TS9 Baked Mod

 

いきなり後日追記。

気の向くままに書いている日記ブログなので、
Keely Baked Mod等のワードで検索して来た人には、わかりにくく不親切かなと感じたため、
要点を追記しておきます。

 

Keeley TS9 Baked Mod (Mammoth Electronics Mod)

しばらく使ってみた感想。要点をレビュー。

  • 普通のチューブスクリーマー(以下TS)と比べ、レンジ感が広い。
  • 普通のTSと比べて音が太く、より原音が保持されており、アンサンブルの中でパワー感や存在感が増す。
  • 普通のTSよりも、より低音が出る。別の言い方をすれば、普通のTSほど低音が削れない。
    これを良いと感じるか、悪いと感じるかが、評価が分かれるポイント。つまり、TS等のブーストを目的とするオーバードライブは、不要な低音を削ることが大きな目的のひとつなので。人によっては、低音が出過ぎると感じるかもしれない。
  •  レンジ感が広まったぶん、TSの特徴であるmid humpっていうのか中域のとんがり感が薄れて、多少音が平面的に感じる。ここも好みが分かれるポイント。
  • 普通のTSと比べて低域が残るとは言っても、アンサンブルの中で不要な低音はちゃんとカットされているので、バンドの中で鳴らすと、音は太くともやはりしっかりと抜ける。そして、中域の美味しいところもきちんとプッシュされている。つまり、バンドアンサンブルの中で使ってもきちんと結果が出る。このへんは絶妙なチューンナップがされている。TSとして定番の凄さをしっかりと受け継いでいる。
  • 高音、ハイについては、普通のTSよりもやや抜けるが、めちゃくちゃ抜けるというわけではない。別の言い方をすれば、高音がすごく出るペダルというわけではない。あくまでミッドや低音の太さが売りだと思われる。
  • ゲインは確かに高いが、妙にきめの細かいTS特有の歪みであり、単体で使えるタイプの歪み方ではないため、ゲインを上げてこれで歪ませる、みたいな用途は考えづらい。あくまで、ブーストの際に通常のTSよりもゲインに余裕を持たせたもの、と考えるべきだと思う。その辺を思うと、別にBaked Modでなくても、「ローゲインMOD」でもいいじゃん、と思わなくもない。想像だが、Baked Modの方がパワー感を出しやすいのかもしれない。
  • とはいえゲインの高い利点として、ブーストした音に通常のTSよりもより倍音を乗せていける、より飽和感を出していける点がある。うまく使えば、これは非常に気持ちいい。これは通常のTSよりもノイズが少ないので可能になっている点も見逃せない。テクニカルなリードプレイもやりやすくなるので、音楽のスタイルによってはこれはかなり利点になると思われる。
  • ペダル自体の「味付け」はさほどでもない。あくまで太くレンジの広い音でブーストするためのペダルだと思われる。なので、「味のあるオーバードライブ」を求めているのであれば、これはたぶん違う。逆の言い方をすれば、味のある良いアンプを使うことが前提と言える。
  • 音自体は、非常に素直だと思う。ギターらしい音がする。ここも定番としてTSの良さをしっかりと受け継いでいると感じるポイント。
  • 記事本文の中でも書いているが、普通のTSで問題なくやれている人にとっては、おそらく必要がない。やっぱり普通のやつが一番いい、と、定番の良さを再確認する結果になると思われる。
  • とはいえ良いペダルには違いないので、TSのバリエーションとして一個持っていても損はしない。
  • 考えられる用途としては、バンドアンサンブルの中で、よりギター中心、ギターが主役に来る音楽で、通常のTube Screamerよりもギターの音を太くしたい、ギターの存在感を増したい、という場合には合うと思う。ギターが主役ではない音楽の場合は、音が太すぎるかもしれない。
  • また、Keeley Modが世に出た当時、多くのギターヒーローがこれを愛用したのは、ライブ等の現場において、テクニカルなリードプレイを、より太く、より派手な音で聴かせることができる点が支持されたのだと想像する。

おおむね、そんなところです。

 

2020年12月9日追記。
僕はこのTS9 Baked Modについて、ちょっと低音が出過ぎて使いづらい、と感じていましたが、オペアンプを交換することで、この問題が改善されて、今では非常にお気に入りのチューブスクリーマーになりました。そのことについて書いた記事です。

 

 

– – – –

 

