あけましておめでとうございます2016(トゥーサウンザンシクスティィーン)!!
正月から、楽曲のミックス作業に明け暮れております。
まぁこんなもんかなとも思います、僕の生活。
本当は元旦から働く予定だったんですが、職場の都合でお仕事に入れず、けれどもこれも年末年始を使って制作作業を進めろ、という天の声かなと思い、そしてそのおかげで、20数曲にわたる今回の楽曲群の「ミックスがひととおり上がりました」。
これから、マスタリング的な作業をして、それが終われば、細かいダメ出しをしていって、じっくり「この作品は果たしてこれで完成なのか」を見極める段階に入ります。
でも最近は基本的にはマスタリング段階まで行っちゃえば、大きな修正は発生しないので、ほとんどは出来たも同然と言える感じです。
正月からあれですが、この機会にまたひとりごと的に、録音というトピックについて思考を落書きしておきたいと思います。
思えば、こうして10年も前に作った作品「異能レース」および「無責任なメシア」のリビルド(ReBuild)作業を、今このタイミングで行ったこと、それにもやはり意味がありました。
それは、録音ということについて、ちょっとだけでも、久しぶりに考え、取り組む機会になった、ということです。
そしてそれによって、次の重要な録音プロジェクト(“Jesus Wind”の録音、ならびに、その先にある”鍋島”の制作)への、準備が整ったと感じています。
それは、ここまで少しずつそろえてきたプラグインエフェクトもそうですが、リヴァーブ、そして真空管サチュレーターも解答が得られました。それは、きっと黒光りする幽玄なヘヴィメタルの美を醸し出すために必要であるということです。
現代に生きるインディー音楽家としては、いまどき、バンドの録音くらいは、自分でできなければいけません。
そのことがわかっていたので、20世紀の終わりの頃、ひとり音楽に向き合った僕は、本能的に録音ということに、自分なりに向き合いました。
そのことは、今でもこうして財産になっています。
(その成果がどんなものかは、バンドになる前のImari Tonesの”Kodomo Metal”という作品を聴いてみてください)
けれども、バンドが形になり、いろいろな活動をしていく中で、そしてまた、クリスチャンロック、なんていうことを言うようになってからは、僕は録音ということに関しては、次第に「なんか悟ったような」態度を取るようになりました。
つまりは、あまり考えず、シンプルに、かつ、良い意味で適当にやっていけばいい、と思うようになりました。
かつて持っていた、10万円以上したマイク、真空管の入ったマイクプリ、コンプレッサー、マイクプリも、最大で4つくらい持っていました。あとは、でっかいモニタースピーカーとか。
全部売ってしまいました。
そして、今の狭いアパートに引っ越して以来、
録音ということに関しては、本当に最小限の機材で、最小限の設備で、行うようにしていました。
新しい機材にも、興味とかなく。
新しいプラグインエフェクトとかも、ちっとも知らず。
シンプルなオーディオインターフェイスと、シンプルなノートパソコンのみでさくっと録音制作を行い。
しかし、けれども皮肉なことに、バンドとしての作品の仕上がりは、機材がシンプルになっていけばいくほど、思ったとおりの作品が出来るようになっていったのでした。
それは、録音というものに対する考え方や、向き合い方っていうことなんだと思います。
たとえば、雑誌でいえばサンレコとかも、もう10年以上、たぶん15年近く、きっとちゃんと読んでないし。
基本的にパソコンやデジタルやソフトウェア周辺の市場とかそういうものを信用していない僕は、古いシステムを、アップデートせずに使い続けるという習性があり。
そんな僕が、ずっと使っていた、なんとWindows2000が入ったノートパソコンで動かしていたシステムから(もちろん音楽制作専用。ネットに繋ぐことはできない。)、もうちょっとモダンに、MacBookに乗り換え、Mac環境に以降したのが、確か2011年暮れから、2012年初頭にかけてのこと。
その際に、古いCubaseから、その頃ちょうどAppStoreで安く手に入るようになっていたLogicProに乗り換えたわけです。
僕がかつて、Windows環境とCubaseを選んだのは、安かったから。
そして、Mac環境とLogicProに乗り換えたのも、安かったから。
