[作品の記録]
さて今年2014年を振り返るにあたり、
録音制作した作品がいくつかあります。
初夏のあたりにImari Tonesの新しい作品、というかアルバムを録音制作しまして、
完成版のミックスを完成させたのが8月の末の頃。
“Revive The World”という名前を付けた、
その作品のリリースというか公開というか発表はまだ先で、
来年一年かけて、ゆっくりと発表していくことになると思うのですが、
それとはまた別に。
11月に、2年目となるThe Extreme Tour Japanというのをやったときに、
東北方面は今年は福島だけとなったので、いわきでのギグがひとつ、わりと直前にキャンセルになってしまったものがありました。
そこで、どうしたものかと思い、どのようにこの開いた日程を埋めるのが有意義なのか。
あるいはまた、わざわざアメリカから来日しているアンジェロ(from Gallery Cat)にとっても有意義な企画はないだろうか、と思案したところで、ライヴレコーディングでもやっちゃおうか、と思ったのです。
それは、ライヴハウスとかのライヴではなく、どうしてもスタジオでのライヴレコーディング、ということになるんですが、
いろいろ探してみて、問い合わせてみたりして、
南相馬という街の、とあるライヴハウス、まあBack Beatさんというところなんですが、そこを見たときに、なんかぴんとくるものがありまして。
企画としてはあれです。
崩壊した原発にいちばん近いライヴハウス/スタジオということで。
まあこういうのは微妙であり、複雑な気分であるのはもちろんなのですが、
うちのバンドの場合、オーディエンスというかターゲットがほとんど海外なので、発信する意義はあるんじゃないか、有り体にいえば、まあ受けるんじゃないか、と。
あとはね、まあ、音楽を演奏することで何が変わるってわけじゃないけれど、僕らは信仰を持ったクリスチャンでもあるし、そこでライヴレコーディングするとともに、皆で祈りたい、というのもあったわけです。音楽で何かが変わるかどうかはともかく、祈りによって何かが変わる、という信仰は、僕らはやはりありますので。
まあ生きてる、っていうことだよね。音を鳴らす、ということは。それだけです。
そういうわけで、いわきでの日程に加えて、今では通れるようになったその、原発にほど近い道路を通り、ツアーを手伝ってくれた皆さんと、アンジェロと、南相馬まで車を走らせたわけです。
そうはいってもやはり、お世話になったいわきの牧師さんからも、そういった意味での警告というか注意はされたし、また同行してくれた皆さんの中でも、若い女性の方々には、滞在時間であるとか、気をつけるようにといったことも言われました。
そういった場所、街にも、やはり人は住んでいますので、なんというかディープなものですが、そこにライヴハウス、スタジオがあり、立派に経営しているというのも、なんというかすごいことであります。
実際、そこにあったスタジオは、非常にきちんとした、機材もツボを得たものが置いてあり、ドラムキットやスピーカーの配置なども考えられており、都内でもあまりお目にかかれないようなしっかりしたスタジオであったことは事実です。
なので、とてもしっかりした良いサウンドで、ライヴレコーディング、演奏ができたのですが。
そもそもが、「ライヴレコーディング」なんていうのは大変だし、なんかよほど、やるぞ、という、えいや、という気合いというか、よほどきっかけがないと、やろうとは思わない。
まあ今時のバンドや、演奏の上手い皆さんは、たとえばYouTubeなどでそうした発表の場も今はあると思うので、そうしたライヴ録音をされている方々もたくさんいるとは思うのですが、
僕らのような不器用なバンドが、ライヴ一本というよりも、アルバム一枚分、一晩で一発でやっちゃう、ということに関しては、相当に無茶というか負担のかかることではありました。
しかも急遽決まったことだから、そのために準備とか練習とかしてたわけではぜんぜんないしね。
けれども、よし、やろう、ということになり、急遽であってもその気になって、こういう機会が与えられたことについては、本当に感謝したいと思うのです。
そして、バンドとしてどういう順序で発表するかわかりませんが、
このライヴ録音には、バンドの今現在(11月時点での現在)の姿が捉えられていますので、
今年上半期に録音した”Revive The World”という作品(アルバム)の発表さえまだなのに、
バンドはすでにその次のアルバム”Jesus Wind”(仮)の楽曲に取り組み始めていますので、
そのRevive The World(未発表)の楽曲のみならず、「次の次」のアルバムである”Jesus Wind”(もちろん未発表)の楽曲も演奏し収録されてしまうという、
どんだけスケジュール前後してるんだ、というタイムギャップサービスの大公開っぷりです。
