作業報告。ヴォーカル録音の際に注意すべきこと

 

さて、経過報告であるけれど、”Nabeshima”のレコーディング、録音作業は順調に進んでおり、年始の段階でアコースティックギターをだいたい録り終え、つい先日、1曲だけ残っていたアコースティックギターのインスト曲もなんとか録り終えた(たぶん)。

1月の半ばからヴォーカル録音にようやく取り掛かり、コーラスというのかハーモニーのパートは後回しにして、リードヴォーカルをまず先に録っているが、1月が終わった時点で、それも残り4曲というところまで来た。

今回の”Nabeshima”はダブルアルバムのプロジェクトで、全部で24曲、そのうちインストが2曲だから、歌うのは22曲。だから現時点で18曲のリードヴォーカルを録り終えたことになる。(やりなおしが発生しなければの話だが)

できれば1月中に全部やっつけたかったな、とも思うが、まぁ上出来だろう。内容を考えても「順調に進んだ」と言っていいと思う。

つまりあとは残り4曲のリードヴォーカルと、それが終わればコーラスというのかハーモニーのパートをやって、それで「録り」としては完了ということになる。

当然ながら、曲の主役となるべきリードヴォーカルと違って、バックグラウンドヴォーカル、コーラスに関しては技術的なハードルも、精神的なプレッシャーもずっと低い。歌うべき箇所も曲の中の一部だけだし。

あと一息、もうすぐだ。

 

ヴォーカル録音については、今回は2種類のマイクと、3種類のマイクプリアンプを使い分けている。
自分は今まで、だいたいの場合には「有り合わせの機材」で録音してきたけれど、こんなふうにいくつもの機材を使い分けてヴォーカルを録るなんていうことは初めてのことだ。

マイクに関しては、メインで使っているのは、”Jesus Wind”の時から使っているCADのE300sだ。
これは過去の日記にも書いてあると思うし、そんなにポピュラーなマイクではないけれども書いてしまって問題ないだろう。

 

ここに至るまでのヴォーカルマイクの変遷を記しておくと。

その昔、ずっと昔、一人で録音制作を始めた頃に、昔のバージョン(90年代)のまだMade in USAだった頃のCAD Equitek E300を手に入れて、それを何年も使っていた。
2005~2006あたりの、作品で言えば”fireworks”まで。

音を聴けるようにしておこう。
これがその頃の、Made in USAだった頃のE300で録った声。ただしヴォーカルはダブルトラックになってる。

 

この曲の方が、ダブルトラックじゃないからわかりやすいかな。

 

その後、録音とかどうでもいいや、と思うようになったので、マイクも機材も売り払って、しばらくはずっと、録った場所(他人のスタジオ)とか、リハスタで貸し出しているRODEのマイク(NT1とか、NT2とか、そういうやつ)で適当に録ってきた。

ちなみに2006年頃に日本メタル界の著名人でもあるYプロデューサーに録ってもらった時にはAKGのSolidTubeを使ったけれど、音の芯とか基音がちゃんと録れる感じで、良いマイクだったけれど僕の声には合わないなと感じていた。

これがYプロデューサーに録ってもらった声ね。これは録りがアナログ(テープ)っていうのもポイントだけれど。

 

ドイツで有名なプロデューサーSascha氏に録ってもらった際のマイクは覚えていない。機材とかギターとかアンプとか、当時は全部興味なかったから。きっと、良いものがゴロゴロしてたと思うんだけど、興味なかったから全然覚えてない(笑) でも、歌う時に、マイクを見たらGrooveTubeとかそういうやつだったような記憶がかすかにある。記憶が間違っているかもしれないが。

これがSascha Paeth氏に録ってもらった声。メジャー感満点(笑)

 

で、Tone-Hassy-Jakeの3人でやってきた「良い時期のImari Tones」の作品も、そうやって適当にリハスタにあるNT1Aとか使ってたんだけど、”Jesus Wind”を作る時に、あれは気合いが入っている作品だったから、さすがに自前でマイクを用意しよう、ということになり、昔使っていたE300の後継機種である「E300S」が、やっぱりこれも安かったから、笑、手に入れた。

で、昔のMade in USAだったころのE300はかなりアメリカンなキャラクターがあったと思うんだけれど、今のMade in ChinaになったE300sは、デザインもちょっとだけ洗練されたし、音ももう少し繊細になったと思う。どちらが良いか悪いかは別として。
でも、今の僕にはちょうどいいと感じている。

 

これが、NT1A(だと思う)で録ったヴォーカル。

 

これも載せておくね、下の記事の内容の中で、比較用に。これもNT1Aだと思う。

 

で、これが、現行のMade in ChinaなE300sで録ったヴォーカル。

 

まあ、こうやって並べてみたところで、作風も違うし、その時のサウンド的な方向性も違うし、マイクプリやDAW環境等も違うし、もっと言うと、録った時の年齢(発声、声質)も違うから、比較として参考になるかどうかはわからない。

 

 

で、今回の”Nabeshima”は、自分の音楽人生の究極の到達地点ということで、”Jesus Wind”の時以上に気合いが入っており、自分なりに必死になって機材の選択肢を考えることになった。で、安物ばっかりなんだけれど、マイクプリ/チャンネルストリップもいくつか用意したのは、前のブログにも記したとおり。

 

