2016年6月の日記

■…2016年 6月 2日 (Thu)…….Paul Reed Jump to the conclusion Smith
友人のライヴに誘われたので、なぜだか秋葉原から新宿まで歩いた。歩く間にもいろいろなことを考えた。散歩は大事だ。折にふれて風に吹かれて歩きたいものだと思う。

眠れぬ夜にしょうもなくギタートークを書いてしまう。すみません。
ところで先日TwitterやFB等にポストして「これはやばい」的に書いたMomoseのキューバンマホガニーのレスポールである。この機会にと思い実物を試してきた。だが、ネットで動画見た時にはあれほどすげえと思ったのだが、実物は残念ながら若干let downだった。
もちろんMomose/Bacchus/Deviserらしく、きちんと作られたセットネックだし、素直な音もして、ピックアップの反応も素晴らしいのだけれど、それ以上のものは感じなかったと言うべきか。

これはいくつか理由が考えられ、それは、わざわざ書く必要もないが、書いてしまうのが悪いクセなのだが、ひとつの可能性としては希少材とか幻と言われているキューバンマホガニーそのものが、絶対量の少なさもあって、(ネック材として)現実にはあんまり良くなかったりする可能性がひとつ。ふたつめは、ボディがホンジュラスマホガニーだったが、実のところヴィンテージの再現を謳ったホンジュラスマホガニーのレスポール弾いて良いと思ったことが無い。本当の古いヴィンテージは知らんが、現代のやつはそうだ。そのせいである可能性がふたつめ。みっつめは、持った感じ3.8kgくらいの感じだったが、現行のホンジュラスマホガニーでその重量はあんまりないのだろうし、持った時の重心の感触で、たぶんこれは中くり抜いてあるのかなー、って。もちろん、ウェイトリリーフくり抜くこと自体は別に悪くないんだけれど、このギターの場合は、それがあんまりプラスに作用してないのかなぁ、という可能性、これがみっつめ。
個体差ということもあり得るが、あの試奏動画のサウンドは、ピックアップの素直な反応の良さと、弾いているギタリスト(Dimensionの増崎氏)が超一流だから、ということが大きいのかもしれない。
もちろん、良い楽器だったし、十分に素晴らしい楽器と言えるものだったけれど、正直、手元にある猫ポールの方が5倍はいいかなぁ、っていう。これにはいろんな理由があるんだろうけれど、このへんの事情は、いろいろと難しく、さすがに文章にできない。どちらにせよ手元にある猫ポール、およびショコラは、思っている以上に貴重なものとして考えた方が良い。

どちらにせよ今日は僕は猫ポールを越える楽器を期待して、自分自身の価値観を越えてくれるものを期待していたのだけれど。つまり世界最高のやつを。ついに猫ポールを越えるものに出会えるのではないか、と。しかし現実はそうではなかった。これは音楽聴いたり、バンド聴いたり、音楽に触れるときも同じ。

ついでにってわけじゃないが、これもずっと試したいと思っていたもの、それはPRSのシングルカットのモデル。
たまたまここ数日もまた思い出したようにAlter Bridgeを聴いていたのだけれど、CreedやAlter Bridgeのファンとしては、Tremonti先生が弾いているシングルカットタイプのPRSを、一度どんなだか、試してみたくって。でも、PRSのシングルカットのモデル、なかなか見かけないじゃん。
もちろん、Tremonti先生は良いギターを弾くし、1、2年前に見た来日コンサートでも、Tremonti先生だけでなく、Myles Keneddy氏も、というかどちらかというとマイルス・ケネディの方がヴォーカルだけでなくギターの面でもMark Tremontiよりも目立って良いギターを弾いていたという(笑) それも素晴らしい演奏だったので。どちらにせよ「いけてそうなセットネック」はどんどん試してみたいのだ。

もちろん、世の中ではPRSというのは押しも押されもせぬ高級ギターとして通っているし、PRSを使って素晴らしい演奏をするギタリストもいっぱいいる。そして、友人や知人の中にもPRSを使っている人もいるので、こういうことを馬鹿みたいに素直に書くとアレなんだけれど(繰り返しますがだから出世しない)、
シングルカットのPRSも、やっぱりPRSだったというか。
俺の中では、「ダメなセットネック」ということになった。
今までもPRSを何本か試して、良い印象を持ったことは無いのだけれど、
ちょっと期待していたシングルカットのタイプを試してみた結果がこうだったということで、もう自分の中では結論にしてしまって良い気がしている。
もちろん、プレイスタイルや、ピッキングや、求めるもの、用途は、ギタリストによってそれぞれなので、解答は人それぞれ違って当然だけれど、
少なくとも僕の人生の中における現実としては、PRSはク、、、げほげほ、「あまり良くない」ということなのだと思う。

奇しくも、見に行った友人のバンドのギタリストさんも、PRSを使っていたわけで、偶然の皮肉というか。事前にリハーサル音源をもらっていたので、「いけてないセットネックの音、しかしアーミングをしている?」と思っていたのだけれど、ああ、そういうことか、と。はい、音が抜けてこないことは、やる前から分かっていました。前にも何度か見た気がする、同じような場面。

しかし、アンサンブルとは人生であり、また、人間関係でもあります。
だからこそ、バンドなのであり、その人間関係の中に、ひと工夫、ふた工夫、することで、良好に音が調和するのであれば、きっと使ってもらう楽器も、ハッピーになることでしょう。工夫の余地は、いつだってあるはずなのですから。

No(4686)

■…2016年 6月 5日 (Sun)…….敵さんテキサン適さん
Listening to lots of ZZ Top recently. When we visited Texas, someone told me “We are Texan, not American. We are better than American.”
Back then I laughed. But when I listen to ZZ Top (’70s stuff), I feel like “Oh maybe he was right….?” On the other hand when I listen to their ’80s stuff, I listened to “Afterburner”(1985) and then I listened to “Eliminator”(1983) and thought it was the same CD. Seriously, the same sound, same riff, same melody. Surprised. Still great music though.

