贅沢に
音楽聞きながら黙考して
文章書いているのだけれど
今年だって予算はないけれど
嫁さんの買ったものを
聞いているのもあるし
新譜はあまり聞いていないにしても
それでも
それであっても今年は当たりの年である
大事な音楽に出会えているという点では
1月2月の時点ですでに
Van Halenの14年ぶりのアルバムが出てしまうという
奇跡が起こっており
どう考えても
今年の(あるいは人生の)ベストは
これ以外には無い
それは動かないと思うのだけれど
そして
さらには3月には
またもや人生の中でもっとも大事な音楽家の一人であるところの
熊谷幸子さんの
CODAMA Throughとして
新曲が聞けてしまうという奇跡
(まぎれも無い奇跡)
があり
それだけでも恵まれているけれど
以下ちょっと書く。
Demon Hunter
“True Defiance”
書こう書こうと思っていて書いていなかったけれど
Demon Hunterの新作がなかなか凄い
“True Defiance”ってやつ
いうまでもなく
Demon Hunterは、
ここ数年でチェックした中の
メタルコアの中でいちばん気に入っているバンドであり
ていうか
ここ数年でチェックした中の
クリスチャンメタルの中でいちばん気に入っているバンドであり
ていうか
あるいはもしかすると
ここ数年でチェックした
すべてのクリスチャンバンドの中でも
いちばん気に入っているかもしれないくらいの
バンドなのだけれど
Demon Hunterは、
どちらかというと
オールドスクールだと思うのね
モダンなメタルコアのカテゴリには分類されてはいるけれど
その中のバンドとしては
曲の構造は、わりとconventionalというか、普通だし
AがあってBがきてサビとか、
ヴァース、コーラス、っていうか
そんで、スクリームのパートと
メロディのパートがはっきり分かれているしね
サビはたいがい、ちゃんと歌えるメロディがあって
安心できるし
しかし、その特異な音楽性というのか
不思議なメロディライン、
ハーモニー
リフの構築の美学、
それらが非常に高いレベルで
ヘヴィメタルの攻撃性と
クリスチャンのメッセージ性と
融合していてね
これは本物だと
そう思っているわけですよ
僕なんかは
んで、彼らの今年出た新作、
True Defianceが、これがまたちょっと凄いわけだ
かといって、過去の作品と比較して
どっちがいい、と単純に言えないのだけれど
それでも、なんか、音楽性の「深さ」と
クラシック具合が、
それこそVan Halenの新譜と比較してもいいくらいに
強靭なメッセージを放っているわけよ
もともと、精神性のしっかりした
地に足の着いたバンドだと思うんだけれど
その安定性と、
アグレッシヴなキレ方が、
今回、結構良いバランスで
攻めてきていて
でね、このバンドの面白いところはね
もともと、意外と
アウトドアなバンドじゃなくて
このDemon Hunterは、
というのもツアー、ライヴを
あまりやらないのね、このバンド
仕事や、家族や、地域にコミットしたい
という理由で
あまり音楽でしっかり食っていくという
感じのしないバンドで
ストリートなハードコアな
メタルバンドであるにもかかわらず
意外と、バンドの実体は
インドア派のパートタイムぽいという
で、どういうことかというと
中心人物のクラーク兄弟がさ、
といっても、兄は既に脱退しているんだけれど
このクラーク兄弟が、
本業はデザイナーで
そっちの方が、たぶん大成功しているらしいのね
ミュージシャンとして成功するのも大変なのに
デザイナーで大成功するというのは
どれだけ運がいいのか
実力なのか
すごい才能の持ち主なのか
ともかく
すごい成功例ではあると思うのね
CDのアルバムのジャケットのデザインも
たくさん手がけているみたいなんだけれど
こちら
これがそのデザイン事務所のウェブサイトらしいんだけど
手がけたCDのジャケットとか見ると
なんか見たことのあるジャケットとか
有名なアーティストも含まれていて
ずいぶんヒットしているなと
で、笑えるのが
本職のデザイナーであるところの
このDemon Hunter兄弟、
そこへもってきて
自分たちのバンドである
Demon Hunterのジャケットは
一概にぜんぶ、あれだ、
ダサいわけね笑
だから
彼らがやっているすべての仕事のうちで
たぶん
自分たちのメタルバンドである
Demon Hunterは