で、今回、ぜいたくなことにサブで使うマイクがあった。
これは、某M社の、チューブマイクの音をシミュレートする機能がついたやつで、やっぱりこれも安物のマイクなんだけれど。なんとなくインスピレーションというか、勘で入手してしまった。

そんで実際、ギター(エレクトリック、アコースティックともに)のレコーディングの際にも、オフマイクで使ってみたけれど、思いのほか、想定以上に良い結果を出してくれた。なので、案外とこの安価なサブマイクは今回の録音における秘密兵器というか隠し味だったと言っていい。

で、それは当然、ヴォーカルにも使ってみよう、ということで、一応チューブっぽいウォームな音がするマイクってことで、曲によって、そっちの方が合う曲、そっちの方が歌いやすい曲では、選択肢として活用することになった。

といっても、ここまで18曲録ってきて、そのサブマイクは3曲で採用しただけだけどね。
でもその3曲ではばっちりだったわけだ。

 

3種類のマイクプリも使い分けている。
それらのレビューというか詳細は、以前の記事に書いたと思う。

けれども、僕が「大女優プリ」と読んでいるJoeMeek VC1も活用して、今のところこれも3曲で採用された。
たった3曲、と思うかもしれないが、それらはやはり「決定的な曲」だったりする。
そんで、残りあと4曲の中でも採用されるかもしれない。

VC1に関しては、同時に某ラッパーとのコラボ曲の作業が進行していて、僕も自分のラップのパートを録らないといけなかったから、実験台としてVC1を使って録ってみたんだけど、やっぱりちょっと、モダンなトラックの中でラップに使うと、ちょっと弱かったね、おとなしすぎる、というか。コンプをエグく使ったり、エンハンサーを効かせればまた多少は違ったかもしれないけれど、本質的にはやはり上品すぎるだろうな。

 

と、まぁ、そんな感じで「歌」の録音を、必死な思いで進めているんだけれども。

 

 

 

さて、ここで、はたと思い付いて、
こうしたレコーディングの際に、ヴォーカル、ボーカル、歌、を録音するにあたって、気を付けた方がいい点、について書こうと思った。

もし、なんかで読んでくれる人とか、自宅録音とか、自主制作でやってる人とかの、参考になるかもしれないから。
あるいはならないかもしれないが(笑)

 

僕が書きたいのは、おもに、「モニターの音」っていうことだ。
つまり「モニターの返し」「ヘッドホンの返しの音」っていうこと。

これは、たとえばヴォーカリストであれば、ライヴで歌う時なんかでも、ステージ上での「モニターの返し」がいかに重要か、ということは、普通は経験上知っていると思う。

これはレコーディングでもまったく同じことで、いや、場合によってはライヴの時以上に大事なことなのだ。

でも、そういうことを知らずに、なんとなくヘッドホンをかぶって、なんとなくマイクを立てて、なんとなくトラックを流して、歌ってみると「なんか歌いにくいな〜」と思いながら、その理由がわからない、そのまま録音して「あれえ、もっと上手く歌えるはずなのに」みたいなことが、きっとあるんじゃないかと思う。

無いかもしれないが(笑)

しかし、このへん、「返しの音」を調整することによって、これが一気に歌いやすくなり、発声も楽になり、シンガーとして実力を100パーセント発揮できるようになったりするものなのだ。

(僕の場合、100パーセント発揮しても、もともとそんなに上手いシンガーじゃないけどな!笑)

 

 

僕が思うに、「ヴォーカリスト」というのは、バンドのパートの中で、一番理解されていないパートだと思う。

もっと言えば、「歌唱」「歌うこと」の技術自体が、そもそも周囲に理解、認識されていない。「ロックバンドで歌う」っていう特殊な環境、特殊な技術においては尚更だ。

みんな、周囲の人は、それが、バンドのドラマーであれ、ギタリストであれ、司会のお姉さんであれ、お客さんであれ、シンガーというのは、ステージに立たせて、マイクを持たせれば、自動的に声が出るものだと思っているだろう。

けれど、ヴォーカリスト本人の立場からしてみれば、実際にはそんなに簡単じゃない。
歌う内容や、その人の発声のタイプにもよるが、プロのヴォーカリストというのは、大抵においては、日々、日常生活から食生活や体調も含めたコンディション管理をしっかりと行い、本番前には念入りなウォームアップを行うものなのだ。そうしなければ、常人の域を越えたレベルの歌唱というものは、出来ないのだ。
適当にふらっとやってきて、適当に談笑して、はい本番ですって言われて、いきなりステージに上がって、それでぱっと声が出るわけではない。
(出る時もあるけどね、笑)

 

僕も、僕は決して技術的に上手いタイプのシンガーではないけれど、そのぶん、大して才能がないのに、難易度の高いメタル系の曲を歌うはめになり(かといって自分で作った曲だから誰も責めることはできないが)、試行錯誤をしてそれなりに苦労して歌ってきたので、その経験を生かして「ヴォーカリスト」としての情報を発信するブログをやりたいな、と思っているくらいなのだが、今はまだその時間が取れないのだ。
でも、そのうちやるかもしれない。

 

今日のブログの内容は、そうしたヴォーカリストとしての視点のものなのだ。

 

 