実際に、やはり当日の現場では、時間との戦いであり、
予定していた楽曲もたくさんあったし、
その全部が演奏できたわけではないし。
結局、いろいろの都合があり、バンドは先に現場に到着し、
スタッフの皆さんは後から来たのですが、
やはり少しでもお客さんというか、スタッフの女の子たちがいないと演奏に気合いがぜんぜん入らない(笑)ということもあり、
皆が到着するまで、サウンドチェックくらいしかできず、
結局録音開始はずいぶん遅れ、スタジオの時間も大幅に予定よりオーバーし、
僕らの録音が終わって、アンジェロが録音を行い、終了したらすでに夜中であったという感じでした。
けれども、アンジェロも、かなり苦労して間違いながら録音していたものの、
その編集とミックスを、ツアー中にMacBook上でGarageBandでささっと行い、さっくりとLoudr上でリリースしていましたが、
これが、けっこう良い作品になっていたものね。
(LoudrでGallery Catをチェックしてみてください。”Back Beat Recordings”というのがあると思います。)
で、僕らとしては、僕としては、ツアーも終わり12月になって、ミックスなど行っていたのです。といっても、音作りの半分くらいは僕もツアー中にMacBook上でやっちゃっていたけれど。
それで、もちろん、この時に、ここで、ライヴレコーディングなんていう企画をやるからには、
音楽作品として、意義のあるものにしたいという思いがあったのはもちろんですが、
僕の狙いというか、希望としては、まあもちろんVan Halenなんですが、
Van Halenが1993年に発表した、”Right Here, Right Now”みたいな作品にしたいなという狙いがありました。
それは、音作りというか、音像として、また演奏のイメージとしても、あれをひとつ、雛形として作ってみたいな、という、隠れたオマージュとして。
なので、狭いスタジオで、弱小バンドが、数人のオーディエンスの前で演奏しているにもかかわらず、超ビッグな音像(笑)
でっかいリヴァーブを使って、ヴォーカルも、スタジアムライヴのように処理して。
でも、演奏の最後に聞こえてくるのは、3人くらいの拍手、っていう(笑)
でも、演奏の記録、事実の記録としては、十分に生々しくやれたんじゃないかと思うのです。
よかったのは、演奏の出来は、決して悪くはなかったということです。
それでも、決してベストではなく、荒いところばかりですが、
それでも、ぜんぜんダメってわけではなく、
10のうち、7か8くらいの演奏はできた。
それは決して、9とか10の演奏ではないんだけれど、
それがまた、「Van HalenのRHRNみたいにする」という狙いに合っていた(笑)
なぜなら、VHのあの作品って、決してそんなにテンションの高い演奏じゃないからね。
調子の良い絶好調のVan Halenというよりは、緩いテンションでお仕事演奏しました、という感じのVHが収録されてるのが、あのアルバムだから。それで逆に楽曲の良さやバンドとしてのスケール感が出ちゃってるのがあのアルバムの凄さなので。
なので、7か8くらいの演奏で着実に出来た、という意味では、狙った方向性には十分合っていた。
そして、サウンドは十分に良かった。
というよりも、ほとんど最高だった。
この福島行脚、遠征には、僕はHamer Korinaを持っていきました。
KorinaのフライングVですね。
そもそもこのギターも、一年の間、録音など使ってきましたが、
意外とライヴで初使用したのは、同じ11月の頭にやった大久保水族館の時。
けれども普段の練習ではたくさん使っているし、この形のVに関しては以前からずっと使っているので、使い勝手はばっちりです。
そのHamer Korinaが、この遠征の間、ばっちり鳴りまくりでして、
状態の良いMarshall JCM900(ごつい方のやつ)に、ToneRiderオーヴァードライヴを突っ込んで鳴らしたギターサウンドは、ほとんど理想的なものでした。
なので、あえて書くとすれば、
今年録音制作したアルバム”Revive The World”には、僕の人生でこれまでで最高のギターサウンドが達成されているけれど、
このライヴ作品にも、同様に、僕の人生のもうひとつの最高のギターサウンドが収録されていると思います。
まあそれでも、マスタリング処理したら、生々しさとスケール感が、半分くらいなくなっちゃったけどね(笑)
それでも、マスタリング処理した方が、全体に聴きやすくなると思うので、結局やっちゃったんだけれど。
まあレコーディングなんてものは、現場でどんなにビッグな音で鳴っていても、結局、みんな同じような小さな音にまとめられちゃうんだ、って気がするけれど。
そしてミックスは、とても苦労しました。
というのは、僕自身、こんなふうにバンドを一発録りするという経験がなかったので。恥ずかしながら。
