セッションのついでに時間があったので、楽器屋さんに寄り、オーバードライヴのペダルをちょっと試していた。
これから生涯最大の制作と思われる「鍋島」に立ち向かうにあたり、「アンプ」「オーバードライブ」「マイクプリ」の3箇所はディグる必要があると思われるからだ。
とはいえ、オーバードライブに関しては、この2年間使ってきた”Shoals”で大丈夫、ということも言えるのだが、Shoalsはあれはあれでやっぱり結構特殊なペダルだ。多くの状況に対応できる道具だが、あれで今一歩足りない時の「一点突破クラシック」が必要なのではないかという予感がしているのだ。そのための「定番」みたいなものを追求しておく必要を感じている。
で、一昨年くらいにも結構試したことがあったが、あらためて、楽器屋さんの店員さんが優しかったので(汗)、5つくらい試させてもらっちゃった。
で、例のケンタウルスだかセンターもどきとか、某有名ブティックブランドのやつとか、あとはブースターで有名なブランドの見た目がかっちょいいやつとか、試したんだけれど、
それらのどれも、とても良かったんだけれど、弾いてるうちに勝手に手が答えを出しちゃて、
それはつまり、弾いてれば考えなくても勝手に手の方で答えを出してくれるということでもあるんだけれど、
それらのペダルはどれもみんな素晴らしく良いキャラクターを持っていたんだけれど、
試した中で、一番地味で、最初は、「印象に残らないなー」と思っていたやつが、弾いてるうちに、「あ、なんだ、これが一番正直じゃん」ってなって、さらに弾いてるうちに「あ、これが正しい音だ」となってしまった。
それは、改造チューブスクリーマーだった。いわゆるMODというのか、MODもののTSだった。(どのMODかは秘密)
なんだ、やっぱTSでいいんじゃん、っていう。前にも似たような回答にたどりついたことがあったような。
ただ、やっぱり、そのまんまのTube Screamerだと、ちょっと色々と、ぴんと来ないので、より現代的に改造されたやつとかが、いちばんちょうどいい、っていう。
うーん、これはなんか、自分としては衝撃的だった。
ケンタ系のいわゆる英語で言うところの”Klone”ってやつも、某有名ブティックビルダーも、モダンで音抜けの良い高性能ペダルも、
どれも、すごく音が派手なんだけど、いちばん正直でまっすぐだったのは、TSだったという。
これは、僕は、オーバードライブを、単体で使うのではなく、アンプをプッシュするブースター的な使い方をするから、そういった理由がある。
しかも、自分の場合は、ブルーズとかじゃなくて「幅の広い表現をするためのハードロック」。
このブースター用途の使い方だと、やっぱりTube Screamerの回路がなんだか知らないが、絶対的に正解のものらしい。
決して派手な音では無いんだけれど、しばらく弾いてると、これが正解の音だ、これが正しい音だ、ということが、わかってしまう。いちばん正直な、まっとうなギターの音だ、ということが。
なんなんだ、これ。
ちなみに過去にも何度か試したことがあるけれど、やっぱケンタだかセンタだかKloneだか、そっち系は、確かにローエンドも上手い具合に削れるし、かといってハイのいっちゃん上のトップも上手い具合に無くなって、ミッドの迫力のあるところだけがどごーんと抜けてくるが、やっぱちょっと、生々し過ぎる気がする。ちょっと痛いというか。わからんけどね、アンサンブルで鳴らしてみないことには。
だけども、自分の用途、自分の感覚だと、やっぱ違うな、という感じに、今回もなった。
このような、「正解のTS」でもって、古いタイプの素直なマーシャル、などに突っ込むと、果たして僕の求める理想の音になるのだろうか。そんなに上手くいくものだろうか。
なんか某有名ブティックブランドの今日試したやつは、レンジが広くて、ローもほどよく残る、あたたかみのある太い音だったけれども、僕の感覚ではローが残り過ぎていた。悪くはなかったが。
そして、ブースターで有名なブランドの派手なやつは、すごい抜けのよい高性能で好みな音だったが、派手過ぎて、ちょっとキャラクターもわざとらしかった。そういうわざとらしいペダルは、世の中には多いと思う。