うーん、やるせない現実ですね。
でも、そんな現実によって音楽を作ることが出来ているので、世の中の皆様には感謝しております。
そして、LogicProをいろいろいじってみて、僕としては、最小限のことが出来ればいいや、と思っていましたが、そのうち、いろいろと音をいじっていく上で、少しずつ、プラグインエフェクト、フリーのものや、有料のものも少しは買い足したり、していきました。
Logicの環境には、良いところもありますが、不満も同様にあり、昔のCubase環境の方が良かったなぁと思うこともあったのですが、そうして少しずつ使いこなし、そして、少しずつプラグインエフェクトの形で、機能を追加していったのです。
そして、今回、この2枚の過去作品の作り直し作業をしていく中で、僕はやっと、確信し、気付きました。
今、僕のこの、小さなノートパソコン、MacBookの中にある録音環境。
過去にずっと使っていたWindows/Cubase環境よりも、良くなっている。
つまり、中に入っているプラグインエフェクトの機能とパワー、それらが、昔の環境よりも、ついに良くなったことを、やっと確信できたのです。
きっかけは、リヴァーブについて考えたことでした。
そうですね、Mac環境に乗り換える前、かつて古いWindows上で動かしていたシステムの中でも、自分にとって必要だと思えるカテゴリのプラグインというか、機能を持ったエフェクトがありました。
録音というもの自体、それについて考えるとき、大事なのは自分のスタイルを知ることであり、どんな音が作りたいのか、どんな方向性の録音がしたいのか、どんな考え方で録音作業に取り組むのか。そういったことだと思いますが。
自分にとって必須と思えるのは、たとえばこれらの機能を持ったエフェクトたちです。
納得できるお気に入りのリヴァーブ、
真空管サチュレーター、
アナログテープシュミレーター、
ヘッドアンプ的なアナログサチュレーター、
異なるキャラクターを持った何種類かの良質なコンプレッサー、
アナログ的なニュアンスを持ったEQを何種類か、
あとは、もちろん、デジタル的な効きのいいEQとか、ビット変換の際の納得できるディザーとか、マスタリング的に使えるリミッターとか、マスタリング的に使えるコンプレッサーとか、アナログ的なテープエコー的なディレイとか、エキサイターとか、あとはノイズ除去的なものもたまに助かったりとか、あとはなんだかんだディエッサーも必要になったりするし。
まああとは2mixをマスタリング的にいじるときの波形編集のソフトだよね。
でも特に自分の音楽の方向性として特にこれが欲しい、よく使う、っていうのは上記にあげたものたちです。
まあ世間では定番だと思われるヴォーカルのピッチ修正のプラグインとかは僕のやっている音楽だと正直必要ないんですが。
そして今の時代では、ギターやベースのアンプのシュミレーターも、パソコンの中でかなり発達しているので、本当に助かります。(今回、ギターを一部楽曲で録りなおしたものについては、パソコンの中のアンプを使いました。)
そして、それはドラム音源についても言うことができます。(今回は結局、ドラム音源は使う必要がありませんでした。)
上記にあげた中でも、いつも書いているようにLogicPro(バージョン9ですが)に付属のコンプレッサーは、非常にクオリティが良いので、正直市販のものを買い足す必要性を感じないんですね。これはラッキーなことでした。
あとはエキサイターとかディエッサーが最初からついているのもありがたいことです。まあでもこういうのは今の時代は大抵のDAWには付いているのかな。
と、まあ、そんなエフェクト、プラグインエフェクトの中でも、僕がちょっと、フェチってほどでもないですが、いろんなエフェクトの中でも、特にちょっとこだわってしまう、なんだかちょっと好きなのが、このリヴァーブというものでして。
かといって、予算もないので、専門のエンジニアでもないので、有名どころも全然使ったことは無いんですが、
かつて、僕にはいくつかお気に入りのリヴァーブがありまして、
それは、WavesのTrueVerb、TCのリヴァーブ、そして当時のCubaseに付属していたReverb32っていうリヴァーブでした。
この3つのリヴァーブで、自分はたいていのことが出来ていたわけです。
Logic環境に乗り換えて、付属のリヴァーブが、決して悪いわけではないんですが、それ以来、かつてのお気に入りのリヴァーブが恋しく、リヴァーブについては満足のいかない中で、いろいろと制作しておりました。
