昨年から、時間を見つけて「ファーストアルバム作り直し」の作業を進めていました。
音源自体は、3月の末にはもう完成していたのだけれど。新ラインナップの発表などあって、タイミングが難しかった。
現在、バンドの新体制のリハーサルや、人生最大の作品”Nabeshima”の制作準備にかかりきりになっているところ、ようやくリリース、発表することが出来ました。
リイシュー、再発、という呼び方になるのかな。
ファーストアルバムのタイトルは”The Garden of Gods”になります。
もともとは、”Through The Garden of Gods”と呼んでいた。ちょっとだけ短くした。
これですね。Bandcamp貼っておきます。
SpotifyとかApple Musicにもすぐに掲載されるはず。(もうのってるかも)
Spotifyのリンクです。
https://open.spotify.com/album/7eDanOkMKzztcQ6tu7iIJL
日本語のブログには色々詳細を書いてしまおう。
詳細というか、いつものひとりごとだ。
僕たちのバンドには、長い間、ちゃんとしたファーストアルバムというものが無かった。
おかしな話に聞こえるだろうか。
僕たちは、どこかのレコード会社から商業的にデビューしたバンドではない。
この伊万里音色というバンドは、もともと非常に個人的なところから、個人的な理由で、別に誰に聴いてもらうとかではなく、人知れず音楽を作り始めたところから始まっている。
録音作品を作るのも、インディペンデントに、好き勝手に、作りたいから作ってきた。
それはきちんとした形で商業的にリリースされた、とか、そういう形は取ってないし、取ったことは多分ない。
そしてこのバンドは、スタートというのか、開始地点が曖昧だ。どこをもってバンドのスタートと言えばいいのか、僕自身もよくわからない。
今ではMarieはバンドのメンバーになってしまったから、ToneとMarieが出会ったところまでさかのぼればいいのかもしれない。もっと前までさかのぼることだって出来る。
けれども、バンドの形で結成されたのは2004年だと公式には言うようにしている。
その前までは、一人録音プロジェクトだったわけだから。
それでも、その一人録音プロジェクトの時もやっぱり「伊万里音色」であったわけで、ただ、この奇妙なバンド名を思い付いたのはたぶん2001年あたりのことであって、とにかく始めた当初は名前も無かったわけだ。
僕が一人で音楽を作り始めたのは、これもいつをもってスタートと呼べばいいのか、わからないのだけれど、パソコンを使って今でいうところのDAWを中心としたシステムを組み、初めて録音作品を作ったのは1998年のことだ。CubaseVSTのバージョンが、まだ3.5とか、3.6とか、4.0とか言っていた頃だ。
その翌年の1999年には、今でも割と人には傑作と言ってもらえる変態ハイブリッドアルバム”Kodomo Metal”を作り上げたりと、それなりには早熟っぷりを発揮していたつもりなのだけれど(汗)、
けれど、1998年に、最低限の機材と、何の経験もなしにやった最初の「録音制作」、その最初の「作品」は、やはり完璧とは言えなかった。
「Through The Garden of Gods」と名付けたその作品は、不完全な出来だったので、そこに収録されていた曲は、その後、別のアルバムで再録したり、気に入らずにボツとしてお蔵入りにしたり、と、気が付けば「ファーストアルバム」は不完全な状態で打ち捨てられ、忘れ去られた状態になっていた。
上記のとおり、好き勝手に活動を続けている無名のインディーバンドであるから、僕らにとって「ファーストアルバム」というものの定義すら曖昧だ。
一人宅録アーティストとしてのデビューで言えば、1998年の最初の録音よりも、翌年1999年の「Kodomo Metal」の方が、内容としてふさわしいだろう。だから「宅録ソロアーティスト」としての「ファーストアルバム」は”Kodomo Metal”だったかもしれない。
また、バンドとしてのImari Tonesのデビューは、2004-2005年に作った”Hero of the Light”(光のヒーロー)になる。
実際にバンドで作った、初めてのアルバムだからだ。
最高にかっとんだ、ポップだか、パンクだか、オルタナだか、ハードロックだか、直球な内容のくせにジャンル分けの難しい、最高にゴキゲンな作品で、今でも自信と誇りを持っている。ぶっちぎったと思っている。(バンドとして最初の黄金時代であったと思っている)
だから「バンド」Imari Tonesのファーストアルバムは、間違いなくこの”Hero of the Light”だ。
けれど、うちのバンドは、しょせんは海外のオーディエンスにしかウケないところがあるので、初めて海外向けにアピールした、という意味では、「世界デビュー」は”Japanese Pop”になる。2006年いっぱいかけて制作し、2007年にリリースした作品だ。もっとも「リリース」の時期すら曖昧だけれど。
有名なプロデューサー二人に作ってもらい、「ちゃんとしたスタジオ」でレコーディングしたアルバムだけれど、内容は自分では必ずしも気に入っていない。けれど、世間から見れば、これが代表作であったり、「デビュー作」に見えるんだろうな、ってことは理解している。