店員さんに言わせれば、どれも似たような方向性のペダルだから、違いを見つけるのは難しいのではないか、というようなことも言われたが、いやはや、難しい、わからん。つまり、ゴルフで言うところの最後のパットみたいな。3センチずれても、カップインはしない。カップインしなければ、試合は終わらない。
自分のスタイルに依って、微妙な差異を追求してしまうのがギタリストという生き物なのか。
これは、ちょっとひとつの啓示みたいなものだった。
勉強になった。
というわけで、手持ちの”Shoals”。
つまり、Heavy Lid Effects Shoals Overdrive。
かなり珍しい珍品。
なんだかんだ、”Jesus Wind”、そして”Overture”の制作に使い、そしてちゃんと結果が出て、この2年間のライヴでもいつも使ってきたやつ。
あるいはこれも自分にとってはひとつの究極である「Albit/Cranetortoiseの真空管ブースター」(とっくに生産完了品)、これをメインの座から追い落としてしまったShoalsである。(また、次には返り咲くかもしれないけど)
自分の感覚では、Shoalsはなんか特殊なペダルだ。
一応、オリジナル回路と謳っているが、本当のところは知らないが、
基本的にTS系と思う、しかし、それだけでなく、BOSSのOD系みたいな味も持っているように思う。
パソコンに突っ込んでパソコンの中のプラグインと比べる限りでは、Clay Jonesのモデリングと言われるものに一番近い。
だが、Shoalsの方がもうちょっと低音が出るし、音の幅はShaolsの方が全然多い。
だが、そのプラグインのClay Jonesは素直な音だが、Shoalsは決して素直な音というわけではない。味付けはわりと濃い。だが、なぜだか嘘にならない。
そして、なんでこのペダルが僕にとって「非常にヴァーサタイル」なのか、その理由がわからん。
4つのつまみの端から端まで、全部使えて、音楽性を全部カバーしてくれて、しかもそれらがすべて自分の好みなのか。
そして、なんでGainのつまみはこんな微妙な効き方をするのか、Driveつまみひとつでなんでこんなにキャラクターが根本から変わってしまうのか。
その理由がわからん。壊れてんのか。
(スケーターの習性で、シューグーでアースを固定してしまったのは、以前インスタにも投稿してしまった通りです。)
確かに基本ゲインは高めで、ノイズも多い。
しかし、なんかしらんが僕にとっては必要な音が出る。
僕の考えるところのヘヴィメタルも、僕の考えるところのレトロも、モダンも、全部これで出てしまう。
だが、それで本当にいいのか。
そして、本当にこんなことが許されていいのか。
その「なんかしらんが」の部分の謎を解くためにも、
この改造チューブスクリーマー、某MOD TSを、Shoalsと隣り合わせに試してみて、
その上で、自分のギタリスト人生のオーヴァードライヴの究極回答を見出したいものだ。
セッションでドラムも叩いてきたが、大して叩けなかったが、オープンハンドということを思った。
僕はドラマーではないので、
いやドラマーではないからこそ。
正直に修行なんてしている暇はない。
その必要もない。
つまり、僕は高校の頃、学校の音楽部(いわゆる軽音楽部)の部室にあるドラムキットの前に座ったとき、何も考えず左手でハイハットを叩き、いわゆるオープンハンドで演奏していた。
何の疑問もなく、そういうものだと思っていたからだ。
そして、その後、大人になってからは、ドラムを叩く機会があれば、きちんと手をクロスして叩いていた。
だが、今、こうしてあらためて考えてみると、特定のプレイ、特定のビートを叩く時に、オープンハンドの方が圧倒的に自分の持ち味が生きる場面がある。
もちろん、基本はハットは右手だ。
だが曲によっては、オープンハンドの方が叩き易いものがある、という感じか。
まるで、周囲の大人たちに無理矢理、右利きに矯正された子供が、後に成長して、「そうか、自分は左利きだったのか」と思い出すようなものだ。
(あれだ、「軍鶏」のナルシマリョウのやつだ。)
その「解き放たれた」オープンハンドの特性を、最大限に生かしていきたい。
オープンハンド解禁。
曲によって使い分けるです。
ただの日記でした。