仕事ぶりが冷酷なほどに際立っていた。ヴェセーラは上手かったが「そうじゃねえ」と突っ込みたくなる歌い回し多数。やはりよほど愛と努力が無いとアメリカ人に日本の歌謡曲は歌えねえ。
August Burns Red
現代クリスチャンメタルコアの旗手でもありますし、
良質のヘヴィネスとクレバーさを併せ持ったとても良いバンドだと思うんですが、
個人的にはこのLoudparkの場では分が悪かったように思います。
反対側の遠くで見ていたので、断定はできませんが、
あまり音響に恵まれなかったように思います。不運だったかもしれません。
個人的にはもっと前の方で見たかったのですが、次のStryperが本命だったので、仕方ありません。
しかし正直なところを言うと、若さが目立つというか、
あれね、僕らも、5月に行ったNashvilleでのカンファレンスで、
クリスチャンの若いバンドたちとたくさん対バンして、
こういうメタルコアのバンドもいくつかいたけれど、
そこで見たup and comingなインディーのバンドたちと比較して
もちろんディテールに作り込みの差はあるけれど、
全体のステージとして、大きな差は無いと、正直思った。
それは、彼らABRがまだ若いバンドだからかもしれないが。
バンドの境遇と、ステージの大きさ、オーディエンスの数、
それらと、本来のバンドの力量は、見た目ほど実際には違いはなさそうだ。
つまり、勝ち目はいくらでもある。
勝てることも既にさっくり証明してしまっているのだ。
当日のtweet.
August Burns Red 反対側で見たから音響最悪で正当な評価は出来ないが、優秀なバンドながらも若さが目立つ。良くも悪くも。正直さが裏目に出て魅せる技術に欠け、ラウドパークの場では若干分が悪かったかも。クリスチャンメタルだし個人的には好感度。
Stryper
想定以上の名演だったのは昨日の日記に書いたとおりですが、
なるべく「信仰」とか「神」という言葉を使わずに分析するなら、
やはり大きいのはヴォーカルというか声の力なのだと思います。
個人的にはStryperの音楽は、ギターミュージックとして見た場合、
ずば抜けたリフがあるわけでもなく、構成も美しくないんですが、
歌と親しみやすいメロディ、声、コーラス、
これらの要素を生かすための楽曲なのだと理解しています。
多くのハードロックバンドと違って、
中心にあるのはギターではなくあくまで歌そして声。
そして、涙腺を刺激するやさしいメロディ。
数あるハードロック、ヘヴィメタルのバンドの中でも、
歌、ヴォーカル、ヴォイス、声の要素を大きく生かしているのが、
彼らの強みでしょう。
仮に楽曲が月並みだったとしても、
「声」と「メロディ」と「ハーモニー」
それらを誠実に運ぶだけで、これだけの感動を呼び起こすことができる。
そしてやはり、そこには愛があふれています。
そして、実にあたりまえのことですが、
音楽は、音ではなくて、人なのだなあ、と、
思いました。
メタルバンドがいろいろある中で、
Stryperは、まぎれも無く、「良い子ちゃんのためのメタルバンド」
品行方正(でもないけど)なクリスチャンのバンドですから。
この日演奏していた、いろんなバンドたちも、
それぞれに、音もそうですが、
人としての立ち位置があって、しかるべき音を鳴らしているのです。
そして、その「人」に共感し、世界観にあこがれて、
ファンはついていくのだと思います。
あたりまえすぎることを、今更確認するのでした。
当日のtweet.
Stryper 22年間の日本不在をすべて埋めるような奇跡的な演奏。エモーションと信仰と熟達が三位一体となりここに理想的な元祖クリスチャンメタルが出現。言葉で表現出来ないくらいの感動。想像を越える正義のメタルが炸裂。軽く奇跡。圧巻。また別途詳しく書きます。
Amaranthe
tweetのとおり、あまりきちんと見れていません。放心状態でしたから。
しかし、なにやら、ヴォーカルの音量とか、PAに問題があったようで、
あまり本領を発揮できていなかった模様です。
確かに、あまりぐぐっとくるものはなかったかもしれません。
当日のtweet.
