エレクトリックギター用のピックアップのレビューというか所感である。
ピックアップのレビューを書き記すことの「無意味さ」は重々承知しているつもりだ。
つまり、ピックアップなんて、搭載するギターによって変わる。あるギターに搭載してこういう結果だったからと言って、別のギターに搭載して同じ結果になるとは限らない。
また、そのギターをつなぐ機材、エフェクター、アンプによっても変わる。キャビネットやスピーカーは言わずもがなである。
そして人によってプレイスタイルも違えば、そもそもピッキングの仕方だって違う。
一般人には、ピックアップの公平なレビューなんて不可能だ。同じギターに、いくつものピックアップを取っ替え引っ替えして、やっとある種の比較が出来るかどうかであるし、それだってひとつの例に過ぎない。
「僕の場合はこうだった」という感想しか書き記すことはできない。
しかし、日本国内のマイナーなブランドであるGOTOH製のピックアップについて、インターネット上にレビューのような情報は非常に少ないので、ひとつの情報として書き記しておこうと思った次第だ。先述のとおり、これはあくまで「僕の場合はこうだった」という記録である。
まずピックアップという事についての前提を書いておこう。
僕は何事もまず前提から話さないことには物事は伝わらないと考えている人間だ。面倒くさいが仕方がない。
僕は基本的には「ピックアップなんてだいたい大差ない」と考えている方だ。いや、もちろん実際にはピックアップを交換することで色々なことが変わるが、それはEQ、コンプレッション、ヘッドルーム、音量といったことであり、それこそイコライザーやらエフェクター等のセッティングで対処可能な部分でもある。だから、基本性能のしっかりした素直なピックアップをひとつ載せておけば、だいたいのことは対応出来ると思っている方だ。
だから、手持ちのギターについても、あれこれとピックアップを頻繁に交換するようなことはしない。
どうしても変える必要があるな、と思った時だけ、嫌々ながらに交換する感じだ。はんだ付けも面倒くさいし。今回もストラトタイプのピックガード外すの面倒くさいって感じだった。
僕は古臭い80年代的なメタル、ハードロック系の音楽をメインで演奏している。それゆえに音の好みも比較的に古くてクラシックだ。
最初に弾いたギターにはJackson J-80が付いていた。お世話になったYプロデューサーは、一番好きなピックアップは他でもないJ-80だと言っていた。僕もかなりの部分同意する。J-80は良いピックアップだった。パワー、密度、素直なアタックと、バランスかな。
J-90はよりモダンでパワーがあって、メタル系は弾きやすかった。ザクザク系だったが、嫌いじゃなかった。ただこういうのはあまり鳴らないメタル用のギターに載せるのが前提だ。
J-80と似た系統では、ある時期に愛用していたフライングVに、CaparisonのPH-Rを載せていたことがある。日本製Jacksonの延長線上にあるもので、J-80をさらにモダンにした印象だった。Yプロデューサーは「開発に深く関わった。あれは自分のモデルのようなものだ」と言っていた。パワーもバランスも分離もよく、今までに使った中でも印象に残っているピックアップのひとつである。
別のフライングVにはダンカンの59が載っていた。素直でピッキングニュアンスがよく出て、非常に使えるものだった。かなり好きだったが、あれも基本的には「鳴らないモダンギター」に搭載する前提で作られたものだと理解している。
長年愛用したMusicman Axisには、例のB2と一般に呼ばれるディマジオが載っていた。非常に使いやすく、パワーも分離も良く、演奏スタイル的にはストライクゾーンだった。何の不満もなかった。
DiMarzioということで言えば、安いギターにTone Zoneを載せたことがある。鳴らない安ギターがあっという間にパワフルなメタルマシンに変わった。嫌いではなかったが、低音がゴリゴリ過ぎる気がした。
ある時期持っていたB.C.RichにSuper Distortionと思しきものが載っていた。全然良い感じだった。適度にブライトでパワーもあったし、楽しいピックアップだった。
Seymour Duncanだと、JBは苦手だ。やはりあのミッドレンジが我慢ならない。昔のものは違うという話も聞くが、試したことがないのでわからない。
ダンカンのCustomは、他人のギターに載っているのを弾いたことがあるが、うん、全然いける、59とテイストが近いし、全然好みだよーという印象だった。
ダンカンのDistortionは、苦手だった。入手したギターに載っていた。あんまり覚えていない。これはちょっと苦手だと思ってすぐに交換してしまった。
