人間、何かを手に入れることは簡単だ。
けれども、自分が本当は何を求めているのか、
それを知ることは難しい。
歳をとってようやく、自分が本当に欲しかったものが見えてくる。
自分が少年の頃に、何を本当に求めていたのかがわかってくる。
ロックに憧れたこと。
年上の世代の聴くロックに憧れたこと。
様々なストリートカルチャーやアンダーグラウンドに憧れたこと。
歴史や伝統に憧れたこと。
夜の街が好きだったこと。
それは何故だったのか。
本当に欲しかったのは愛だった。
そんで、音楽の旅とロックの歴史を俯瞰して一周した今、
それがどんなもので、何を意味するのかもわかっている。
そこにあったのは果たして「そんなものは存在しなかった」という答え。
これほどまでに憧れ続けた、
僕が憧れたロックは、この世には存在しなかった。
馬鹿みたいにシンプルなのに、それをやろうとしたやつは誰もいない。
信じるということはそれほどまでに難しいことだから。
革命、世界、愛。
たとえ小さくてもいい。
君を幸せにすることができる場所を。
遠回りしたように見えても、
今こうして、ここまで歳を経て、
自分が本当に欲しかったものが、
やっと手の届くところまで、近くまで来ている。
今なら手が届く。
人は、たとえそれに気付いたとして、
じゃあ、ここで革命たるロックを鳴らそう、
と思ったとしても、
ほとんどの人にとっては、
そんな曲は書けない、
となるに違いない。
けれども、僕はもう書いてしまった。
地球を何周も出来るほどに書いてしまった。
それを以て、
泣いてよろこべ、と、
神はのたまう。
受胎を告げられた乙女のごとく。
喜びに打ち震えよと神はのたまう。
ほんまかいな。
どうかな。
でも別に気にしない。
その栄誉と祝福を、
愛と革命の音を、
さあ、もうすぐ、
鳴らすからね。