自分はまだ理想のジャパメタ用ギターに出会っていないような気がするんだよね。
というテーマで考察しようかと思っていた。
ジャパメタ用ギターってなんやねん、ということである。
ジャパメタ用ギターってことでいえば、確かに昨日ちょっと出会ったレスポールカスタムの音にも多少近い。それは、往年のジャパメタのバンドの人たちの中に、レスポールカスタムを使っていた人や、レスポールカスタム系の音を出してた人は結構いたからだ。
昨日、某所で弾いたところの「中国製バッカス、Universe Series」のレスポールカスタムは衝撃だった。(正確なところはわからないが、たぶん中国製っぽい。)
いくらBacchusさんとはいえ、廉価な中国製のユニバースシリーズで、しかも技術も手間も必要なセットネックのモデルで、これほどのクオリティのものが存在するとは思わなかったのである。
個人的な意見および体験であることをあらためて断った上で、
あらためて書くと、セットネックのギター、いわゆるレスポール、については、よほど精度の高いものを作るのが難しいと見えて、いろいろ試してみても、いろいろ使ってみても、たとえ値段のかなり高いものでも、そして値段のすごく高いものでも、「良いもの」に出会うことは、本当に少ないのである。
そして、昨日某所で弾いた「たぶん中国製のバッカス」のレスポールカスタムは、「ちょっといい」とか「わりといい」とかじゃなくて、「すごくいい」「相当良い」という感じだったのだ。
技術指導の日本の職人さんがお手本で作ったんじゃないか、とか疑いたくなるくらい。
僕はここ数年、Bacchus/Deviser/Headwayさんの大ファンだけれども、実は今まで、日本製のやつとか、フィリピン製のGlobal Seriesはいろいろ試してきたけど、安価な中国製のUniverse Seriesは試してなかったんだよね。
だから、バッカスさんは、中国製であっても、馬鹿にできないということだと思う。手を抜いていない、というか。恐るべきことだ。
もっとも、過去のカタログを見る限り、中国製でレスポールとかセットネックを作っていたのは数年前までであって、今はもう作っていないようだし、昨日試してみたやつも、黄ばみ、日焼けの具合から、結構年数がたっているだろう、と店員さんは言っておった。だから、作られた時期にもよるのかもしれないが。そしてもちろん、きっと個体差もあるだろう。
どっちにせよ、中国製のレスポールでここまでやれる、という意味で、あらためて価値観をひっくりかえされたような衝撃だった。
なんというか、すごいな、というか。
自分はやっぱり何も知らないな、という感慨。
昨日はもうひとつ、ちょっと衝撃を受けた出来事があって、それは家にいるときに、うちの嫁さんが、パソコンでイヤホンで音楽ききながら、なんか歌っていたのである。知っている人は知っているかもしれないが、うちの嫁さんは音痴である。しかもかなり見事な音痴である。なぜ一応音楽家のはしくれである私が、音痴な嫁さんと結婚したかというと、それは長い話になるが、僕は音楽の才能のある人とは絶対に結婚しない、と、幼少の折に堅く心に誓ったのであった。
そして、そんな嫁さんがイヤホンで音楽を聴きながら、歌っていたのだが、素敵なくらいの音痴にて。
後で、いったい何を歌っていたの、と聞いてみたら、なんと、うちのバンドの曲(Repent)のビデオを見ながら一緒に歌っていた、というではないか。なんと自分の曲だったのである。なんと、ちっともわからなかった。まったくちっとも1ミリたりとも気が付かなかった。本当に衝撃的であった。
うちの嫁さんの天然伝説は、これまでにも長年にわたって、ものすごいエピソードがいっぱいあるのだが、ここに新たな1ページが書き加えられたことは間違いない。
まったく話がそれたが、ジャパメタ用ギターというものについて書いて考察してみたい。
つまり、僕はまだ、理想のジャパメタ用ギターに出会っていないのではないか、とずっと思っていたのである。
ここでまず問題があり、いったい「ジャパメタ」とは何なのか、ということである。
そして、ジャパメタのギターの音、とはどういうことなのか。