いちばんダサいものであるわけで
それが面白いなと
普段はオサレなデザイナーなのに
突然むさくるしいメタルミュージシャンになるという
そういうスタンスも含めて
Demon Hunterは、
ちょっと普通じゃないというか
そのやはり楽曲の構築のセンスも含めて
飛び抜けている気がするんだな
とにかく今回のアルバムは
いつにもましてクラシックだよ
どの曲をピックアップしていいかわからんけど
これもよく見るとすごいメッセージ性の強い歌詞だ
こちら
シアトル出身でしかもクリスチャンのバンドだというのも
僕らにとっては点数高いね
すごく強靭な、地に足のついたFaithを感じるんだ。
Starfield
“Kingdom”
Starfieldって
優等生のバンドだったのよ
ずっと
なんというか
良い子ちゃんのバンドだった
有り体に言えば
つまらないバンドだった
いや、素晴らしいバンドなんだよ
もちろん
でも、はみ出たことは一切やらないし
楽曲は、素晴らしいけれども
でも普通のことしかやらないというか
安全策しかやらないというか
昨年は、
Article Oneと
Reviveという、
僕が気に入っていた
クリスチャンのポップバンドの中でも
若くて
純粋で
しかも音楽的に斬新な工夫を怠らない
そのふたつのバンドが
昨年は解散してしまい
とても寂しい思いをしたけれど
それらのバンドとくらべると
Starfieldは、
似ているけれど
平均的なことしかやらないという意味で
つまらなかった
サウンド的にも平面的で
おとなしく
でも
だからこそそれなりに売れて
成功しているんだろうけれど
Starfieldの
平均的で、普通だけれど
優れた音楽性というのは
クリスチャンミュージックのカテゴリの中で
たとえば、ほら
僕なんかも教会でワーシップ担当するときに
一人ワーシップのときはさ、
Starfieldの曲をピックアップすることが
多いわけ
それはどういうことかというと
曲が良いのもあるんだけど
それよりも
ワーシップソングとして
曲が平均的で
教会で使いやすいのね
それが理由
そういうことがあったと思うのね
Starfieldが
クリスチャンミュージックの市場の中で
ロングセラー的に
細く長く
成功できた理由は
でももっとも成功といっても
彼らも、長く続いているというだけで
もともと、カナダ出身というだけで
少しハンディキャップだし
Reviveだって結局は
オーストラリア出身という
その距離と出身のハンディに
負けてしまった
わけだしね
言い方は悪いけれど
(ひとごとじゃないぜ
日本出身の僕らとしては
もっとだめじゃん)
でね、
彼らは、今回のこのアルバムから
インディーズになったわけだ
メジャーとの契約を更新せずに
つまりは昨今の音楽業界の状況ということが
もちろんあるんだけれど
でも、Article Oneも
最後のアルバムを自分たちでインディーズリリースして
その後すぐに解散してしまったしね
嫌な予感がしないでもないんだけれど
実際、もう歳もとってきてるし
アルバムも何枚も出したし
今作のリリースにあたって
メンバーも脱退して
中心人物のNeufeld兄弟だけが残ったしね
でも、実際の音を聞いてみたら
少し驚いた。
今までのStarfieldはあるいは冗談だったのかと。
なんか、メジャーから離れて
インディペンデントで
自分たちの好きなようにやれるようになったからなのか
今までの
平均的でつまらない
優等生な音作りが嘘だったかのように
生き生きとしている
そして、決して平均的ではない
創意工夫に満ちた
アルペジオやリフやメロディーや
サウンドを展開している
もちろん
Starfieldの持ち前の特徴である
素直で美しいメロディや
透明感のあるサウンドは
健在だけれど
もっともっと人間味や
あたたかみが
加わっている
音づくりも立体的になり
アコースティックな楽曲にも
体温が感じられるようになり
人間としての呼吸が感じられる
なんだか、
今まで、つまらないばかりの
優等生だとばかり思っていた彼らの
本当は意外に人間くさい面を見つけて
そのギャップに驚くような
そんな新しい発見に満ちている。
これは
たとえばSwitchfootが
同じようにメジャーから離れて
音楽的に非常にのびのびとふっきれて
自由な発想で
あの名作”Hello Hurricane”を作り上げたように
同じような状況が
ここにも起こっているのかもしれない
この踏み出した一歩
ここへきて