Amaranthe 放心状態であまり見れてない。ああ、普通に上手いなあ多人数編成で現代的な卒のないバンドだなあ、と、それだけ。
Krokus 放心状態でご飯食べたら終わってた(汗)
United
ある意味、いや、実際、かなり本気で、この日のベストアクトだったと言えると思います。
この日唯一の日本のバンドですが、過去のLoudparkに出演した日本のメタルバンドの中でも、これほど「地の利」を生かしたケースも無かったんじゃないでしょうか。
ライヴハウスのノリを、そのままでかくしたような、リアルで地に足のついた素晴らしいステージでした。
サウンドも素晴らしい、メリハリとエッジのきいた楽曲も素晴らしい、
ギター二人のソロプレイも非常に素晴らしい、
キャリアを感じさせる各メンバーの佇まいも素晴らしい。
そしてなんといってもヴォーカルです。特にMC(笑)
中東系だそうですが、日本在住が長いと思われる外国人のヴォーカルさん、
日本語のMCが素敵すぎる。
「オレはユナイテッド!」
なぜに「オレたち」じゃなく単数系?
キュートすぎる。
そして、ちゃんと「埼玉ー!」と叫ぶのです。
そう、東京じゃないですから、ここ。
どうせ外国のバンドはみんな「Hello Tokyo!」って、何の疑いもなく言ってますから。
わかってます、これだから日本のバンドは違います(笑)
どうせ外国人には東京も埼玉も同じ、
わかってはいても、
アーティスト「ハロー、トーキョー!」
観客「(東京?いや、ここは埼玉だろ。ていうか大宮だし。大宮はどう考えても東京じゃないだろ。いや、でも首都圏だし、どうせこいつら成田についたときから東京と思ってんだろうし、ロックコンサートでそんな小さいこと四の五の言っても始まらないし、盛り上がってやるのがロックコンサートってもんだし、いや、でもやっぱ違和感が、体のどこかで納得できない、いや、もうどうでもいいや)イ、イェーー!!」
と、オーディエンスの頭の中には、意識しなくとも、
一瞬のうちにこれくらいかけめぐっていると思うわけですよ、
わかってはいても、体が拒絶する。日本人ですから。
「トーキョーだと!?それは間違っている。俺たちはお人好しの日本人だけど、間違っているものには、本当は間違っていると言いたいんだ。それが日本人としての筋というものなんだ」
反原発デモも盛り上がり、ロンドンやウォールストリートでも抗議デモが起きている昨今、いかにおとなしい日本人といえども、ここまでくるといよいよ
「Saitama is NOT Tokyo!!」と書かれたプラカードを掲げて暴動を起こしかねないわけです。
なにしろヘヴィメタルのコンサートは危険な人たちの集まりですから。
だから、Unitedのヴォーカルさんが、「さいたまーー!」と叫びまくるそのとき、
どうしてもやっぱ
「うおおお!そうだ、そのとおりだ。よくぞ言ってくれた。俺たちは今埼玉にいるんだ!東京じゃないんだぜェェェぇぇぇ!!!!」
と思ってしまい、ついつい嬉しさのあまり拳を振り上げてしまうのでした。
そして、ファンの皆さんも素晴らしかった。
とてもでっかいサークルピットとか、よくわからんけどwall of deathなるものが、できていました。
「伝説を作ろうぜーー!」
なんか、いいです、その、全国制覇みたいなノリ。
日本のストリート・メタルシーンというものを、存分に見せてもらいました。
当日のtweet.
