Nabeshimaで使ったプラグイン

 

Nabeshimaの制作は、昨年9月から録り始めて、今年の2月にやっとヴォーカルトラックを最後まで録り終え、3月にミックス、4月はお休み、5月にマスタリング、そして6月に気になるところを手直しして、たぶんもう完成している。

 

近年では、制作を終えた後に、使ったプラグインについてもひととおりの記録を取るようにしている。
それは反省と、こうしたらこうなった、というのを少しでも頭の中に留めておくためだ。

 

単なる自己満足の記録にしか過ぎないかもしれないが、”Nabeshima”の制作、ミックスに使ったプラグインについてちょこっと書いておこう。

 

僕はアップデート、特にデジタルの領域のアップデートという概念を必ずしも信じておらず、MacBookProのOSもちょっと古いまま使っていたりする。

さすがに昨年、ちょこっとだけアップデートして、それでもまだ古かったが、
今回、この”Nabeshima”の制作を終えた後に、よい節目だからと考えて、また少しアップデートした。

その結果、使えるプラグインが少しは増えたわけだ。
”Nabeshima”の制作前にアップデートしておけば良かったじゃん、と思うかもしれないが、やっぱり必ずしもそうではない。

音というのは難しいもので、得るものがあれば大抵の場合、同時に失うものがあるので、どのへんが自分にとって、またその時の作品にとって、ちょうどいいのか、というのを見極める必要がある。

結果的にちゃんと作れました、作品があるべき姿になりました、というのが重要であって、こんな最新のシステムで作ったぜ、とかいうのは、あまり関係がない。

そんなわけで、ある程度古いシステム上で制作を進めたため、使えるプラグインは限定されていた。

 

僕がPlugin Allianceのプラグインを使い始めたのは2016年に行った”Jesus Wind”の制作からだが、それ以来、Plugin Alliance (以下PA)のプラグインの使用率はどんどん増えて、サブスクリプションこそしていないものの、結構な数のプラグインを使っている。

PAに対しては、クオリティの高いツールではあるものの、必ずしも方向性が好みではないものも多く、複雑な思いを抱いているが、やはり気が付けばかなり使っているという状態だ。

 

また今回の”Nabeshima”に関しては、作品の方向性がレトロ志向であったこと、また個性的な音作りを求めていたこともあって、今更と思われるかもしれないが、Nomad Factoryのプラグインを予想以上に使うこととなった。で、Nomad Factoryは僕は使うようになったのは2012年以降に少しずつ使い始めたのだけれども、今回の”Nabeshima”の制作にあたってかなりNomadのものを入手して、それらが、自分としては非常に好みのものが多く、また結果もバッチリと出た。

 

リヴァーブや空間系は僕はEventideのものが大好きであるから、今回も多用したのだけれども、Valhalla DSPもかなり多用した。特にValhalla Plateはかなり使ったので、これまでの作品の中でもっともValhalla DSPを使ったと言える。

 

録音に使用したハードウェアについては、全部ではないがある程度は以前のブログ記事に書いたと思う。ハードウェアは、たとえ入口の録りの部分だけだったとしても、やはりキャラクターを決めるにあたっては非常に大きいと思う。プラグインでキャラクターを付与するよりもよほど根本的だと思うので、ある程度狙っている方向性が決まっていれば、録りの時点でマイクプリのキャラクターはもちろんのこと、EQやコンプなども使って積極的に音を作っていった方がいいな、と感じる。

 

ただ、もちろんプラグインでも、がっつりとキャラクターを付けることの出来るものはいくらでもある。今回多用したNomadはとても個性派だと思うが、PAでいえばコンソールのプラグインとかもかなり濃ゆく色が着くし、今回、リリース時にフリーだったところのUnited Plugins FrontDAW (英語的にはフロントドア、と読むのが正しいと思う)ってやつをたまーにごく一部で使用したものの、いかにもわざとらしいと思わなくもなかったが、やはり味付けは非常に濃いものだった。今時、プラグインでハードウェアに劣らないくらいの味付けが出来るというのも、また事実であると思う。

 