とはいえ、モニターの音とか、そういった環境的なことが、それほど問題にならないケースも、実際には多々ある。

これは、表現のスタイル、発声のスタイルに大きく関わってくる。

端的に言えば、「地声を張り上げるタイプ」の発声をする人は、モニター環境というのは、それほど影響を受けないことが多いと思う。

これは、地声、つまりはチェストボイス(胸声)、決してイコールではないけれど、おおざっぱに言ってチェストヴォイスのことだけれども、
地声っていうくらいだから、日常でいつも使っている発声だし、「地に足の着いた声」なので、安定しており、使い慣れているので、そんなにコケたりはしないのだ。

そんでもって、これを言ってしまうと話が終わってしまうが、こと日本のバンドシーンにおいて、大部分のシンガーは、この「地声を張り上げるタイプ」に属すると思う。
そして、周囲の人たちも、バンドメンバーも、お客さんも、それが普通だと思っているはずだ。

なので、余計に、「テナー」というのか「テノール」のタイプのシンガー、あるいはファルセットを使うタイプのシンガーが、理解されにくく、立場や環境が厳しくなるわけだ。

 

「テナー」の音域における、ファルセット、およびそのファルセットを「実体化」させる、いわゆる「ミックスヴォイス」的な技術というのは、かなり繊細なものであり、それこそ「モニターの返し」等の影響を大きく受ける。

それに、精神的な要素にもかなり影響を受ける。
地声を張り上げるタイプの発声にくらべて、精神状態の影響が著しく大きいと思う。

地声っていうのは、精神状態がどうであれ、だいたい普通に声は出ると思うけれど、ミックスヴォイスっていう言い方が正しいのかどうかは知らないけれど、「ファルセットを実体化させて歌うアレ」に関しては、集中できない時とか、精神状態が不安定な時には、「まったく声が出ない」なんていうことは、普通にあると思う。

 

逆に言えば、テナーの音域で歌うことを専門とするシンガーは、たとえば「オペラっぽい上手いメタルシンガー」とかがそうであるように、大抵の場合、才能にも恵まれている上に、専門職のシンガーとして技術を徹底的に磨いており、また性格的にもそのように人前で歌うこと、人前でパフォームすることに向いた性格の持ち主である場合が多い。(そのくらい、「オペラっぽいテナーなシンガー」をやるには、陽気だったり豪快だったり、目立ちたがりだったり、性格的にも適性が必要だということだと思う)

そのように技術や精神が安定していれば、多少のモニターの聴こえ具合であるとか、レコーディング時の環境の違いなどは、ものともせずに乗り越えるかもしれない。(技術の積み重ねというのは嘘を付かないものだ)

 

だが、すべてのシンガーが、そうした安定した技術と、安定した精神を持っているわけではない。
もっと不器用な人とか、もっと繊細な人もいる。

そのような人が、「繊細な表現」を行う場合には、歌うにあたって、「返しの音」、そして、それ以外にも「環境」ということが、非常に大事になってくる。

 

 

ちなみに、ロックバンドで歌う、ということはやはり特殊な技術だ。
大音量、爆音で鳴らしているロックバンドの中で、ファルセットの領域を含む広い音域を、正確に歌うということは、間違いなく「普通」ではない。

かの日本を代表するロックシンガーであるB’zの稲葉氏が、有名なエピソードだと思うが、若き日に高校の文化祭で友人たちとハードロックか何か、LoudnessだったかDeep Purpleだったか、を歌ったという話があったと思う。

その時、若くしてやはり才能のあった稲葉氏は、練習の時には完璧な歌唱をしていたにもかかわらず、やはり本番になると、声が出ず、実力を十分に発揮できなかったというエピソードがあったと記憶している。どこかで見た。

それは、やはり本番の環境において、バンドの爆音の中で、自分の声がモニターできなかった、自分自身の声が聞こえない状態だったのではないか、ということが十分に想像できる。

もちろんこれは稲葉氏が高校生だった頃の話であるから、その後の、より経験を積んだ後の稲葉氏であれば、多少モニター環境が悪かったとしても、十分に対応して歌うことが出来たかもしれない。
けれども、稲葉氏のような才能に恵まれたシンガーであっても、「爆音の中でハイトーンで歌う」という難易度の高い行為をする時には、モニター環境の良し悪しによってパフォーマンスを左右されてしまうものなのだ。

 

普段、生活していて、そんなことは意識しないかもしれないが、人間というものは、自分の声がちゃんと聞こえないと、たとえば、部屋の中であれ、音の響くホールの中であれ、適切な残響音が返ってこないと、ただしゃべるだけであっても、声を出すことがとても難しくなってしまうものだ。

たとえば、ただ友人と会話をするだけであっても、静かな場所で話すのと、がやがやした雑踏で話すのと、あるいは大音量で音楽の流れるクラブ等で話すのとでは、話し方が変わるだろう。あるいは話す内容さえも変わってしまうかもしれない。

問題は、人間はそれを意識せず、無意識に感じているものなので、いざ歌う時、レコーディングであれ、ライブであれ、歌おうと思った時に、モニターの返し、ヘッドホンの返し等の「自分の声の聞こえ方」によって、無意識に声が出しづらくなってしまっていても、歌っている本人がそれに気付かない、ということなのだ。

 