United ストリートレベルでのリアルさを伴った最高のスラッシュ/エクストリーム・メタル。サウンドも佇まいもリードプレイも全てが日本のメタルシーンの最高のリアルを叩きつける。そして出演バンドの中で唯一「Tokyo!」でなく「埼玉!」とコール。余りの正しさに涙がでた(笑)
Unisonic
Avantasiaでも目撃しているカイとキスケの共演なわけですが、
正直、演奏はけっこう荒かったと思うんですよ。
でも、日本のファンはやはり、こういう親しみやすいジャーマンメタルは好きですし、
あのですね、いつも言っているとおり僕はジャーマンメタルはあまり好きじゃないんですが、
さすがにHelloweenくらいはインプットされているわけで、
そして、やはりカイ・ハンセンにはオリジネイターとしての説得力があるわけですね。
彼の身にまとっている「メタル」の佇まいが、サウンドが、プレイが。
そして、僕は昨年のAvantasiaでこのマイケル・キスクという人を見て以来、
彼の、どこか神経質そうな、気難しそうな、しかし繊細さと強さを兼ね備えるような、
そして根っこに間違いなくある信心深さ、さらに深いところにあるファンへの愛情、そういったパーソナリティに非常に魅力を感じているわけですね。
個人的に耳をかたむける範囲では、マイケル・キスクはどちらかというと「危なっかしいシンガー」だと思うわけです。声が出るときもあれば、出ないときもある。神経質で繊細なもろさを持っている感じ。
でも、だからこそ、その声が響くときには、唯一無二の輝きと透き通った美しさを持っている。
それが、希代のシンガーであるための要素なのかなと。
そんな危なっかしいシンガーが、僕はどちらかというと好きです。
十分予想されていたであろう、
まさかのHelloween3曲。
本人によるまさかのI Want Out.
いろいろ含めて楽しめました。
当日のtweet.
Unisonic 荒い演奏ながらもジャーマン特有の親しみ易さと元祖ジャーマンメタルの持ち味を発揮。脆さと強さを兼ね備えたマイケル・キスクの唯一無二のヴォーカルに目が離せず。信心深く気難しいフロントマンに魅了される。最後はハロウィンの曲で盛り上がりまくり。
Trivium、個人的にはそれほど刺さりませんでしたが、評判よかったですね。イケメンだったし。好きです、イケメン。
当日のtweet.
Trivium 日系のヴォーカルがイケメンで素晴らしい。サウンドはかなり良い。しかしちょっと進行とかありがちな気がしてスルー。日本の某バンドあたりをアメリカナイズして線を太くしたらこんな感じかな、って。
当日のtweet.
The Darkness 恐るべき裏声とエキセントリックな自意識過剰変態フロントマン。この日唯一のナチュラル系オーヴァードライブギターサウンド。ここはイギリスのパブなのか。良くも悪くも生々しく、生身の限界もそのまま浮き彫り。大丈夫か。もうちょっと見ていたかったが所用で抜ける。
当日のtweet.
Arch Enemy すとらいぱとごにょごにょしていたので見てません(汗)
しかし、評判を聞けば、ものすごくすばらしかったらしい。
Whitesnake
一昨年に見たときには、その伝統的なブリティッシュハードロックに本当に感銘を受けたわけなのですが、音響のせいなのか、コンディションか、さらにお歳を召したせいなのか、
カヴァーデルさんの劣化がやけに気になってしまったわけです。なんかね、個々のプレイはいいんだけど、楽曲が、バンド全体の音が、無駄に鈍重に感じて。
しかしさっきtweetしていて思ったのですが、
これはまさに水戸黄門だと思ったわけです。
水戸黄門と助さん角さん。
二人の長いギターソロタイムも含めて。
カヴァーデルご老公「ダグさん、レブさん、もういいでしょう」
ダグ「この白蛇の紋章が目に入らぬか」
レブ「ここにおわすお方をどなたと心得る、元Deep Purpleのヴォーカリスト、デヴィッド・カヴァーデル公なるぞ!」
キャスト変えつつ同じパターンで何十年も続く長寿番組です。
安心して見られるハードロック界の定番コンテンツなわけです。
時代劇のコスチュームを着てStill of the Nightやってほしいわけです。
ご老公がいつまでも元気で活躍してくれることを祈ります。
さてダグはほんとに素晴らしいギタリストだけれど、
ピッキングや音作りのせいもあるけれど、
でもやっぱりレブはちょっと脇役に徹し過ぎだと思う(泣)
立ち位置をわきまえる仕事人レブ。
当日のtweet.