急遽の企画で、予算もないし、あるものでやるしかないよね、って、
普通のSM57とか58をならべて、8chで工夫してまとめて、オーディオインターフェイスの8chのやつを、さる方に貸していただいて(ありがとうございます)、
で、録ってみたら、うわあ、音すげえかぶってる、っていう(笑)
ギターのマイクにも、ヴォーカルがかぶってるし、
ドラムのオーバーヘッドにも、ギターやヴォーカルがかぶりまくり。
うわあ、こんなにかぶるんだあ、って(笑)
セパレートで録音したものを、ミックスするのなら、何度でもやったことあるけれど、
ライヴのミックスってこんなに大変なんだなあ、と、
ライヴのPAさんの苦労が、ちょっとだけ想像できた瞬間でした。
なので、EQ、EQ、ひたすらEQ、で、かぶったところを、なるべく削ったり、処理して。
だから、ヴォーカルも、かなりあれな音になっていますが。
がんばってちゃんと聞こえるように努力してみましたが。
どうかな。
で、書いておきたいこと、
それは、手直しについて。
古今東西、ライヴ盤、ライヴ録音のアルバム、たくさんあると思います。
そういったライヴ録音の名盤でも、実際にはいろいろと、スタジオで手直しがされているということは、今では周知の事実だと思います。
たとえば僕が、今回、参考というか目標にしたVan HalenのRHRNについても、実際にはいろいろ手直しがされているようです。たとえば正式発表前に、Van Halen兄弟が自分たちでミックスしてラジオで流したものと、実際に発売された音源では、ずいぶん違ったという証言もありますし、
また、サミー・ヘイガーのヴォーカルについて、ここ明らかに修正してるよね、というか、修正前のヴォーカルが、会場のエコーとかエフェクトにのっかって残ってしまっている箇所があります。
また、ライヴアルバムと同時に発売されたライヴビデオが、2日間のライヴの映像を組み合わせて編集したものになっているのは、その音源の修正をわからないようにするためだろうという事情がうかがえます。
で、今回、僕のやりたかったこととして、この「ライヴ盤の手直し」という作業を、いっちょまえにやってみたかったわけです(笑)
で、いくつか、やりました。
まずは、The Conceptという曲、
これは、スタッフの皆さんが到着してライヴショウの録音を始める前に、サウンドチェックとして演奏したんですが、チェックだったため、録音ミスで、ベースが録音されていなかった。この曲はライヴ本編ではないんですが、ギターサウンドは最高に良かったので、あと、この曲を加えるとちょうどアルバムが10曲になるので、収録したいなと思い、録音されていなかったベーストラックを、後から録音しなおしました。で、うちのはっしー先生が「めんどくさい」と言ったため、このベースは僕が弾きまして、なので、耳のいい人であれば、はっしーのUSA Laklandの音と、僕のBacchus TF-Ashの音を、聴き分けられると思います。
あとは、がんばって演奏したとはいっても、やはりそこは、普通のライヴ同様に、数人とはいえお客さんの前ではりきって演奏しているので、ミスもあり、
そのミスった場所で、二カ所ほど、本番のテイクと、サウンドチェックで演奏したテイクを差し替えたところがあります。
あとはまあ、ヴォーカルトラックですね。
いっちゃん最後にやった、代表曲の”Faith Rider”なんですが、その晩の最後に演奏した曲だし、サウンドチェックも含めて、何時間も演奏して歌った最後ということもあり、声がへろへろになっていて、まあ、歌い慣れた曲なんだけれど、ちょっとこの状態はいやだなと思い、この曲はヴォーカルを差し替えようと決めました。
けれども、実際差し替えようとしたら、
ドラムのオーバーヘッドとかにライヴで歌ったヴォーカルがかぶってるから、
差し替えても、元のテイクが残っちゃって、ダブルで歌ったみたいに重なっちゃって、とてもこれは差し替えとかできない、ということに気が付いた(笑)
でも、かといって、元のへろへろなテイクが残るよりは、
たとえダブルで重なって不自然でも、良いパフォーマンスが残る方が、ヴォーカリストとして嬉しい、と思ったので、
それでも差し替えて歌うことにした!(笑)
なので、近所のスタジオで、マイク握って、同じようにライヴで何回か歌って、そのうち、なるべく元のテイクと重なりが自然なやつを選びました。
たぶん、ていうか、おもいきり、これヴォーカル重なってる、差し替えてるな、って、わかると思うんだけれど、
今この時代に、ライヴ盤がライヴだって信じてる人、あまりいないと思うから、
かえってこれも、表現としてはありかな、というか、
ぶっちゃけ、気軽に発表する急遽なライヴレコーディング作品とはいえ、
代表曲であるFaith Riderを、へなへなな声で発表するよりは、
差し替えていることがわかっても、良いパフォーマンスの形を発表する方が良い、と判断したので、そうしたよ!