PAのbx_consoleに関しては、システムが古かったせいもあって、結局bx_console N (Neve VXS)しか使わなかったけれども、後になってシステムをアップデートし、他のSSLやFocusrite等も試してみたが、今回の作品に関してはNが一番合っていたので、結果的に問題なかったな、といった印象だ。

僕は、DAWの中で、たとえばすべてのチャンネルにこういったコンソールシミュレーターを立ち上げる、みたいな使い方は必ずしも賛同していない。それにNeve系の音とか、いかにもそういう音、に必ずしも賛同しているわけではないので、この”N”に関しても、アンビバレンツな気持ちを抱きつつ使っているわけだが、この方向性が必要な箇所もやはりあるわけで、そういうトラックおいては所定の効果を上げてくれた。それほどたくさん使ったわけではなく、部分的な使用だけれども、そうはいっても、ちょっと「それっぽくしたい」トラックにはちょくちょく使っていた。

 

チャンネルストリップ的なプラグインでいえば、僕は近年、ちょっと「チャンネルストリップ」という概念に少し凝っていた。チャンネルストリップというのは、何をもってチャンネルストリップと呼ぶのか、定かではないけれども、僕の中では、マイクプリ、コンプ、EQの3点が備わっているツール、だと思っていた。その他に、ゲートとか、フィルターとか、なんだかいろいろその他にあるとそれはそれで便利ではある。

ただ思っていることとして、ハードウェアでもそうかもしれんが、DAW上においては、コンプもEQもサチュレーションも、好きな組み合わせで好きなプラグインを立ち上げることが可能なわけで、わざわざそういった「チャンネルストリップ」的なものを使う必然性は必ずしもあるわけではない。
僕が思うにはチャンネルストリップというのは、作業の上での効率、つまり日々のなんでもない処理をぱぱっとやっちゃうための効率に特化した「めんどくさいからこれ使っとけ」みたいなツール。だからこそプロフェッショナルな立場の人はそういった効率や確実性を重視するのだと思うけれども。
あとは世界観というものを狙っている。チャンネルストリップには、コンソールがそうであるように、その設計思想にひとつの世界観があることが多いので、それを狙っていく場合に使うものであると思う。

 

今回の制作でも、「面倒だったので」、そういったチャンネルストリップのプラグインを使う場面がいくつもあった。その中で、自分にとっては「これだ」と言えるお気に入りのものがあったのだけれども、それが何であるかは秘密にしておきたい。

ただ、自分にとっては、「面倒くさい日常の処理」を行う泥臭い処理の効率性と、そうはいっても自分好みの味付けを行う個性と、確実に効いてくれる効果、そして至れり尽くせりといった機能性を兼ね備えたものだった。

まぁ、チャンネルストリップひとつとっても、何種類も使ったけどね。

 

空間系、リヴァーブについて改めて書くと、
僕は2014年下半期以降はお気に入りのリヴァーブといえばEventideのものが一番しっくりきていたわけだ。(作品でいうと”Atomic Live”以降、スタジオ作品?的には”Heterogeneous”と”Reluctant”のRebuild、および”Jesus Wind”から使い始めた感じ)

一番ヴァーサタイルであらゆる場面に対応できるのはやっぱりUltraReverbがいちばん堅いと思っているけれど、今回はSP2016があったから、かなり多用したし、要所においてはTverbも使用した。Tverbはわりと「自然な」使い方になってしまったけれど。SP2016はその逆にいかにも「デジタルリヴァーブだぜ」といった感じの使い方かな。

 

で、今回は作風がレトロ指向ということもあり、リヴァーブはValhalla Plateを使うと決めていた。そして実際に結構使った。EventideとValhalla Plateと、どっちが多いかちょっとわからない。半々くらいだったんじゃないかと思う。そして実際に、Valhalla Plateは素晴らしかった。期待通りの効果が得られたと言っていい。

リヴァーブに関しては、そのように、4割がEventide、4割がValhalla Plate、くらいだと思うが、残りの2割でその他もいくつか使っている。面倒くさいから書かないけれども。

 