Logicには、ちょっと歴史を思い出してみると、Apple社に買い取られる前、確かEmagic社というところが開発していた頃の名残りというかレガシーのエフェクトや機能があると思うんですが、それらのレガシーも結構貴重な気もするんですが、
リヴァーブについては、コンボリューションリヴァーブのSpace Designerっていうのが付いているんですが、これは、もちろんクオリティは素晴らしいんですが、
個人的には、僕はコンボリューションリヴァーブにはあまり萌えない、というか。
CPU負荷も重いから、いっぱい立ち上げる感じにはならないし。
あと、コンボリューションリヴァーブって、なんかちょっと「普段使い」って感じじゃないし。
リアルな空間とか特定の雰囲気を演出したいときには良いんだけれども。
うちのバンドImari Tonesの作品でいえば、”Heroes EP”からMacで制作を始めましたので、”Heroes EP”の制作で使っているのは、Logicの標準リヴァーブ。一部ではこのSpace Designerも使ったと思います。(有り体に言えば、”愛の色”のアコギのリヴァーブはこのSpace Designerですね。)
ただ、もうちょっとがんがん使える「レギュラーの」リヴァーブが欲しかったので、そのうちにバーゲンで手に入れたのが、IK MultimediaのClassic Reverbシリーズ。
これは、実際、かなり良くて、まぁ80年代風、みたいな雰囲気ですが、なじみがいいというのか、ミックスの中で使った際の結果は、かなり良いもので。で、Imari Tonesの作品で言えば”Revive The World”のメインで使ったリヴァーブはこのIKのやつなわけです。”Unknown Road”とかのギターがきれいに響いてるのを聴けばきっと納得だと思う。
ただね、このIKのリヴァーブも、あくまでクラシックな方向性ってことで、なんか、自分の”Reverb Hunger”を満たすには至らなくてね。
で、そしたら、これも既に一昨年のことなんだけれど、Eventideのリヴァーブが発売直後でバーゲンになってるのを発見しちゃったわけ。
Eventideなんて言ったら、LexiconやTCに負けないくらいの老舗というか定番じゃない。
だから飛びついちゃったんだよね。
あー、いつのまにかMac上のプラグインも増えてるなぁ、とか思いながら(笑)
で、このEventideのリヴァーブ、UltraReverbっていう製品名だと思うけれど、かなり良いわけね。
実際、良いのよ。
で、その後のいろいろな作品とか活動にこのEventideのリヴァーブ、使ってるんだけれど。
「これでいいのかな」って思いがあって。
それはね、Reverbフェチの自分としては、昔の経験で。
あのWaves TrueVerbのルーム感とか。
あとはTC Reverbのあの「北欧の朝もや」みたいな幻想的かつさわやかな美しい残響とか。
あれをまた体験したいな、って思いがあって。
TCについてはね、皮肉なことに、
ネットをさくっと見た感じでは、AU環境で使えるプラグインのリヴァーブ売ってないみたいに見えるんだよね。
なにが皮肉って、昔はTCのリヴァーブとかって高級機材でスタジオのラックとかに入ってたんだと思うけど、
時代が変わって今ではギター用のペダルで全然普通に売ってんじゃん(笑)
俺も一昨年、アコギ用に必要で買う羽目になったし。
だから、皮肉なことに、そのかつて高級だった美しいTCのリヴァーブ、ギター用のエフェクトペダルで足下にはあるんだけれど、肝心のミックス環境でパソコンの中には無いという。
そんな皮肉なTCリヴァーブは、手に入らない(みたい)なので、
で、WavesのTrueVerbはというと、
これは本当に大好きだったし、今も売ってるんだけれど、
俺、これはもう使うまいって決めたのね。
なぜって、このTrueVerbのルームシュミレートが、本当に好きだったので、
昔の作品で、使い過ぎちゃって。
かけなくてもいいところに、いっぱいかけてる。
まぁ、多少いっぱいかけすぎてもイケるくらいに、自然なルーム感のリヴァーブではあるんだけれど。
だから、その反省で、今はもう俺はTrueVerbは使うまい、って決めてるのね(笑)
ただ、この前、Wavesのいつものキャンペーンで、TrueVerbが無料になってて。