あとは、最後から2番目に演奏した、Born To Ride。これもハイトーンの曲だけれど、
これは実際、ヴォーカルテイクはそんなに悪くなかった。
なので、差し替えなくても良かったといえば良かったんだけれど、
そうはいっても、差し替えた方がパフォーマンスは上がるし、
Faith Riderを歌ったついでに、この曲も歌ってみたら、
差し替え前のテイクとヴォーカルがダブルになる効果が、なんだか気持ちよかったので、サビの部分だけ無理矢理かぶせることにしちゃった。
これも、賛否両論だろうけれど、オーディオ的に気持ちいい方を選んでしまった私の不徳の致すところです。
まあ、メンバーが誰かがコーラスでユニゾンで歌ってると思えば・・・。だめですかね。
でも、どちらにせよ、差し替え前のテイクもかぶって残ったのが聞こえるので、差し替え前のテイクも、そんなに悪い歌唱ではないことも、わかってもらえると思います。
でも、こうしてスタジオで、ハンドマイクで修正テイクを歌ってみると、
なんだ、いつも俺は、難しいギターを弾きながら、苦労して歌っているけれど、
ギター持たずに、ハンドマイクで歌に集中してみれば、もうちょっとましに歌えるじゃないか、と、ちょっと自信がついたよ!
そして、他のいくつかの曲で、ヴォーカルの声がひっくりかえっている箇所。
これは、その程度、気にしなくてもいいといえばいいんだけれど、
歌っている自分の美意識として、どうしても嫌だなというところに関して、無理矢理つぎはぎを当てました。
これも、あるいは、つぎはぎを当てた箇所が、結構わかってしまうかもしれないけれど、ぼーっと聴いていたらわからないかもしれない。
ヴォーカルトラックも、こういう手直しを想定して、
他のマイクにかぶらないように録っていたら、
もっときれいに手直しできたんだろうけれど、
そこは経験もないし、メジャーなバンドでもないので、仕方ない。
今、できることを、提示するまでです。
そんなこんなで、こんな、成り行きが生んだ、
急遽、突然、たいした準備もせずに作った、
ライヴレコーディング作品。
上記した手直しも含めて、非常に不完全です。
うちのバンドのダメな点も、ばっちり収録されてます。
リズム隊のダメさ加減、ドラマーの力量不足、
僕のシンガーとしての限界、
すべてそのまんま、記録されてしまっています。
録音という状況で観客が3、4人(アンジェロ入れて5人)しかいないのに、
がんばって頭振ってパフォーマンスしてリズムを崩しているジェイクの馬鹿正直具合、
新曲として導入した”Jesus Wind”収録曲の、まだ未完成具合、
そして、唯一長所であるところの僕のギタープレイにしても、
結構ギターソロも、うまく弾けてない箇所がいくつもあります。
でも、それらの欠点を越えて、
バンドとしてのメッセージ、熱さ、スケール感、
そしてバンドサウンドとギターサウンドの迫力が、
きっと伝わると信じています。
この最高のギターサウンドを受けてみろ。
収録曲はこんな感じ。
1. The Concept [from “Japan Metal Jesus”]
2. Testimony [from “Victory In Christ”]
3. Unlimit [from “Revive The World” (未発表)]
4. Victory [from “Revive The World” (未発表)]
5. Iron Hammer [from “Japanese Pop”]
6. Jee-You [from “Jesus Wind” (未発表)]
7. Dying Prophet [from “Jesus Wind” (未発表)]
8. Love Is To Do Something No One Dares To Do [from “Victory In Christ”]
9. Born To Ride [from “Revive The World” (未発表)]
10. Faith Rider [from “Victory In Christ”]
未発表曲多過ぎ。
タイトルは、今のところ、Atomic Live!としています。
ものすごく安直ですが・・・
複雑なタイトルにしても覚えてもらえないしね…..
これもバンドとして正式発表は来年になると思うんですが、
ちゃんとプレスリリースってわけじゃないけれど、準備してから発表したいとは思っているんですが、
でも、FBの個人アカウントを見てくれてる人とか、
あと、どうせたぶん最終的にお金とって発表しない可能性高いし、
ターゲット的にうちのバンドは周囲の皆さんや特に日本人の友人の皆さんは、お客さん的なターゲットよりは、この冒険を共有したい共犯関係の皆様であるので、
このポストでmp3のリンクひとまず付けちゃおうと思います。
しばらくしたらリンク消しちゃうと思いますが。
こちら
興味があれば試聴してみてください。
僕のHamer KorinaフライングVのサウンドが聴けますので。
ありがとうございます。
音の記録を残せたことに感謝。