面倒ですが出来れば書き記しておきたい事です。
さて、うちのバンドはクリスチャンバンド、クリスチャンロック、クリスチャンメタルバンドという面倒な立ち位置にあるバンドです。
ロックンロールに政治や宗教を持ち込むのはつまらない。
だけども、クリスチャンメタルと言っている以上、最初から宗教の要素が入ってしまっている。
そして、そこには政治的な要素が絡むこともある。
ただ、僕はどちらかといえば政治と信仰をあまり一緒にしたくない方の人間です。
もちろん、信仰が土台になって、それを理由に政治的な信条を持つこともある。しかしそれは人それぞれです。こうでなければならない、というものではない。
僕らの音楽の中にも、政治的なメッセージを込めた曲が無いではありません。
でも、それは特定の政治的立場というよりは、聴く人それぞれの視点で解釈が出来る性質のものです。
何が言いたいかというと、現在、中東、イスラエル、パレスチナで起きている戦争。
日本のキリスト教徒の人たちの間では、それほど、そういった事はないかもしれません。
けれど、これがアメリカになると、クリスチャンの人たちの反応は違ってきます。戦争を支持する人たちが、一定数以上いるのではないかと思います。
僕はアメリカンロックの偉大なバンドや、アメリカの多様なシーンが生み出した数々の素晴らしいインディーバンドの音楽は大好きですが、アメリカの政治はあんまり好きではありません。
そして、アメリカのクリスチャンの人たちを尊敬していますが、アメリカのキリスト教のよくないところは、過度に政治的なところだと思っています。宗教がその本質から離れ、政治の道具になってしまっているところです。
もちろん、クリスチャンとして、イスラエルという場所は大切であり、やはり特別な場所です。
けれども、人間のやること、人間の政治、人間の宗教、そういったものは、間違うものです。
人間は間違う、ということが、キリスト教の教義の前提にあります。つまり人はすべからく、罪を持った存在なので、そんな人間のやることは、間違いだらけである。それがキリスト教の基本にあることだと思います。
だからこそ、そもそも「神の子」であり「罪のない人」「一番正しい人」だったはずのイエス・キリストを十字架にかけて殺してしまったわけで。
なので、僕自身も、神様、イエス・キリストのことは信じていても、キリスト教の組織、教団、そこにまつわる人間、などなど、必ずしも無条件で信じてはいない。(ただ、神様の助けと導きは、いつでもそこにあります。)
アメリカや、政治力のある国の人々が、聖書に書いてあるからこれが政治的に正しいのだ、と主張しても、神様の目から見て本当にそれが正しいとは限らない。聖書は難しいものなので、人間はその解釈を間違うと思います。
だからこそ、日本人のクリスチャンとして、政治的にどちらの側に立つ、といったことではなくて、より弱い立場の人々に寄り添い、平和のために祈らなければならない。
日本ではキリスト教は少数派で、日本はキリスト教と縁遠いと言われますが、「和の心」を持った日本のキリスト教徒として、世界の中でそういった役割があると思う。
欧米とは違った、政治や権力の歴史とはまた違う、本来のキリスト教を、日本人ならではの視点で広めていかなければならない。それは愛と許しということだと思います。
日本において一般にキリスト教が政治権力から遠い場所にあることは、実は祝福なのかもしれません。
こういったことは、英語では書きづらい。
わりと海外向けに発信し活動しているうちのバンドですが、こういったことを英語で発信し、うまく伝えるのは難しい。時々は、そういったことをソーシャルメディアに書くことがありますが、やはり難しいです。
ですので、せめて日本語のウェブサイトに、書き記しておきたいのです。
自分の言葉で書くことも出来るかもしれませんが、著名な神学者である山崎ランサム和彦先生が、最近のブログに「パレスチナ人クリスチャンの声」という記事を書かれています。(1)から(4)までありますが、ぜひ読んでみて下さい。
山崎ランサム先生は、偉い神学者の先生でありながら、音楽にも造詣が深く、クリスチャン・ヘヴィメタルに関するブログ記事も書いて下さっています。(うちのバンドもちょっと取り上げてもらって、とても嬉しかったことを覚えています。)
そういえば、先月行った「ヘヴィメタル・チャーチ」のイベントでも、説教(メッセージ)を担当していただいた荻野倫夫”メタルヘッド”牧師が、MegadethのHoly Warsを演奏した上で、平和のために祈ってくださいました。
実はMegadethのHoly Warsを演ることになったのは偶然です。
説教の内容として、著名なメタルミュージシャンの中で熱心なクリスチャンとして名高いデイヴ・ムステインを取り上げようということで、代表曲である”Holy Wars”を演奏しようという話になったのです。
しかし、その話が決まった後になって、イスラエル、パレスチナの紛争が起こりました。そしてこのHoly Warsという曲は、そういった宗教戦争を批判するような内容の楽曲です。皮肉ではありましたが、こういったことも神様の御心であり、メッセージではないかと僕たちは思います。
私たちは今、日本に「ヘヴィメタル・チャーチ」を作ろう、ということを目標にしています。
けれども、もし作るとすれば、欧米の政治的なキリスト教からは少し距離を置いて、日本人ならではの信仰を見つけることが出来る、そんな場所にしたいと、僕は個人的にはそんなふうに願っています。
時々思います。人の持つ罪が世界の様々な問題や争いを生み出すのであれば、僕たち人間は、祈りによってそれを乗り越えることが出来るのだろうか。これは難しい問題です。けれども信じているからこそ、僕たちは祈り続ける。
中東だけでなく、世界中で起きている紛争、政治的な問題、様々な状況の中で苦しんでいる人々のために、私たちは祈ります。
In Jesus’ name
イエス・キリストの御名にてお祈りします。