最近ずっとZZ Topばっか聴いてるんだけど、
70年代のアルバムをいっこずつ聴きつつ、80年代の売れ線アルバムも聴いてみてるんだけど、”Afterburner”(1985)を聴いた後に、”Eliminator”(1983)聴いてみたら、まったく同じサウンド、まったく同じリフ、まったく同じメロディで、間違えて同じアルバム再生してしまったのかと焦った(笑) まったく同じやん(笑) まったく同じアルバムを2枚作ったZZ Topすげえー! たとえAC/DCでもここまで同じじゃないと思うぜ!
そういう笑い話はともかくも、70年代のZZ Topのやばさは半端ない。さすがジミ・ヘンドリクスが当時「若手ナンバーワン」と言っただけのことはある。以前テキサスに行ったときに、どこかの人が「俺達テキサス人は他のアメリカ人とは違う。テキサスというのはひとつの国で、他のアメリカ人よりも優秀なんだ」という話をしてくれたんだけど、その時は笑ってスルーしたけど、ZZ Topを聴いていると、なんとなくそんな気になってくる。
あと思ったのは、なんか聴いたことあるなこれ、と思って。あ、Panteraだ、と。つまりパクるってことなんだけど、ミュージシャンにとってパクるっていうのは普通のことだし否定しないんだけど、問題はそれがかっこいいかどうか、パクるにもかっこいいパクリかたとかっこわるいパクり方があるんであって。そのあたり某日本の人気ユニットを批判するわけじゃないが、つまりPanteraおよびDimebagがZZ Topのフレーズを弾くってことは、「これが俺達テキサスロックの誇りだぜ」という意味になるんであって、それは単なるパクリやオマージュ以上の意味があるってことだよね。
こちら

No(4687)

■…2016年 6月 5日 (Sun)…….がばがば塀
先日、某動画サイトで”Rockn’Roll High School”の映画を見てしまい、笑えるお馬鹿映画だったが、「ラモーンズかっけー」(超今更)となったんですが、「あのガバガバヘイって曲かっけー」って思って検索したら、”Pinhead”というタイトルだった。しかし絶対みんなガバガバヘイだと思ってるだろー。同様に「ヘイホーレッツゴーって曲かっこいい」と思ったら”Blitzkrieg Bop”なんていう立派なタイトルの曲だった。でも世界中のファンの9割は絶対「ヘイホーレッツゴー」だと思ってるに違いない。あと何かのジョークで聞いたには昔どっかのフェスティバルでRushだかPink Froydだかが1曲演奏している間にRamonesがアンコール含めて全部終わったとかいう話が。どっちにしてもラモーンズいいねー!

No(4688)

■…2016年 6月10日 (Fri)…….昨日FBにポストした工場見学日記
ここ数年来気になっていたギターメーカーの工場見学に行って来た。営業の方にお時間割いて色々お話頂き大変かたじけない。貴重なお話を聞けました。わりとサックり短時間な見学行程でしたが、鬼気迫る雰囲気を感じることが出来ました。ここに工場見学に来る者にとっては「動物園のパンダ」(例えが悪くてスミマセン)的存在である百瀬さん、「写真撮ってもいいですか」と営業さんに聞いたら「忙しそうなんで」(汗)との事でしたがご親切に会釈して声をかけて頂きました(微笑) お目にかかれて良かったです。

見学の印象ですが、まさに男の勝負の場といった感じで(女性も居るみたいですが)、非常に緊迫感がありました。元(あるいは今も)バンドマンも多いのでしょうが、その気迫と集中力と緊迫感は、まさに優れたバンドがステージで音を奏でる緊迫感とまったく同質のものでした。若い方が多かったですが、まるで歴戦のバンドマンか、ブッチャーズの射守矢さんみたいな「目付きの鋭いイケメン」が集団で、意地と魂を懸けた男の仕事をしていました。そしてその仕事場で皆さん木工とかそれぞれ仕事をしてらっしゃる、その木の音とか工具の音、その音が一体となって奏でるアンサンブル、ハーモニー、そして音楽が確かに聴こえました。それは久しくここ数年来、僕が聴いた音の中でも最も印象に残る[音楽]であった。その事に間違いありません。ここまで[勝負を懸けた]、[命懸けの男たち]が、これほどの[勝負の場]としてひとつひとつの楽器を作ってるんやー、と思い、そしてそれは音楽を作り鳴らす勝負の場とまったく同質の波長と気迫を持った[勝負]であり、とても身が引き締まると同時にまったく圧倒でとてもヘラヘラと笑う余裕は僕にはありませんでした。この命懸けの場に混じれる気は一切しません。俺は俺の[命懸けの場]で命をかけるのみです。そしてやはり長野県だろうとどこだろうとそんな事は関係なく、現場で技術を発揮して頑張っているのは「現代の若者たち」であり、エレクトリックギターという楽器の特殊性も含めてこういった場所は珍しいというか非常に不思議な場でありました。意地をかけて日々楽器と仕事に向き合うこの「目付きの鋭い本気の男たち」、有名な百瀬さんに限らず、彼ら一人一人が「名人」であり「職人」であるのだと思います。

たとえそれであっても楽器というのは(音楽と同様に)難しいものであり、たとえBacchus / Momose / Headway であってもすべてが良いとは限りません。これはダメじゃね、っていうやつもいくつも見て来ました。そしてそんな男たちが勝負をかけて一本一本作っているものだからこそ、こっちも本気で「よし、俺はこのサウンドに命を懸ける」あるいはダメな場合は「こいつはダメだ!」と、手加減無しに向き合わなければいかんのだと、そう俺は思いました。そしてショールームで弾かせていただいたいくつかの楽器の感想はまた別途書かせて頂きます。手加減しないぜ!!

No(4689)

■…2016年 6月11日 (Sat)…….想像し過ぎる感想
さて、記憶が少しでも鮮明なうちに感想を書いておきたいんですが。
すでに結構記憶があやふやです(笑)

先日、長野県は松本市とか、ディバイザーさんの工場見学に行った際の。
見学の印象については先日書いた通りで、「予想していたよりもはるかに緊迫感のある」制作の現場の雰囲気と、その仕事の音が奏でる熱いハーモニーとアンサンブルに強い感銘を受けたのですが。

ショールームで試させていただいたいくつかの楽器についての感想。忌憚なき感想。

楽器の感想よりも先に、旅路の感想ですね。
諏訪湖のほとりでぼーっとしてきたんです。日本酒飲んで。
あとは晩飯食った飲み屋の主人がいろいろ話してくれたこととか。
そんで帰ってから柳ジョージさんをYouTubeで聴いてみたりとか(笑)
あとはケーブルテレビのローカルチャンネルが想像以上にぶっとんでいたこととか。
それはそれは、もちろん嫁さんと一緒にたとえ短い「出張」であっても街を歩くのは、とてもかけがえのない時間であり体験です。