Valhalla Delayも結構使ったね。
ディレイはいろいろ使ってるけれど、前作”Overture”においてもNomad Echoesとか結構使ったし、今回もちょくちょくEchoesは使っているけれども、Valhalla Delayの方がたぶん多用している。まあディレイなんてDAW付属のものでいいじゃんとも言えるし、普通にLogicのやつも使っているけれども。

Valhalla Delayはエフェクト的に使うこともあったし、キャラクターも色々あって便利だったけれども、モードやセッティングによってはノイズを出すことがあって、なんだこの音は、って思って調べてみるとValhalla Delayが犯人だった、ってことが何度もあった。そのへんは仕様なんだろうけれども、アップデートで改善されてるかもしれないし、されてないかもしれない。

 

 

そういえば6月に入って手直しをした際に、Valhalla Supermassiveがフリーでリリースされていたので、手直ししたひとつの曲で使ったね。
Suppermassiveはかなり派手なエフェクトだと思うんだけれども、その曲で使ってみたけれど案外と効果は目立たない。地味になってしまった。

たとえば今思い返すと、前作の”Overture”は(ミックスが適当過ぎて、ミックスの失敗がたくさんあるけれども)それなりに派手なエフェクトを随所で使った印象があるけれども、今回の”Nabeshima”では、それなりにエフェクトはかけたはずなんだけれども、結果的にそんなふうに聞こえないというか、結果的にベーシックで地味な音になっているように思う。

これは楽曲そのもの、アンサンブルそのものがレトロ指向でシンプルであった、ということがあるし、また、録った音そのものがそういうシンプルで直球なものだったので、たとえ派手な空間系のエフェクトをかけたとしても、やっぱり直球にしかならない、という不思議だが、当然といえば当然の結果だったのだと思う。

 

なんにせよ、EQにせよコンプにせよ、持っているものをまんべんなく、あらゆるものをすべて適材適所で使ったという印象がある。elysiaも使ったし、Sonimusも使ったし、Nomadも使ったし、HOFAもKuassaも使った、という感じだ。
ヴォーカルに使うコンプに関しても、前から使っているいくつかの定番はあったけれども、結果的に曲によっていろいろ使った、としか言いようがない。
またヴォーカルに関しては以前の日記に書いたと思うが、マイク、マイクプリ、コンプの選定によってかなりキャラクターを決めて、曲に合わせてそれらを使い分けて録ったので、その時点で基本的なキャラクターの方向性は出来ていた。

 

サチュレーションにどのようなものを使ったか、いわゆるアナログ感等を演出するサチュレーション、については、色々使ったが、色々あり過ぎてあまり書く気がしない。
一番肝心なところでもあるので、なんだ結局、肝心なことはちっとも書いていないではないかと思われるかもしれない。

 

いずれにせよ、思い返すと、かなりの総力戦で、EQ、コンプ、サチュレーション、チャンネルストリップ、空間系、など、どの分野であっても、持ってるものを万遍なく色々使った、という感じになる。

PAやSonimusも多用したが、その中でも今回はNomadのものが想定以上に効いた、ということは言える。

そんな感じかな。
そんな感じの曖昧なことしか書けなかった。

 

 

なんにせよ思うのは、ヴォーカルもそうだけれども、たとえばギターについて言えるのは、やっぱりギター、アンプ、そしてキャビネットが良い音で鳴っていれば、その時点で勝負は8割方ついていると言える。

ギターの選定、ペダル(オーバドライブ、ブースト)の使い方、アンプの質、キャビネットの鳴り、それからもちろんプレイヤー本人の手ということは言うまでもない。

そこから後は基本的にちょっとしたアレンジとか組み合わせの問題に過ぎない気がしている。

 

アンプに関して言えば、”Imaria” (まぁただのJet City Ameliaなんだけど)は、たとえ安物と言われようとも、今まで僕が弾いたり触れたりしてきたアンプの中では、一番気に入ったと言えるものだ。(方向性や性格がとても合っていた)

