新生活の記録

 

Hassy&Jakeと一緒に活動していた時期を通じて何年もの間住んでいたアパートから、もうちょっと制作環境の良い場所に引っ越してから、一ヶ月が経過した。

先日のことだったか、嫁さんが「このキッチンで初めて料理を作った」という趣旨の発言をした(麺をゆでるとか、レトルトをあたためるとかそういう作業は除く)。そうだったかと驚いたが、つまりこの一ヶ月間、料理を作っていたのは僕だったことになる。生活の様子が窺い知れるかと思うが、とはいえ元々、うちでは昔から料理を担当するのは基本的に僕の方が多い。

 

料理の話をすれば、前の部屋に引越しをする際に、それはもう10年近く過去の話になってしまったが、そこが小さなアパートで、電気コンロ(repladed with an IH heater later)しかないということで、長年使っていた愛用の中華鍋を手放したことがあった。

で、今回の引越しに伴いガスコンロに戻ったので、また鉄製の中華鍋やフライパンを手に入れることが出来たが、やはり火と道具が違うと、全然結果が違ってくる。特にシンプルな料理、チャーハンとかペペロンチーノとかオムレツのような、いちばん飾り気のないやつほど、結果が違う。肉を焼くのも同様だ。

 

食べるという行為はとても難しいなといつも感じているが、僕は法律家になりたいという夢が叶わなかったのと同様、料理を作る人になりたいという夢も、世界や社会に対する幻滅が先に立ち、追いかけることが出来なかった。が、最低限、自分と愛する人のために料理を作ることが出来て良かったと思っている。

で、音楽というものは、世界に対して幻滅しきっていても、それでも捨てることの出来なかったものだということだ。

(これは信仰についても同じことであって、何も信じられなかった中で、キリストの十字架だけが信じることが出来たということだった。だから僕は、キラキラしたクリスチャンではないし、キラキラしたクリスチャンは苦手である)

 

日々、自己嫌悪であるとか、自己卑下であるとか、そういう意識は慢性的にあっていつも苛まれてはいるのだが、一ヶ月でそれなりのことはやったように思う。

ファーストアルバムの作り直しという作業も基本的に完了した。桜が咲く前には完成させるという目標はきっちりと果たしたことになる。経過報告もしていないし、これまた発表はもう少し先のことになると思うけれども。
ファーストに関しては、向き合ってみるとやはり色々と発見があり、これはまた別の機会に書くことになるだろう。

 

ドラムの練習は出来る範囲で進めている。だが、良い感じに手応えを得ている。たとえば、Hassy&Jakeとやってきた中でもリズムパターンの難しい曲、たとえば”Truth”、”Dying Prophet”、”Discarded World”など、だいたい叩ける見込みが付いてきた。

これはざっくりと主なリズムパターンをさらってみた程度で、きっちりやったわけではないが、これらの曲は本来、ツーバスでなくて片足でおしゃれにこなしてほしかった曲であるが、ジェイクは(ぶっちゃけ技術がないので)両足で踏んでいた。だが、今自分で叩いてみて、とりあえずイメージした通りに片足で軽くこなせる感じにはなってきた。一ヶ月でここまで来れたのであれば、良い手応えと言えると思う。

(Discarded Worldのビデオ気に入ってるんだが、完全に無視されてるな、苦笑)

 

ともあれ技術というのは財産だ。ドラム演奏に関しても、ここで一度技術を身に付けてしまえば、この先の大きな力になる。何度も言うようであるが、今後の制作の量、質、内容、性格、現在のバンドの状況、それらの要素を考えて、これからはライヴバンドと録音制作は分けて考えようかと思っている。それ故のドラム練習である。

ドラムについても書いていけばいくらでも長くなるし、それだけでそういったテーマのブログがひとつ開設できてしまうくらいだが、残念ながら僕の目標はドラマー向けのブログを書くことではない。そのような時間はない。ただ、ヴォーカルについては本当に「そのためのブログ」を開設したいと思っているのだが。果たしてそのための時間が取れるだろうか。

スケートボードは情けないほどに上達していないが、こうして必要な音楽制作に必要なスキルについては、なんとかなっているのは幸いなことだ。もっともそのための「生贄」としてスケートボードに取り組んでいるのかもしれない。スケートボードについても書くと本当に長くなる。この年齢にして、新たに音楽演奏のスキルを身に付けていけるのも、スケートボードという「難しいもの」に取り組み脳や肉体が刺激された結果かもしれないのだから。

 