言ってしまえば、そして言うまでもなく、メタル、とか、ヘヴィメタル、とか、そういう概念も、そもそも曖昧である。一般的な定義はあるかもしれないが、正確なことは誰にも言えない。
ブルーズ、とか、ジャズ、とかだったら、もうちょっとしっかり定義もできるだろうけれど、たとえブルーズとかジャズであっても、やっぱりそれでも曖昧だ。
つまり、ブルージーなロックとか、ジャズっぽいポップとか。
だから、言ってしまえば、ヘヴィメタル、なんてものも幻想である。
パンクっていうものもおんなじくらいに幻想だ。
だからこそ、そのあいまいな幻想を形にして表現するため、提示するため、に、ミュージシャンたちは、そしてオーディエンス、リスナーたちは、「ファッション」に「見た目」に、こだわってきたのである。つまり、服装で表現すれば、それは目に見えるわかりやすい形になるから。
けれども、それでもやっぱり曖昧で、つまりわかりやすい例で言えば、メタル系のファッションと、パンク系のファッションには、かぶる部分があるように。そしてヴィジュアル系のファッションともやっぱりある程度かぶる部分があるように。
ファッションにしたって、やっぱり定義は曖昧なのである。
ただ、そのように、サウンドや、ヴィジュアルの定義が必ずしも絶対的ではなく、曖昧であったとしても、一流のミュージシャンはきっと、その彼らの鳴らす「ヘヴィメタル」とか「ロックンロール」とか、そういうものに対して、確固たる定義や、イメージを、きっと持っているはずだ。(希望)
だから、「ジャパメタ」なんてものの定義も、やっぱり曖昧なのである。
いや、もちろん、日本のヘヴィメタルバンド、という定義は、あるけれども。
ジャパメタのサウンド、なんていって、ひとくくりに定義することなんか、もちろんできないのだ。
日本人が鳴らそうと、どこの国の人が鳴らそうと、ギターはギターであって、メタルはメタルなわけだから、別に違いはない。
だから、ジャパメタのギターサウンド、なんて言ったところで、やっぱりそれも「幻想」に過ぎない。イメージというか。
で、その「幻想」に過ぎないことを、わかった上で、それでも自分の中のイメージを説明すれば。
僕の思うところのジャパメタとは何か、ということであるが。
ヘヴィメタルの起源がどこなのか、イギリスとかバーミンガムとかなのか、あるいはブルースの誰かとか、いろいろあると思うけれども、とにかく、世界中にヘヴィメタルというものが広まって。
そして、もちろん日本にもヘヴィメタルというものが鳴らされた時。
日本のヘヴィメタルには、やっぱり地域性とか特徴みたいなものがあったと思う。
いろいろ特徴があると思うが、僕が着目するところのものは、やっぱり、コンクリートジャングル。
つまり、都会のコンクリートジャングルにあって。
また、管理された勤勉な社会の中にあって。
抑圧的なプレッシャーの強い性質の社会にあって。
日本のヘヴィメタルには、よりハードで、よりレジスタンスな。
つまり、より反骨精神を強調した、そんなサウンドと精神性が求められたと思う。
そんでもって、日本の社会の文脈で言うところの、不良とか、硬派とか、そういう感じのやつ。
だから、日本のヘヴィメタルは(往年のやつだけど)、他の国のものにくらべて、よりハードで、より反抗的で、より密度が高いサウンドを持っていたと思う。なにしろコンクリートジャングルの大都会のメタルだから。サイバーシティトーキョーだから。
そんなジャパメタの、サウンドを受け継ぐには、どうしたらいいか。
とか言ってみるんだけど、俺は別に、ジャパメタのサウンドを受け継ごう、とか、ぜんぜんこれっぽっちも思ってなかったのね。
ただ、もう活動停止しちゃったけど、サイドプロジェクトで数年間「熱きリョウとジーザスモード」をやっていて、あれでストレートで古くさいジャパメタ、っていうテーマで俺は取り組んでいたから、そのジーザスモードやってる中で、ちょっとそういうのもいいな、って思い始めて。
今後、またその「ジャパメタ」のサウンドに、取り組んでみたいな、っていう思いが生まれたんだよね。
まあ、それに取り組む機会にめぐまれるかどうか、わからないし、そんなことやってる暇があるかどうかは、わからんけど。
で、これまで、自分の手持ちとして使ってきた中で、良い感じに「ジャパメタ」だったギターは、どれだったかというと。