ディバイザーさんを訪れる際にも、歩いたんだよね。徒歩30分とか、わざわざ。だって、街の様子、見れるじゃん。肌で感じられるじゃん。あ、百瀬って名字、本当に多いんだな、このあたり、って思えるじゃん。

アレなことを言えば、個人的には「山」はカルトとか新興宗教とは相性がいいと思っているし、古今東西の例を見るまでもなくそもそも山っていうのは宗教とは相性がいい。でも今までに見た「山々」の中では、それほど「嫌な感じの」スピリット的なアレは今回の旅路の中ではそれほどには感じなかったかな。さわやかな信州だったよ。天気予報も雨の予報だったけど結局気持ちのよい快晴だったしね。

でもどちらにせよ、たとえ木工の街とか、ギター工場が多いって言っても、そんな静かな山の中の街にいきなりこんな若者たちの「熱い」戦いの場があるというのは不思議なことだと思う。場所は関係ない、というべきか。

ぜんぜん話がそれまくりだがギターの感想だ。
それよりも前に言っておくのは、僕は決して世界一のギタリストでもなんでもないし、自分なりのスタイルで自分なりのハードロックやヘヴィメタルを弾いているだけの人間だ。
そして、しょせんはメタル畑の人間だし、またピッキングとか演奏のスタイルも人それぞれスタイルがある。

だから、僕にわかるのは、自分にとってどうか、自分の音楽にとってどうか、自分の人生にとってどうか、ということが、自分の価値観の中でわかるだけであって、僕にわからないことはたくさんあるし、これは自分なりの感想に過ぎない。だから他の人から見たら、ぜんぜん違う結果になるかもしれないし、そうなって当然だ。

そんで、僕はアコースティックギターは全然うまくないし、エレクトリックギターよりもアコースティックギターはより全然知らない、わからないし、専門の外だ。だから、僕のアコギの評論は当てにならない。

以上を踏まえて。

ショールームには、タイミングが悪く、というのか、まぁFacebook等を通じて知ってはいたんだけど、ディーラー対象の商談会みたいのの直後で、かなりの楽器が売れてしまった後であり「ちょっと前まではもっといっぱいいろんな楽器があったんですけどねー」と営業の方にも言われた。しかし、その商談会のリストもウェブサイトでギャラリーを見ることが出来るが、ほとんどのものには僕は興味は無いのだ。だから、自分が興味のある楽器をいくつか試すことが出来て、僕としては全然満足だった。

ああそうだ、見学の感想はいっぱいあるし、営業の方にお話いただいた内容とかも僕としては貴重なこともいくつもあったんだけれど、見学している中で、塗装をする部屋っていうのか、塗装している部屋も、案内してもらったんだけど、それはもちろん、中には入れないんだけれど。ただ、「ここはボルトオンの塗装の部屋で、セットネックの塗装はあちらの違う部屋でやってます。」って言って、そっちのセットネックの塗装ルームは見せてもらえなかったんだけれど、なぜなんだろうぜ。ギター製作の知識がある人だったら、その理由がわかるのかもしれないが、僕はわからない。わからないので、いろいろな理由を想像してしまう、のは行き過ぎだろうか。きっと行き過ぎだろう。だが、ファンとしては「まさか」を想像してしまうのだった。それは、自分の「手」でもうちょっと状況証拠を確かめてみたいけれど(弾けばわかる、的な)、たぶん想像のし過ぎだろうな。よく考えれば塗装は最後に行うことだし。どちらにせよ、いくつかの「他社OEM」は見かけたけれども、だいたい知ってたし(楽器屋さんで眺めてれば、だいたいわかる。あ、これはきっとディバイザーさんとこで作ってるんだろうな、というのは。)。思ったよりも他社ブランドの下請けとかOEMは少ないんだな、というのが正直な印象だった。

さて感想。

いちばん期待して、弾いてみたかったのは、STRブランドでSierra Seriesとして発表された、LJ-2という、フロイドローズの付いたレスポールである。
つまり、僕はBacchusとかMomoseの、ディバイザーさんとこの作るセットネックのギター、つまりレスポールとか、はすごく高く評価しているんだけれど、そこにフロイドローズをのっけた、よりヘヴィメタル仕様なギターがどんなだか、そしてまた、STRブランドとして作られた、明らかに本気を感じるギターを、「これはまさか俺のために作られたのではなかろうか」と、ぜひぜひ試してみたかったのである。営業さんいわく、5本くらいしか作られてないそうで、ネット見ても、どこのお店にも置いてなく、どこで売ってるんだよ、と、だからこの機会に試したかったのである。
こちら

しかし、試してみたら、これが僕としては「あんまりよくない」という感じだった。一緒にためしたMomoseのレスポールと比べ、ネックもかなり薄く作られており、それはもちろんメタル系のテクニカルなプレイに対応するためなんだろうけれども、その薄めのネックのせいか、あるいはフロイドローズのざぐりの影響とかかもしれんが、音もやっぱり、ちょっと軽い音だったのである。そして、それは俺としては「どうかな」というくらいの軽さであり、サウンドだったのである。もちろん、これはプレイスタイルや、音作りや、求めるものによって違うのかもしれんが。少なくとも俺としては、かなり期待して楽しみにして試してみたこのSTR LJ-2、ちょっとざんねん、という感じであった。

同じフロイドローズの付いたレスポールタイプということで、その流れでCraft SeriesのDuke-Light Proも試させていただいたのだが、俺としてはこっちの方がいいんじゃないかな、という印象だった。
こちら
もともとがBacchusさんの作る楽器は、どれも製作のクオリティということについては高く、値段とかに関係なくクオリティ高いので、上位機種のHandmade Seriesが良いのは当然だが、Craft Seriesとか、フィリピン工場のGlobal Seriesに関してもクオリティは恐ろしく高いのである。だから、値段の安い方の機種が、ある意味上位機種以上に良い、ということも、体験的にも全然あり得ると思う。そういう意味もあり、またネックもこのDuke-Light Proの方が太かったし、まだこっちの方が「使える」音かな、という印象を持った。まあ用途の問題かもしれんが、やはりどちらにしても「これは是非欲しい」というところまではいかなかったので、これはやはり、「そもそもレスポールにフロイドローズをのっけるべきなのか」「そこまでしてアーミングがしたいのか」という命題に、やはり立ち戻って考えてみる必要がありそうだ。