だからインターナショナルなバンドとしてのImari Tonesのファーストアルバムは、この「Japanese Pop」だったと言える。
さらに言えば、Imari Tonesが(ぜんぜん無名ではあるけれど)、世間にもっとも知られているのは「クリスチャンヘヴィメタルバンド」としてだから、その「クリスチャンバンドとしてのデビュー」は、2010年発表の”Victory In Christ”になると思う。
これは、2008年から2018年まで10年続いたロングタイムラインナップ[Tone-Hassy-Jake]の3人で作った最初のアルバムだ。
厳密に言えば、2008年にクリスチャンバンドって言い出してから、[Tone-Hassy-Dr.Manzo]のメンバーで”Welcome To The School”というアルバムを作っているんだけれども、どういったわけか、あのアルバムは影が薄いらしく、だいたい無視されている。内容は悪くないんだけどね。
でも、その「第二の黄金期」である[Tone, Hassy, Jake]の3人には、やっぱりマジックが、ケミストリーがあった。その3人による、そして当時始めたばかりで「クリスチャンメタルだぜ、神を信じてロックするぜ」っていう、新鮮な情熱(と信仰)があったところの、僕のソングライティングも絶好調だったし、だから今でもこの「Victory In Christ」は、特別な作品であり、間違いなく「新たなスタート地点」であったと思う。
だから、「世界中にファンを持つ日本のクリスチャンバンド」としてのImari Tonesのファーストアルバムは、この”Victory In Christ”だと言えると思う。実際に、これがファーストなんでしょ、って言われたことが複数回ある。せめてウェブサイトのディスコグラフィーくらい見てくれよ、って思うけど、現代のインターネット時代の人々の関心、注意力なんて、そんなもんだったりするのは、みなさんよくよく御存知でしょう。
だから、厳密な意味ではともかくとして、意義の上でのファーストアルバム、世間的な印象としてのファーストアルバムで言えば、うちのバンドは、ファーストアルバムがいくつもあるのよね。
おかしな話だと思うかもしれないけれど、それが実感。
たぶん、ひょっとすると僕は、これからも何度も「ファーストアルバム」を作るのかもしれない。うん、たぶんそれが真実だ。
もし万が一、世間で売れて認知されたら、それが「ファースト」になって、次が「セカンド」になるだろうけれど、そうでない限りは、僕は常に、無名の音楽家として、毎回全力で「ファースト」を作り、世間に対してラブコールを送り続けるだろうから。
で、話はそれたのだけれど、
そんな事情で、自分勝手にインディペンデントに作ってきたディスコグラフィを振り返った時に、あの1998年に作った最初の録音が、宙ぶらりんになっていることに気が付いた。
思えば数年前にも過去の2枚のアルバムをリミックスしたり(実際にはベースを弾き直したりギターソロを追加したりもした)、人知れずインディでやってるのをいいことに、幾度かにわたって過去作品の捏造、改竄を行ってきた私。笑。
このファーストアルバムも、手直しをしたくなった。
後のアルバムで再録したり、ボツ扱いにしてしまった曲は放っておくとして、残った楽曲に、そこにさらに新たなマテリアルを加えようと思った。
で、本来あるべきファーストアルバムはどんなだっただろうか、と考えた。
本来、僕は、どういうファーストアルバムを作るべきだったのか。
もちろん、現実にはそんな「あるべき姿」のファーストは作れなかったわけだけれど。
この「リメイク」によって、なるべくその「本来そうあるべきだった」ものに、近付けようと思った。
僕は少年時代、もともと1980年代のハードロックに憧れて、ギターを弾き始めた。
だから、本当は80年代のスタイルのストレートなハードロックがやりたかった。
けれども、自分で録音制作を始めたその1998年当時。
そういったスタイルをやる勇気は無かった。
なぜなら、90年代にはそれはとっくに時代遅れであったから。
別に時代遅れだからといってやれないわけでは無いけれど、無名の音楽家であれ、一人のソングライターとして、逃げずに時代と向き合っていたかった。
だから、90年代の影響を受けた、様々なスタイルを吸収したものを作った。
(その結果は、ハイブリッドなオルタナティブ作品として”Kodomo Metal”に結実していると思う)
でも、その後、結局僕は、「日本のクリスチャンメタルバンド」として、わりとベタベタに80年代なスタイルをやるようになった。(もちろん、それだけではないつもりなのだけれど)
だから、そんなバンドの「ファースト」として、ギターを、作曲を、始めた頃の少年の気持ちに戻って、ストレートな音楽性をやるべきだったのではないか、と、そう思った。
そう思ったので、「高校の時に書いた曲のリスト」の中から、まだ残っているものをあさり、その中から「16歳の夏に人生で初めて書いた曲」と、「16歳の秋くらいに、記憶が確かならたぶん人生で3番目くらいに書いた曲」と、あとは「たしか高校2年の時になんでか知らんけど書いた妙に仏教っぽい曲」を引っ張り出してきて、それをこのファーストアルバムに追加することにした。