既に手放してしまったけれど、手持ちの中だと、古い日本製のシャーベルのDinkyだったと思う。
あとは、これも最近手放してしまった、日本製のMusicman Axisの”EXS”っていうアルダーボディのやつも、ライヴでの使い勝手はちょっと違ったけど、録音では理想に近かった。
Jacksonで言えばランディVももちろん良かったけれど、あれはスルーネックだし「ジャパメタ」っていう感じじゃなかった、僕の中では。
で、これも後述するんだけれど、僕の中で「これぞジャパメタ」っていうギターの音は、やっぱりAnthemの福田ヒロヤ氏なんだよね。
ヒロヤ氏もそうだし、ジャパメタの人たちにはESP使ってた人は多いと思うんだけれど、知ってのとおり僕はESPはわりと避けて通ってきた人なので、残念ながら除外。
で、日本製のCharvelがわりとイメージに近いな、って。昔のやつ。
まあ、当時の日本製のJackson/Charvelは好きだし。
で、ここで条件をいくつかリストアップしてしまうと。
形というかボディタイプは、ディンキーがいいんだよね。
それは、ディンキーというのがすごく80年代的であるし、また、音のキレが良いし、そんでもって、僕は小柄な方だから、ボディが小さめのディンキーがしっくり来るんだよね、演奏の面でも、見た目でも。
そんでもって、ディンキーってことからも当然、ボルトオンでいいと思う。やっぱ当時のメタルには、ボルトオンのキレのある音が良いと思うんだよね。
で、これわりと重要な注文なんだけれど、22フレットのモデルがいいわけさ。なぜって、俺の美意識では、24フレットは、なんか違うように思うの。で、俺の場合、演奏の面でも、22フレットの方がしっくりくるんだよね。
で、フロイドローズ、なのかなあ、やっぱり。ブリッジというかトレモロを、フロイドローズにするのか、あるいは一般的なシンクロタイプなのか、これは自分でもわからず、迷うところでもある。80年代メタルにはやっぱりフロイドローズ、って気もするけれど、ギターらしい鳴りという意味では、そうじゃない方がいいのかもしれないし。僕は、そこまでアーミングする方じゃないから、いまどきのギターはナットとかペグとかしっかりしてるから、フロイドローズじゃなくても、アーミング結構やれるんじゃないか、とも思うし。
あとは、「セクシーで太い音」が出てくれれば。
そんで、ジャパメタ、というテーマからも、やっぱり日本製のギターであってほしい。
この22フレット、という点が、案外と盲点で。
つまり、いまどきのマーケットの状況だと、フロイドローズがついていて、ヘヴィメタルっぽいギターっていうと、だいたい24フレットなんだよね。
僕の大好きなBacchus/Deviserさんとこは、ご存知のとおり、あんまりメタルな感じのギターは必ずしもいっぱい作ってくれないんだけれど、たまにフロイドローズ付きのギターがあると、ほとんど大抵、それは24フレット。そうなると、僕の基準からは外れてしまう。まあ、文句言わずに24フレットで弾けばいいじゃん、って言われるかもしれないけれど。しっくりこないんだよねー。
近年のバッカスさんから出ていたギターで、僕の「ジャパメタ」の理想に近かったのは、桜を使った、桜トップ、アッシュバック、の、G-Studioっていうのかな、SSHのタイプのやつ。あれが、「理想のジャパメタ」に近かった。イメージ的には。試してはいないから音は知らない。でも、ブリッジはウィルキンソンだったと思うけれど、もしそれでフロイドローズだったら、どうだったかな。
あとは実のところ、今、僕の手元にある、普段弾き用の安価なフィリピン製のバッカスである、「白猫ギター」(Windy PLD)があるんだけれど、実は音だけで言えば、それは案外と僕の考える理想のジャパメタに近い。
ただ、いかんせんオフセットタイプというのかジャズマスターもどきだから、メタルっぽいかっちりした音にならずに、音がオルタナ的に暴れてしまう傾向はある。
あとは、しょせんジャズマスターもどきだから、見た目がまったくメタルではない。
でも、2ハムでレスポール寄りだし、鳴り方は、実は理想に近かったりする。
昨年末に手放したAxis-EXSに関しては、まあただのMusicman Axisなんだけれど、日本製で、かつアルダーボディだったところが、ジャパメタ指数が高いポイントだった。
