Shoalsオーバードライブの使い方最終版

 

オーバードライブのペダルについてたまに書いていたけれど、なるべくこれで最後にしたいものだ。
いや、もちろん最後ってことは無いだろうけれども、あんましあれこれ逡巡したくはない。

「Nabeshima」を作るにあたって悔いのないように、自分の中で最善を探していた、というだけのことだった、と、そう思う。

 

“Nabeshima”のための、そして今後のための、ギターアンプに関しては、ひととおりの答えを出してある。もっともその検証はこれからさらにしなければならないが。

 

ギターからの信号を最初にブーストするオーバードライブは重要だが、アンプそのものが決まってしまえば、そしてそのアンプが、オーバードライブやブースターを必要とせずに目的の音を出せるのであれば、もちろんアンプこそが決定的だ。そりゃ、そうに決まっている。

だから、アンプの答えを出すことで、オーバードライブの問題も解決してしまうかもしれない。

ギタリストでありながらアンプということに答えを出すのがここまで遅くなってしまったのは、やはりそれは、日本という場所に生きてきた、という事実が大きい。理由は言うまでもない。住宅事情。ライブハウス事情。リハスタ事情。もっとも今では、世界中のギタリストが、デジタルというかバーチャルなアンプで弾くようになっている。

今まで人生の中で、自分で購入し、所有したアンプは何台だろうか。ひとつ、ふたつ、みっつ、よっつ・・・いや、アンプの話は別の機会にしよう。今回はオーバードライブの話なのだ。

 

アンプをブーストするためのオーバードライヴってことで言えば、「ノーマルよりももう少しオープンなTS系」があれば僕はやれる。

たとえば手持ちの物であれば、過去に実際に使った安物のTonerider AO-1(意外と名機であると今でも思う)、ちょっと前に倒産&復活のニュースが世界を駆け巡ったところのT-REXのDiva Drive(昔の製品の方が評価は高いだろうが、これ、便利で良い品だと思う)、昨年追求の中でこれはと思い入手してしまったTS9 Baked Mod、さらに先を求める漢のMaxon OD808X、そして2016年以来偏愛して愛用しているHeavy Lid Effects Shoals Over Drive。

これらのどれを使っても、僕はライヴは演れる。
(しかしレコーディングは、もっとシビアになる)

 

過去、ウェブサイト移行前の日記にも何度かShoalsに付いては書いてきたが、それを書くのも今回で最後にしたい。たぶんこれが最終版だ。

つまり、先日もちょこっと書いたが、手元にあったShoalsは壊れていたのだ(笑)

2016年に”Jesus Wind”の録音に使った時にはまだ壊れていなかったと思うが、いつしかGainが壊れて動作がおかしくなっており、その壊れたことに気付かないまま(いや、薄々気付いていたよ)、そのままで”Overture”の録音に使ってしまった。もっとも、結果はそれでも良かったのだけれど。

その、壊れていたことを踏まえての、Heavy Lid Effects Shoals Overdriveの決定版の記事である。

 

とはいえ、もはや製造もされていないこのペダルについて、興味を持って読む者もおるまい。

製造元には一度、感謝のメッセージを送ったが、個人ビルダーが、今の時代のペダルマーケットに殴り込むには、色々と苦労もあっただろう。
生産が再開されたり、新製品が出ることは、あまり可能性は期待できない。

また、Heavy Lid EffectsのAaron氏だけでなく、設計をコラボレーションしたとされるPro Analog Devices (Scotty Smith氏)も、昨年末くらいに華々しくManticore2をリリースして以降、あんまりぶっとく続けている感じがしない。ウェブサイトもあまり更新されておらず、細々と、という感じがする。
(つーわけでもないか。インスタグラムとかは更新されてるね。やってるみたいだが、ブティックらしく小規模な感じだ。)

 

 