オーバードライブのエフェクターの話。

ここのところ、というか、ここ数ヶ月の間に、何度かまたオーバードライブについての日記を書いていたが、

昨日だか一昨日だかにもちょっと書いたように、
結局その目を付けていた「改造チューブスクリーマー」を入手した。

でも、何度か試奏させてもらった都内の楽器屋さんではなく、
だってね、中古で安く、True Bypassのやつがあったのよ。

エフェクターがトゥルーバイパスか、バッファーバイパスか、
どちらがいいのかはケースバイケースだと思うけれど、
僕は今回のやつに関してはトゥルーバイパスの方が都合が良かった。
それはShoalsと併用する時、比較する時、普段の上での使い勝手、などの面で、今回に関してはTrue Bypassの方がありがたかったからだ。それに、普通のTS9は地球上のギタリストが3億人くらい使ってると思うので、トゥルーバイパスのフットスイッチが付いていた方が見た目的にも多少なりとも差別化が図れる(笑)

だから、何度か試させてもらった都内の楽器屋さん、の店員さんに、悪いなあ、って思って。また機会があればそこで何か買ってあげたいが。。。。

 

で、それは”Baked Mod”というやつである。
いわゆるKeeley Modなんだけれど、Keeley本家ではなくてMammoth Electronicsが作った近年のやつ。Keeley/Mammoth Modとでも言うべきか。それのさらにBaked Modってやつ。ややこしい。TS9 Keeley Baked Mod Mammoth Electronics versionということか。

 

Baked Modはいわゆるチューブスクリーマーのハイゲインバージョンなんだけれど、僕がハイゲインの方が都合が良いのは、使い方の問題。
僕はクランチ程度のアンプをプッシュして、正統派メタル、ハードロック程度の歪みにまで持っていくという使い方をする。

アンプによっては、普通のTS程度のゲインで十分にそこまで持っていけるけれど、そうでない場合もある。また曲によってはもっと歪ませたい場合もある。そういう時に、ゲインが余計にあるととてもありがたい。

ライブ会場とかツアーの時とかの限られた環境において、そういうことがあると割と切実だ。
思い起こすとたとえば2012のThe Extreme Tourに参加した時。
当時使っていた(きっと今後も使うけれど)Cranetortoiseの真空管ブースターは、出力という面では十分にあったが(つっても、3種類持っていて、ツアーに持ち出したのはVT-SWBっていう一番出力の無い機種だった。だって使い勝手は一番良かったんだもん)

いや出力は無かったので、提供されたJCM2000が真空管を交換していてゲインが下がっており、対応が難しかった。ツアー機材の設置運搬の関係でキャビの置き方が変則的だったのも問題を悪化させた。思えばあの時、もっと歪ませられるブースター用途のオーバードライヴ、ないしは、歪みペダルにしても今ではよく使っているBlackstarのHT-Metalとか持っていれば、あれほど苦しまなかっただろう。

(ライヴの現場において、ジャズコ等のどクリーンなアンプしか無い場合のディストーションペダルとしては、僕はこのBlackstar HT-Metalを以て、探求の旅は終わっている。僕の意見では、これは本当に優秀だ。ちょっと重いけど)

(その代わり、この2012年の時、予備に持っていたのはMarshall Jack Hammerのディストーションペダルであり、実際にいくつかそれを使ってショウをやってしまった。あれも、決して悪いペダルでは無いのだが。敢えて言えば、どうせ持っていくならば古い方のShred Masterの方が結果が良かったかもしれない)

 

つまりAlbit/Cranetortoiseのサウンドは大好きなのだが、そしてそのCranetortoiseの真空管ブースター(もちろん今ではもう作ってない)も、素晴らしいものなのだが、
ヘヴィメタルを演る上で、よりゲインが必要な場合というものがあり、その意味ではCranetortoiseの真空管ブースターは見事にクリーンブーストであり、歪ませてもより古くさいファズ的な方向に行ってしまうものだったため、
その後、”Jesus Wind”という、よりインテンスなヘヴィメタルアルバムを作るにあたって、「より歪むオーバードライブ」が必要になった。それでたまたま、Heavy Lid Effects Shoals Overdriveに出会ったわけである。

 

で、いつものように前置きが長いが、
最初っから前提を言うと、ロックギタリストにとって、アンプをブーストするペダルなんつーものは、つまりはブースト用途のオーバードライブなんて言えば、Tube Screamerが一番いいに決まっているわけだが、
かといって普通のチューブスクリーマーでは、やっぱりレンジが狭過ぎるために、こうしたMod品、ちょっと改造、改善されたモデルが必要になるわけだ。

基本的には、世の中にあふれているオーバードライブペダルっていうのはみんなそういう感じだと思う。

かのKlon Centaurだって作者さんはTSが気に入らなかったから、もっと抜けの良いものを、と思って作ったという話だったはずだ。

 

というわけで、「もうちょっとマシなチューブスクリーマー」かつ、ゲインのあるもの、ということで、Baked Modはなんだか僕のニーズに合致した。

ここ何年か、折を見て、マーケットにある最新鋭の優秀なものを、ということで、たまーに、だけど、何度かいろいろ試してきたが、どれもすごく優秀だけど、自分の用途だとちょっと合わねえな、と思っていた折に、
このTube ScreamerのBaked Modは、今まで試した中でいちばんしっくりきたものであったのは事実である。