この24曲二枚組のバラエティに富んだ楽曲を、すべて(1曲だけ、ラインの曲もあるけど)このアンプ一台でやれた、ということは結構驚くべきことのように思う。

もちろんこれからもいろんなアンプを試してみたいし、すごいアンプ、高いアンプ、良い出会いがあるといいなと思っているけれども、たぶん僕はこの”Imaria”で全然やれる。

(さっきJet City Ampsのウェブサイト見たら、なんか全部「レガシー」の項目になっていて、ひょっとするともうアンプ売らないのか、くらいの感じだったから、手に入るうちに、冗談みたいな安価で入手して良かったと言える。)

 

“Imaria”について言えば、気に入っている点のひとつに、基本ブリティッシュ系の音とは言いつつも、アメリカンな手触りもほんのり兼ね備えているところとか、あとはMarshall系とは言いつつも、ブギーっぽい太さとかOrangeっぽいキャラクターも出ちゃったりする辺りがあるね。ただ、人によっては中途半端だったり、セッティングや使い方もとても気難しいと思う。僕も「乗りこなす」ためには電源ケーブルとかをちょっと工夫する必要があった。

 

 

話題は変わってしまうけれども、ギターのプラグインについてちょっと書こう。

OSをちょっとだけアップデートしたおかげで、Plugin Alliance (brainworx)のギターアンプのシミュレーターも、新しいやつも使えるようになった。

でまぁ、ダンブルっぽいFUCHSとか、トレインレックっぽいFUCHSとかもあるみたいだけれども、どちらも僕のスタイルには合わないし。(昔、カナダのバンドにTrainwreckのコピーを弾かせてもらった時とやはり同じ印象。素晴らしい。でも合わない。っていう)

brainworxのアンプシミュはとても良いものだと思っているが(IRは気に入らないところも多いが)。
けれどもやはり、元になっているアンプが気に入らなかったり、合わないものであればそれまでだ。その意味では、PAのアンプシミュは選択肢が結構限られているのはネックだった。

 

僕は普段の作曲テンプレートには、ギタートラックにはbrainworxのENGL E765 RetroTubeを立ち上げてあるが、それはほとんど消去法であって。
RetroTubeはスタイル的には自分の用途にかなり近く、また使い勝手が良いために多用しているが、好きなアンプかと言われればそうでもないし、また正直、かなり退屈なアンプだと思っている。(その退屈なところが、作曲にちょうどいいのかもしれない)

そういう意味では「面白い」と思わせてくれるアンプは多くはない。
これはハードウェアであろうとソフトウェアであろうと同様だ。(RetroTubeは本物を弾いてもやはり退屈だったし)(もちろん、古い800とかは、自分は非常に好きである。が、もう少しモダンでヴァーサタイルでないと用途に合わない)

 

brainworxの中では、ひとつ世代の古いRockrackProの800がとても好きだったのだが(音が荒くて反応が生々しいところが)。
でもその他のものはやっぱり結構退屈だ。いや、あれだ。もちろんBassdudeとか良いのだが、スタイル合わない。そしてChandlerのやつは非常にいいが、やっぱり合わない部分も多い。

そこんところへいくと、これも100パーセント満足というわけにはいかないが、friedmanのDirty Shirleyがあったので、それを手に入れたため、これでMacBookの中でギターを弾く時の満足度はかなり上がった。Jimmy Pageのために作った、というのがなんか頷ける感じだ。

同じfriedmanでも、たぶん大人気なのであろうところのBE100は、なんというのだろうか、もちろん良いのだけれども、「騎士道」みたいなマッチョ感が強過ぎて、僕はあまり好きではなかった。昔のディズニー映画のイケメン王子様みたいな感じ、とでも言えばいいのか。こういうアンプは、もっとマッチョでマンリィな人が弾けばいいのであって、僕向きじゃない。

 

とはいえ、前から使っている、MercuriallのフリーウェアのHarlequinはやっぱり非常に好きであり、どっちが好きかと言われたらやっぱりまだDirty Shirleyよりもこっちの方が好きだ。

でも、あれはプリアンプだから、出来ればパワーアンプと組み合わせたいし、その組み合わせる相手としてもDirty Shirleyは相性が良かったので、「パソコンの中のギターの音の最高記録」が更新されてゴキゲンである。