レスポールタイプとしては先日から何度も話題にしているMomoseのキューバンマホガニーのモデルである。ちょっと前に、秋葉原で一本試した際には、「思ったより良く無い」という感想を持ったのである。
こちら
しかし、この時ショールームで試させていただいた時には、「あれ、思ったより良い」という感じになった。これはたぶん明らかに個体差で、重量も4.0kg前後かなーという印象で、秋葉原で弾いたやつよりちょっと重かったし、個体差なんだろうと思う。ネックもいかにもしっかりしてたしね。で、「この前秋葉原で弾いたやつより良い」と思ったし、明らかにレスポールとしては「かなり良い」「相当良い」部類に入ると思うのだけれど、なんというかやはり俺のサウンドというか、僕のスタイルというか、僕のタッチにはちょっと合わない印象だった。これは以前、Gibsonの古いやつを弾いたときとかも似た印象だったんだけど、「こういう楽器はもっと手の大きい、体の大きい外人さんが弾いたらいい」みたいな、でも俺向きじゃないな、という。スケールの大きい楽器かもしれんが、俺は繊細な日本人だし、体も小さいし、俺にはおっきすぎるな、みたいな。サウンド的にも。理由はわからん。ボディバックはホンジュラスマホガニーなので、それが俺には合わんのだろうか。
どちらにしても俺の結論としては、「これなら家にあるうちの猫ポールの方がいい」という感じになってしまった。(それは、決して悪いことではない。)

営業の方いわく、レスポールを作るのは「半年くらいかかる」ということで(それだけ丁寧に、手を抜かず作っているということだと思います)、そんなに手間とコストをかけて作られた楽器に、僕なんかの立場でいろいろ良いとか悪いとか言うのは、おこがましいっちゃあおこがましいんですが。でもそこはほら、こっちも本気で。
しかしやはりこうした個体差があった、ということは、某大阪の楽器店さんがアップしていた動画、凄腕の一流ギタリスト氏が弾いていたということを差し引いても、やはり良い個体なのかもしれない。

エレクトリックとしては、あとはSURF-27DXっていう、27インチスケールの、ダウンチューニング用のやつを試させてもらったのだ。
Bacchusさんにはあまりメタル系のイメージはないので、こんないかにもメタルコアとかなんとかコアとかラウド系やってくれ、と言わんばかりの楽器は珍しい、と思ったんだけど、よくよく過去のカタログを見ると、過去にも製作したことがあるようだったが。
こちら
で、この楽器、意外と面白くて、まあスケールが長いのでテンション感は強いんだけど、アッシュボディとエボニー指板があいまって、非常にめりはりのある鳴り方で、ダウンチューニングに適しているということもあって、とても弾いてみた感触が新鮮というか、タッチも違うし、別の道具として、新しい演奏や新しい楽曲、サウンドの扉を開いてくれる楽器に成りうる、と思った。これはちょっと面白い。単純に楽器としても素晴らしくクオリティ高かったし、ちょっと要注目というか、覚えておいていい楽器だと思う。選択肢とか、武器のひとつとして。

で、エレクトリックはここまでで、アコギをふたつだけ、試させていただいて。
ひとつは、これもキューバンマホガニー。
で、その場に残っていたのが、HJ-LB/CMっていうのだと思うんだけど、ちょっと丸っぽい、ギブソンぽいやつ。
こちら
で、これは、なかなか面白かった。下の方の音も面白かったんだけど、上の方っていうのか、ハイフレットの方を弾いてみたら、「ぽわーん」って、聴いたことのない音がして。それは、倍音の乗り方だと思うんだけど。まあアコギあんまり知らないから、それが本当に「珍しい音」なのか、キューバンマホガニーのせいなのか、それとももともとマホガニーのギターはそういうものなのか、僕にはわからないけれど、これはちょっと面白いなと。表現の幅もきっと広がるというか、広そうだ。すごく歌ってくれそうなギターであった。

もうひとつは、ATBのモデルで「例の、過去最高の鳴りっていうキャッチフレーズのやつありますか」って聞いたら、もう全部売れちゃった、っていうんだけど、その試作品のモデルはあるから、って言って、それ弾かせてもらいました。まあ、渋谷なり池袋なり行って弾けばいいだけなんだけどね、その「過去最高の鳴り」については。
で、その印象は、あまり覚えてないな(笑) あ、ヘッドウェイだ、っていう感じかな(笑) でも、自然といっぱいフィンガーで引き続けてしまったので、それはきっと、良い楽器だ、っていう証拠だと思う。

どちらにしても、このアコースティックもなんだけれど、エレクトリックに関しても、ショールームで弾かせていただいた楽器について、「これは僕が持ってるやつよりも良い」ということにはならず、「これならうちにある猫ポールとか、レビヤタンの方がいいな」というふうになった。これは決して悪いことではない。どっちにしても、猫ポールにしても、僕が持ってるHeadwayにしても、「これは間違いなく自分のスタイルに合う」「これは俺が弾くべきものだ」と思ったからこそ、手に入れたものなのだから。そんで、それらの楽器と、すでにパートナーとして親しい関係を築いているからこそ、そう感じるのは当然だ。つまりそれは、「うちの猫の方がかわいい」という状態である。

しかし、そんな猫に出会えたことはすなわち幸福であり、そしてそんな「うちの猫」と言える楽器こそが、実際のライヴや録音の場において、戦力になってくれるのである。

そんなかけがえのない楽器を生み出してくれたDeviser / Bacchus / Headwayさんには感謝の思いでいっぱいであります。
これからも注目していきたいと思います。

No(4690)

■…2016年 6月11日 (Sat)…….XTJのFBポスト
皆さん、おつかれさまです。
ここのところ、XTJ (エクストリームツアージャパン)に関する相談とか記述も、Calling RecordsのLINEグループで話し合うことが多かったので、Facebookを通じて皆さんと共有したり、話し合ったりする機会があまりありませんでした。
現在の状況を、書いてお知らせして、また自分自身にも整理してみたいと思います。

今年、2016年のXTJは、南米チリからVictoriano(ビクトリアノ)というバンドを迎えて開催する予定になっています。そして、アメリカからは2014年にも日本に来たGallery Catことアンジェロ・ゴンザレスが来るかもしれないんですが、これはまだ確定していない状態です。いずれにせよ今回のXTJはVictorianoを中心に、彼らをフィーチャーする形で開催することになると思われます。

以前も書きましたが、2013、2014、2015と3年連続でこのXTJ (The Extreme Tour Japan)をやってきましたが、その間、賛同してくれる人々や、一緒に活動してくれる仲間たちは増えましたが、僕自身、現在の形でこのXTJの企画、運営を中心になってやっていくのは既に限界であること、ならびに、自分がいつまでも中心になって主催していくのは好ましくないこと、など、いろいろな理由で、これはちょっともう無理だな、と、昨年2015年の時点で感じておりました。

なので、このXTJの企画ならびに運営を、引き継いでもらえる団体や個人を、探していたのですが、現実にはなかなか、このXTJを引き受けてくれる人は見つかりませんでした。
また、3年開催してみて、最初の年(2013年)はいろいろなことが上手くいきましたが、それ以降、問題点や、アメリカ側とのすれ違いであるとか、コミュニケーション不足、意識のずれなどが顕著になってきました。

いろいろの事情を鑑みてアメリカ側には、「現状の草の根スタイルで僕たちインディーミュージシャンが開催を担っていくのはもう限界である。日本チームとして、今年はチリからビクトリアノを呼んで開催したいという思いがあるので、もう一度だけやってみる。それで一年時間が稼げるので、今後も日本でXTJを続けていきたいのであれば、本国エクストリームツアーの主要人物が日本に来るなどして、日本の教会や牧師さんやクリスチャン業界の人たちと直接つながりを作って開催することを提案する。」と伝えてあります。

そして、来年以降の引き継ぎとしては、Calling Recordsの仲間のうち、三木ヒロキ氏が、運営を引き受けることが可能かどうか、検討しています。しかし、どうなるかはまだわかりません。

今年は10月の開催を計画しています。そして10月1日、ならびに10月8日にはすでにイベントが予定されています。
で、すでに6月になってしまい、時間もなくなってきました。
理想を言えば、東北であるとか、関西とか、いろいろとツアーを回ることが出来たら、いちばん良いのですが、現実の僕たちの状況を考えると、そうもいかないのが現実です。

しかし、昨年のXTJでお世話になり、そこでのイベントも良い形で行うことが出来たこともあり、愛知(蒲郡)の教会には、またXTJとして訪れ、イベントをやりたいと思っています。それは、うち(中峰家)としても責任を持ちたい部分ではあります。
しかし、それ以外の部分では個人として責任が負えない状態なので、現状の見込みとしては、今年のXTJは比較的短期間で、首都圏周辺および愛知遠征のみという計画でいこうかと思っています。

ここで皆さんに聞きたいのは、それでいいか、ということです。つまり、他に、東北に行きたい、とか、関西に行きたい、とか、その日程の実行に関して海外アーティストの引率とか、予算面とか、責任が持てる、協力できる、という人がいれば、ぜひ提案いただき、アイディアを出していただきたいと思っています。
(たとえば、福島、いわきに関しては、3年連続でXTJとしては訪れているので、今年も行きたいんですが、現状の日程だと難しいのです。予算と人員の裏付けがあれば、いわき、そして石巻やその他の東北にも行きたいのですが。)

もしそうしたアイディアや提案がなければ、日程としては10月前半の、10日間から2週間程度の短めの計画で、決めてしまおうかと思っています。

皆さんの、ご意見、ご提案、ご理解、をお願いしたいです。

No(4691)

■…2016年 6月15日 (Wed)…….Jon Foreman, Love defines
To talk about Love is not an easy thing. Doing Love is even more difficult. One thing certain is this guy clearly understands what freedom really is. Switchfoot is not my No.1 band. But it’s true they are one of my favorites among 21st century bands.
Switchfootは俺の一番好きなバンドってわけじゃない。だけども21世紀に入ってからのお気に入りのバンドのひとつであることは確かだ。Jon Foremanは白人のロックスターかもしれないが、自由ってことを理解してるし、多様性ってことを理解しているように思える。そんな彼だからこそ21世紀の時代に新鮮な音楽を作ることが出来た。答は愛しかない、って、そう口に出して表明することは決して簡単なことではない。
こちら

No(4692)

■…2016年 6月15日 (Wed)…….普段あまりライヴ告知ちゃんとしない、それはよくない
July gig notification! (English below)
7月のライヴ予定です。

7月10日(日) 横浜関内ベイジャングル
噂の女子高生クリスチャンロックバンドEIMSの企画にお呼ばれして演奏してきます。一応クリスチャンバンドの企画ってことなんですが、かなりやばいことになるんじゃないでしょうか!学生だからって容赦しません!詳細未定ですが追って掲載します。
こちら

7月30日(土) 福生チキンシャック
電車で行けるアメリカ、日本のオースティンこと福生、そして伝説的なライブハウスチキンシャック。Imari Tonesとして初上陸です。一応僕らはこう見えても国際的に活躍してるバンド(のはず)なので、場所に合わせてアメリカナイズドされた世界基準のロックをぶつけます(予定)!!
こちら

7月5日(火) 横浜寿町 音小屋(ねこや)
横浜が誇るクリスチャンブルースシンガー、石川ヨナさんのステージにToneがゲスト出演してギターを弾きます。ブルージーな渋いギターを弾く予定ですが、やっぱりメタルっぽくなっちゃうかもしれません。どうなることか、乞うご期待!
こちら

July 10th Sun at Bay Jungle (Yokohama)
Imari Tones plays an opening slot (sort of) for EIMS, a teenage girls Christian rock band. It’s our honor to support this new younger generation of Jesus Rockers! This is going to be epic!

July 30th Sat at Chicken Shack (Fussa, Tokyo)
Imari Tones plays this legendary Fussa venue for the first time. Fussa is a town that looks a bit like Austin Texas, where there are bunch of cool venues and music stores (probably because US military base is there). We are excited to play this cool place!

Also Tak makes a guest appearance at Ishikawa Yona’s show at Necoya, on July 5th Tuesday. Ishikawa Yona is a Yokohama native Christian blues singer. She rocks! Watch Tak plays some bluesy guitar along with her. (Hopefully we can post some videos later…)

No(4693)

■…2016年 6月17日 (Fri)…….正当にShoalsを評価したい
ヴォーカルの録音の際にギターもスタジオに持ち込んで鳴らしてみたのだが、ショコラ(Bacchus Duke Standard)のピックアップ交換は成功だった。たぶん大当たりと言っていい。

ゴトー社製のピックアップのアルファってやつに載せ変えたのだが、ハイゲインセッティングにしても(ほとんど)ハウリングは起こらなかったし、ローエンドというか、音にヘヴィさも適度に加わった。そしてクラシックタイプらしい素直な反応の良さも残っている。注文通りである。そして、ゴトー社製の仕様で極性が逆なのか知らないが、あるいは僕が配線間違えただけかもしれんが、センターポジションで逆相フェイズアウトしてしまうサウンドも、歪ませてアンプで鳴らしてみると、いかにも面白い音である。ブレンド具合も含めて、どう考えても使える。これは面白い。なぜメーカーが、これ(逆相セッティング)を販売しないか。もちろん、スイッチでフェイズアウト、とかは装備されていることもあるけれど、普通のギターに標準で逆相でのっけて販売はきっとしない。それはなぜって、ユーザーからクレームが来るからに決まっている。これ音おかしいです、って。そりゃそうだ。しかしこんな面白いものを知らないのはギター弾きであればもったいないように思う。たまたま僕もここ数年Peter Greenに夢中になっていたから、「ま、いっか」と思って使ってみることにしただけであるが。

すっかりゴトー社のPUが国産ギターメーカーにいろいろ使われているものだと思ったが、先日工場見学に行った際にちらっと聞いてみたらBacchusに現在のっかってるのは違うとか。そのへんはわからん。BPMって言われたけど、知らない。聞き間違いかもしらん。私ギターくわしくないんで。Beanoとか、YUTAとか、バッカスMomoseにのっかってるのを作っているところなのか、よくわからん。

それはともかくとして、Shoalsについて追記しなければいけない。これも研究の結果を書き記しておくだけのことである。
Heavy Lid Effects Shoals Overdriveのことである。
今年上半期に突如オーバードライブについて悩み、なぜだか手元にいつのまにかあったものである。そして、それがなぜかたまたま今回の録音にぴったりの音で、非常に助けられた。

のだが、やはりいきなり実戦投入してしまったために、使い方はまだよくわかっていなかった。というか、まだわかっていない。

以前に日記に書いて、間違っていたのは、それはこのShoals、出力は大きくない、と書いたのである。それは体感的に、出力が大きくない、たとえばここ2、3年ほど使ってきたToneriderのペダルに比べて、アウトプットが小さいな、と思ったのだ。

ところが、実際にAmplitubeとかにつないでメーターを見ると、実際にはToneriderよりも出力大きいじゃないか。勘違いだった。圧倒的だった。出力、大きいです、Shoals。

なので、これまで使ってきて、「なんかいまいち音が飽和」みたいなやつは、どうやら出力ぶっこみすぎだったようだ。そんで、「歪み過ぎて」いたのである。Shoalsは歪み方がけっこうきれいなので、歪み過ぎていても、案外気付かなかったのである。

そして、Toneriderに比してもノイズがちょっと多いように思ったのも、この出力の大きさとゲインの高さ故だったようだ。常識的な範囲内で出力とゲインを設定すれば、むしろノイズに関しても普通に優秀だと言える。

そしてやはりどう考えても、やはりDriveつまみの使い方がカギになってくる。
Driveを下げていってゼロに近い辺りで使うと(Gainは上げる)、これはかなりクリーンブーストに近い使い方が出来る。そしてこのセッティングで、長年愛用しているCranetortoiseの真空管ブースターに近い音が出せるのではないだろうか。要するに「ハイエンドがきれいに出る」という点では共通なのである。

そしてDriveを11時くらいまで上げたあたりで、「良い感じのチューブスクリーマー」と同じになるようだ。つまり、Driveをゼロから次第に上げていくと、歪みが増すと同時に、TS系っぽい中域がこつんこつんと鳴ってくる。

そしてDriveが12時を回ったあたりから、今度は低域つーか「透明なローエンド」が加わってくる。なんというか、歪みが深くなり、低域が強くなるのだが、それが「透明な歪み」であり、なおかつ「鋭い低音」なのだ。まあ完全にメタル指数が上がると言ってしまっていい。そして今回僕が録音で重宝して使ったのは、この「メタル指数全開」の音だった(笑) やはりなんだかんだいって、それこそがこのペダルの最大の持ち味ではないかと思う。

このローエンドの効いた深い音になるゆえに、このペダルは宣伝文句で「ハイゲイン対応」と謳っているのだと思われる。Shoals単体でディストーションペダルのようにしてハイゲインサウンドを作り出すことは、必ずしもできないが、けれどもクランチ程度に歪むアンプにつっこめば、そのクランチを「モダンハイゲイン風」の音に持っていくことは確かに出来る。

そして、そのDriveのつまみがゼロであろうと全開であろうと、その途中であろうと、その音のキャラクターが全部自分の好みである、ということがやはりポイントが高い。

このDriveつまみ(と、それに合わせてGainとLevelを調整すれば)を段階的に動かしていくことによって、僕が今まで使ってきた歴代の音とか音楽性は、だいたいカバーできてしまうように思われるので、ライヴでも使い分けが出来るじゃん、と思い、これは要研究というか、もっと実戦で使ってみて、使いこなしていきたい、と思う次第である。

敢えて弱点を言えば、ヘヴィメタル的なキャラクターに比して、音がきれい過ぎる点だろうか。もっと「汚して」くれていい部分もあるにはある。音自体はもろにピンポイントにビンゴで僕の好みなのだけれど、それはたとえばヘヴィメタルでありながらクラシックであったり、しかもどちらかといえばアメリカン系だったり、かなりピンポイントにニッチなのであるが。
あまりにビンゴ過ぎて飽きてしまわないか若干心配なところである。
これから使っていけばわかるさ。
という感じだ。

No(4694)

■…2016年 6月17日 (Fri)…….シンガー老いてコンプに助けられ
世間では色々なことが起こっているので色々と気持ちを書きたいことも多々あるのだけれど、僕の意見など誰も大して聞きたくないだろうし、そんな折、録音作業にかかりきりの自分です。

研究記録というか作業の記録というか神様へのレポートというか、記録しておきたい、学んだことを。

リードヴォーカルの録音は半分終わったと言っていい。実際数えてみると半分以上終わっている。この調子でいけばおそらく6月中にはリードヴォーカルは終わるだろうし、あるいはコーラスパートも大半は終わらせることができるかもしれない。順調に行けば、の話である。

さて、コンプのかけ録りということをしてみたのである。
これが、どういうことかというと、長年自主録音活動をしているのだが、ヴォーカルの録音をする時に、コンプのかけ録りということをやったのは、実は初めてだったのだ。
もちろん、パソコンの中でプラグインのコンプをかけた状態でモニタリングして歌うことは、あったと思うけれど、ハードウェアというのか、プリアンプに付属したチャンネルストリップの中のコンプをかけて録音した、というのは、実は初めてだった。

作業はまだ半分しか終わっていないし、そのまた半分というか、初日の作業は、普通にやったのである。DAWの中で、プラグインのコンプとリヴァーブをかけて、その音をモニタリングしながら歌ったのである。しかし、二日目の作業の際に、ふとプリアンプの内蔵コンプを、使ってみたくなって、そしたら、まったく別の世界が開けたのである。

バンドで歌う、ということは、なんというか、簡単なことではない。決して。
当たり前のことではある。
エレクトリックギターとか、エレクトリックベースとか、ドラムキットが、どっかんどっかん鳴っている中で歌うのである。普通は、生身の人間が対抗できるような音ではないのである。
もちろんそこでマイクの助けを得るのであるが、それでも決して、簡単なことではない。つまり、歌うにあたって、自分の声が聴こえること、そのモニター環境の良し悪しというのは、本当にcrucialというか、決定的に重要なことなのである。これはバンドをやっている人なら当然に知っていることだと思う。とはいっても、案外ヴォーカル以外のパートの人は、この事を理解していないことが多いというのも事実かもしれない。

人が歌う(あるいは話すときであっても)、という時に、自分の声がちゃんと聴こえる、ということは、非常に重要なことなのだ。だからこそ、インナーイヤーモニターのような機器が開発され、一流のシンガーはそうしたものをステージで使用するし、またそれによって、世界中のシンガーたちのライヴでの歌唱のクオリティは、ぐんと向上したのである。(俺はしがないインディーバンドの人なので、インナーイヤーモニターは使ったことない。)

うちのバンドの前作にあたる”Revive The World”の録音を行ったのが、なんともうすでに2年の前のことである。
その際のヴォーカルの録音は、精神的に辛かったが、内容は結構頑張った。
それから2年たって、自分のヴォーカルは、これでも進化している。
この年齢になっても、進化していることとしては、ギタープレイに関しては、もともとある程度出来ていることや、あとはよほど張り切って新しいテクニックとかに取り組まない限りは、特段に進歩はしないのだけれど、こう見えてもヴォーカルに関しては、毎年少しずつ、今でも着実に進歩しているのだ。いや、もともと下手っぴだったものが、少々マシになるだけだから、誰も気付かないかもしれないが。事実進歩しているのである。

そういうわけで、今回も最初の曲を録音する際に、マイクの前に立ち、うん、前回より確実に技術的に進歩している、と感じたのだが、たとえそうであっても、やはり難しい。

それはどういうことかというと、本当に今更なのだけれど、バンドで演奏、つまりライヴで演奏する、ということと、録音で歌う、スタジオでヘッドホンをつけて歌う、ということは、これがやはりまた、まったく別の事である、ということだった。
今更、気付いたわけでは、別段にないのだけれど、あらためて感じる事実だ。

だからこそ、録音の際にも、自分の声がヘッドホンの中からきちんと聴こえるように調整するし、リヴァーブをかけたりして「その気」になるようにするし、また逆に、自分の声を聴くためにヘッドホンを半分はずして生身でモニタリングしてみたり、いろいろやるのである。ちなみにずっと昔には、ヘッドホンを使わずして小さな音でスピーカーからオケを流して歌うということもやっていた。

だが、今回の楽曲のメニューは、コンセプトアルバムということで、妙にストーリーというものがあり、そのぶん妙に、ヴォーカルというか歌にも「表現の幅」みたいなものが求められるのである。この事は、ドラム、ベース、ギターと録音を進めていくうちに、次第に明らかになった恐怖の事実だった。つまり、コンセプトアルバムイコール典型的な様式美メタルという図式から、単純きわまりない正統派メタルアルバム、だと思っていたものが、コンセプトアルバムのストーリーがあるぶん、実は今まで以上に何倍も音楽性とか音作りとか楽曲の幅が広かったのである。確かに自分で作った楽曲ではあるのだが、この作品の楽曲をナメていた事実を思い知らされた。

で、ヴォーカルである。つまり表現力が今まで以上に求められるので、いろいろな声を出して、いろいろな表現をしなければいけない。本当にいろいろな声を出さなくてはいけないのである。

で、バンドでの生演奏もそうだが、録音に関しても、「生身の人間」がそうそう太刀打ちできるようなものではないのである。録音というのは非常に残酷なものなのだ。なぜならテープであれハードディスクであれ、録音機器というものは人間の耳のように補正をしてくれないのだ。モニターに関しては録音の際にはギターやドラムの音量は下げることができるが、たとえそうであっても、ミックスの中で太刀打ちできない事実には変わりがない。そして、録音というものにはあれやこれやのプレッシャーとか、あれやこれやの調子の波とか、いろいろな「大変なこと」がある。

そして決定的なこととして、バンドの生演奏では、マイクとPAの助けがあって、その状態で歌っている。マイクを使った上での、バンドの中での歌い方というものがあるのだ。そして、ライヴというものは、リードヴォーカルとして、きちんと歌う、という仕事であるが、それは決して、完璧に歌う、ということとイコールではない。抜くべきところは力を抜いて、それで30分なり2時間なり、ワンステージを持たせるのだ。

けれども、録音の場合は、最初から最後まで、完璧に100%、全力で歌わなくてはいけない。なぜならそれは録音だからだ。記録に残り、すべて鮮明に聴こえてしまうからだ。そして、重箱の隅をつつくようにすべてが評価と批判の対象となるからである。やってられないのである。

そんな状況であるから、ノドというか声にかかる負担も自然と大きくなる。

そしてその、マイクとPAがあってバンドの中で歌う、という行為とは、また違った表現、違った発声が必要になってくる。思えば2年前の前作の録音の際にも、ちょっとそのことで戸惑ったのだと思う。もちろん今までたくさん録音して歌って作品を作ってきたし、そこは、いろいろなテンションの高さとか、気合いとか、気持ちを上げて、発声練習して、いろいろと自分を「声が出る領域」「声が出る精神状態」まで持っていって、そしてなんとか歌うのである。それはつまり精神状態ということであれば、バンドのメンバーが揃い、ライヴハウスやスタジオでステージがあり、ギターが鳴り、ベースがうなり、ドラムが炸裂する、おっしゃいくぞ、と、それは歌う気になるのである。しかし、そんなおもいっきりハイトーンとかシャウトしなくてはいけないものを、スタジオでパソコンの前でヘッドホンかぶって、「はい歌って」とか、そんな気になれへんわ、ってなもんである。

どちらにせよ、シンガーは録音の際には、(少なくともハードに歌うジャンルのシンガーは)、そんな逆境の中で、自分の限界に挑み、自分の限界まで声を出さなくてはいけないのだ。これは確かな事実である。

で、なんとか作業を進めるうちに、なんかふと思いついて、マイクプリに内蔵されているコンプのスイッチを入れてみたのである。それが自分にとってちょっと画期的な瞬間だった。
つまり、そんな辛い、難しい要素のたくさんある、大変な録音作業において、生身の状態ではやってられんので、そこで助けてくれるのが、コンプレッサーというものなのだ。
コンプが入った瞬間に、いきなり数倍に歌いやすくなったのである。
つまり、ライヴで歌う際に、マイクがあってPAスピーカーがあって、声が返ってくる、そのモニタースピーカーから聴こえる自分の声に、フィードバック現象のように反応し、次から次へと声が出てくるようになる、モニター環境の良い際のヴォーカルはそのような状態だが、このコンプを使うことで、それを同じような「声のフィードバック」状態を作り出すことが出来たのだ。
プラグインのコンプでこの状態にならず、マイクプリ内蔵のハードウェアのコンプでこの効果が得られた、というのは、ハードウェアが優れているのか、レイテンシーの問題なのか、プラグインのコンプには限界があるということなのか、理由はよくわからない。
しかしどちらにしろ、僕はもう年齢的にも若くないし、気力も体力も、ないし、特に気力とかないし、ちょっとでも楽な方がいいし、「もうこのコンプレッサーなしには、歌いたくない」という気分になった。

今回から「再び」導入したのは、かつて所有していたJoe Meekのプリである。かつて所有していたやつの後継機で、3Qというやつだが、オプティカルタイプのコンプレッサーがついているのである。で、このオプティカルのコンプが、使ってみたら、なんかとても良いじゃないか。かつて昔、何年もこの緑の箱をヴォーカル録音に使っていたのに、内蔵コンプを使わなかったとは、お馬鹿な話だ。しかし、今この歳になって、このコンプの必要性に目覚めたのである。現状、僕が今持っているハードウェアのコンプは、(ギターとかベース用を除けば)、このJoe Meekのプリだけである。なので現状、今僕は「もうこの緑の箱なしには歌いたくない」という感じになっている。

内蔵のハードウェアのコンプをかけることで、ひらたく言えばマイクの感度がよくなり、ほんのちょっとした表現や、ちょっとしたノイズや、唇を動かすニュアンスひとつに至るまで、マイクが拾ってくれて、録音されるようになる。そして、その音がヘッドホンを通じて自分の耳に返ってくる。そしてこれによって、自分のヴォーカルの歌唱というかパフォーマンスというか、表現が、劇的に変わったのである。要するに、その気になって、表現力が引き出されたのである。優れたシンガー、優れた歌手のパフォーマンスの裏には、こうした秘密というか工夫というか、こうしたことが重要なのだ、ということを改めて知った。

ひとつ例にあげるとすれば、”The Peace”という曲がある。これは曲のストーリーというか内容としては、第二次世界大戦後の日本という国の姿について歌っている。しかし、なんというかヴォーカルのスタイルや音域は、女性シンガーが本来うたってしかるべきメロディと音域なのである。しかし、実際にはそれを女性シンガーに歌わせるのではなく、僕が歌うのだ(笑)

しかし知っている人は知っていると思うが、僕がもっとも影響を受けたシンガーはどこの男臭いハイトーンメタルシンガーでもなく、妖艶なUKグラムロックの象徴であるSuedeのブレット・アンダーソンなのである。そして、だから僕は歌唱についても、男臭いシャウトではなく、どこかユニセックスな表現をいつも目指してきた。そして僕の声は、なんというか気恥ずかしいが、少年のようなきれいな声というか、ある意味女性のような細い声である。メタルシンガーとしてはあんまり実際、珍しいというか必ずしも適していない。しかしそれでも歌うことに意味があるのだ。

といったわけで、自分のファルセットヴォイス、いわゆるミックスヴォイス的な発声でもって、このどっから見ても女性シンガーが歌うべき楽曲を、妖艶かつセクシーに歌い上げたのである。そして、その際に、この内蔵オプティカルコンプをかけ録りした、モニター環境の返しの音があってこそ、初めてこの発声で歌うことが可能だった、ということは記しておく価値がある。

そんな感じで残りもがんばる。
自分はあくまでギタリストであって、ヴォーカリスト、ではない、と常に言ってきたし、思っていたが、今回のことはひとつ、自分にとって歌うことについて、きっかけというか転記になりうる可能性があるかも、しれない。

たぶん期待してくれていいし、期待してみてほしい。

No(4695)

■…2016年 6月29日 (Wed)…….Voc Rec Done
ヴォーカル録り全部終わりました〜(たぶん)。コーラスも含めて完了です。なんとか6月中に終えることが出来た。理想では5月中に終わらせるのが当初の予定でしたがこれは我が家ではすべてはStryperの所為ということになってます(笑) しかし6月中に終わってよかった!これでまた、ようやくちょっとだけ、余裕ができます。ネットの更新頻度も上がるでしょう。もちろんこれからミックス作業とかありますが、今週中に「仮提出ミックス」だけ完成させちゃいます。さてこれに続いて7月はデモ製作という宿題が。未来のためにこのタイミングを逃すことなく「鍋島デモ」および「縞々デモ」というものを作らなければいけません。果たして何曲ぶんのデモを作らなければいけないのか、その数は言いたくありません(気が滅入るから)。しかしひとまずこれでひとつの大きな山を越えました。期間中ずっと文句言わず支えてくれた嫁さんありがとう!そしてサンキュージーザス。

No(4696)

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