エクストリームツアー西海岸2022の報告

 

 

ばたばたしていましたが、やっと報告のブログ記事です。

僕たちImari Tonesは、2022年の9月、The Extreme Tourという企画でアメリカをツアーしてきました滞在としては8月末から約四週間の滞在で、ツアーチームと同行した三週間の間に9本のライブを行いました。

 

回った日程と場所は以下のようなものでした。
West Coastチームに参加し、回った地域はワシントン州およびオレゴン州。パシフィック・ノースウェストというやつですね。

September 3rd
Stevenson WA – Fire Fest – first night

September 4th
Stevenson WA – Fire Fest – second night (The Extreme Tour show)

September 7th
Bingen WA – Bingen Skatepark

September 9th
Battle Ground WA – Kiwanis Park

September 11th
Gig Harbor WA – Uptown Pavilion

September 16th
Dallas OR – Rotary Stage

September 18th
Salem OR – Riverfront Park Amphitheater
(2 sets)

September 21st
Harrisburg OR – Harrisburg Skatepark

 

 

さて、戻ってきてから一ヶ月が経とうとしていますので、自分の言葉で経験を書き記しておきたいと思います。

大雑把な感想については、先日ポストした動画の中でも述べていると思います。
これですね。

 

まず、バンドとして、僕たちImari Tonesとしては、そもそも海外遠征というか、アメリカに行って演奏すること自体が10年ぶりでした。

僕たちはクリスチャンメタルバンドという、日本では結構難しい立ち位置で活動しているバンドゆえに、海外向けに発信しないといけない、海外に行って演奏しないとそもそもまともに聞いてもらえない、くらいのところがあります。クリスチャンメタルといっても、冗談でやっているわけではなく、結構本気でメッセージ性が強かったりすることも原因でしょう。

 

過去に、2009年から2012年まで、4年連続で毎年アメリカに遠征する機会がありました。それぞれ、約一ヶ月くらいかけた、日本のバンドとしては長いけど、向こうのバンドにとってはちょっと短いツアー。
それは、僕らがクリスチャンバンドになって間もない頃。
(クリスチャンバンド、という言葉の定義も人によって様々かと思いますが、ここではそれには言及しません。)

[Tone, Hassy, Jake]という、2008年から2018年まで10年一緒にやったメンバー、そのラインナップの時代の、前半の頃。
その頃に、4度、アメリカにツアーしに行ったわけです。

それは素晴らしい経験だったし、手応えもとても良いもので、また、当時まだ(今と比べれば)若かったので、創造性、クリエイティヴィティの面でも非常に良い刺激となりました。
それらの経験を元に、その後も音楽を作り続けることが出来た、世界に向けて発信することが出来たと言えます。

 

その4回行ったアメリカ遠征の中で、2011年に、テネシー州ナッシュビルにて”The Objective”というイベントに僕らは出演しました。
かなり大きなステージで演らせてもらって、ショウケースライブを行って大反響を得て、素晴らしい経験でした。
そのThe Objectiveは、The Extreme Tourが主催している重要なイベントであり、それが僕らとThe Extreme Tourとの出会いでもありました。

ツアーの創始者であり、主催者でもあるTed Bruun氏とも意気投合し、またそこで多くの志を同じくするクリスチャンミュージシャンとも出会い、非常に大きな刺激を得ました。
そして、その翌年の2012年に、僕らは実際にThe Extreme Tourの「本編」に参加したわけです。

 

The Extreme Tourは、1994年から続いているという、体当たりな草の根スタイルのクリスチャンミュージック・ミッショナリー・ツアー。
大きな都市ではなく、小さな町を回り、そこで町の人々やキッズたちと同じ目線で交流し、そして多くの場合野外のステージで、ゲリラ的にイベントを開催する。そして非常にメッセージ性の強い、ゴスペルミュージックの本来の意味での、神の愛を、そして希望を伝えるパフォーマンスを行う。
それは単なる音楽イベント以上の何かであり、魂の交流であり、人間同士の本気の交流であるわけです。

音楽だけでなく、スケートボード等のエクストリームスポーツを通じてキッズたちと交流します。
イベントの目的は神の、イエス・キリストの愛を伝えることであり、その成功の是非は、イベントの規模や集客等の数字ではなく、「神の意志に従うことが出来たかどうか」という点。