だから大切なのは、その事に、シンガー本人も気付かなくてはいけないし、
録音作業をサポートするエンジニアも、そのことに気付かなくてはいけない、ということだ。

そして同様に、バンドのメンバーも、シンガーというのは案外と繊細なもので、モニターの声がちょっと聞こえづらかったりすると、うまく声が出せないのだ、ということを、知ってあげなければいけない。つまり、ギターやベースの人は、ヴォーカリストさんから「音がでかすぎて歌えない」と言われたら、やっぱりそこは、アンプの音量を少し下げるなり、配慮してあげる必要がある。

(なので、必然的に、爆音のメタルバンドでは、そんな繊細な発声の心配をしなくてもいいタイプの、スクリーム、シャウト、グロウル、デスヴォイス、等が活用され、幅を利かせることになる。それはそれで、また別の過酷な発声であり、ノドに負担のかかるハードな技術だが。)

サポートするメンバーやエンジニアが、そのことを知って、配慮してあげる、というだけで、シンガーは精神的に、ぐっと楽になるのだから。
(周囲の人に理解してもらえる、というのと、もらえない、というのは、精神的にずいぶん違うのだ。それは当然、パフォーマンスの内容に影響する。)

 

もっとも今の時代にあっては、こういう知識も、昔よりもちゃんと知られて広まっているかもしれない。

また、これも今の時代にあっては「イヤモニ」を使うことはプロの間では常識だ。
インディーのバンドマンであっても、イヤモニ(インナーイヤーモニター、インイヤーモニター)を使うことは、珍しくなくなっているはずだ。

これは「イヤモニ」を使うことによって、ドラムやベース等が爆音で鳴っているステージであっても、自分の声をしっかりとモニタリングすることが出来るということである。

そして、この「イヤモニ」という技術が進歩し、普及したことで、世界中のアーティスト、シンガーたちは、ステージ上、ライブでの歌唱のクオリティがぐんと上がったのである。(たぶん)

 

 

ちなみに、インディでがんばってらっしゃるバンドマンの皆さんで、この「イヤモニ」を比較的安く手に入れたい、という場合、Calling Recordsの関係でお世話になっているXieのリーダーさんが、楽器商もやっているので、こんな商品もある。2018年度のInterBEEにも出品されていた。

http://soundmama.com/?tid=1&mode=f16

 

 

 

さて、で、本題だが(やっと本題なのか?)、
レコーディングの際のシンガーのための「返し」である。

どうにも、機材関係のウェブサイトとか、フォーラムとか、雑誌とか、そういうのを見るが、
録音エンジニアの視点だったり、宅録家の視点だったり、マイクやコンプレッサーの音質に関しても、そういうエンジニアのサウンドについての好みの視点から語られていることが多く、じゃあ、シンガーにとってどうなのか、という視点で語られることは少ないように思う。

 

ひとつの前提として、歌いやすい環境づくり、ということは、人間的な環境、精神的な環境、ということも含まれる。
つまりは、歌いやすい雰囲気とか、環境を作る、ということだ。

そこには、エンジニア/プロデューサーとの信頼関係も大事になってくるし、周囲の人たちのサポートであるとか、私生活の上での気持ちの安定とか、そういったことまでも関係するだろう。(もっとも、気持ちが乱れて感情的になった結果、パワーのある歌が歌えることもあるだろうけれど)

 

また、歌う際のモニターの仕方も、ヘッドホンを使用するのが一般的だとは思うが、小型のスピーカーを使ってオケを流し、ヘッドホンをせずに歌う方がやりやすい、というケースも、シンガーによってはあると思う。
ただしこれはマイクにオケの音が入ってしまうので、場合によっては使えないケースがあることは言うまでもない。

けれど、多少オケの音がかぶるからといって、ほとんどの場合ポップミュージックの主役は歌であるのだから、それによってシンガーが良いパフォーマンスが出来るのであれば、多少音質やS/N比が犠牲になっても、歌いやすい方法を優先すべきだろう。

 

あとはマイクのセッティングの仕方、というのか、マイクの位置、というものも、フレキシブルに考えるべきだと思う。

人によって、声を出しやすい姿勢というものがある。
ましてや、レコーディングというのは緊張するもので、そういった時に、なるべくリラックスして歌えるようにしてあげなければいけない。

ロックシンガー、メタルシンガーにも、のけぞって上を向いて歌う人もいれば、前にかがみ込んで下を向いてシャウトする人もいる。

僕なんかは後者で、わりと猫背になって、前屈みになって歌う方が、リラックスできて、声も出しやすい。
だから、マイクの位置はかなり低めにすることが多い。
もともと僕は身長は低い方だが、その上でかなり前屈みになって歌うので、結果的にマイクスタンドはかなり低い状態でセッティングすることになる。

ライヴの際もそうなので、時々、気を回したライヴハウスのスタッフさんに、本番前に身長に合わせて直されてしまったりするのだが、実はすごい迷惑だったりするのだ(汗)
(僕はギターを弾きながら歌うので、曲が始まってしまえば、単体のシンガーみたく修正できない)

 

極端な場合には、座って歌う方がいい、なんて場合もある。
実は、結構あるんじゃないかと思う、座ってレコーディングするケース。
しかし、声、歌というのはそれくらいデリケートなもので、なるべく「自然」な状態にして歌うのが良いから、座って歌う方がいい、とシンガーが言うのであればそうすべきであるし、寝転んで歌う方がいい、と言われれば、やはりそうすべきだ。