それで、さすがに、登録というかライセンスをゲットしちゃったんだけれど、
後述するんだけれど、アップデートしてない僕のMacには、既にインストール出来なくて(笑)
結局、やはりこれはTrueVerbは使うな、という神の意志かと(笑)
で、あれだ、
Eventideのリヴァーブを、とりあえず使ってたんだけれど、
これでいいのかなってずっと思ってて、
今回、この「異能レース」と「無責任なメシア」の再ミックスに取り掛かるにあたって、ちょっとネット上を眺めてみた。
何か、手頃で、良い、本命になりうるようなリヴァーブがないかと。
で、ここで、いろいろ前提があって。条件もあって。
それは、僕は決して、録音エンジニアでもないし、また最新の音が作りたいわけでもないので。
現代では定番の主流の流れであろう、上記、コンボリューションタイプのリヴァーブは、俺はナシってことで。
だって、俺が欲しいのは「昔聴いたTCみたいなきれいなリヴァーブ」なんだもん。
それは、やっぱりアルゴリズムリヴァーブだからね。
そして、もうひとつ、悲しい条件があって、
それは、自分は、デジタルとかパソコン周辺のアップデートという現象を、社会的に信じていない、ということがあって、このMacも、なるべくアップデートせずに使ってる。つまり、この環境のまま、10年使い続けよう、と。アップデートに振り回されるよりは、同じものを深く使いこなしていこうと。もちろんたくさん録音する人とか、プロの録音エンジニアとかは、そんなんじゃいけないけれど、僕の場合は、システムに触る時間も限られてるし、個人的かつ特殊な方向性だし、簡単にぱっとやれることの方が重要だから。
だから、既にちょっと古くなってるこのMacにインストールできるものでないといけない。そして、そろそろ、今、このMacにインストールできるアプリケーションとか、プラグイン、減ってきてる、なくなってきてるんだな。
これはもうひとつ意図というかメリットがあって、それは、こうしてそもそも新しい製品がインストールできない、使えない、という状態になれば、無闇に衝動買いをする危険から切り離される。これは、とても重要なことなんだよ(笑)
ただし、世の中から対応してるアプリケーションが消えてしまう前に、必要なものをそろえなければいけない、ということでもあるんだけれど。
たぶん間に合った(笑)
で、そういった条件に合わないものも多いんだけれど、なんとかまだ自分のOSに対応してる製品の中から、デモ版を使えるやつを、いくつか放り込んで試してみた。
そして、試してみた結果、手持ちのEventideが実はかなり良いってことが判明した。
いろいろな市販されてるリヴァーブのプラグイン、あるんだけれど、それらと比較して、EventideのUltraReverbって、かなり「堅い」。堅い、ってのは、リヴァーブのエンジンの本質の部分が、なんかしっかりしてる。
結構、まじめな音なんだよね。地味、っていうことも言えるんだけれど。このEventideのリヴァーブ。いかにも「業務用」って感じの。
地味で堅実なキャラクターながらも、ハーモナイザーなどのエフェクトで知られる派手な効果もある、という、なんともジキルとハイド的な感じだけれど。
だから、つまらんな、と思っていたんだけれど、
たとえば、試した他のリヴァーブ製品で、お、これは良い音だな、面白い効果だな、とか思っても、じゃあEventideのリヴァーブ立ち上げて、ちょっといじってたら、それと同じ音、作れちゃうんだよね。
あ、これって、こういうことだったのか、って、リヴァーブの仕組みとか操作について、やっとちょっとだけわかってきた。
いろいろ他のリヴァーブと比較したおかげで、逆に手持ちのEventideの使い方がわかってきたというか。
で、今回、眺めてみて、ようやく気付いたんだけれど、今って、Lexiconのリヴァーブのプラグイン、AUやVST対応のもあるばかりか、値段もすごく安くなってんのね。びっくりしちゃた。
で、これも俺のズボラというか、良く言えば美学というか、simplicityというか。
Lexiconのリヴァーブのプラグインが、一万円くらいで買えるという世の中の状況がありながらも。
USBキーのなんちゃらロックが必要だ、という、それが面倒くさい、というそれだけの理由で、Lexiconを除外してしまった。
だって、いろいろ持ち運んで使うノートパソコンの作業に、USBいちいちはめないといけないんだよ?