そして、何組ものアーティスト、スタッフが一緒になったチームで行動し、イベントを行う。
ライブコンサートだけでなく、Search&Rescue (以前はHype Nightと呼ばれていた)といったストリートでの人々との交流や、演奏に限らない様々な地域での活動もツアーに含まれます。

各地の教会の協力、サポートを得て、地域に「神様の愛をもたらす」「愛のメッセージを届ける」というものであり、演奏の場所はオープンに皆に開かれた野外の場合が多いけれども、学校や少年院といったイレギュラーな場所での演奏を行う場合もある。

一般のコンサートツアーでは回れないような場所、そして一般のバンドのツアーでは出来ないようなディープな体験が出来る。

それは音楽的な意味でも「音のストリートファイト」と言えるガチの演奏経験であり、またクリスチャンアーティストとして信仰の意味でも非常に大きな学びと成長の場であり大きな経験になります。

 

だから僕らが2012年にThe Extreme TourのWest Coast(西海岸)の部に参加した時、それはかけがえのない経験となりました。

イベントの最後に、皆でワーシップを演奏するんですよ。
照明も落として、完全にアコースティックで、皆でワーシップを歌う。
素晴らしい演奏が行われ、イエス・キリストの愛のメッセージ、救済のメッセージで、皆の心がひとつになったところで、最後にワーシップを演奏し、そこにいる皆で歌うわけです。

その瞬間が、とても美しくてね。
愛と祝福に溢れていて。

これは、実際に体験しないと、言葉では伝えることが出来ないと思う。

年月が流れても、そのひとつひとつを、はっきりと覚えているくらいに、それは素晴らしい体験だった。

そこにあるのは、ただの音楽の演奏ではなくて、やはり信仰であり、神の愛であり、その愛を伝えるという大きなものだったと思う。

 

本気でそんなことをやっている人たちというのは、なかなかいなくてね。
大きなイベントとか、宣教イベントとか、教会でのゴスペルコンサートとか、そういうのはあっても、本気で小さな町の草の根のスタイルで、馬鹿みたいに体当たりでそんなふうにして神の愛を伝えようなんて、そんなことを皆で本気でやっているなんて。
しかもロック、メタル、ヒップホップ、スケートボードといった表現手段で。

そんな人たちに、あまり出会わないから、The Extreme Tourと、そこに集うアーティストたちとの出会いは、とても大きなものだった。

 

そこからどうなったかというと、
僕たちはそのThe Extreme Tourを「日本でやれないだろうか」と言われ、
日本じゃ環境が全然違うから無理だよ、と言ったんだけれど、
神様が与えた使命であれば挑戦してみよう、と、結局やることになり、
僕たちは2013年から2016年まで、4年連続で”The Extreme Tour Japan”を主催することになった。

そして、自分たちがアメリカに行ってツアーするんじゃなく、アメリカから(カナダ、チリ、ロシアまであったけど)クリスチャンバンドを日本に呼んで、一緒に日本で「草の根ゴスペルツアー」を行った。
その2013年から2016年まで行ったThe Extreme Tour Japanについては、過去にも書いたと思う。

4年、4回やったうち、すべてがうまくいったわけではないけれど。トラブルもたくさんあったけど。
そしてやはり、それを日本でやるということは、非常に困難を伴うものであったけれど。
けれどもそこにはやはり祝福があった。

 

僕たちとしても、やはり母国である日本で自分たちの使命を行いたいという気持ちがあった。
使命っていうのは、もちろん、「キリストの愛を伝える」っていうことだ。

そして、日本というテーマに向き合う中で、僕たちは日本の歴史をテーマにした”Jesus Wind”アルバムを完成させたし、またクリスチャンバンドになってから初めての全編日本語アルバムとなった”Overture”を作ったし、そしてJapanese Traditional Christian Heavy Metalと銘打った”Nabeshima”アルバムを完成させた。

それは長い旅路であったけれども、十分にそれに見合う価値のある創造の旅路であったと思う。

 

しかし代償も大きかった。

10年間続いた[Tone, Hassy, Jake]のラインナップは、良いチームだったし、そこには確かにバンドとしての化学反応があったけれど、本当に良いバンドになるためには足りないものもたくさんあった。

そして、後半の5年間にはもうメンバーの間に、活動のためのモチベーションは残ってなかったと言える。
だから活動は細々と続けるだけのものになっていたし、XTJ (The Extreme Tour Japan)をやっていたこともあり、このメンバーで再び海外遠征に出かけよう、という決断は、ついに最後まで為されなかった。

