またくだらないミュージックビデオをひとつ作ってしまいました。
もうすぐ、”Nabeshima”の立ち上げモードに入らなきゃいけないんだけど、その前に、前作にあたる”Overture”から、この曲のビデオは作ると決めていた。
“Cat Licks”っていう曲なんですが、この曲はインディロック的なサウンドの曲。
僕らは一応、”ヘヴィメタルバンド”を名乗ってますが、実際のところ、ゴリゴリのメタルバンドってわけではなく、80年代の正統派のハードロック、ヘヴィメタルを中心として、プログレぽかったり、オルタナぽかったり、普通にポップだったり、いろいろしているバンドです。(中途半端とも言います)
で、前作の”Overture”アルバムは、まったく全然、ヘヴィメタルのアルバムではなかった。
長年の[Tone, Hassy, Jake]のラインナップによる最後のアルバムということで、ちょっと感傷、センチメンタルを優先にして、趣味に走ってしまった作品です。
僕はインディロック的なサウンドが非常に好きでして、その影響はこれまでもImari Tonesのソングライティングの中にそこかしこに現れてきたと思う。
だけれども、実際にもろにインディロックぽい音をやったのは、この曲がほぼ初めてのことではなかろうか。
つまり、Fenderアンプでクリーンサウンドで鳴らす、みたいなことはほとんど初めてだった。笑。
この手のサウンドにずっと憧れのあった僕としては、ひとつ、夢が叶ったというべきか、長年の趣味を実現させたと言える。
うちのバンドは、こういう感じなので、作風とか、イメージとか、バラバラになってしまい、わかりにくくなってしまうんだろうな、とは思っている。
で、歌詞というか、曲のメッセージの内容としては、フェイクニュース、陰謀論、そして現代のソーシャルメディアを揶揄したような内容になっている。
この曲は2016年の夏の終わり頃に書いた曲なんだけれど、あの時、アメリカの大統領選挙の真っ最中で、Facebookを見ると、アメリカの友人たちは、(クリスチャンつながりが多いので、どちらかといえば保守派の人が多かったわけなのだけれど)、かなり激しい議論というか、罵り合いをしていた(笑)
その時にはまだ「フェイクニュース」という言葉は無かったように思う。
選挙が終わる頃になって、トランプさんがその言葉を発明したように記憶している。
でも、その時にソーシャルメディアを覗くと、皆さん、フェイクニュースをいっぱい引用していたわけだ。
右側の人は、右側に都合のいいニュースを引用して、左側の人は、左側に都合のいいニュースを引用して。
それぞれに、「自分が信じたいものを信じている」ということがわかった。
そして、その「皆が信じたいと思っている情報」を提供している人たちが居る、ってこともわかったんだ。
そういう様子を見ていて、なんとなく出来てしまった歌詞なんだよね。
あれから何年か経過したわけなんだけれども、世の中の状況、つまり世界のインターネット社会の状況は、良くなるどころか、ますます混迷を深めている、と言える。
いや、多少はみんな冷静になったのだろうか??
そう願いたいけれども、
インターネットというものは、どれだけでも嘘がつける、どんな嘘でも作ることが出来てしまうものだから、
現代のインターネット社会には、ありとあらゆる嘘の情報が溢れていると思う。
その結果、何が本当で、何が嘘なのか、誰にもわからなくなっている。
でもよく考えれば、何が真実か、なんて、昔からずっとわからなかったのかもしれないけれど。
だから何が「自分にとっての真実」なのかは、自分で必死に考えるしかない。
僕としては、「信仰の問題」とか「霊で見極めよ」とか言いたいところだけど、そんなことを言って通じる人は世の中にはあんまりいない(笑)
この曲の歌詞では、フェイクニュースや陰謀論や極端な政治的主張のあふれるソーシャルメディア社会において、人間が抱く心理みたいなことを歌っている。
単純な話、フェイクニュースも、(あるいは普通のニュースも)、そして陰謀論も、エンターテイメントなのだろうと、僕は感じている。
それらのものがやっている事、それは、大衆が欲しがっているものを与える、ということだ。
人々に、欲しがっているものを与える。
右側の主張を持っている人には、それらの人が喜ぶような情報を。
左側の主張を持っている人には、それらの人が喜ぶような情報を。
アナーキーな情報、スピリチュアルな情報、ヘルシーな情報、なんでもいい。
それらの情報が、人を喜ばせるものであれば、人はそれをクリックする。
それらの情報はシェアされて、あっという間に広まり、たくさんのアクセスを生み出す。
たぶんその結果、本当に大切な情報は、あまり広まらない。
人間というのはそういうものだと思う。
そして情報というのはそういうものだと思う。
で、僕は、ちょっと猫のぬいぐるみを使ってビデオを作ってみたかっただけ。
生きている猫は飼育していないけれど、そのかわり我が家には猫のぬいぐるみはたくさんあるからね(笑)
そして、前のメンバー、ラインナップで作った曲ということもあり、そしてまた「隔離、自粛」の期間ということもあり、自分一人で作ってしまった。
もっとも、素材の半分はすでに1月に撮影したものだけれども。
いつも手作りのビデオを作っているけれど、
今回はいつもに増して、チープな手作り感あふれるビデオだ。
だから、うーん、チープだなあ、と自分でも思っているんだけれど、
僕らは別に、派手なプロダクションで、金かかってるぞー、と、権力や立場や数字を誇るバンドではない。
こぢんまりしたインディだけど、小さな個人でも表現していくよ、というしがないインディバンドだ。
だからこれでいい。
それに、作ってみたら、意外とメッセージや主張が感じられるものになったと思う、んだけど、どうかな。
ちなみにこの曲の録音に使ったギターは、2015年以来愛用しているBacchus Duke Standard。黒いオイルフィニッシュのやつ。
“Nabeshima”の録音でもメインで使ったんだけれど、ほんとに何でも出来るギターだなと思います。まさかレスポールだとは、思うまい? そうでもないか?
ビデオで持ってるのは「オフセット」タイプのギターだけどね。
そんな感じですね。
見ていただけたら嬉しく思います。