いや、デモ版が試せれば、せめてよかったんだけれど、デモ版を試すのにもそのUSBなんちゃらキーが必要だっていうから。
デモ版がせめて試すことができればね。あるいはLexiconの購入に踏み切っていたかもしれないけれど。
いくつか試した中で、世間つーのかネット上の人たちの評判が良かった某リヴァーブ、って、まあ2cなんちゃら、ってところのやつなんだけれど、どうしてもパソコンも旧式だし、いちばん軽くて簡単とされるBreezeってのを試してみたんだけれど。
これを使ってみて、俺は、ああ、と思って。
世間の人たちや、ミュージシャンや、エンジニアさんや、DTMやってる人たちの意見はどうかしらんけど、
俺は、この「今流行の」リヴァーブ、ダメだなと思ったのね。
それは、今っぽい、2010年代のキラキラした音とか、EDM(テクノって呼べばいい)とか、そういう音楽作るには良いんだろうけれども。
でも、果たしてリヴァーブの本質としてどうなのかと言えば、俺の耳は、うーん、どうかな、という感じだったね。
これは何を意味するかというと、つまり、バンドとか、エレクトリックギターと同じ現象だと思うのね。
つまり、その昔、録音なんてものにかかわる音響エンジニア、そんな人は、プロだけだった。大きなレコーディングスタジオで働く、職業エンジニアというのか、専門家の人たちだけだった。
けれども、今、音楽をめぐる状況はずいぶん変わり、パソコンだのDTMだのDAWだの、録音して音楽を作るなんていうことは、誰でもやってる。いろんな形で、たくさんの人がやってる。
その結果、こういう製品が人気になったりする。
これは、ロックであれ、バンドであれ、ギターであれ、同じことは起きていることなので、
録音という分野もそれが起きているのだなと、
言葉は辛辣だけれども、俺は「良くも悪くも」そう思った。
もちろん、悪いことばかりじゃないと思うけれども。
そういった新しい、キラキラな音が流行ることは、それはそれで録音の世界では進歩だし。
でも、今俺に必要なのはそれじゃない。
で、Lexiconという選択肢も放棄して、
じゃあ、つって拾っちゃったのが、これまたネット上で評判のいい、Valhalla。
名前からして、あれだけれども。
べたべたなジョークを早いもの勝ちでやっちまった感だけども。
Valhalla、これは、確かに良かった。
Roomってやつと、Vintageってのがあるけれども、俺がびびっときたのは、やっぱりVintageの方。
人に、何かひとつ、安いリヴァーブをすすめるんだったら、今だったらこれをきっと推薦すると思う。
リヴァーブのエンジンつーのか本質的にも良い音をしていると思う。
そしてたぶん、俺の記憶の中で美化されているTCのリヴァーブに負けないくらいきれいな音も聴くことが出来たと思う。
まあ、その音も、いろいろわかってきたら、Eventideでもそれっぽい音、作れたんだけれども(笑)
音もきれいだし、非常に使いやすい。なおかつ安い。
結局のところ、レトロでノスタルジックな表現を大切にした、そんなロックとか、ハードロックをやっている身としては。そして、80年代メタルなんていう表現を、やっぱりやっているので。このVintageVerbは、非常に使い勝手が良いと言わざるを得ない。
もちろん、Eventideでも同じ音が出せたりするんだけれども、VintageVerbだと、効率よくぱぱっとその音にたどり着けたりする。
ある意味、これは、今までに出会った中でもお気に入りのリヴァーブになるかもしれない。
リヴァーブの王様といえばLexiconだけれども、このValhallaは、安価ながらもLexiconに迫っている、と言われているようだしね。また、操作方法とか独特で、僕みたいな初心者にも使いやすい。
で、ここのところがんばってミックス作業に取り組んでいたわけですが。