Whitesnake ダグとレブという二人の名ギタリストの競艶。しかし2年前に見た時よりも更に複雑な気持ちに。カヴァーデルという紳士ロッカーによる王道のプレミアムブリティッシュHR、それがWS。しかしその前提たるカヴァーデルの世界が次第に破綻してきているような。
Limp Bizkit
さて賛否両論あったヘッドライナーだったわけですが、
印象的だったのは、朝、開幕するときに、MCのサッシャさんが出演者を順番に紹介していったときに、「そしてトリは、リンプ・ビスキッツ!」と言ったときに、
歓声が起こるでもなく、あるいはブーイングが起こるでもなく、
どこからともなく苦笑が起きたという(笑)
そんな中で演奏したLimp Bizkit、まちがいなくアウェイな中で、なんかかわいそうだったけれど、演奏とパフォーマンスは凄かったと思います。でも僕らも4曲くらいで帰ったけどね!
さっきも書いたけれど、ロックとは音楽とは、
つまりは「音」よりも本当は「人」
ストリートの悪ガキの世界観のようなLimp Biskitのステージはとても格好よかった。
しかし、そんな世界観を僕はリアルとは思わない、
なぜなら真実はイエス・キリストのみ!
一応クリスチャンですからわたしも(笑)
クリスチャンヒップホップの連中の、熱さと真摯さと、その弛まぬ戦う様子を見たら、
何がリアルかなんて、気取ってる余地もなくなってしまうよ。
人には役割があるしそれぞれ、
新しいもの、新しいスタイルを開発するのはいつだって悪ガキたちかもしれない、
でもだからといって、すべては最後には、神に捧げられるのだぜええええ。
予備知識ぜんぜんなかったけど、
ギターの人、とてもかっこよかったと思う。
そんなに嫌わなくてもいいと思う、リンプさんを、メタルファンの人々。
でも、本当は、みんな、別にリンプを嫌いなわけじゃなくて、
別に批判しているわけじゃなくて、
単純に、疲れたから、夜だから、なじみのないバンドだし、とか、
そういう消極的な理由で、帰っただけだと、本当は思う。
当日のtweet.
Limp Bizkit 世界中のストリートの悪ガキの面目を躍如するような貫禄の佇まいと世界観。要するにバンドで鳴らしたヒップホップだがメタル指数は充分。しかしクリスチャンヒップホップの格好良さとリアルさを知っている身としては、こんなのリアルでもクールでもないぜ、としか言えずに終了
総括
いろいろ状況もあって、規模縮小、バンドも小粒、一日開催、盛り上がらないなどと言われていたが、
一日に凝縮したこともあってか、
ふたをあけてみれば、ネームバリューどうこうとまた別のところで、
非常に充実した内容となっていたと思う。
たぶんそんなもんだろうと予想してはいた。
世間の下馬評はあてにならないだろうから。
僕と嫁さんにとってみれば、
Stryper一色、それに尽きるため、
これで3度目のLoudparkにして、最高のラウドパークになったことは間違いない。
個人的ベストアクト
Stryperで間違いない
客観的ベストアクト
Unitedか、Stryperか、
あるいは評判がよかったArch Enemyか、
そのへんじゃないだろうか。
実際にもっともインパクトというか、
見事にかっさらっていったのは、
間違いなくUnitedだっただろうとは思う。
ワーストアクト
賛否両論あるけどやっぱAnimetal USAがワーストだと思う。
色物企画だから仕方が無いことだけれどやっぱりアーティストとしての熱さやメッセージ性は皆無だし。
ただ演奏は本当に素晴らしいクオリティだった。
ベスト・ヴォーカリスト
間違いなくStryperのMichael Sweet
ぶっちぎり。すごすぎる。
もう全ヘヴィメタルシンガーの中で最強でいいと思うこの人。
ベスト・ギタリスト
立ち位置とかバンド内の扱いとか、
スポットライトの浴び方とか、
ちょっと平等じゃない気がするけれど、
それらを差し引いてもやっぱりDoug Aldrich (Whitesnake)
しかし相方のReb Beachも同じくらい素晴らしかった。
素晴らしいギタリストは他にもいっぱいいる。
当然だけど。メタルフェスだし。
ベスト・ドラマー
これもソロタイムがあってフェアじゃないんだけれど、
やっぱり包丁を持ち出した時点でWhitesnakeの人。
ベスト・ベーシスト
を決められるほどちゃんと見てない。
以上。