それくらい若い頃に書いた曲だったら、「ファースト」にふわさしいだろう、って思ったから。
新鮮な情熱が、芽を出したばかりの鮮度で、そこに込められているからね。
それが、”Don’t Forget Who You Are”、”Galactic Dreamer”、”Spiritual Seeker”。
もっとも、”Galactic Dreamer”は、2001年にも一度録音しているんだけれど、それもボツにしてしまった経緯がある。今回、晴れて正式に発表となった。どうでもいい話だろうけれど、知らない人には。
(また、”Don’t Forget Who You Are”の歌詞と歌メロは完全に書き直してます。さすがに16歳で最初に書いた曲の歌詞を歌えないよ、笑)
そして、1998年に録音した曲のうち、2曲は、サウンドやパフォーマンスに改善の余地があると判断して、今回新たに再録した。2曲というか、正確には、2曲プラス、イントロというかインストのトラック1曲。それが”Escape”、”From The Garden of Gods”、”鏡はいつでも嘘をつく!!”という曲だ。
そんなこんなで、11曲を収録したうち、1998年に録音されたオリジナル版は、5曲。というか、実際にはそのうちの2曲は2001年のピアノ曲の余りだから、3曲だけ。
1998年制作のファーストアルバムなのに、
1998年に録音したトラックが3曲。
2001年に録音したトラックが2曲。
2018年に録音したトラックが3曲。
2019年に録音したトラックが3曲。
という有様になっております。
聞く人にとってはそんな詳細はどうでもいいかもしれません。
しかしこれで、ようやく我がバンドにも、晴れてきちんとした「ファーストアルバム」が出来たわけです。
追加した「高校時代の楽曲」も、とてもストレートでナイーブな、なんというか荒削りな出来になっていて、本当に1990年代に10代のバンドが録音したみたいな音になっているし。(この歳で、そんな演奏になったのは、情熱を保っていたからか、あるいは単純に下手だからか)
1998年、2001年のトラックは、当時の自分の不安定な精神状態や、何も頼るものの無いインディ感を漂わせているし。
そして、いちばん大事なことに、なぜだか、やっぱりスピリチュアルな背景を持っている。スピリチュアルなovertoneっていうか、undertowっていうか。
オープニングトラックの”Escape”、”The Garden of Gods”がまさにそれなんだけれど、スピリチュアルな題材を持ったダークな曲であって、それは、仏教であるとか、汎神論といった、日本のspiritual background(精神風土というか、信仰風土)を前提として、そこからの脱却や、危機や、葛藤、struggle等をテーマとして描いている。
楽曲の深いテーマについては、聴いてもらえばわかることだから、ここでは突っ込んで書くことはしないけれど、
これは、後に日本初のクリスチャンヘヴィメタルバンドを名乗ることになるバンドのファーストとしては、あまりに出来過ぎている。だから、これはもちろん偶然ではなく、これが僕Toneの、そしてImari Tonesの、スピリチュアルな旅路のスタート地点であった、ということだと思う。
で、17歳の頃になぜだか書いてしまった「仏教ソング」であるところの”Spiritual Seeker”も、やっぱりそんな感じ。ファーストアルバムにして、すでに「スピリチュアルロック」を展開していた、ということにしていただけたら。
で、この”Spiritual Seeker”については、御存知のとおり、ちょっと前に(つっても6月だけど)ビデオを公開してありますね。
奇しくも、新メンバーのMarieちゃんとKojiさんをフィーチャーした(少ししか映ってないけど)初のビデオとなったわけですが、楽曲自体は「ファーストの作り直し」として僕が一人で宅録したものなので、レコーディングには2人は参加しておりません。本人たちの名誉のために、一応記しておきます。だから、ちょっとしか映ってないんだけどね。僕のソロ楽曲みたいなものなので。
余談だけど、こうやってインディで自主的に配信とかリリースして、好き勝手に発表しているので、「やっぱこの曲はちょっと」と思うと、後からボツにしちゃったりとか、わりと今までもそういうことがあって。
今回も、リメイク前の「ファースト」に「I will live」っていう奇妙なインストの曲が収録されていたんだけれど、リメイクにあたってボツとして落とした。
で、落とすと決めた時に、ちょうどブラジルのファンの子から、「あの曲が好きだ」みたいなメールもらったりして。
ごめん。もうボツにするって決めちゃったんだ。。。。
何か、機会があれば、別の場所、別の形で発表するから。。。。
そんな訳で、若い頃のマテリアルを全開で使っていて、恥ずかしながら、それでも作り直して発表した「ファースト」です。
ぜひ聴いていただけたら嬉しく思います!!
ゴッドブレスユ〜。