手元のShoalsが壊れていることがはっきり確認出来たのは、別の個体つまり2号機を入手出来たからである。2号機を入手するほど、僕はこのペダルが気に入っているわけだが、それは中古で安く手に入れることが出来たからであり、ひょっとするとそれを買って手放した人は、僕が以前日記に書いたものを見て興味を持って買ったのかもしれない。(いや、無いかな、でも、ネットって誰が見てるかわからんしね)

だから、そもそも国内に何台あるのか知らんが、どちらにせよ、入手も難しいだろうし、興味を持つ人もいまい。

そもそもが、いわゆるトランスペアレント系とか、反応の良いクランチを欲しがる人にはあまり向いていない、(とはいえそういう音も出るが)、味付けも個性も強めのペダルだ。僕はそう認識している。

やっぱり僕にとっては、これは「ヘヴィメタルブースター」だったからだ。

そしてそれ以上に、テイスト付加デバイスだったからだ。

 

ちなみにあの真っ赤なニクいやつ、Maxon OD808Xだけれども、何度かリハーサルで使ってみた。
激惚れってわけにはいかないけれど、かなり気に入っている。
ゲインにも余裕があるし、キャラクターも薄味だが好みの方向だ。
非常に抜けが良く、ハイが出るのも自分に合っている。そして音が素直なのでギターの特性も生きる。
抜けが良くピッキングニュアンスも出るため、速弾きの際にも気持ちよく背中を押してくれる。
Shoalsのように曲によって音のキャラクターを変えるってわけにはいかないが、およそだいたいの曲は演奏できるサウンドであり、かなり自分のスタイルにも合っている。

もう少し強めのキャラクターがあれば、本当にどんぴしゃなのだが、それはきっと反応の良さと引き換えになってしまうので無いものねだりと言うものだろう。
そして、素直な音のために、Extremeとか言ってるわりには音が丸く、メタルっぽいザクザクしたエッジが出しにくい。

だからShoalsのように偏愛するってわけにはいかないかもしれない。
けれども、ライヴに限ってはこちらの方が有利かもしれない。Shoalsのようにセッティングが難しいということもないし、たとえ自分の望むキャラクターにドンピシャでなかったとしても、抜けの良い標準的な音であればお客さんにはその方が届くかもしれないからだ。

 

だが、レコーディングでキャラクターを作り込む、となるとやはりShoalsが勝るかもしれない。
もちろん曲に合えば使うが、OD808Xが合う曲であれば、さらにもうひとつ抜けの良い「Cranetortoise/Albitの真空管ブースター」が手持ちにはある。そっちの方が個性は強いから、案外と録音ではOD808X (Extreme)の出番は無いかもしれない。

 

前述の通り、ここ2、3年使ってきたShoalsは、ある時期から壊れていた。
Gainのツマミがおかしくなっており、通常にくらべてGainが異常に高い状態になっており、音抜けが悪くなっていた。ノイズの問題も発生していた。しかし、そのぶん妙に音が太くなっていたのも事実で、そのキャラクターが”Overture”アルバムの録音において生きたのも確かだ。だから、この壊れた「1号機」を修理するのか、それともこのキャラクターを生かすためにこのままの状態でキープするのか、それはまだ決断出来ていない。

> 追記(2019April17): Shoals1号機、修理しました。Gainつまみの動作も正常に戻り、そしてオペアンプ交換を実施し、さらに音抜けが良くなりパワーアップしました。その修理についての記事はこちら。

 

それを踏まえて、ここにShoals Presetメモの最終版を記録したい。

 

 

だが、その前に、自分独自の基準で手元にあるオーバードライブ系のペダルを比較してみた。

もちろんこれは、厳密に比較して書いたものではなく、わりと適当に印象で比較しただけのものだ。だから、あまりアテにはしないでほしい。

それに、比較項目も、その基準も、僕の偏見によるもので、非常に曖昧だ。参考になるかもしれないが、まったくならないかもしれない。

けれども、現代を生きるハードロックプレイヤーとして、ハイゲインアンプを使うでもなく、古臭いクランチーなアンプをペダルでブーストしている、そんな微妙な立ち位置でやっている僕の、こういう基準でペダルを見ている、というのは伝わると思う。

 

あんまり僕も、たいしたものは持っていない。
性格が偏屈だから、世間で評判の良いものにも興味はない。
自分でかわいいな、と思ったもので、偏愛を感じたものを時折手に入れてしまうことがある。
そんな感じで、お恥ずかしいのだけれど。

比較した手持ちのやつは、
TS9 Baked Mod (Mammoth Electronics)
Marshall Blues Breaker (古いやつ)
Cranetortoise VT2B (長年愛用してるAlbitの真空管ブースター)
T-REX DIVA DRIVE (素直なキャラクターが売りのTS系)
TS5 (いわゆるゴキブリ。世間で評価の低いやつ。改造とかしてない。)
Tonerider AO1 American Overdrive (レトロな見た目がかわいい安物)
Maxon OD808X (Extremeな赤いやつ)
Shoals Overdrive (上記のとおり)
の8台だ。

 

オーバードライブ比較表

10点満点として

低音の削れ方 (TSの特徴である無駄な低音を削ぎ落とす効果)
低音が残る<->ごっそり削れる
VT2B(3) – Blues Breaker(4,Gainで変化) – Baked Mod(5) – Diva(7,Mixで変化) – TS5(8) – AO1(8.1) – 808X(9) – Shoals(10,Driveで変化)

音抜け、ハイの鮮明さ
TS5(4) – A01(5) – Shoals(6-8) – Baked Mod(7) – Blues Breaker(8) – Diva(9) – 808X(9.5) – VT2B(10)
追記(2019Apr17): オペアンプ交換後のShoals1号機は(7-9)。その他のパラメータは変わらず。

メタル的な低音のパワー(音のエッジも含めた主観的なメタル指数)
Blues Breaker(3) – TS5(4) – VT2B(5) – Diva(6) – Baked Mod(7) – AO1(8.5) – 808X(9) – Shoals(10)

音のあたたかみ(きわめて曖昧な意味でミッドレンジの味付けの意味)
VT2B(5) – TS5(5.5) – Diva(6) – Blues Breaker(7) – Baked Mod(7) – 808X(8)- AO1(9) – Shoals(10)

自分の用途における幅の広さ
Blues Breaker(4) – TS5(4) – VT2B(5) – Baked Mod(6) – A01(6.5) – Diva(7) – 808X(9) – Shoals(10)

個性(きわめて主観的だが、ひとつのデバイスとしての個性や主張の強さ)
Diva(3) – TS5(4) – Baked Mod(5) – Blues Breaker(6) – 808X(7) – AO1(8) – Shoals(9) – VT2B(10)

ゲインの高さ(理論上の歪みではなく、実用上に使える歪み具合を指す)
VT2B(3,歪まないが出力は大) – Blues Breaker(3.5) – TS5(4) – AO1(6) – Diva(7) – 808X(8) – Baked Mod (9) – Shoals(10)

 

お恥ずかしい限りだし、あまり参考にならないかもしれないが、これは自分のために記録しておくのである。

 

 

そしてこれが、Shoalsの使い方メモの最終版だ。
とはいっても、最後に1号機(壊れてる)と2号機(正常)の比較の註釈を加えただけのものである。

 

 

Heavy Lid Effects Shoals Overdrive の使い方 Ver3.0 Tone’s Preset

まずはこのペダルの考え方を説明する…..