そしてバンドとしての賞味期限は、2016年に”Jesus Wind”を完成させた時点で、もう尽きていたと言っていい。

バンドということの運営についての難しさはここでは触れないでおこう。でも、バンドって運命共同体だから、皆が一致しなければ何もできない。

 

そんな感じだったから、2012年にアメリカでのThe Extreme Tourに参加してから、2016年までのXTJ (The Extreme Tour Japan)を日本で行った経緯。
そしてその後、”Nabeshima”アルバムを作り上げ、またバンドを再構築するまでには時間が必要だった。

そして、いつしか、このバンドの本当の主役であるMarieがベーシストとしてバンドメンバーとなり、昨年には新たなドラマーとしてShinryu師範が加入し、伊万里音色はふたたび、(あるいは初めて)、前向きなチームワークでバンドとして機能するようになった。

2021年2月にShinryu師範が加入し、ふたたび前向きな活動が出来るバンド体制となり、Nabeshimaアルバムを海外のレーベルからリリースし、僕らのひとつの目標は久しぶりの海外遠征を行うことだった。

しかし、世界情勢はパンデミックの真っ只中で、状況は思わしくなかった。
海外渡航には様々な制限があり、現実的ではなかった。
また社会情勢もライブ、コンサートが出来る状態ではなかった。
なので僕たちはタイミングを待った。

NabeshimaをリリースしたSliptrick Recordsは北欧、東欧に位置することから、その繋がりを使って、ヨーロッパのそれらの地域をツアーすることも選択肢の中にあった。
しかし、2022年になってみると、東ヨーロッパでは戦争、紛争が起きて、世界情勢としてやはり難しかった。

 

だが、2022年、3月頃のことだったと思う。
僕は、なぜだか今年、アメリカにおいて、ふたたびThe Extreme Tourに行かなくてはならない、という思いに駆られた。

それが何故なのかはわからない。
けれども、それは神の導きとしか言いようが無いものだったと思う。

どうしても僕らはアメリカに馴染みがあるということ。
そして、その時点で入国などの条件もアメリカの方が容易であったこと。

そして、やっぱり、あの体当たりなストリートツアーを、もう一度やってみたかった。
少しでも若いうちに、歳を取り過ぎる前に、あの信仰とロックのストリートファイトの中に、飛び込んでみたかった。

 

バンドとして久しぶりの海外遠征を企画するにあたって、ブッキングや費用の面で、自ら企画するよりも、The Extreme Tourに飛び込む方が有利だったということも現実的にある。

でも、それよりも、何よりも、ミュージシャンもスタッフも皆、本気でロックで信仰を伝えることに一生懸命で、そして何より神へのodedience(忠実であること)、神の愛に溢れたこのツアーに共に参加し、仕える(serve)ことで、自分たちのサウンドの中に込めた信仰を確かめたかった。その表現者としての信仰上の理由が、一番大きい。

そして、もうひとつ。
あの美しいワーシップを、もう一度体験したかった。
別にきれいな教会や、大きなホールで鳴らされるのではない。
夜空の下で、何もない小さな町で、皆で神の愛と祝福を感じ、鳴らされるワーシップ。
その愛に満ちた瞬間を、もう一度経験したかった。

そんなところだろうか。

 

 

なにしろ前回アメリカを訪れ、バンドとしてThe Extreme Tourに参加してから、10年もの時が経っている。

その間に、僕たちは成長した。成長したはずだ。
もちろん、振り返ると当時も良い演奏をしていたと思う。
あの時、もっとああしていれば、とか、色々なcould have、should haveは今でも思う。
失ったものもたくさんあるかもしれない。

けれども、僕たちは前に進んだ。それは確かだ。
溌剌と円熟が共存する”Revive The World”を作り、日本の歴史のコンセプトアルバムであり会心のメタルアルバムである”Jesus Wind”を作り、日本語アルバム”Overture”、いくつかのEP、そして”Nabeshima”を作り上げた。

それらのものは、あるいは「もっとうまくやって」商業的な成功を収めていたら、作れなかったものかもしれない。
そして、10年。
それらの作品の楽曲を、僕らはまだ日本の外では鳴らしていないのだ。
いくつもの曲が、バンドのセットリストの中で定番となったにも関わらず。

だから、”Jee-You”も、”Repent”も、”Unlimit”も、”God Anthem”も、強いメッセージを込めたそれらの曲を、やっとアメリカの地に届けることが出来る。

 

タイミングとしては満を持して、という感じだったと思う。
Shinryu師範が加入してから、ちょうど一年半。
バンドの演奏はタイトに固まり、一体感も出て、楽曲のレパートリーもちょうど充実した。

上記の動画の中でも述べていると思うけれど、パンデミックや戦争などの不安定な国際情勢、社会状況の中、このツアーを完遂することが出来たのはある意味でちょっとした奇跡だったかもしれない。

飛行機のチケットを取るところから、過去とは随分状況が変わっていたし、アメリカのThe Extreme Tourの側と連絡を取り合うところから始まって、必ずやるのだ、と心に決めていたからこそ、なんとか道を見つけることが出来た、という感じだ。

そして、タイミング的にも、ツアーに出かける直前になって、米国の入国にあたっての条件や、日本に帰国する際の条件が緩和されるなど、うまく追い風になったと思う。

 

そして結論から言えば、
ちょうど10年ぶりとなる、僕たちImari Tones (伊万里音色)にとってのアメリカ遠征であったわけだけれど、
和風クリスチャンメタルを追及していた近年の方向性も含め、メッセージ性などもより強く、円熟した形で、かといって若い頃に持っていた信仰の純粋さ、ストレートな表現を失うこともなく、充実した演奏内容で各地を回ることが出来た。
結果として手応え十分の、大成功と言えるツアーとなったと思う。

もちろん、The Extreme Tourは草の根のミッショナリーツアーであるから、規模は必ずしも大きくはないが、だからこそ政治的なしがらみなどに関係がなく、その場その場でガチの勝負をして、そしてオーディエンスをノックアウトしたという点が、やはり大きい。

演奏の出来に若干の(ほんのわずかな)波は、生身のバンドなので少しはあったが、すべてのライブで「大好評バカ受け」となり、物販もだいたい売り尽くして帰ってきた。

 

今回のツアー、遠征で、もっとも感慨深かったのは、ファンからのサポートだ。

今回はクラウドファンディングという形は取らず、直前にEPをリリースし、Tシャツを販売し、Bandcamp経由で支援を呼びかけた。

また、ひとつの大きな事件として、行きの飛行機でギター(HamerのフライングV)が破損してしまうという事故があったのだが、「修理費が必要だから助けて」とソーシャルメディアで呼びかけたところ、かえって予定よりも多くの金額が集まり、費用的に非常に助かった。

今はガソリン代も非常に高くなっているので、またアメリカもインフレで物価も上がっているところ、各種費用は心配だったのだけれど、こうしたご支援をいただき、また物販も順調に売れてくれたおかげもあって、それらの費用はだいたいカバーすることが出来た。

それはつまり、さすがに飛行機代まではカバーできなかったのだけれど、それ以外の費用はだいたいなんとかなった、という感じだ。

 

The Extreme Tourはイエス・キリストの愛を伝える宣教のためのツアーである。
キリスト教の人々は、そういった宣教ということについて情熱を持っている人が多い。
だからこそ、ロックを通じてハードな宣教を行うThe Extreme Tourや、僕らのようなバンドに対しても、ファンの皆さんは熱い支援をしてくれる。
そして、僕らもそれに答えて、熱いメッセージを伝える活動をしなければならない。

The Extreme Tourは、その運営趣旨として、オリエンテーションなどの形でアーティストにも教えている。
つまり、聖書にあるように、まず神を、神の国を第一に求めよ、そうすれば、他の必要なものはすべて与えられる、と。
それを信じて、大きな目的のために、踏み出してみなさい、と。
信じて踏み出せば、必ず色々な形で、神様は必要なものを備えてくださる、と。

それは、その言葉が語られた新約聖書の約二千年前の福音であっただけでなく、現代を生きるインディミュージシャンにとっても、そのあらゆる活動において当てはまる指針であり福音であったと思う。

今回は、そういった「神を信じて踏み出す」ことと、ファンや関係者の皆様からのご支援ということを、強く実感することが出来たツアーだった。
それは、僕たちは依然として小さなニッチでプレイしているobscureなバンドであるから、規模は小さいものの、手応えとしては確かなものであり、今後へ続いていく、非常に勇気づけられる経験だったと言っていい。

 

また、上記の動画でも話題にしているのだけれど、
かつてアメリカでのThe Extreme Tourに参加した時から、10年もの月日が経ってしまったということで、「果たして自分たちは、もう歳を取り過ぎているのではないか」という懸念、心配があった。

また、10年も月日が経っているのだから、The Extreme Tour自体も、以前とは変わってしまっているのではないか、という予想もしていた。

そして、この10年の間の世界の変化。
音楽シーンの変化。ロックシーンのみならず、音楽産業そのものの変化。
またそれ以上に、世界そのものの変化。

ロック、生演奏によるライブ、バンド。
そういったものが、すでに流行らなくなっている時代で、The Extreme Tourをめぐる状況も変化しているのではないかと、そんな予想もしていた。

そしてトランプ以降、パンデミック以降の、変わってしまった世界、変わってしまったアメリカで、いったい音楽をめぐる状況はどうなっているのか。

 

結果として、「自分たちはこのツアーをやるには歳を取り過ぎているのではないか」という心配は杞憂に終わった。

なぜなら、
時代とともに、
ロックンロールそのものが歳を取り、
またThe Extreme Tour自体も歳を取っていたからだ。

10年前に参加した時、まだThe Extreme Tourは「イケてる」要素が多分に残っていた。
共に参加し共演したバンドは、若く、ルックスが良く、売れそうな楽曲を演奏し、未来の可能性がある、そんなバンドがいくつもあった。

だが、今回、10年を経て参加してみて、僕たちが見た様子は少し違った。
年齢層も幅広い。
つまり、ロックミュージックは最早、若者のものではない。
(これは日本に居ても日々、色々な場所で皆さん見ている事実だと思う。)

そして、イケてるという感じは、あまりしなかった。
つまり、バンドが成功するためにツアーをするといった、商業的な要素は、より薄れていた。

 

今回参加して感じた印象。
それは、The Extreme Tourはもともと、地域のコミュニティにおいて、outcastであったりアウトサイダーである、「傷付いた人々」に愛を届けるためのものだ。

だからこそ、チーム、スタッフ、アーティストにも、そんな人々に愛を届けるためのディープな何か、ハードな根性、セキュラーな世間に対して容易に尻尾を振らないような何かが必要になってくる。

だが、今回参加してみて、むしろツアーメンバーであるアーティストたち本人が、ある意味で「傷付いた人々」であるように感じた。

これは、けれども、The Extreme Tourの本質を考えれば、むしろ正当な進化であり選別だったのかもしれない。

つまり、ツアー先の各地域において、アウトサイダーあるいはアウトキャストである傷付いた人々に「神の愛」を届けるためには、若くてイケてるアーティストではなく、必ずしもイケてなくとも、ディープな何かを持った、自らも傷付いた表現者の方が、適していたということではないだろうか。

 

そしてこれは、ロックンロール、ロックミュージックそのものについても同じことが言えるように思う。

ソーシャルメディアが世界を支配し、成功といえばソーシャルメディア上での成功を指すようになって久しいこの世界の中で、現実にバンドを組み、ツアーに出掛け、オリジナルの音楽を作り、ロックを演奏しようとする者は、決して多くない。

だが、今でもそれをやっている人間は、よほど根性のある人間だ。

そのように、表面上は「寂れた」としても、スピリットは却って強くなっているように感じた。

 

The Extreme Tourに関してもそうだ。
年月が経つにつれて、それは「売れ線」のものではなくなっていったかもしれないが、かといって本来の目的、本質、そのスピリットには、むしろ近くなっていった。
そういうものかもしれない。

10年前にも参加したX-Fest、今年から名前がFire Festと変更になった、あのクリスチャンミュージックのフェスティバル、それについても同様のことが言える。

長く続いているあのフェスは、これまでに何度か名前を変えて行われてきたそうだが、初期の頃は、本当に賑わっていたらしい。けれど、それが年々、続いていくうちに、根性のある奴しか残らなかった。それは、ロックミュージックというだけでなく、クリスチャンミュージックを巡る状況のせいもあるだろう。つまり、クリスチャンロック(ロックに限らず、ヒップホップ等のセキュラーなスタイル全般の音楽)を演奏するということは、やはり本質的に難しいことである、ということ。その高いハードルに向き合い続けた結果かもしれない。

 

今回、ツアーの日程のいちばん最初に、そのFire Fest (元X-Fest)での演奏が組まれていた。

ワシントン州スティーブンソン(Stevenson WA)で行われるそのインディスピリットと信仰のスピリットに溢れた、そのフェスティバルで、僕らは10年前にも演奏した。

その10年前の演奏は、非常に祝福されたもので、僕らは歓迎され、とても良い演奏をすることが出来た。
だからこそ非常に思い出深く、また思い入れもある、そんな場所である。

その場所での演奏から、今回のツアーはスタートした。
そして、ある意味では10年前以上に、祝福されたと言っていい。
非常に良い演奏をすることが出来た。

また、10年ぶりであるにも関わらず、そこには10年前にも居てくれた、見覚えのある顔がいくつもあり、僕らはまるで、そんなに時が経ったとは思えないほどに、「まるで故郷に帰ってきたかのような」祝福を受け取った。

 

そういう感覚って、バンドでツアーをしていれば、きっとたくさん経験することかもしれない。
バンドで演奏し、気持ちを伝える、愛のメッセージを共有するということは、それくらい深く魂に刻まれる経験だからだ。

一発目から、そんな場所からのスタートであったから、今回のツアーは、最高の形で、良いスタートを切ることが出来たと言っていい。

そして、3週間でいくつもの町を回る中で、多少の波はあったが、きちんとメッセージと観客にそして音楽に向き合う演奏を続け、後半ではSalem OR (セイラム)での演奏がハイライトとなり、最高潮のままで日程を終えることが出来た。

 

そのStevenson WAにおけるFire Festの初日のビデオが、すでにYouTubeに上がっている。

 

 

Fire Festでは、フェスの2日目、3日目と二度の演奏をさせてもらったが、これはその2日目の夜に行った演奏、その最初の3曲のビデオである。(全編の映像もあるにはあるが、こんなに映像のクオリティはよくない。これはツアーチームの仲間が4kで撮ってくれたのである。)

ツアー中の演奏のビデオは、映像が残っているものについては、出来ることなら全部アップしたいくらいだが、少なくとも後半のハイライトであったSalem ORでの演奏の様子はアップしようと思っている。

 

アクシデントやドラマに満ちた、満身創痍のツアーであったと言っていい。
出かける前にも帰ってきた後にも色々とあった。(書かないけど)

日本からロサンゼルスへ向かう飛行機でギターが破損したことから始まり(これについてはまた別途書こう)、チームと合流する前に僕は滞在先の宿で足の裏にあるものが突き刺さり、一時は歩けなくなる程だった。(誰も気付かなかったかもしれないが)

また、The Extreme Tourとスケートボードは切り離せないが、10年前に参加した時は、僕はスケートボードをやっていなかったが、その後、始めたので、今では僕は(下手だけど)スケーターのはしくれである。

だから、ツアー中にもスケートボードをやる機会がたくさんあった。それは、スケートパークでイベントや”Search&Rescue”の活動を行うからである。そして、ギタープレイヤーとしては、ツアー中にスケートボードをやるというのは、なるべく避けたいものだ。それは当然、怪我の元となり、演奏に支障が出るからだ。古くは80年代に、スケートボードを愛好していたJames Hetfieldがスケート中の怪我により、メタリカのツアーが何度もキャンセルになったという事実がある。そんなふうに、普通はギタープレイヤーは、ツアー中にスケートボードをやったりはしない。

だが、他でもないThe Extreme Tourに参加して、たとえテクニカルなギタープレイヤーだといっても、スケートボードをしないわけにはいかない。

だから、僕はツアー中に、結構がんばってスケートをしていたが、いかんせん、普段の環境のせいでフラットグラウンドしかしない下手くそなスケーターであるからして、ランプに挑戦する中で、やっぱりひどい転び方をして左手を痛めた。
そして、一時は、ギターが弾けない、演奏が出来ないという状態になった。
そして、たぶん間違いなく、肋骨にもヒビが入っていたと思う。

けれど、かといって、幸いにして、そこまで致命的な怪我ではなかったし、チームの皆のお祈りのおかげもあって、痛みを感じながらもなんとか演奏が出来るところまでは回復したのである。そしてステージが始まってしまえば、もう痛みは感じなかった。こうして話せば、大したことないように思うかもしれないが、そんなことはなく、ヤバい、これは演奏できないな、という状態だったのだ。しかし、根性とか、祈りとか、そういったものは不思議なものである。そして、人間の本質は、そして神の創られたこの世界の霊性は、そういったものの中にこそあるように思う。

 

アクシデントという意味では、ツアーチームの他のバンド、アーティストたちも、様々なものに見舞われていた。車が壊れるといったことはよくあることで、バイクを盗まれたり、なんか色々なことがあったが、そのたびに、みんな見事に乗り越えていた。日本には人間万事塞翁が馬という言葉があるが(中国の故事)、悪いことがあっても、信仰を持って踏み出せば、なんかしらんが、それは幸いになって戻ってくる、やっぱりそんな事例をいくつも見たように思う。

 

様々な出会いもあった。
その中には、本当に人生を変えるような出会いも少なからずあったと思う。
それは言うまでもなく素敵なものであり、またそのひとつひとつが奇跡であったが、それらをひとつひとつここで書き記すことは敢えてしないでおこう。
けれど、そういった出会いのひとつひとつが、これからの自分の生き方をきっと変えてくれるはずだ。

 

2022年にもなって、ロックバンドがツアーをして、CDが果たしてくれるのかと思っていたが、Tシャツが売れるのは当然であるとして、やはりCDも売れた。それは、時代的には現実に使うものではないかもしれないが、それでもまだ、記念のフィジカルアイテムといった意味合いにはなるのかもしれない。

物販については、The Extreme Tourは、様々な状況で、野外の会場で、ゲリラ的なセッティングで演奏を行うので、その状況によって物販が売り易い時とそうでない時があったが、結果的には持っていった物販はほとんど売りつくした。最初のフェスティバルの時点で半分以上売れたことも幸いだったと思う。やはり日本人ということで目立っており、その点も有利だったし、演奏も毎回大ウケだったので、幸運だった、順調だったと言える。

日本のバンドとして、また「日本のクリスチャンバンド」としても、恥ずかしくないよう、毎回ぶっとばしてきた、ということは断言できる(笑)
過去にアメリカに行った際にも、胸を借りに行くみたいに思ったことはない。クリスチャンの信仰の意味でもそうである。日本人はおしなべて優秀であるから、ぶっちぎりの演奏をするのは当然である。信仰の意味でも、アメリカ人以上に熱いものを見せるつもりでやっている。

 

 

皆さんのお世話になりっぱなしのツアーでもあった。
バンドとして、人と出会うこと、旅先で、なるべく色んな人々のお世話になることが、目標のひとつでもある。
宿泊、滞在についても、なるべくお金を払ってホテルに泊まるよりは、現地の人と繋がりをつくり、お世話になりたい。その中で、また意義のある交流をしたい。

そういう意味では、不器用ではあったが、僕らは今回の旅においては結構やれた方だと思っている。これは純粋に幸運であり、祝福だったが、言葉にしてしまうと陳腐であるけれど、
本当に、お世話になった皆様、出会った人々すべて、感謝しかない。

 

本当に、本当に、
ありがとうございます

そして神様にありがとう
あなたの導きにありがとう
サンキュージーザス
イエス・キリストの愛にありがとう

これは本当に大き過ぎることで、
だから生涯をかけて、歴史の中で小さな一人として
僕もその愛を歌っている

 

そんなところだろうか。
すべてを言葉には出来ないし、感情や出来事をすべて言葉にして書き記すには、僕はもう歳を取り過ぎている。

また、折に触れて書くことにしよう。
とりあえず、次の一歩を僕らは踏み出さなくてはならないのだし。

 

あの神への愛を共有する夜空のワーシップを、最高の形でふたたび体験することが出来ただけでも、本当に幸せだし、キリスト者として、ミュージシャンとして、また信仰の表現者として、このディープな旅路を体験できたことは本当に本懐というか、本望であったと言える。

 

そして言いたいことは、
この音楽と信仰の旅路を経験し、僕らのバンドはまた大きく成長した。

Shinryu師範のサムライとしての姿。
Marieの本質と存在感。
そして僕もまた表現者として成長した。

国際的に通用する日本発のハードロックバンドとして、アイデンティティを築き上げ、より高く飛ぶ準備が出来たと言える。

(もっとも、国際的な演奏表現だけでなく、もっと日本人に向けた、domesticな表現も計画しているけれど)

 

これからも着実に演奏活動をしていく予定ですので、ぜひともご注目していただいて、ライブを見に来て、体験していただけたらと思います。

 

ライブ予定は、ウェブサイトはあまり更新していないから、ソーシャルメディアを見てくださいね〜

ていうか明日、吉祥寺でライブです。

Shinryu師範のインスタグラム
https://www.instagram.com/shinryu_2021/

Imari TonesのFacebook
https://www.facebook.com/imaritones

 

 

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