また引越しをきっかけとして、これからついに作らなくてはいけない”Nabeshima”のための必要な機材などをいくつか調達した。これはもちろん、昨年から継続して考え続けていることである。
その予算や出費に心が痛くはなるものの、その中にやはり学びはたくさんある。
今は、値段が安くても良い機材はたくさんあるけれども、世間というかインターネット上で人気のあるもの、バズっているものからはやはり距離を置くようには心がけている。

人気のある商品には、もちろんそれだけの理由がある。けれども、昨今では、どのような製品であっても、ネット上でバズることを狙って設計されたものが増えてきた。それは音楽制作の機材の話ではなく、どのようなジャンルの製品でもそうだ。たとえば僕の好きな日本酒の世界であっても、そういった商品設計が増えているように思う。(一概に悪いこととは言わないが)

そしてバズるというのは、その製品の性能の問題というよりは、心理の問題であるからだ。その心理をすくいとるのがマーケティングということは基本中の基本であると思う。だが僕自身、そういったマーケティングとは程遠い場所で音楽を作ってきたのだから。

 

いずれにしても、一般多数に受け入れられているものは、どちらかと言えば自分には合わないことの方が多い。
だからそういったbuzzに流されるよりは、何が自分にとって必要なのかを見極めたいとは思っている。もちろん、限界も多々あるとは思うが。

そういった次第で、どのような商品ジャンルであっても、僕が好きなもの、気に入ったもの、良いと思ったものは、「すぐになくなってしまう」ことが多い。そういう世の中だし、それが現実であると思う。

 

ネガティヴな書き出しであるが、悪いことばかりではない。
前にも書いたが、昨今、日本のビールは本当に美味しくなった。クラフトビール、地ビールみたいな概念も定着し、世界のどこのビールと比べても見劣りしないだろう。
そして日本もかなり国際化してきた。
まだまだかもしれないし、問題はこれから山積みだろうけれども、良い方向への変化もたくさんあるように思う。

もちろんいつだって僕たちは戦わなくてはいけないし、それが民主主義ってものだが。

 

日本国内において、様々な理由で、「ちゃんと支持を得られていない」僕たちであるが、日本が国際化し、変わっていく中で、海外と同じように、支持とか、反応とか、得られるようになるといいなと願っている。

そのために、「きちんとしたジャパメタのバンド」として世にデビューするために、今、新しいラインナップで準備をしているわけである。

 

いつも言っていることだが、どうしても、音楽的、だけでなく、精神的、文化的な意味においても、僕の音楽はどうしても海外向けになってしまうことがあり、よって日本語で書いている日記、ブログは昔から、内情を正直に共有する内容になっている。つまり、「ファンの皆様、こういうものを作りました、買って下さい、ライブに来て下さい」と営業するのではなく、内面の思考過程を全部共有する感じだ。つまり、日本の皆さんのことは、商売をする相手であるお客さん、ではなく、なんというか世界に向けて発信するにあたっての身内、家族、友人、みたいに捉えている。

この前受けたカナダのクリスチャン系ラジオのインタビューでもそういうことを言ったが、僕らのバンドは文化の橋渡しをする役割を果たしたいと思っている、つまりキリスト教、クリスチャニティという概念を日本の人たちに提示するのと同様、日本の精神風土を海外のファンに伝えたい、その中からいわゆる欧米基準ではない新しい目線からのクリスチャニティってものを見出して欲しい、という思いだ。

 

先日もMansunについての記事をブログに書いたが、あんなふうに素直に「良くなかった」みたいに書いたら、ファンの方々とか、色々な人に反感を買うに決まっている。(もっとも、それ以上に、Mansunのレガシーに関する敬意や尊敬を込めたつもりだし、実際に尊敬しているのだが)
そういうスタンスで世の中に向き合っている以上、「営業」など出来るはずがない。でも、そういうスタンスで向き合わないと、生み出せない音、鳴らせない音がある。

営業もして、音楽も真実に作る。
そうできれば良いだろうけれども、現実にはそれは、おおよそ不可能だ。
世の中、そうそう都合よく出来てはいないのだ。
聖書にも、お金と愛の両方を追いかけることは出来ない、とはっきり書いてある。

 

そんなわけで、インターネット社会において、とても「支持」や「共感」など得られない宿命の僕らであるが、たとえそうであったとしても、これから、きちんと「時代を越えてやってきた真実なジャパメタのバンド」として、国内のメタルファンの皆様に提示すべく、今、新しいメンバーで準備をしているのである。

こう言っちゃなんだけれども、これまでのメンバーは、そういった面において、必ずしも協力的とは言えなかったからだ。

でも、今ならそれが出来る。
だから、やっと、「国内デビュー」を果たすことが出来る、その時が来た、と感じている。

 

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