*Driveの設定でキャラクターが大幅に変わる。Driveに伴う多彩な変化こそがShoalsの最大の特徴である。
*設定の幅が非常に広く、4つのつまみの相関関係やゲインと出力の関係など、扱いが非常に難しい。そのぶん、出せる音の幅は広いが、ペダルとの対話が重要になってくる。そして、ODとして大体ほとんどの音は出る。
*Gainの効き方が独特。(以下、壊れている1号機の動作) Gain0はクリーンブースト用に低出力に設定されている様子。上げていくと、押し出しが強くなる、アタックの頭が太くなる、密度が増す、などの作用がある。
*Driveは「メタル指数」と考えて差し支えない。Driveを上げればゲインも上がる。基本的にはゲイン高めのペダルであることは間違いない。
*Toneに関しては上げていった方が持ち味は出る。しかし、低く設定しても使えるのも事実だ。Driveは出したい音の種類で変わってくるが、Toneはアンプや会場などの出音の環境によって流動的に考えよう。
*Drive(ロー)もTone(ハイ)もGainも、上げ下げすると出力も上下する。ブースト出力の調整に関わってくる部分である。 (壊れている1号機はGainで出力はほとんど変化なし)
*ゲイン、出力は十分にあり「100%クリーン」なアンプ以外、「20%でも歪むアンプ」さえあれば、ハードロックが弾ける音までは「必ず」プッシュできる。ただしEQ、Toneの設定に注意すべし。歪みの質感はEQに大いに依存する。

 

Absolute Zero Boost (Drive 0) (1号機用)
Shoalsははっきり言ってクリーンブーストは苦手だと思う。トランスペアレントって感じじゃない。けれど、DriveもGainもゼロにして、Toneを最大にしてみよう。どんなODでも、ブースターの時はそうするだろう。ShoalsのGainはゼロで出力が下がりクリーンモードに切り替わる仕様になっている。これでダメなら、他のペダルを当たってくれ。でも、たぶん欲しい音は出る。

8時のクリーンブースト (Drive 8時) (朝焼けブースト)
最も癖のないブースト。Level最大。Toneは高めが基本。用途によりGainを上げていく。Morning Gloryの名の通り、案外とBritish Classicか。

9時のCream Breaker (Drive 9時)
Marshall Blues Breakerペダル(初代)との比較を行っていた際に、結局Drive9時で最も近い音が出たことから。BBのキレ及びハイミッドの張り出し及び絶妙の曇り具合に迫るため、Gainは高め(4時くらい)に落ち着いた。Toneも極力高めと考えていい。当然ながら(残念ながら)BBよりも低域はガッシリしており、definitionもよりはっきりしている。

10時のチューブブースト (Drive 10時) (つるかめブースト)
Albit/Cranetortoiseの真空管ブーストに近いニュアンスがもっとも出やすい。Level最大。Toneは高めが基本。いいと思うところまでGainを上げていく。

11時のすっきりスクリーマ (Drive 11時)
10時と11時でかなりキャラクターが変わる。以下、Drive11時から2時くらいまではTSゾーンである。TS的なミッドの押しを求めるセッティングのため、Toneは必ずしも上げる必要はない。11時から12時が目安。Gainを上げていった方がTS的な押しの強さと音の厚みが出るようだ。その場合必要に応じてLevelを下げる。

11時半のケンタロウドライヴ (Drive 11:30)
健太に似せるためのスウィートスポットは11:30くらいにあるようだ。Gain2時、Tone4時でヘヴィドライヴ、Gain11時、Tone1時でライトブースト。その他GainとToneの組み合わせで色々やれると思う。ただ本物のクリーンミックス感に迫るにはToneはGainプラス1or2の位置関係がいいようだ。

12時の凪ドライヴ (Drive 12時) (上司ドライヴ)
なぜか知らないがDrive12時だと面白くないのである。ピンと来ないのである。まるで正午の凪である。ということは逆にどうしようもない時にここに合わせるといいのかもしれない。サラリーマン上司(Boss)ドライヴと呼びたい。「ああ、これね」という「間違いのない」音になるだろう。

1時の普通スクリーマ (Drive 1時) (British Screamer)
Drive、Gain、Tone、Level、すべて1時。ある程度歪むアンプ(Marshall想定)に使用する。まったくもって普通のスクリーマー系プッシュドライヴ。レスポールと合わせれば伝統ブリティッシュ。

