摩耶こうじ (Koji Maya)
ドラマー/シンガー/アレンジャー/アーティスト
Why didn’t you join those successful bands?
「なぜ成功したバンドに加入しなかったの?」
Because they didn’t rock hard enough. I’ve waited for decades for this!
「もっとハードにロックしたかったからさ。この時を長いこと待っていたぜ!」
摩耶こうじはジャパニーズヘヴィメタルの黎明期を支えたドラマーである。
かの伝説的なヘヴィメタルバンド、Anthemの前身であるBlack Holeに在籍し、柴田直人氏らと共に演奏活動を繰り広げていた。
Anthemのファンサイトにはヒストリーの系図として彼の名前が書かれているが、Koji氏によればBlack Hole時代から既にギタリスト福田洋也氏との絡みがあり、共に活動をしていたらしい。
Black Hole解散後、Anthem結成へと向けて動く柴田氏とは距離を置き、東京X-RayにてRio氏やBLIZARDの松川敏也(RAN)氏らと共に活動していた。(それらの楽曲は後にRAN氏のソロアルバムとして、かのB’zの稲葉浩志氏のヴォーカルによってレコーディングされることとなる)
つまり摩耶こうじは、和製エディ・ヴァン・ヘイレンと呼ばれたギタリストと、和製ランディ・ローズと呼ばれたギタリストの両方と活動を共にしていたことになる。
(これらの時代のとんでもない裏話は、彼の口からいくつも出て来るので、興味のある人は覚悟の上で聞いてみるといいだろう。)
彼はKISS、Grand Funk Railroadを始めとするアメリカンハードロックをこよなく愛するハードロックドラマーであるが、ドラマーとしては故・日野元彦氏(ジャズ・ドラマー)や、沖縄のロックバンド[紫]の宮永英一氏に師事し、ハードロックに留まらない幅広い技術を身に付けている。
この摩耶こうじのドラミングテクニックは、「パワフルなヘヴィメタルも叩けるけれど、ダンサブルなグルーヴも出せるドラマーが必要だ」というToneの理想にぴたりと一致するものだった。
ジャパメタの初期を支えながらも、摩耶こうじが「成功」の二文字をつかむことがなかった理由は想像の域を出ない。本人の話からすれば、ひとつには当時のロッカーの主流であった破天荒なライフスタイルに嫌気が差したからであろう。
だがもうひとつは、彼の非常に強いアーティスト性と、そのこだわりゆえではなかったかと思われる。
サウスポーのスタンスから放たれる彼のドラミングは、非常に強い主張を持った個性の塊と呼べるものだ。さらに彼はドラミングだけに留まらず、リードシンガーとしてヴォーカルを取ることも躊躇わない。
いちドラマーの域に収まらないアーティスト性と、表現への欲求。そしてエンターテインメントへのあくなきこだわり。ジャパメタの世界は、彼にとっては狭過ぎたのだ。
時は流れ、21世紀。
ジャンルの壁も、国境も、メジャーとインディの境目も崩れ落ちた世界で、「クリスチャンメタル」を標榜するジャパニーズメタル最後の異端児Toneと、摩耶こうじは出会った。
世代を越え、この二人のアーティストは、かつて実現することのなかった「ジャパニーズメタル」の最終形を指し示すために出会ったのだ。
「ジャパニーズメタル」でありながら、「アメリカンロック」でもあり、かつ「エンターテインメント」の要素を持つこのImari Tonesという舞台で、摩耶こうじの本来のテクニックとアーティスト性は遺憾なく発揮されるだろう。
ジャパニーズメタルのもうひとつの伝説、その物語はまだ終わらない。
今、時代が摩耶こうじに追い付こうとしている。
好きなアーティスト及びドラマー
Michael Jackson, KISS, Grand Funk Railroad,
Lenny White, Billy Cobham, Steve Gadd, Eric Singer, etc
使用楽器
TAMA Iron Cobra ツインペダル サウスポー仕様
etc
「2019年7月、新ラインナップ発足に際してのTone視点での所感と紹介」