 

あとは基本的なことであるがポップフィルター/ウインドスクリーンを使うべきであるのは言うまでもない。

 

もうひとつにはマイクとの距離というものがある。
コンデンサーマイクを使って録音する場合、一般的にはマイクから30センチとか40センチとか、そのくらい離れて歌うのが良い、と言われていると思う。

だが、人によっては、もっと近づいて歌いたい人もいるだろうし、その逆に50センチ以上離れて歌う方が自然だ、という人もいるだろう。
これは音響的なこともあると思うが、半分は心理的なものだと思う。

で、僕なんかもわりとマイクに近寄って歌ってしまう方だ。
当然、ポップノイズとか乗りやすい、とかそういう問題も出て来るだろうと思う。

で、マイクの音質もそうだが、こうした各自の歌い方に合ったマイクを選ぶというのも重要なことだ。

基本的な知識として、マイクには近接効果というものがある。英語で言うとProximity Effectかな。

音響をかじっていればみんな知っていると思うが、これはつまり、マイクに近づけば近づくほど、低域(ロー)が強調されてしまう、ということになる。

その人の声質や、やりたい表現、やっている音楽の種類によって変わってくるが、この近接効果が「良い」場合もあれば、「良くない」場合もある。

だが、一般的にはあまり近接効果が強過ぎて、ローが強調されてしまうと処理しづらくなるものであるから、心理的にマイクに近づいて歌ってしまう人は、この「近接効果」があまり強くないマイクを選ぶとか、もともとローがそれほど強くないマイクを選ぶといいかもしれない。
そしてまた、ポップノイズ、いわゆる「吹かれ」に強いマイクを選ぶ、ということも言えるかもしれない。

 

 

マイクの話をしてしまったので、マイク、およびマイクプリの音質ということについても触れてしまおう。

どんな音質のマイクが良いのか、ということについては、個人の好み、および、やりたい音楽の種類、求めているサウンドによって変わってくると思う。

だが、経験から言って、こと、レコーディングの際の歌いやすさ、ということでいえば、たとえば速いテンポでキーの高いハイトーンを軽やかに歌わなくてはいけないような場合には、やはりモニターの音質もハイの効いた軽やかな音質の方が声が出しやすい。これが、ローがふくらんでもたついた音質で返ってくると、やっぱり歌いづらくなる。

その逆で、おおらかに、しっとりと歌い上げる、スケールの大きな曲、みたいな場合には、ある程度、低音とか中低音がしっかりした音質の方が歌いやすくなってくる。

これは経験上の一般論であって、曲によって、発声の仕方などによって、この限りでないこともある。

 

また、言葉の意味や定義はあいまいだが、硬い音質、やわらかい音質、というものがあり、これもマイクやプリの選択にあたって、ヘッドホンの中に返ってくる音に影響し、歌いやすい、歌いにくい、ということにつながってくる。
一般的にはチューブマイク(真空管を使ったマイク)は、やわらかい音と言われることが多いと思う。
また、トランスレス構造のハイファイな音を持ったマイクや、 ハイファイなマイクプリは、硬い音になることが多いかもしれない。

マイクもそうだが、マイクプリに関しても、真空管と同様、「トランス」「トランスフォーマー」を内蔵しているものは、トランスを通ることで音が「馴染む」ので、音がやわらかくなる傾向があると思う。これも、曲によって、やりたい表現によって、合う時、合わない時があると思うので、ケースバイケースで判断したらいいと思う。

ちなみに、僕は、ずっと安物を使って録音してきた貧乏バンドマンであるので、趣味も安っぽく、基本的にはあまりトランスを使わないハイファイなタイプの方が好きだ。(これは、一般的には、トランスを載せているものの方が、味があって高級だとされるのである)。だが、今回作っている”Nabeshima”は、ちょっと演歌ぽい曲とか、和風の曲とかあるので、枯れた感じとか出したくて、トランスの付いたプリを曲によって使ってみたのであった。やはりしっとりとした曲には、その方が歌いやすかった。

 

こういう音質がこういう曲に合う、とか、一概に言えないし、個人個人によって感じ方は違うので、そのへんの基準は具体的なことは言えないが、
しかし、マイクの選択や、マイクプリの選択を変えてみることで、出しづらかった音、出しづらかった声が、いきなり楽に出るようになる、そういうことがあるのは事実だ。

どちらにせよ、シンガーであれば、「お気に入りのマイク」というものが、きっとあるだろうし、やっていくうちに見つかるものである。

レコーディングで色々試していく中で、「このマイクは歌いやすい」というものが、きっとある。

実際にミックスをする段階になって、録った音をどのような音質に処理するかは、また別の話であったりもするが、歌を録音する際には、なるべくシンガー本人が「歌いやすい」マイクを選んだ方がいいのは言うまでもないだろう。

 

 

そして、今回、他のシンガーさんや、バンドマンさんたちのために、いちばん書き記しておきたいのは、コンプレッサーについてだ。

ヴォーカルのレコーディングをする時、コンプレッサーは使った方がいい。
それも、できればプラグインのものではなく、ハードウェアのものを、だ。

というのは、コンプレッサーをうまく使ってレコーディングすれば、歌の表現そのものが、ぐっと向上するからだ。これは、歌い方そのもの、声の出し方そのものが変わる。

 

さっきから、ずっと書いてきたことだが、人間というのは、自分の声がどう聞こえるか、自分の声がどう響いて返ってくるかによって、声の出し方が変わる。
それは、ほとんどの場合、無意識にそうなってしまうのだ。
無意識だからこそタチが悪い。

そして、コンプレッサーというものは、「ダイナミクス」をコントロールする道具だ。
ダイナミクスというのは、音量の大小のダイナミクスということになるかと思う。
その「ダイナミクス」の部分を、コンプレッサーを使って「拾い上げてやる」ことによって、シンガーの表現力は何倍にも向上する。

 

わかりやすく言えば、コンプレッサーをうまく使ってやると、ヘッドホンに返ってくるモニターの中で、シンガーは、自分の声が「とてもよく聞こえるようになる」。それは、小さな息づかいであるとか、ほんの小さな声の震えまで、拡大されて返ってくるのである。その結果、シンガーは、とても表現が豊かになり、より一層、高いレベルで「歌い上げる」ことが可能になるのだ。

だいたいの場合、声もすごく出しやすくなる。
モニターの声がばっちり聞こえるぶん、無駄な力みはなくなるし、力まないぶん、響かせて歌うことが出来るようになるからだ。

 

先に記したが、「地声を張り上げるタイプ」のシンガーの場合は、モニター音等の影響はそれほど発声には関係ないので、あまり必要ないかもしれない。そういう場合には、それこそマイクをそのまんまインターフェイス内蔵のプリにぶっこむだけで、十分良いパフォーマンスが録れる。(オーバーロードのクリップだけ注意すれば)

けれども、繊細な発声をするタイプのシンガー、表現力重視のシンガーにはコンプレッサーはたぶん有効だ。
そして、ミックスボイスだかなんだか知らないが、「ファルセットを実声化して歌わないといけない」タイプのハイトーンシンガーには、間違いなく強力な追い風になる。あれは、返ってくる声を「フィードバックさせて」声を出している部分が大きいからだ。

 

僕の場合、”Jesus Wind”のレコーディングをしている時に、使っていたJoeMeek ThreeQに内蔵されていたコンプレッサーのスイッチを、気まぐれでポン、と押してみたら、いきなり世界が変わったのだった。いきなり歌いやすくなり、世界が変わり、表現が変わったのである。

恥ずかしながら、それまでは、歌録りの際にコンプを「かけ録り」するなんてことは、考えたこともなかったのである。

 

上に載せた動画のうち、”Faith Rider”と”Jee-You”の2曲は、どちらもハイトーンヴォイスで歌うヘヴィメタルの楽曲で、どちらもサビの部分とか、キメの部分で、ぐわーっとハイトーンの声を伸ばして歌う曲であるが、
比較してみると、”Jee-You”の歌唱の方が、テクニック的に少し豊かな表現をしていることに気付くだろうか。

僕はもともと、そんなに上手いシンガーではないから、些細な違いで、聴いてもわからない、と言われるかもしれないが、これは、”Jee-You”の方はコンプレッサーを使ってレコーディングしたから、歌の表現が向上しているのである。

 

また、これは若干恥ずかしいが、同じく”Jesus Wind”に収録されている曲で、”The Peace”という曲がある。
これは、僕は決して男らしい声質のメタルシンガーではなく、ユニセックスな表現を目指しているので、この曲も、どこかの昔の女性アイドルになったつもりで歌ったのである。
音域としてはそれほど高いってわけではないので、ファルセットの音域と言えるかどうかわからないが、こういうユニセックスな声の表現は、まさしくコンプレッサーの助けがあったから可能になったと言える。

 

そしてこの、ヴォーカル録音の時に「かけ録り」するコンプレッサーは、モニター音に影響するものであるから、プラグインだとレイテンシーがどうしてもあるし、シンガー本人のパフォーマンス、その反射的な無意識の部分に効果を及ぼすものであるから、レイテンシーは無い方が望ましく、たぶんハードウェアのしっかりしたコンプの方が良いのではないかと思う。

コンプレッサーの種類も、色々あると思うが、僕は、現在使っている、新旧とりそろえてのJoeMeekに付いていた「オプティカルコンプレッサー」が、とてもヴォーカルに適している、と感じている。
もちろん、色々な意見があると思うけれども、一般論としてはたぶん「オプティカル」(光学式)のコンプレッサーは、ヴォーカル録音には適しているのではないだろうか。理由は、なんかしらんが、わりと自然な、やわらかいかかり方をするからだ。 (ハードな音質を求めている時には違うかもしれないね)

 

どちらにしても、ここで説明した、ヴォーカル録音の際の「かけ録り」のコンプは、ダイナミクスを整えるという目的ももちろんあるが、最大の目的は、シンガーが歌いやすくなること、発声がしやすくなること、そしてシンガーから表現力を引き出すことだ。
なので、ミックスの際には、もういっぺん別のコンプを、プラグインなり使ってかけることになる可能性は高いし、その際に、曲のサウンドに合ったコンプをまた選べばいいと思う。

なので、それを見越して、かけ録りの際は、あくまでシンガーの表現を助ける程度のコンプの掛け方であり、それほどがっつりと、潰さなくてもいいと思う。

 

当然ながら、この「コンプレッサー」の音質も、シンガーのパフォーマンスに大きく影響してくると思う。
だから、表現力を大切にしたいシンガーは、自分の「お気に入りのマイク」を見つけるのと同時に、自分の表現や声質に適した「お気に入りのコンプ」を見つけるのも大切なことだと思う。

 

コンプレッサーには、前述のオプティカルコンプの他にも、VCA方式であるとか、VariMu方式であるとか、FET方式であるとか、ダイオードブリッジ方式なんてものもある。それぞれ、音質や挙動が違うけれども、うまく使えば、どれもきっと歌うのを助けてくれるはずだ。僕もそんなに知らないけれど、うん、自分に合ったものに出会えるといいね。(他人事のように)

ただ、コンプレッサーって、セッティングが結構難しいんだよね・・・
本当に使いこなそうとすると、奥が深いしね。

でも、怖がることは無いと思います。

 

あとは、同じ理由で、もし歌いやすくなるのであれば、EQも活用すべきかもしれないね。
これは、あくまでかけ過ぎない程度、軽い補正といった範囲で。

なので、僕は今では、ヴォーカル録音の際には、ある程度、その場でコンプやEQで音を作っていけるチャンネルストリップがあると便利だと感じている。プラグインではなく、ハードウェアのやつね。

 

ひとつ忘れていたけれど、レコーディングの際のモニターの音が重要だ、っていうことは、シンガーの本人の声の返しもそうだけれど、オケの音についても言えることだね。オケの音質ということもあるけれど、音量ということはとても大事だと思う。
つまり、オケの音が大き過ぎると、歌いづらかったりすることがある。
これも、シンガーによって、人によって、好みの音量があると思うから、気を付けて調整しないといけない。
オケの音が大き過ぎると、シンガーを圧迫してしまうし、かといって小さ過ぎると、音程が取りづらいし。
だから、オケの音量や音質をどのくらいにするか、っていうことは、シンガーとコミュニケーションを取って、本人が歌いやすいように設定しなければいけない。
基本的なことだね。

 

 

あと、これも忘れていた。
リヴァーブ、ということ。
ヴォーカルを録音する際に、モニターの返しに、リヴァーブ等のエフェクトをかけるかどうか。
当然のことながら、これも歌唱の出来、パフォーマンスに大きく影響する。
シンガーによって、人によって、エフェクトが無い方が歌いやすいっていう人もいるだろうし、がっつりリヴァーブをかけた方が気分が出て歌いやすい、っていう人もいるだろうと思う。
ちなみに僕は、これでもかってくらいリヴァーブをかけて歌う方だ(笑)

で、これに関しても、僕は個人的に「お気に入りのリヴァーブ」があるのだけれど、それは秘密にしておこう。

 

 

あともうひとつ、ヘッドホンということ。

モニターの返しの音が、シンガーの歌唱、そのパフォーマンスに影響するということで、
当然、ヘッドホンも、重要なファクターになってくる。

実のところ、レコーディングであれ、セッションであれ、モニター音が演奏の出来に影響するのは、シンガーのみならず、楽器奏者にも同じことが言える。
だから、楽器のプレイヤーであれ、シンガーであれ、演奏のしやすい良いヘッドホンに投資するのは、大事なことであると思う。一般の音楽観賞用ではなく、スタジオ用のモニタリングヘッドホンのことね。

その際、意外と盲点になっているのは、「遮音性」ということだと思う。

バンド等の演奏の現場、録音の現場では、大音量が鳴っていることがほとんどだ。
もちろん、大きなレコーディングスタジオで録音する場合に、録音ブース等がきちんと確保されていて、実際にアンプが鳴っているのは別の部屋、なんていうふうに出来ればいいが、いつもいつもそういう環境が用意されているわけではない。

またアコースティックな楽器においては、そもそも抱えて演奏するわけであるが、その際にも遮音性の良いヘッドホンを使うと、モニター音に集中出来て、演奏しやすい事がある。

なので、もちろん、遮音性がそれほどないオープンタイプのもので、良いものを持つのも当然、良い事なのだけれども、録音の現場においては、結構、遮音性の高いタイプのヘッドホンは、役に立つと感じている。

 

ただ、シンガーの場合、これも人によって様々で、ヘッドホンの中の音だけで歌える場合もあれば、生の音も聴きたい、ということで、片耳だけヘッドホンをずらしてみたり、いろいろなやり方があると思う。そういう場合には、遮音性の高いヘッドホンよりも、遮音性の低いオープンタイプとか半密閉型の方が適しているかもしれない。

どっちにしても、ヘッドホンも、モニターのし易さに大きく影響するので、自分に合ったもの、自分が歌いやすいと感じるヘッドホンを見つけて、用意することが出来ればベストだろう。

 

わかりやすい例では、「ドラマー用」とされるヘッドホンは、大抵の場合、遮音性が高くなるように作られている。
これは、ドラムというのは大音量であるから、遮音性が高くないと、ヘッドホンの中で鳴っているクリックであるとか、オケが、ドラムの生音に邪魔されてよく聞こえないのである。
なので、ドラマーのレコーディング用ヘッドホンは、遮音性が高いものになっている。

この場合でも、そのヘッドホンの中の「返し」の音が良くないと、やっぱりドラマーの演奏に悪影響をおよぼすのである。ドラマーだって、やっぱり表現力が必要だからだ。そのためには、自分の出している音が、いい感じに聞こえないとやっぱりやれない。

この場合にも、たとえばスネアやキックにコンプレッサーをかけることで、音のニュアンスが聴き取りやすくなり、ドラマーの表現力が増したりするから、やっぱりシンガーに限らず、録音の際にコンプレッサーやEQを活用することは、僕はとても有効なことだと思う。

かけ録り、っていうのは、後でやり直しがきかないから、ちょっと怖い、っていうのも、理解できるんだけどね。
でも、演奏自体、パフォーマンス自体が向上するのであれば、やはり試してみるべきだ。

 

実は、confession(告白)をすれば、うちのバンドにおいて、ドラマーさんにはいつも、ずっと、まったく遮音性のない、すごく古いSonyの民生用ヘッドホンを使ってレコーディングしてもらっていた。

それは、軽くて、頭に装着しやすく、ドラムを激しく叩いても頭から落ちないので、それを便利だと思って使っていたのであるが、遮音性が無いからして、ヘッドホンの中では、クリック音やオケを、かなりの爆音で鳴らしていた。

思えば、歴代のドラマー、特に、長いことやってもらったJakeには、悪いことをしたというか、苦労をかけたと思う。本当によくやってくれたと思う。耳を悪くしてないといいんだけど。とはいっても、ドラマーって大抵、職業病で、どうしても耳を悪くしてしまうと思うけれど。

で、今回、”Nabeshima”の制作にあたって、やっとその「ドラマー用ヘッドホン」を入手した、というオチなんだよね。
ちょっと遅かったかもしれないね。

 

 

で、これはドラマー用ではないけれど、
ヴォーカル用や、楽器奏者の人に、僕がおすすめするヘッドホンがある。
これは、僕はふだんブログとかでもこういう「オススメ」的な事は書かないけれど(自分に合っているものが、他人に合うとは限らないから)、
でも、このヘッドホンは好きだし、定番になって欲しいし、このメーカーには頑張ってほしいから、書いてしまおう。

CADのMH510っていうヘッドホンなんだけれど、僕は、これがかなり気に入っている。

まずは、上記のとおり、遮音性が結構高い。
僕はギターを、普通にリハスタで、MacBook持ち込んで録ってるから、目の前でアンプが爆音で鳴っているんだけれど、だからレコーディングでもいつもギターのフィードバック音とか入るんだけれど(笑)、そういう場合でも、この「遮音性の高さ」はかなりの助けになってくれる。まぁ、それでもやっぱり爆音は爆音だけどね(笑)

そんでもって、低音がよく見える。
このヘッドホンの特長は、低音がとてもクリアなことで、ローエンドと言ってしまっていいのかわからないけれど、低域はとても聴きやすい。だからベーシストには最適じゃないかと思う。だが、「しっかりした低域」というのは、シンガーにとってもとても良い影響があると思う。

僕はこれを、定番と言われるAKGのK240と併用して使っているんだけれど、
このCADは音は基本的にアメリカンなくっきり系なんだけれども、ミッドについては、AKG K240よりも、このCAD MH510の方がミッドはより解像度が高いと感じる。

CADはアメリカのメーカーで、アメリカンらしいからっとした音質なんだけれど、このヘッドホンはミッド(中域)に関しては結構きめが細かく、解像度が高いので、そのきめの細かさが、シンガーが歌う時のモニタリング用としては、とても適していると思う。

ただ、低音がよく出るぶん、実はハイエンドというのか、一番上のあたりは犠牲になっていて、一番上のあたりはあんまり出ていないみたいだ。それが、欠点と言えば欠点だけれども、そこは、他のヘッドホンや、モニタースピーカーで聴けばいいのだし。ハイエンドはあんまり出てないとは言っても、その下のハイはちゃんと出てるしね。

あとは、耳当てのパッドを2種類から選べるところや、ケーブルも2種類付いていて付け替えが効くところ、折りたたみが出来て持ち運びに便利なところ、等、実用性も高い。2年ちょっと使っているが、耐久性もばっちりだと思う。

もうひとつ欠点は、側圧というのか、耳への締め付ける圧力が、ちょっと強いところかな。これは、人によっては嫌がるかもしれない。でも、僕は慣れてしまったし、何よりモニタリングの音が気に入っているので、録りの際にはこいつの方が作業がしやすいと感じている。

 

まぁ、実のところ、僕は最初に手に入れたヴォーカル用マイクが、上記のように昔のCAD Equitek E300だったので、基本、アメリカンな音は好きだし、CADのファンなんだよね。

このヘッドホンは将来的にも使い続けることが出来たらいいなと思っているから、定番になって生産が続くよう、皆さんにもおすすめしたく思った次第です。「アメリカンな音でくっきり系」っていうところが嫌いでなければ、おすすめですよ、っていう感じかな。

でも、低音がかなり出たり、ミッドはよく見えるけれど、ハイエンドがあやしかったりするから、ミックスの際に、唯一のヘッドホンとしては、あまりおすすめしないけどね。
でも、そのへんを踏まえれば、素晴らしいヘッドホンだし、とても信頼しています。

 

そんなところかな。
まだ、書き忘れていることがあるかもしれないけれど、
それは、いつか「ヴォーカリストのためのブログ」を開設した時に、順番に書いていくことにしよう。

じゃあ、幸運を祈る。

 

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