キャビネットのIRは、用途とか曲によるけれども、普段弾く時には「Eminenceの入ったMarshallの4×12」を使うことが一番多いかな。結局、ちょっとモダンでミッドがくっきりしてるやつが好きなんだと思うね。

 

そういう意味ではDirty Shirleyは、十分に「退屈しない」アンプではある。たとえプラグインではあっても。いちいちHarlequinを立ち上げて(パワーアンプやキャビを)セッティングする手間も省けるし。結局便利さを追及してしまうよね。

でも、「うおお、これの本物を手に入れてレコーディングするぜ」とはならないので、やっぱり僕はかなり好みが難しいのだと思う。現在のマーケットで気になっているのは、相変わらずVictoryのやつと、あとはALBITさんのA-1アンプを、試してみたいんだけど、前にお伺いしようと思ったらコロナの緊急事態宣言で機会を逸した。。。
でも弾いてしまったら人生観変わってしまうかもしれないからそれも怖くて。

 

そんなわけで、最新のギター用プラグインとかもやっぱりシステムのOSが古いせいで使えないことが多くて、しかもたとえ試したとしても辛口の評価をしてしまうことが多いし、たとえば人気のあるNeural DSPのものとか、僕は前にボロクソな評価をしたからなぁ。全部試したわけじゃあ、ないけれど。

 

PAがまた「メタルアンプ」を出すみたいで、いったい何なのか、ちょっとだけ期待しているところだけれども。大方の予想はENGLなんだろうけれども、5150系が来る可能性もあるから、そこにちょっとだけ。

とはいえ、5150のアンプも、僕はVan Halenの大ファンであるにも関わらず、たとえば5150はポピュラーなアンプだから、リハスタに置いてあることもちょくちょくあるから、昔から何度も試しているんだけど、「これを使おう」となったことは無い。自分のスタイルだと、Marshallを使う方が結果がいいかな、としか思えない。好きか嫌いかで言えば、間違いなく「好き」なんだけれども。そういえば大きな会場の大事なライヴでやっぱり6505を使わせてもらったことが一度あったっけ。結果はやはり良かった。小さな会場でBugeraの5150タイプを使ったこともあったなぁ。あれも結果は良かった。

昨年も、某所で初期型の5150を弾く機会があって、あぁ、やっぱり良いなぁ、と思ったんだけれども、とても良いし、演奏のスタイルも確かに僕のスタイルに近いんだけれども、それでもやっぱり「よし、これでレコーディングするぜ」とはどうしてもならない。
そのへんは、不思議だね。

 

ギターでもそうだから。Musicman Axis-EXには長年とてもお世話になったし、それだけでもEddie Van Halenおよび、あのギターに携わった人々にとても感謝をしなきゃいけないくらいだけれども、その後、結局僕のギターのスタイルは、EVHとは違うものになってしまっている。

たとえばBacchusのスーパーストラトタイプが手元に2本あるけれど、見た目はわりと「普通のスーパーストラト」で、普通過ぎてつまんないなぁ、素朴だなぁ、と思うんだけれども、弾いてみると、EVH以上にEVHっぽい音が出てくれたりする。

その逆で、現行のEVHのギターは、インスタグラムとか写真で見るとすごくかっこいいんだけれども、店頭で弾いてみて、良いと思ったことは正直ほとんどない。

人によって相性があると思うんだけれども、難しいものだよね。

 

 

これもまた話がずれるけれど、話題を変えて、リヴァーブのプラグインについて。

やはりシステムのOSをアップデートしたので、いくつか、試せるやつは試してみた。リヴァーブのプラグイン。

ただ僕はリヴァーブに関してもかなり気難しくて。
システム、価格、あとはiLokのUSBドングルが無理、とか、あって、TCやLexiconといった定番が選択肢に入らなかったので、Eventideは僕にとっては救いの神といった感じだった。

そんでもって、使ってみると僕はEventideのリヴァーブは大好きだった。ギター用のプロセッサーで有名なブランドだからか、ギターサウンドとの相性も良いし。

コンボリューションのリヴァーブも良いものだとは思うけれども、自分の用途においてはアルゴリズムリヴァーブの方が好き。これはたぶん80年代趣味という面もあると思う。

 