Custom 5はまだ試したことがないが、嘘か本当かJackson J-80にかなり近いという話を聞いている。
手持ちのちょっと良いフライングVには、EVH Wolfgangを載せている。パワーもあって、倍音が非常に豊富で、よく音も伸びてくれるのだが、低音がちょっとやわらかい感じで、それが場合によっては仇となる時がある。低音が無いわけではないのだが、やわらかくてズシンと来ないことがある。しかしこれは載せているギターのせいかもしれない。これはCustom Customに近いという話も聞いたことがある。
Deviserさんとこのギターに載っていたMojotoneについては下記でちょっと触れた。前にも書いたことがあると思う。非常に良いものだ。
あと何かあったかな、多少まだあると思うけど覚えてない。
Bacchus(Deviser系)のギターを多用するようになってからは、ピックアップというものにはそれほど興味を持たなかった。
Deviserさんとこのギターは鳴りが良いものが多いので、ピックアップに頼らなくても、全然狙い通りの音が出せるのだ。
グローバルシリーズのやつとかは、付いてるピックアップは安価なものだと思うんだけど、それでも比較的素直なものが多いので、別に交換しなくても、最初から付いてるやつで全然やれた。
だからBacchus/Deviserのギターで、ピックアップを交換したのは、「どうしても」というケースだけだ。その事情も下記でちょっと触れた。
なぜGOTOH製のピックアップを選んだのかと言えば、身も蓋もない理由だが、やはり安いからだ。インディのバンドマンには有難いことだ。
そして、日本製ということには、やはり魅力がある。ロマンもある。
そんでもって、実際過去に使ってみて、クオリティの面でも良いことを知っている。
海外大手ブランドのハイプった製品を使わなくても、別にこれで全然やれる、いやむしろ、こっちの方が素直で、質実剛健で、自分の狙った音が出る。そう思っている次第だ。
基本的な性能と品質さえしっかりしていれば、あとはこっちで何とかする。
そして、基本的な性能と品質はどうやらしっかりしている。じゃあ、これでいこう。そんな感じだ。
(そもそも、それらの僕がこれまで使ってきたピックアップの中にも、あるいはGotoh社が作っていたものがあるかもしれない)
最後に、今回、ピックアップ交換の対象となった、「バッキーくんギター」ことBacchus G-Studio ALD 2008年モデルについて触れておこう。
これはDeviser傘下のBacchusブランドから、日本製の最上位シリーズであるHandmade Seriesの一機種として販売されたものだ。Deviserの誇る「飛鳥工場」で作られた楽器であり、最上位シリーズの名に恥じず、そのクオリティは素晴らしい。素晴らしいというか、凄まじい。僕はかつてのHamerのUSA製の楽器は大ファンであるが、この2008年日本製G-Studioは、僕の印象ではHamer USAに勝るとも劣らない。むしろ優っている部分もいくつかあると思う。
だが、そのような最高の品質を持ちながら、Bacchusブランドの評価はいまだ正当なものとは言えず、いまだに非常に安く販売、出品されているのを見かけることがある。このG-Studio、そして3シングルのモデルであるG-Playerは、Bacchusブランドのかなり初期から継続的に生産されていた定番モデルである。だが、見た目はぱっとしない普通のストラトコピーということもあり、世間の注目度は低い。だから、狙い目のモデルであると思う。中古楽器の値段も高騰しつつあるが、残念ながら、これらのモデルはその品質がまだまだ認知されておらず、いまだに「かなりの安価」で手に入ることがある。同じBacchusでも、むしろ本家ストラトに近づけたトリビュートモデルであるClassic Seriesの方が、中古市場の値段は高いのではないかと思う。
G-PlayerおよびG-Studioは、頻繁にモデルチェンジが行われ、年式によってボディ材やブリッジなどのスペックが変わるが、この2008年モデルは、フルサイズのアルダーボディにシンクロナイズドトレモロという、一般的なストラトに一番近い形のものだ。
サウンドというか、鳴り方としては、かなりヴィンテージ的な、オーガニックで太い鳴り方をするので、下記でも触れているが、演奏スタイルやジャンルによってはむしろ「鳴り過ぎ」となる可能性がある。はっきり言って、メタルには向かない楽器である。だが、僕はそれでもこのギターでメタル系の音楽を演奏したかったため、いくつかの理由によりピックアップ交換を決意した。