一部で、Valhalla VintageVerbも活躍しておりますが、やはりかなりの部分で、Eventideのリヴァーブが圧勝。やはり、堅いのか、このEventideのリヴァーブ。これが地味な業務用ヴァーブの実力なのか。
なんかね、過去において、そういったTrueVerbとかTC Reverbの記憶があるわけなんだけれども、いろいろわかってくると、ああこれは、このEventide、これは僕にとっての運命のリヴァーブなのかもしれない、って、なんとなく納得してきた。
もうこれでいいや、俺、リヴァーブ、って。
もちろん、もっと良い製品は、世の中にはあるだろうけれども、
それよりも、使いこなすことの方が、きっと大事だからね。
基本性能はしっかりしてるのはわかったし。
真面目なリヴァーブのお話でした。
で、そう、Wavesね。
前にも書いたことがあると思うけれども。
僕はその20世紀の終わり頃に、WavesのNative Power Packを買ったわけよ。
で、ずっと使ってた。
TrueVerbも、Q10も、C1も、S1も。もちろんL1も。
みんな素晴らしいプラグインエフェクトだった。
で、録音に興味をなくして、年月がたち、今、
再度Wavesを見てみると、昔と違って、アナログ的なニュアンスを出すためのプラグインが、非常に増えてる。
ああ、そういうアナログな微妙で繊細なニュアンスを、作れるようになったのだなあ、と、時代の進歩を感じる。
で、Macに乗り換えて以来。
たびたび、このWavesの安売りバーゲンに引っかかってきたけれども。
先述のとおり、OSをアップデートしない主義なので、Wavesのインストーラー、ついに、自分のMacで最新版が動かなくなっちゃって。
もう衝動買いの危険とはさよならなんです(泣)
いや、バーゲンのサイト見てるとつらい。
ですよ。
Heliosのコンソールとか。
Pieコンプレッサーとか。
でも、もう必要なものはだいたい手に入れた。
何度か書きましたが、”Revive The World”のミックスの最終段階で、NLSを手に入れることが出来たのは本当に良かった。
僕にとっては、あれはGame Changerでした。
人生を変えた、と言ってもいいくらい(笑)
あとは、今回の10年前の作品の再ミックス作業にあたって、
当時たったマイク2本で録った、決して良いとは言えない状態のドラムトラックを、なんとか使えるものにするために、CLA Drumsのプラグインが本当に天の助けであったことは、書き添えておきたいと思います。
あとはね、もうひとつ種明かしすると、
テープ大好き人間なので、Windowsの時から最初からずっと。
そしてMacに乗り換えてからも、テープシュミレーターは欠かせない。
Macに乗り換えてからは、Nomad FactoryのMagnetic2を使ってるんだけれど、
あれ、いろんなテープデッキの種類が、左側にいっぱい並んでるんだけれど。
その中でも、今まで、特定のものでお気に入りのものはあったけれど。
今回作業してて、やっと気付いた。
これって、低域が強く出る順に並んでるだけじゃん。
低域、っていうか、フォーカスする音域がシフトしていく。
下に行けばいくほど、フォーカスする音域が下にずれていく。
こんなこと、ちょっと耳のいい人だったら、最初の5分で気付く。
今頃気付くなんて。
愕然としました。
モニター環境、ってことについても書こうと思ったけど、
時間ないし、疲れた。
でも書こう。
そう、昔はね、でっかいモニタースピーカー持ってたのよ。
もちろんパワードタイプだけど。
でもね、今居る、狭いアパートに引っ越してからは。
録音機材、全部売っちゃったし。
そんなちゃんとしたモニタースピーカーで聴ける環境じゃないわけ。
だからね、ここ数年はずっと、録音のモニターっていうか、音作りは、8割型ヘッドホンでやっちゃってるわけ。
(でも、”Japan Metal Jesus”にしろ、”Heroes EP”にしろ、”Revive The World”にしろ、良い作品になっているだろ?)