僕はなんというか、物事は進化する面もあれば、劣化する面もあると思っていて、世の中の状況とか、民主主義をめぐる状況にも言えることなんだけれども、新しいものが必ずしも良いってわけじゃない。
特に今の時代においては、本質的に良くないものが、ソーシャルメディア社会の皆のリアクションによって注目を浴びることが多々あるので、評判になってるものでも「全然だめ」と感じることは多い。

だから、これまでもリヴァーブを試してきても、あんまり良くないのばっかだなあ、と感じることの方が多かった。まあ、ちょっと保守的なところはあるかもしれない、僕は。

たとえば前にかなり評判になっていた2c audioのリヴァーブなんかも、僕は「別に」という感じだったし。

 

で、また、この機会に、試せるやつを10個くらい試したみたわけだ。

その中でもめぼしいものだけ記録しておこうと思う。だいたいぶったぎっているし、僕の耳が悪いだけかもしれないが、そういう前提で。

 

アルゴリズムリヴァーブなんてものは、基本的に「そういうもの」みたいなところがあると思う。その意味では、どれもだいたい同じであって、違いは、どれだけパラメーターが自由に操作できるか、という点だと思う。

だからこそ、そのパラメーターが「正直に」公開されているツールが僕は好きで、Eventide UltraReverbはそこが気に入っているし、Valhallaなんかでも豊富な操作系統は長所だと思う。

 

今回試した中で、ひとつ、いいな、と思ったというよりは、ちょっとびっくりしたのは、
Oril Riverっていうやつで、フリーにも関わらず、「なんか大体全部揃ってる」くらいのクオリティだったので、とても良い印象を持った。なんか「イエス・キリストに栄光あれ」的な、めっちゃクリスチャン的なメッセージが書かれていたけれども。善意でやってるんだろうね。

試した中でも、これは書くまでもない、くらいのものは、触れないでおく。

ちなみに僕はExponential Audioのものは、Phoenix VerbとR2しか試していないが、素晴らしいクオリティだと思うが、同時にちょっと「生真面目すぎる」と感じて、「まぁクラシックとか映画とかやる際にあればいいか」くらいに思っている。そんな機会は無いかもしれないが。

 

Relab Sonsig RevAっていうのを試してみた。
Relabはリヴァーブではすごく評判のいいディベロッパーだと思う。
完成度は非常に高いが、音のキャラクターは基本的に一種類しかないと感じた。
モードは3つくらい付いているのだが、基本的なキャラクターはひとつだ。
たぶん現代では「原音に干渉せずクリアさを保てるリヴァーブ」が重宝される傾向にあると思う。これもその例に漏れない。なので、というか、初期反射をいじるパラメーターがあまり無いように思う。
音はとてもきれいで、完成度が高いと感じるが、ちょっと平面的であり、表現力に欠けると感じる。
ぱぱっと使って良い結果を出したい人には良いかもしれないが、本気で使うツールだとは感じなかった。

 

それからLiquid Sonics Cinematic Hallというのを試してみた。

これもクリア系という印象で、音の種類も基本的には一種類だという印象を持った。
けれどもとても優秀だなと思った。
ただ初期反射をいじるパラメーターはあったが、効果は限定的だった。でも僕が試したのはstandard版だったので、Professional版にはもっといじれるパラメーターが付いているみたいだ。
以前にFabfilter Pro-Rを試した時の印象とそれほど遠くない。モダンでクリアで使いやすいという方向性か。完成度は高いし品位のある音だと感じた。
ただやはり音のキャラクターは基本的に一種類で、多様な音が作れる感じはしない。曇った音は苦手な印象がある。
これはサラウンドだかイマーシヴだか、そういう用途に使う、というのが宣伝文句で、そういった用途に使って初めて本領を発揮するものかもしれない。
けれども、(どんな製品でもそうだが)、いかにもすごい画期的な新製品、みたいな宣伝文句が付いているけれども、使ってみるとしょせんはアルゴリズムリヴァーブはアルゴリズムリヴァーブでしかない、という結論になってしまう。
作れる音の可能性であるとか、表現力の幅という意味では、辛口の評価になってしまう。
どこかの誰かが書いていたが「無難な音だね」というのが最終的な結論だと思う。無難で使いやすいが、それ以上のものではないと思う。