わりと低音が出てくれる、というのも、メタル演る上ではありがたい。(これは、ハイゲインアンプに突っ込む際にローエンドを削る、という用途とはまた少し違う)

 

 

そんでもって、実際にShoalsと比較してみないとわかんねえな、ってことで、先日、比較してみて。
店頭で試してもShoalsとどっちがいいのか決着がつかない。

そんなこんなで、中古でトゥルーバイパスのやつを見つけて、家でパソコンに突っ込んで比較してみても、どっちがいいのか、やっぱり決着がつかない。

で、バンドのリハで実際にでっかい音で鳴らしてアンサンブルの中で結果を見れば、どっちが良いのかはっきりするだろう、と思って、昨日、リハをしてきた。比べてみた。

そしたら、やっぱりそれでも決着がつかなかった!! (笑)

見事に引き分けだった。

これはケースバイケース、用途によって違うとしか言えない。

どちらも良さがある。

さすがに定番のチューブスクリーマーが元になっているだけあって、アンサンブルの中での音抜けつーのか、一音一音がはっきり際立ってくれる、という意味では、Baked Modの方が一枚、上だったかもしれない。

だが、正統派ヘヴィメタル的な、音の方向性、メタル的な表現力という意味でいえば、やはりShoalsの方が上だった。ブースター用途なのに、メタル的。これをやってくれるオーバードライブのペダルを、今のところ僕は他に知らない。知ってたら教えて欲しい。

あとの実際の色々は、どっちもほぼ互角だったとしか言えない。どちらも良かった。録音の際には両方持っていって曲によって使い分けるしかないだろう。

 

ペダルボードに並べて併用すればいいじゃん、って思うかもしれないが、
いかにトゥルーバイパスとはいえ、ふたつ並べるとそれでも微妙な音の劣化が俺は気になる。

かといって、バッファーバイパスの場合でも、たとえばShoalsの前にバッファーバイパスのやつを置いてしまうと、Shoalsの反応がかなり悪くなることは実証済みなのだ。(バッファーバイパスにして、Shoals、Bakedの順につなぐ方が良かったか?)(ShoalsはTrue Bypassである)

いいけどね、Baked Mod、Shoalsの順に置いてやると、どちらもそれほど劣化は無いので、やってみてもいいけど、でもなんかやっぱ、美意識として嫌。どっちかひとつで行きたい。

 

正直なところでいえば、色々な曲を演るにあたってのversatility、英語合ってるか、多様な音が出る、って点で言って、実用上は僕にとってはそれでもまだShoalsの方が上だ。音抜けつっても、Shoalsのセッティングを調整してしまえば、もっと抜ける音が出せるのも事実だし。異様なほどにヴァーサタイルだから、Shoalsは。

だがライヴの際にも演る曲目によっては、Baked Modで行こうっていう時もあるかもしれない。メタル度は減るかもしれないが、やっぱり、定番の音、確実な音抜け、オーディエンスに届く音、これは魅力である。

 

次の課題は、例のCranetortoisの真空管と比較してみることだろうな。。。

 

どっちにしても、すごく勉強になる。
Shoalsからメインの座を奪うかどうかは、まだわからないが、
普段弾きにも素晴らしいし、ぜひ長く愛用していきたいと思う。

愛称が欲しいな。

嫁さんに言ったら、古い東急線の車両にひっかけて「あおがえる」って言ってたけど、(僕はBossやIbanez等の定番ペダルは見た目およびhipster的な気取りの問題であまり使わないものの、苦笑)、でもこの形は、世界の定番だから、みんな使ってるのよ。他と区別できる名前が欲しいよ。

別に「ベイクトモッド」でも問題ないんだけど、なんかケーキみたいだし。
ハイゲインだし、音もビッグなので、マンモススクリーマーとでも呼ぶべきか。

世にKeeley Modはたくさんあるだろうけれど、Mammoth Modは少数派だろうから。

 

 

> 註釈というかアドバイス。

ネット上のフォーラムの会話とか見ると、
Keeley Modは本当にworth the moneyかどうか、みたいな議論がいつでもある。

僕が思うに、人によって用途が違うのでなんとも言えないが、
そもそも通常のTS9とか、ストックの普通のやつで問題なく使える人であれば、
別にModモノに手を出す必要は無いと思う。
そういう場合は、結局定番のオリジナルが一番いい、みたいな結果になりそうな予感が大いにする。なんたって定番なんだから。