ヘッドホンはいろいろ悩むし、予算があればもっと試したいのあるけど、惰性でAKGの240なんたらを使い続けてる。
で、俺が思うに、ヘッドホンの環境、ヘッドホンの中で音を作ってるぶんには、それは形而上の世界っていうか、自分の内面の世界だと思うの。
だから、出来る範囲で、その自分の内面でなるべく音を作っちゃうわけ。
なぜなら、内面の世界であれば、創造の範疇では、限界なんてないからね。あるとすればそれは想像力の限界だけだから。
で、内面でやれるだけ突き詰めたら、スピーカーに出してみる。
スピーカーに出すと、それはもう、自分の内面ではなくて、現実世界なわけ。
現実に空気を揺らし、現実の空間の環境の影響を受ける。
現実世界の厳しい残酷な現実に直面するわけ(笑)
そこで初めて、わかること、初めてわかる残酷な現実がいろいろとあるので、
それは調整するわけよ。
あるいは妥協するか、納得するわけ(笑)
ヴォーカルの出てる具合とか、低音の出てる具合、これは、周知のとおり、ヘッドホンでは案外わからない。だから、そういうバランスは最終的にはスピーカーで取らなきゃいけない。
あとは、ヘッドホンの内面だと、なんか根本的に音作りを間違えていることもたまにある(笑)
狭い部屋だからね。
もう録音も「達観」してるから、
今、この狭い部屋のすみっこのテーブルに、無造作に置かれているのは、Fostexの0.3とかいう、ほんとにちっちゃなスピーカー。
ほんとにちっちゃいけれども、それは、昔でいえば、ラジカセで再生するような感覚。
ラジカセとか、あるいはミニコンポとか。
でも、それを、「世の中の現実」として、判断し、すり合わせてみるわけだ。
そういう無造作なスピーカー、無造作な環境で、ちゃんと鳴るんであれば、って。
あるいは、それこそその昔、世のエンジニアさんたちがヤマハのテンモニを使っていたのは、あるいはそれほど遠くない感覚かもしれない。テンモニ、低音出なかった、っていうからね。
ちっちゃなスピーカーだから、ぶっちゃけ、下の方は出ない。
それは、下の方がどうなってるか、わかんないってことだから、ちょっと怖いのは怖い。
でもね、言ってしまえば、そんな下の方が出る大きなスピーカーで音楽聴いてる人が、今、世の中にどれくらいいるかな、ってふうにも思う。
そんな贅沢、してみたい。
iPhoneに放り込んで、小さなヘッドホンで聴いて、良ければ、それでいいかな、みたいな割り切り。
とりあえず、怖いから最低限のローカットは入れておきたくなる。
本当はね、ちゃんとしたモニタースピーカーを、ちゃんとした環境に置いて、音作りするのがいいと思う。
でも案外と、ちゃんと聴ける環境を整えるのは、難しい。
今の僕の居る狭い部屋なんかは特に、
そんなちゃんとした環境は、整えられない。
だからこそ、この、「ありあわせでなんとか」って方法でやっております。
もちろんすべて、それこそが、
「家内制手工業」であります。