補足- (G-Studioモデルは2010年代になると、アッシュボディ仕様となるが、それは試したことがないのでわからない。またG-Studioは時折エキゾチックウッド等を使用した特別モデルが作られることがあったが、それに関しても、残念ながら試したことがないのでわからない。) (フィリピン製のGlobal SeriesでもG-Studioの廉価モデルが作られていたはずであるが、それらはおそらく、Handmade Seriesほどには鳴らないだろう。しかし、鳴り過ぎないゆえに逆に使いやすいケースもあるだろうと思う。)
ちなみに「バッキー君」とは、テキサスの象徴的な存在である巨大ガソリンスタンド/コンビニエンスストア(どちらにしても日本で考えるガソリンスタンドとかコンビニエンスストアの概念をはるかに超える規模だが)であるBuc-ee’sのキャラクターのビーバーのことである。
では、以下、その交換した際の所感である。
さて、「バッキーくんギター」こと、Bacchus G-Studio ALD 2008年モデル Handmade Series
の、ピックアップ交換を行なったので、所感を記しておく。
もともと着いていたのは、Bacchusのオリジナルのピックアップで、MRH1というやつである。
「バッキーくん」は中古で手に入れた楽器だが、(2024年8月入手)、
これは、ピックアップに型番はないものの、内部の配線のきれいなまとまり具合や、その他の特徴から、オリジナルピックアップであると判断した。
MRH1は、カタログ上では8.8kオーム、アルニコ5である。
パワーよりも、明瞭な分離、「スキッドな輪郭」(!!??)、ドライブ時の腰のあるトーンを優先させた、とある。(Bacchus 2008年カタログより)
良いピックアップではあったが、実際には色々と問題があった。
ダイナミクスが良すぎて、コンプ感が足りず、メタルをやろうとすると音に腰がない。
いかんせんパワー不足で歪まない。
分離が良すぎて歪まない。
音にくせが無さすぎてハードロックをやるには少々つまらない音である。
なにより、ポッティングがしてないタイプであり、歪ませた音で大音量で鳴らすとハウリングを起こす。(フィードバックではなく、ハウリング。ミュート不能。コントロール不能。)
これは、かつてBacchus Duke Standardを使用した際に、それにはBRH1というピックアップが載っていたのだが、これも同様で、このモデルもポッティング(ロウ漬け)がしてなくて、スタジオに初めて持ち込んだらハウリングを起こした、ということがあった。
BRHも、MRHも、非常に反応の良いピックアップであり、ロウ漬けがしてないせいか、ハイエンドの反応が非常に良く、ヴィンテージというよりはむしろハイファイであった。生々しく、ダイレクトで、クリアだ。だが、どちらも癖のないタイプで、メタルには向かないのであった。
BRH-1は、レスポールとの相性もあって、まだなんとかやれた記憶があるが、(Jesus Windのレコーディングには、ハウリング防止のため、少しボリュームを絞って使用した)、だがMRH-1については、「絶対にメタルなんてやらせないぞ」というBacchus製作陣の決意の声が聞こえるような品であった。
それは、Bacchusのこだわりだとは思うが、あまりにもピュアリスト過ぎるのではないかと思うのであった。過度の職人気質というか、頑固すぎる意固地なこだわりを感じた。ピュアな音にこだわりたいのはわかるが、せめてポッティングくらいしておいてくれよ、と強く思った。
で、あるからして、今回もピックアップ交換を余儀なくされた。実用上は仕方がない。
Duke Standardの時には、GotohのHB-Classicα (アルファ)にしたわけだ。
それは、非常に良いものであった。
ヴィンテージ的でクリアで反応の素晴らしい上に、ちゃんと面白い味もあって、ハウリングもしなかったし、僕はそれをDuke Standardのリアにのっけて、「Overture」「Nabeshima」のレコーディングにメインで使用し、また役目を終えて「余生」となった猫ポールのリアにも、老境仕様として選択し昨年搭載した。(それまで載っていたBHHっていうのはレスポールにしてはゲインの高いものだった。おかげでメタルがやれたが、歳を食って今後はもっとレスポールらしい音にしようと思い交換したのだ。)
しかし今回は、同じGotohのHB-Customを選んでみた。Classic alphaでもよかったかもしれないが、やはりメタルに使いたいということで、色々考えてCustomを選択した。
で、結果的には成功だったと思っている。少なくとも交換直後の現在、成功だったと考えている。
で、ここから、Gotoh HB-Cutsomの感想である。
まずはスペックだ。
公称で、14.40kオーム、薄めのセラミックマグネットを使用と書かれている。
搭載前にテスターで測ったところ、14.79k と出た。
しかしこれは測り方に問題があった可能性もある。
搭載後に30cmほどの短いシールドを経由して測定した結果は、
14.02k
またコイルタップ時には7.21kとなった。
まず、パワーであるが、思ったよりも控えめであった。
HB-Customは、程よいパワー感が特徴と書かれているが、実際、かなり控えめな印象だ。これは「カスタム」という名前から受ける印象よりも、実際にはおそらく控えめだと思う。(ダンカンのCustomと直接の比較をしてないのでわからないが)。
体感的には、MRH1よりもちょっとだけパワーが増したかな、という程度だ。
その結果、SSH配列における、リアのハムバッカーとフロントのシングルコイルの音量バランスも崩れることなく、理想的なバランスになっていると言える。
また、コイルタップした際の音量バランスも、むしろ交換前よりも良くなった。つまり、MRH1の時には、コイルタップすると、リアのシングルはパワーが弱かったのだが、交換後のHB-Customのコイルタップは適度にパワーが増して、フロントとの音量バランスが揃うようになった。そして音質の面でも、ちょっと軽くてトレブリーな癖が強かったMRHにくらべて、HB-Customのコイルタップの方が音が太く、バランスが取れていて、使える音になった。少なくとも僕はそう感じている。(シングルコイルの音に対する評価基準は人それぞれであると思うが。)
これは、14.40kオームという数値から受ける印象よりもかなり控えめであり、8.8kオームのMRHから交換して、出力がそれほど変わらない、ちょっと増えたかな、くらいなので、このHB-Customの「セラミックマグネット」は、本当に控えめな厚さなのかもしれない。
もともと、「ヴィンテージ並みのバカ鳴り」である「バッキーくん」には、まさかパワー全開のハイアウトプットピックアップを載せるわけにはいかないし、なるべくMRHから交換して違和感のない範囲で「メタルに対応」させたいと考えていた。その面では、このHB-Customの予想以上の「控えめ」さは、嬉しい誤算であり、狙い通りだと言える。
どちらにしても、SSH配列のストラトとしては、理想に近いパワーのバランスとなったように思う。これは嬉しいポイントだ。先入観で、もっとパワーあるんじゃないかと思っていたから。出力はMedium Lowというか、Mediumの中でも下の方になるんじゃないだろうか。そんな印象だ。
音質は非常にクリアだ。これはセラミックマグネットだから、と言える。モダンでクリアな音質ではあるが、たとえば手持ちのMojotoneのピックアップ(Levelhead、PW-Hornet)のような、いかにも現代的なハイテクっぽいキャラクターのクリアさ、というよりは、昔ながらの質感の中でのクリアさ、という感じだ。「普通にクリア」とでも言おうか。だが、クリアさの基準では最高レベルだ。むしろPW-Hornetよりもクリアかもしれない。
レンジも広いし、ダイナミクスも広いので、その点では大成功だと言える。
しかし全体的には癖のない音である。
クリアな音で、控えめなパワーで、比較的くせの無い音なので、結果的に歪ませた時には「粒の荒い歪み」になるようだ。確かAmazonで「歪みの粒が荒くて下品」というレビューがあったと思う。さもありなん、という感じだ。粒が荒いのは確かにそうかもしれない。しかし、下品かどうかは場合によるだろう。どちらにしてもギターの音は生かす質感であると思う。
音の粒が荒い、とうのは、クリアでダイレクト、ということでもあると思う。
もうひとつ出力が上のHB-Distorionについては、「きめの細かい歪み」というレビューがある。なので、たぶんこれは狙っているキャラクターの違いであって、きめの細かい歪みを求めるのであれば、たぶんHB-Distortionが良いのだろう。クリアさと分離感と程よいパワーを両立させるのが、たぶんHB-Customのメリットだ。
そして周波数的には、全般的にはくせが無い、特徴が無いのだが、そうは言いつつも、中域に少し押し出しがあるように感じた。また、高域、ハイハイミッド、くらいに、やはり広い範囲での押し出しがあるように感じた。
これは、ハイミッド以上に関しては、倍音がきれいに出ているという印象だ。倍音はたっぷり出ている。粒は確かに荒いかもしれないが、むしろ上の方は上品できれいな倍音だと言える。
よって、上品なのか、ワイルドなのか、ちょっとわからない感じだ。両面持っている。でも基本的には日本製の優等生でおとなしく平均的だ。
この、中域のいくぶんの押し出しと、豊富な倍音から来るハイハイミッドのひっかかりによって、歪ませた際に、程よいメタル感が出る。そう、これを求めていたんだよ。MRHはあまりにもくせがなく、真っ平らで、歪ませても引っかかりがまったく無かったのだから。
ダイナミクスも優秀で、コンプ感も少ない方だが、MRHと比べれば、程よいコンプ感があると言っていいのだと思う。なんとかメタルがやれる範囲に収まった、という感じだ。
しかし全体的に見れば、キャラクター的にはかなり「くせがない」「特徴がない」部類に入ると思う。くせの無いのがくせ。特徴がないのが特徴。とでも言わんばかりだ。Gotoh製のピックアップについて書かれた宣伝文句のひとつとして、「すべての帯域でバランスよく出ているために、特徴がないように感じる」というものがあったが、これはどちらかと言えば「すべての帯域でバランスよく出るため、結果的にギターの鳴り方の癖や、機材のセッティングのシビアな面が出てきてしまう」という事だろうと思う。
もちろんポッティングはしてあるのだが、ポッティング無しのMRHと比べて、やはりハイエンドはなくなったのかもしれない。セラミックのキャラクターと相まって、ちょっとだけ人工的な作られた音の感じになる。だが、そのぶん扱いやすい音になった、と言うべきだろう。なにしろ、もともと鳴り過ぎて大暴れのバッキー君ギターに着いているのだから。鳴り過ぎの「バッキーくん」を制御するために、このピックアップを取り付けたのだ。
音がクリアなことと、「バッキーくん」の鳴り過ぎもあって、若干音が冷たく感じる場面もあるかもしれないが、そこはギターのTONEを少し絞ってやれば、ちゃんと暖かい音になってくれる。温かい上にクリアさも担保されているのだ。
また、音がクリアな上で、ダイナミクスもかなり広いので、音は比較的にドライであり、ピッキングのニュアンスというか、演奏のタッチは正直に反映する。つまり、プレイの粗、ミスタッチについてはごまかしのききづらいピックアップだろうと思う。
もうひとつ言えば、MRHは、弦間ピッチが狭くて、自社製品にも関わらず、G-Studioに載っていて1弦と6弦に対して幅が狭かったが、HB-Customは弦間ピッチは10.5mmで、ばっちり合っている。むしろ良かった。
バッカスさん。自社製品なのに、なぜだ。なぜ合わないのだ。
ちなみに、MRH1は、2010年台になっても、その後にBacchus Handmade Seriesが生産停止されるまで、G-Studioにずっと採用されていた。ちなみにBRHもそうだ。どちらも息の長いモデルである。BRHはレスポールタイプに採用されていたので、これでいいのかもしれないが。
なのに、なぜ弦間ピッチが合わないんだ!
F-spaceが無かった時代の音を再現したかったのだろうか。
どちらにしても、MRH1の載った状態から、
ハードロック、ヘヴィメタルのニュアンスを加味したかった
出力を大幅にアップさせるのではなく、ほどよく、少しだけアップしたかった
オープンな音、クリアな音、ダイナミクスは保持したかった
ハウリングを起こさない実用性が欲しかった
もう少しまとまりのある音、もう少しだけひっかかりのある音が欲しかった
といった、求めるものを加味する点においては、結果として成功であったように思う。
Gotohのピックアップの品質は高く、少なくとも、音のクリアさ、ハイファイさ、反応の良さなどにおいて、USA製プレミアムピックアップであるMojotoneと比較しても遜色ない。(キャラクター、機能性、現場においてのプラスアルファ等の点は、あるいは劣るかもしれないが。)
正直さ、癖の無さ、ダイレクトさ、といった点においても好感が持てる。
「クリアな音」「パワー控えめ」「粒の荒さ」「ダイレクト感」「ハイファイなダイナミズム」「くせの無いのがくせ」「特徴のないのが特徴」
こういったキーワードが並ぶように思う。
また、控えめなパワーでありながら、ハードな音楽にも対応するということで、SSH配列のスーパーストラトにおいてバランスの良いピックアップとして、有力な候補になるのではないかと思う。
ちなみに配線だが、黒がホット、緑およびシールドがグラウンド、赤と白は束ねてセンタータップ、という事であった。
これは madhatterguitarproducts.com に記載されている他、手持ちの「猫ポール」にもHB-Classic alphaが載っているので、(それも自分で交換したやつだけど)、それを参考にした。
以上になります。