きちんとギターらしい良い鳴り方をするギターだったんだけれど、結論としてはアルダーボディというのは、少なくともスーパーストラトタイプのメタルギターとして考えた時には、自分には合わない、いまいち鳴りきらない、という結論に達してしまった。ちょっと優等生すぎるというのか。
古いCharvel Dinkyに関しては、良かったんだけれど、やはりしょせんは「当時の量産品」であることは否めないので、楽しく弾いていたけれども、これから理想に向かって未来の音を出すギターでは、残念ながらなかった。ノスタルジーとしては良かったけれど。でも、イメージ的にはばっちりだった。
だから、そのCharvel Dinkyみたいなのを、Bacchus/Deviserさんとこのクオリティで、なおかつ美意識込みで作ってくれたら、ほぼ理想、っていうことかな。
まあ例の「桜トップのG-Studio」でぜんぜんオッケーなのかもしれないけれど。
桜トップ、フロイドローズ、2ハム、だったら、たぶん完璧。
でも、きっとオーダーメイドしないと、そんなのは作ってくれないだろう。
もちろん、世の中に、22フレット、2ハム、フロイドローズ、の仕様で、クオリティの高いギターが無いわけじゃない。それはわかってる。
だから、それらをチェックして、理想のジャパメタギターを探す旅をすればいいのかもしれないし。
でも、テーマが「ジャパメタ」だから、日本製がいいんだよね。
あとは、やっぱり、見た目とか、美意識が。
もういっぺん言うけれど、僕にとってのジャパメタのサウンドは、やっぱりAnthemのヒロヤさんなんだよね。
あの人のギターの音は、なんか、良い具合に、当時の不良っぽいというのか、そういうセクシーさがあって。
やっぱりギタリストがセクシーであるためには、真人間ではいけないというか、やはり多少なりともダメ人間的な要素がないと、セクシーな音が出せないんだと、思う。
ヒロヤ氏のサウンドにもそういう要素を、やっぱり感じる。
サウンドって美意識だから。
でもどっちにしろ、僕はSTR Sierra “Rabid Cat”を手に入れた際に、「地球上の木材の割当を消費し尽くしたからこれがきっと最後のギター」って言っていたし、この「理想のジャパメタ」というテーマにしても、もし何年も先の未来に、そういう機会が与えられたのであれば、という感じであって、まったく急いではいない。結局、それは幻想かもしれないし。
なんだよ、ジャパメタ、って、みたいな。
もうとっくにそんなもの、存在してないのに、っていう。
つって、そのSTR Sierra Seriesの”Rabid Cat”(赤猫)をプラグインしてAnthemの曲を弾いてみたら、なんかぜんぜん、ばっちりだった。
なんだ、これは、俺にとって「これまででいちばんEddie Van Halenになれるギター」だと思っていたけれど、こうしてみると「いちばん福田洋也になれるギター」でもあったんじゃん。
理想のVan Halenギターは、実は理想のジャパメタギターでもあったのだろうか。大は小を兼ねる的なやつなのか。
そんでもって、自分が「いちばんEVHになれる」「いちばんヒロヤになれる」と思っているギターというのは、他人の目からすれば「いちばん自分らしい」ギターなのかもしれない。
ここ、たぶん重要。
ちなみに、STR “Rabid Cat”のアタックの音の問題は、使うピックをちょっと硬いものに変えたら、どうやらばっちりになったみたいだよ。
ここ数年ピックは、「0.8前後のトーテックス」で固定だったけれど、「赤猫」および「白猫」に関しては「1.0前後のナイロン」で行くことになりそうだ。
あとは0.96のデルリンも意外とぴったりきた。
いろいろ試してみよう。
昔はもっと薄い、やわらかいピックがずっと好きだったんだけど、
なんか歳をとるにつれて硬くなってきたなー。何故かな。
そんでもって、早起きしてイースター投稿した後に、「切り売りプロジェクト」の歌詞、6曲ぶん、全部書いちゃったです。
クリエイティヴィティの面では相変わらず絶好調と言えるかもしれない。
わざとらしい歌詞で、すごい笑えるタイトルになりました。