2時の標準ドライヴ (Drive 2時) (じゃじゃスクリーマ)
適度な厚みを持ち、じゃじゃ馬的なパワフルさと、どんな音楽性にも対応できるversatileさを兼ね備えたShoals基本のセッティング。Drive、Gain、Tone、Level、すべて2時に設定するのが基本。そこからまずGainの最適値を求め、必要に応じてTone (ハイエンド)を上げ下げする。

2時のバーボンブースト (Drive 2時) (American Screamer)
要するに僕の「いつもの」セッティングのことである。Drive2時、Gain午前中、Tone午後、Level最大。あくまでShoalsの本来のキャラクターを生かすフルレンジで透明な琥珀色のセッティング。TS的なMidの張り出しはアンプのMidをちょい上げすることで出る。

2時のToneRider (Drive 2時) (Chinese Screamer)
しばらく有用していたTonerider AO-1の音に合わせたセッティング。押し出しの強いモダンTS系の用途。Drive2時、Gain2時、Tone1時、Level3時。Toneriderを上回る性能は実証済み。

3時のTS Breaker (Drive 3時) (Metal Screamer)
Drive3時、Gain2時、Level2時、Tone11時。現時点でこれがビンゴ。Metal Screamerとも言うべきTSを越える芳香なドライヴをここから作り出せるはず。

3時のBritish Steel (Drive 3時)
Drive、Toneともに3時が基本。Gainは必要に応じてなるべく上げていく。Shoalsの持ち味がもっとも美味しく出るスウィートスポット的なセッティング。スピード感とソリッドな切れ味の良さがあり、鋼のような刃のようなそんな正統派のヘヴィメタル。

4時のエクストリームメタル (Drive 4時)
Drive、Toneともに4時が基本。Gainは必要に応じてなるべく上げていく。ローエンドに殴りつけるような圧力と、厚みのあるハイエンドの刃が加わってくる。現在のEVHサウンドに近いニュアンスでもある。

5時のつや消しドライヴ (Drive全開) (Matte Drive)
特定のギターで太い音を狙いたい場合に有効。Drive全開、Gain3時、Level12時、Toneゼロ。Shoalsの持つ最も太い音と言える。Toneはゼロでも実用可能だが、現実的にはそこから適宜Toneを上げていくことになるだろう。

5時のストーナードライヴ (Drive全開) (Stoner Drive)
Drive最大の状態でGainやToneを極力下げていく。太いが古くさいブーストサウンドを作ることが出来るだろう。

未知の最大 (Drive全開)
さて問題は、どんなときにDriveを最大まで上げる必要があるか、という時だ。往々にしてローエンドが出過ぎる状態になるので、少し戻して4時にする事の方が多い。誰かをぶん殴りたい時か、まったく歪まないアンプを最大出力でプッシュする必要がある時などが考えられる。

 

Cold Boost (Gain 0にて固定) (1号機においての検証)
Ice Boostの方がいいかな(笑)

上に列挙したDriveによるキャラクターの変化を踏まえ、今度はGainをゼロで固定してDriveを動かしていく考え方のセッティングである。これはCold Boostもしくは「氷の刃」とも呼ぶべきクリーンブースト系のセッティングである。 Gainを早朝7:30(ちょっと上げただけ)で基本的に固定し、Driveによって必要な音の太さを選択する。Levelは必要なだけ上げる。クリーンブーストの性質上、Toneは高めが基本である。 これの用途は、野暮ったく太いアンプの音や、むしろ高過ぎるゲインなど、「温度の高すぎる音」を冷却する効果と言えるかもしれない。Shoalsの設定の中ではギターの原音の特性が比較的生きるセッティングでもある。
セッティング例 Absolute Zero Boost (Drive0、Tone全開、上記プリセットと同じ) もっともクリーンなセッティング。 Cold Boost D2 (Drive 2時、Tone2〜3時) 偶然発見されたセッティング。なにげにバーボンブーストと近い。 Cold Boost D9 (Drive 9時、Tone2〜3時) しゃきしゃき系の新鮮なクランチが必要な際のセッティング。 Cold Boost D12 (Drive 12時、Tone適宜) これが普通のクリーンブースト。 Cold Boost D4 (Drive 4時、Tone適宜) クリーンブーストと言いつつ太めに鳴らす。Toneも上げればドンシャリに。

Hot Boost (Gain 最大にて固定) (1号機における検証)
Fire Boostの方がいいかな(笑)

ブースター的オーバードライヴのセッティングと言えば、Gainは下げるもの、というセオリーを逆手に取り、Gainを最大にした上でブーストの音を作っていく方法論である。 Gainを上げることにより、張り出し、押し出しのある、そして厚みのある音作りが可能となる。 Gainを上げるぶん、出力も上がるので、そこはLevelを下げることによって対処することになる。 Cold Boostの時と同じように、Gainを固定した上で、音のキャラクターはDriveで選択することになる。 音の密度が中域に集中するため、アンサンブルの中での音抜けは非常に良い。副作用はアタックの頭まで太くなる点でありこれは用途によっては使いにくさや反応の遅さにつながるため注意が必要。 Shoalsのキャラクターの良いところが前面に出た、ファットで筋肉質、しかし張りのあるサウンドに、きっと驚くことだろう。Gainは最大から、ほんのちょっとだけ下げると良い結果が得られることが多い。

Heterogeneous Boost (STR Rabid Cat 専用セッティング)
ニュータイプ専用機などと呼称される、異能者のために作られた特定の個体は、パワーもあり、フルレンジで鳴る上に、倍音も豊富に乗り、なおかつ低音も豊かである。そういった個体をブーストする場合、有り余る無駄なローエンドをきっちりとカットしつつ、ギターの持ち味を極力生かさなくてはならない。ギター本体の出力が高いために、ブーストはそれほど必要ないことを鑑みDriveは低めに設定し、Shoalsの色を付けつつも、真空管のようなナチュラルなブーストを狙った極端とも言える専用セッティングである。 Drive 8時、Gain 2時、Tone全開、Level 午前中(適宜) から調整していくものとする。

Suede Boost
パソコン上にてJCM800(brainworx)に突っ込んだらまんまSuedeのファーストみたいなブリティッシュかつ艶のあるサウンドが出たため、メモ。Drive1時、Gain8時、Level10時、Tone全開。実際にアンプで鳴らすと多少違ってくると予想される。Shoalsの持つ艶の部分が、Drive1時のBritishセッティング、および低出力の組み合わせにより生み出されたと思われる。基本アメリカンなキャラクターのShoalsからここまでブリティッシュ的な音が出たのは意外。

Kuassa Boost
パソコンの中のKuassaのオーバードライブプラグインの、Boutiqueモード(ClayJonesが元ネタ)が素晴らしく、それに合わせて作ったセッティング。このKuassa BoutiqueとShoalsの音のキャラクターはかなり似ているが、デジタル上のプラグインという利点もあってか、音のクリアさやハイミッドの食いつきなどで、Kuassaの方が上回っていた点がいくつかあったのは否めない。それでもハイポジションにおける単音プレイ時の音の太さはShoalsの方が上であり、またBoutiqueはローが削れ過ぎる傾向もあり、どちらが良いかというのは一概に言えない。が、Kuassa恐るべしである。 Drive 7:30 (非常に微妙。少し上げただけ) Gain 3時、Level 12時、Tone 3時。Levelは上げていってもいいと思う。 リードの際はGainを最大近くまで持って行っても良い結果が出た。(名付けてKuassa Reverse) と思ったが、Drive10時のクリーンチューブブーストでより魅力的な音が出せたようだ。 Drive10時、Gain8時、Level11:30、Tone午後3:30といった具合である。(Kuassa Tube) > 結局Cold Boostで完全にBoutiqueを上回る音が出た。Driveは2時の場合と10:30の場合。Gainは限りなくゼロ。LevelおよびToneは最大。(Kuassa Cold) こうすると、反応の良さでも劣らない上に、Shoals独特のダブリング感を伴った透明な艶、太さ、バリバリ感などでBoutiqueを上回った。
この一連のテストの中で、Shoalsのたとえばハイポジションで単音を弾く場合にも適度に低音が付いてきてくれることによって音が細くならない、そのためにシュレッドがし易いという特徴を確認することが出来た。それでも高音などの反応はBoutiqueに届かない部分もあるが、それは必ずしもデメリットとは言えない。いずれによせ、限りなく反応を良くするためのセッティングを探求することが出来たのは大きい。またローエンドが適度に削れつつも、パワー感の低音の部分はしっかり残っているというShoals独特のローエンド処理の絶妙さも確認した。そして何よりも、Cold Boostにおいても失われない、Shoals独特の暖かみが再確認とも言える最大の発見だったかもしれない。

Muscle Mayor
よくよく突き詰めてみるとShoalsはゲインが高く、ディストーション的な要素を色濃く持ったオーバードライブである。全部のつまみを全開にしたセッティングで (もちろん適宜下げるべきだが)、完全にクリーンなアンプに突っ込んだ場合であっても、アンプ側のEQセッティングが間違っていなければ、Marshall Gov’nor的なニュアンスでディストーションペダルとして機能する。実際にはGov’norほどゲインは無いかもしれないが、オーバードライブ的なヘッドルームは残した上で、タイトかつ太いローエンドとオープンなハイを併せ持ったよりモダンな音は、Gov’norと十分に張り合えそうだ。アンプのゲインを下げ、このShoals自体の歪みを生かす使い方にも大きな可能性がある。このタフな音色を、ペダルの命名ネタであるMuscle Shoalsに引っ掛けて、Muscle Mayor (筋肉市長)と呼称したい。

 

二号機を入手して、一号機のGainがやっぱり壊れていたことを受けて。
一号機と二号機の違い。
壊れている一号機は、そのぶん、 基本的にGainが異常に高い。 ノイズが多いのはその異常なゲインの高さが大きな原因のひとつ。
Gainは変化するが、微妙な変化。単体で単音を弾くとわかりやすい。 Gainを上げ下げしても、出力に変化がほとんどない。 Gainがゼロのポイントでぐっと下がる。これがせめてもの救い。それでもまだ、ノーマルと比べてかなり高い。
低音が出る。妙に出る。 ハイエンドが犠牲になって抜けが悪い。 立体感がなくなっている。平面的なぐしゃっとした音。 押し出し感が強い。
ソロを弾いたときの低音が付いてくる感じは一号機のみ。 ソロを弾く時に、Gainが午後あたり、特に3時くらいにクリーミーで美味しいポイントがあるようだ。 Driveのキャラクターもよりゲインが高くなっていると考えて、午前中10時のセッティングでも、ノーマルな二号機の午後と同じくらいの音が出たりする。
つまりノーマルな二号機の方が、 Gainが下がることによって、抜けが全然良い、ノイズが少ない、音に立体感がある。 クリーンな方向の音作りが断然しやすい。 Gainの上げ下げによって歪み具合だけでなく、出力にも変化が見られる。
壊れている一号機は、偶然が生み出したハイゲイン仕様と考えることも出来る。 修理してもいいが、ちょっと迷う。これはこれで使えばいいのではないかと思ってしまう。
どちらにせよ、異常なハイゲイン仕様になっていることを鑑みて、一号機の扱いは注意が必要であり、ブースター用途で使う時にも、LevelやGainは低めに設定する必要があるということ。上げる場合は、どうしても必要な時、ってことかな。

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