まるで新しい出発のように
この新しい一歩を踏み出す
その姿は
とてもすがすがしいし
感銘を受けた
軽く感動した
その踏み出す一歩に
今までのStarfieldでいちばん感動したかもしれない
なにげに
もう、ただの優等生じゃない
ひとつだけの特別な存在に
なるかな
2曲ほど拾っておく
こちら
こちら
Trixter
“New Audio Machine”
まだ聞いてない
楽しみにしてるけど
“いちばん萌えるヘアメタルバンド”
のオヤジになってからの復帰作
でね、
僕が
XTCを初めて聴いたのは
今から一年ちょい前
ちょうど震災のちょっと後
聴いたのは
誉れ高い名作ではなくて
最後のアルバムである
Wasp Star
で、僕はほらRUSHなんかもそうだけど
こういうキャリアの長い
素晴らしい大人向けのバンドは
一年に一枚ずつ聴けばいいやと思って
で、一年後の今、
最後からひとつずつさかのぼって
1999年発表の
Apple Venusを聴いてみたわけだ
過去の代表作はぜんぜん聴いてなくて
後ろからさかのぼって2枚聴いただけで
なにも語れないのは承知してるんだけど
このキャリアの最後の2枚において
僕がやられたのは
魅力を感じたのは
このXTCというバンドの
ものすごい厭世的なところ
そして、ひきこもりっぷり
この閉鎖感。
解説を読んでみても
彼らは80年代のはやいうちから
もうライヴ活動を停止して
スタジオでの制作のみ
という方針でやってきているらしい
で、そのライヴ感覚というのか
もっというと
世間との接点を捨てて
彼らは何を得たのか
その
世間との関わりを拒否した
彼らのかたくなな
世界の中には
驚くほど豊かな
世界が
広がっていたのね
イギリスのどっかの田舎町なのか
しらんけれど
世間の流行や
世俗的な成功とか
名声とか
たぶんそういうものに
とっとと見切りをつけて
彼らが選んだものは
あるいは平穏な生活だったかも
しれないし
あるいは家庭というものだったかも
しれないし
もっというと
誰もが生きている
平凡な人生というものだったかも
しれない
そして、すぐに気付く
彼らは、ライヴステージという現実から逃げたのではなく
むしろ逆に
人生というより大きなステージに
向き合ったのだと
だって、
その人生という、人間の本当のステージ、
その中には
他のどんなライヴバンドが鳴らすよりも
もっともっと豊かで広くて大きな
彩り豊かな音世界が広がっていたのだから
このXTCの最後の2枚からは
見過ごしてしまいがちな
忘れかけていたような
人間の(普通の人間の、誰もが生きる人生の)
生活の豊かさというものが詰まっている
それを表現することができてこそ
本当の音楽家なのだと
本当のアーティストなのだと
言わんばかりの
ものすごい技量のミュージシャンたちだ
このXTCという人たちは
“隠遁生活”っていいな、と思う。
隠遁、って、そんな言葉を使っても
それは逃げることじゃなく
むしろ、向き合うことなんだと
僕も、
結局はそこに向かっていくはずだろうと思う。
ずっと前から、そう思っていたように。
結局、僕も、隠遁したい人間であり、
人間として
本当の人生は、そこから先なのであって
本当の豊かな人生は、
そこからむしろ始まるのであって
そんな、生きていくことに対しての
ただしい「隠遁」の在り方と
人生の豊かさを
見せてくれたという意味で
アーティストとして
音楽家の生き方のひとつとして
まぎれもなく
確かにちょっとばかし
僕の人生をも変えてしまいそうな
そんな勢いの音楽だ
このXTCという人たちは
Apple Venusと
Wasp Starは、
同時に制作された
パート1とパート2の関係にある連作で、
Apple Venusはアコースティック、
Wasp Starはエレクトリック、
という内容で分けられているが、
おかしなことに
アコースティックな内容の
Apple Venusはキレまくった内容で
逆に
エレクトリックな内容の
Wasp Starの方が
まったりとリラックスした内容に
なっている
キレているぶん、
殺傷力は、前者の方が少し上かもしれず、
世間の評価も、AVの方が少し高いようだが、
僕は、どちらも同じくらい好きになりそうだ
結局、まったりしたWasp Starの方が、
平凡な中にも、人間味にあふれたメッセージが
詰まっているしね
しかし、恐ろしいレベルの高さだと思う。
一年たったら、また次のを聴いてみようと思う(笑)
こちら
こちら