僕の場合は、「そもそもストックのTSでは全然ダメ」という事実があって、Mod品というのはそういう人のために作られるものだと思う。

そういう意味ではMod品が、どれほどの人にとって本当に必要かどうかは、僕にはわからん。演る音楽の種類によると思う。
そして、ほとんどの音楽にとっては普通のチューブスクリーマーで問題ないからこそ、これほどの定番になっている、はずだ。

 

 

ああそうだ、もうひとつ、書きたい話題があった。Overdriveのペダルについて。

ネットを見ていたら、ProAnalog Devicesの話題にぶち当たった。

たぶん知っている人には有名なのかもしれない。
俺は詳しくない。

けれど、ProAnalog DevicesのScotty Smithと言えば、その僕がここ2年半愛用している”Shoals”の、設計に協力している人、として名前が書かれている。

つまり、Shoals Overdriveは、Heavy Lid EffectsのAaron Coleman氏が、このScotty Smith氏の協力を得て製作した、ということだと思う。

Shoalsの特徴として、一般的なGainのツマミと別に、”Drive”っていうツマミが付いていることが挙げられる。

つまりこのDriveコントロールによって、いろんな音のキャラクターが作れる。

で、いろんなオーバードライブのペダルを見てきて、こういうツマミが付いてるペダルはあんまし見たことが無いんだけれど、

このProAnalog Devicesさんが現在売り出しているManticoreってやつには、GainとDriveがやっぱり別になって付いておるではないか。

Shoalsを愛用している自分としては、このScotty Smithさんのペダルもチェックすべきなのかもしれない。だが、なんかハイプの匂いを感じるし、入手は難しそうだ。日本に入ってくるかどうか、知らん。なんかReverb.comと提携してるみたいだし。

 

現代っぽいよな、そういうの。

つまり、思うんだけれど、今のペダルビルダー、エフェクター製作メーカーのサイトとか見ても。

彼らだって、今じゃYouTubeでPRしたり番組とか寸劇みたいなのやったり、そういうことやってるじゃん。ペダルメーカーの社長さんが。ていうか、そういうことしないと商売にならないじゃん。
要するに、YouTube上でスターにならないと、エフェクターが売れないという時代なのか。

(日本国内のビルダーさんにおいては、また違ったハイプの作り方があると思う。権威ってものの感覚が違うから)

(海外の、ちょっと怪しい人が売ってる商品が、日本でいかにも権威っぽい紹介をされてバカ売れしたりするのはこれが理由だと思うが、そういうのもみんな、いい加減よっぽど見てきてるだろう)

 

何が現代っぽいかと言うと、
昔はギターヒーローが居て、でっかいステージでギターを弾く人がスターだった。

んでも、今では、ギターを弾く人たち、というのは、一般大衆になった。
ギタリストも、ロックバンドも、珍しくもなんともないし、
そして、成功したスーパースターというものも、過去には世の中に存在したし、今もいないわけではないが、そのスケールははるかに小さくなった。

年月がたち、別にスターというわけではない普通の一般のギタープレイヤーが、「多数派」として、そして「大衆」として、世界に生きてマーケットを形成するようになり、その中で、彼らが求めるアイテムを作るエフェクター制作家、ペダルビルダーとか、そういう人たちの方が、今ではむしろYouTube等のネット上で注目を集める「スター」になっているのだ。

それはそれで、すごく民主主義的なことには違いない。

またロックンロールの行き先としても、決して間違ってはいない。

 

いいけどね。そんな中でも、新しい音楽、新しいサウンドが生まれるのであれば。

だけども、ハイプのためのハイプ、
マーケットのための商品、
が、たくさん作られるのも事実だ。

そんな時代の中、僕が本当に欲しいもの、気に入ってるもの、
実際に音楽を制作する上で使えるもの、
は、必ずしもそのマーケットの中で売れず、消えていくことが圧倒的に多い、
そんなことは、もう痛いほどよくわかっている。

もちろんそれはエフェクターや楽器に限ったことではなく、
スケートボードの世界であっても、
お気に入りのバンドであっても、
すべてにおいてそうである。

このProAnalog DevicesのScotty Smithさんも、そのいかにも伝説の巨匠っぽい佇まいからはそんな匂いを感じるが(笑)

しかし、「Drive」ってツマミが付いているだけで、上記のように僕は興味を感じている。

もっとも、YouTube上でこのManticoreおよびManticore2のデモ映像を見る限り、僕が欲しがっている「メタル的なオーバードライブ」の音では無いようだが・・・

商品名もいかにもケンタウルスを意識してるっぽいよな。わざとやってるんだろうけれど・・・

 

 

でも、もし日本に入ってくるようであれば試してみたいとは思っている。

果たして、another overhyped productなのか、あるいはgenuinely good toolなのか。

それは弾いてみんとわからん。

 

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