リヴァーブって難しいものだから、世界中の人たちがDTMだかコンピューターだかでいろんな音楽を作っていて、そういうプラグイン等の市場がインターネットを介して広がっている現代においては、こういう「使いやすい」リヴァーブの方がウケるし、売れるんだと思う。

ぱっと立ち上げてきれいな音がして、15分後にはインターネットのフォーラムに「素晴らしい」って書き込みがいっぱい付く。そんで評判になって売れる。けれども本質的には機能性も表現力も不足している。2、3年もたつとみんな飽きていて誰も話題にしない。現代にはそんなツールが溢れているのだと思う。

 

PAで言うと、bx_roomsは「決して悪くはないが、うーん、どうだろう」という評価の難しい品だが、よく見るとBYOME(Triad)にもリヴァーブは内蔵されている。で、今回、それもちょっと試してみたが、やはり本格的なリヴァーブとしては力不足という印象。

Unfiltered Audioの製品はどれも好きだが、BYOME(Triad)は、一発芸的なエフェクトには良い面もあるが、「あんなこともこんなこともできるぞ、どうだすごいだろう」という要素が大きく、数々のモジュールが用意されているが、そのぶん、それぞれの要素がどれも中途半端、という印象がある。

 

それだけだっけ? メモを見ると。。。

ああ、結局、10個くらい試したのだけれども、「書くまでもない」というものがほとんどだった、ということか。

 

あらためて、実は今まで使ってないんだけれども、Valhalla Roomを見てみたのね。
今更と思うかもしれないが。

僕はValhalla Roomは前に試した時には、そんなに良くないと思ったのよ。
Valhalla Vintage Verbの方がいいな、と思って、そっちを手に入れて、たまに使ってたのよ。

でも、よく見たら、何時の間にかアップデートされていて、見た目も野暮ったい赤じゃなくて、クールな色(Electric Blue)になってるし。アルゴリズムもかなり増えて、ダークできめの細かい音も作れるようになっているし。

で、あらためて見てみたら、やっぱり優秀だし、いじれるパラメーターも非常に豊富だっていうことで、あ、なんか、これでいいじゃん、って思えてきた。リヴァーブに関する「願望」は、これで全部叶えられそう。

 

リヴァーブって本当に難しいと思う。

EQとか他のエフェクトに関しては、いろんなディベロッパーがいろんなものを作ってるけれど、「リヴァーブ」に関しては、本当に使えるものは、定評のある大手メーカーか、あるいはそれ専門でやっているディベロッパー、ないしは工学系の理系のクレイジーな博士、みたいな人に限られる印象がある。

技術、理論、計算、センス、その積み重ねでしか結果が出ないようなところがある。

だからこそ、今回試した中ではOrilRiverはちょっと驚いたわけだけれども。
(全部揃っているリヴァーブだと思うけれども、とはいえ特に際立った特長があるキャラクターではなかったが、しかしクオリティは高かった)

 

結局、アルゴリズムリヴァーブに関しては、使う方、いじる方の腕が問われる部分もかなり大きい。
なので、「どの製品を使うか」よりも、「どのようにいじって、どのように使うか」という部分も相当に重要であるように思う。

そういう意味では、Valhalla Roomで十分だし、逆にValhalla Roomで「ダメだ」っていうのであれば、何を使ってもダメじゃないかという気がしている。

もちろん、めっちゃハイファイな用途でクラシックとかジャズとかやるっていうんであれば、それこそyardstickだかbricastiだか、ハードウェアを使ったりするんだろうけれども、それはまたきっと別の価値観。

 

リヴァーブひとつとっても、このように見てみると「正直」な道具って、驚くほど少ない。

そういう世の中、そういう時代。
便利なところもあるけれど、不便なこともとても多いなと思います。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください