営業ジャーナル9月2020年

純粋にジャーナルです。

今年の上半期に”Nabeshima”を完成させて以来、僕は、それをベストな形で発表するために、また、これからより(やっと?)シリアスな形で音楽に取り組んでいくために、「営業」ということに少しずつ取り組み始めています。

その一環として7月にはPatreonを始めてみたりしたわけです。

あるいは、インディバンドをやっている人たちにはおなじみの「例の電話帳」を見たりして、さてこれからどういった戦略でバンドをPRしていけばいいのか、と、思案しています。

 

客観的に見て、僕らは非常に「売りづらい」バンドであると思います。
最近、たまに冗談で言っているのですが、みんなnoteっていうのをやっているから、「世界で一番売りにくいバンド」としてnoteに記事を書こうかと思っているくらいです。

そんな中で、営業やPRということを考えれば考えるほど、いかに自分たちが、そして自分が、世間からの距離が遠いか、ということ、また、自分という存在が、世間から見ていかに異質か、ということ、などなどを、思い知り、考えるほどに神経質になり、自己否定を繰り返し、気を病んでしまう、という流れを経験しています。

 

これはやはり、本質的に言って、創作ということと、営業、PR、ということは、本質的に相反するものだ、ということだからでしょう。

逆に言えば、自分の音楽人生の到達点である”Nabeshima”を作り終えるまで、「営業、PR」ということを考えなくて良かった、とも言えます。
考えていたら作れなかった。

というよりは、営業、PR、マーケティング、といった(一般世間では当然の)ことを考えていたら、そもそもこんな音楽は最初からやっていなかった、ということだと思います。

 

たとえば「例の電話帳」で、レコードレーベルの欄を見ていても思います。

“メインストリーム”の欄にリストされているレーベルの中に、およそ、うちの音楽性で「いける」ところなんて、ひとつもありません。本当に「ひとつもない」という感じです。

当然のことですが、「メインストリーム」の中に、メタル、ハードロック、といった音楽を扱っているレーベルは、ほぼ、無い。

世間では「メタル」なんていうものは、マイナーでニッチなカテゴリでしかない。そして、それは、1994年以降ずっとそうだったのであり、というか、華やかだった1980年代であっても少なからずそうであったのであって、
いかに自分の身の回りの小さなコミュニティや、自分の音楽世界の中において、クラシックなハードロック、メタルがまだ「生きていた」としても、
一般世間では、もう20年以上、「メタル」なんていうものは、「終わったもの」であって、ずっとそういう扱いだった、という、その当たり前すぎる事実を、あらためて実感しました。

(これ、逆に言えば、今、水面下で準備している「オシャレ系インディロックのプロジェクト」については、もっと可能性がある、ということでもあります。苦笑。)

 

そして、「メタル」のカテゴリを見たとしても、状況はさして変わらない。

ヘヴィメタルという音楽は時代とともに数々のサブジャンルに分化していき、それぞれのサブジャンルの「ニッチなたこ壷」の中に収まり、集まることでそれぞれが生き残っています。

けれども、オールドスクールなハードロック、正統派ヘヴィメタル等を演っている僕らは、(実のところ、正統派ですらなく、実際は結構変則的だったりもするので、よけいに)、それらの現代に存在するサブジャンルには、どうしてもあてはまらない。

ほとんどのメタル系のレーベルは、そういった「ニッチ」「たこ壷」に特化して商売をしていることもあり、僕らの音楽性で「いけそうな」ところは、やはり非常に少ない。はっきり言って、無い、と言ってもいいくらいです。

これは、言い方を変えれば「時代に合っていない」ということであり、人から「時代遅れ」だと言われても仕方のないことであると思います。

さらにそこへもってきて、クリスチャンのバンドであること、という厄介な条件が付き、ついでに日本人であること、という問題も付いて回ります。

また表面的に言えること以上にも、様々な意味で”different”であるという要素が多過ぎると言えます。ついさっき書いたようにヴォーカルのスタイルひとつ取ってもそうだと思います。

 

当たり前のことですが、世間にはオールドスクールな「王道」のHR/HMをやっているバンドなど、ほとんど存在しない。少なくともオーバーグラウンドには居ない。また、そういった音楽を好むオールドファンは、その世代の昔のバンドを追いかけており、それらの古い世代のHR/HMを専門的に扱うレーベルは存在している、ということですね。(まあ、僕らだってもう若くはありませんけどね)

 

 

繰り返しになりますが、世間ではそういった王道のHR/HMは「とっくに終わったもの」であるわけです。

これは、その昔、僕が音楽を作り始めた時。
つまり、僕がたった一人で”Kodomo Metal”を作り上げた1999年当時。
その時すでに、王道のハードロック、ヘヴィメタルなんてものは、「終わっていた」んですね。
(なので”Kodomo Metal”はオルタナティブ的な要素が色濃い作品です)

で、普通は、もうそれ以降の時代には、このスタイルではもう新しいものは鳴らせない、ということで、みんな他のことをやるわけです。

でも僕は、「まだやれる。まだ可能性がある」と信じていた。
そして実際に、自分のギターでそれを鳴らしてきたつもりです。
時代と向き合った上で、まだまだ「王道」である、新しいリフを鳴らせるはずだ、と信じていた。

その意味では自分は時代遅れなオールドスクールに固執して停滞していたつもりは無い。
自分なりに時代に向き合い、本気で好きになったものを取り入れてきたつもりです。
それは、音楽を聴いてもらえばわかるはずだ。

けれども、世間のシステムは、そのようにはなっていないわけです。

 

実際には、この「電話帳」を活用して戦略を練るのであれば、レーベル以外にもPRファーム、パブリシスト、等、活用できるものは他にもあるので、そういった使い方の方がおそらくは可能性があるでしょう。

 

また、繰り返しになるけれど、
僕はやはり、今の時代にあって、Spotifyなどのストリーミング、YouTube、そしてFacebook等のソーシャルメディアが支配する現代の世の中で、アクセスの数字を得ることが成功である、というのが、どうにも「成功」だとは思えないのです。

Spotifyの支配する今の世の中にあって、そこで成功する、というのは、YouTuberがそれっぽいビデオで視聴回数を稼いで注目を集める、ということと変わらない。

それは時代状況に適したコンテンツではあるかもしれないけれど、普遍的な良さという意味合いは非常に希薄なものだと思う。

また、それはSpotifyにせよ、Facebookにせよ、コンピューターのアルゴリズムによって左右された結果なわけでしょう。
それが悪いものだとは言いませんし、それは古い時代の音楽業界のシステムよりは、ある意味では民主的になっているのかもしれないけれど、かといって、僕はそれを信用する気にはならない。現代社会において民主主義をめぐる状況が甚だ不完全であるように、それらのアルゴリズムやシステムも、まだまだ不完全なものだと感じている。

AIがいかに人間に近づくか、と問いかける前に、人間の方がロボット的になっていき、ネットワーク上のアルゴリズムやシステムに隷属してしまっている時代です。

そのような、本質と乖離した現代社会のシステムの中で、その中で成功が得られたとしても、それは本当にすべて、「虚」でしかない、という気がしてならない。

 

なので、この「電話帳」を頼りに、現在の世の中をちょっと見回してみただけでも、
やはり、
僕が求める「成功」なんてものは、今の世界には存在していないのだ、ということが余計にはっきりしてきてしまう。

僕はこの、自分の音楽人生の到達地点である”Nabeshima”を軽く扱うつもりはなく、ふさわしい形で発表し、出来るのであれば、ふさわしい成果を出したいと考えていた。そして今も考えている。

けれども、やっぱり、そのような「ふさわしい成功」なんていうものは、今の世の中にはそもそも無く、
そうであるならば、自分が求める「成功」の形すらも、やはり自分でデザインしなければならない。

悩みますね。

 

とにもかくにも、この2、3ヶ月くらいでしょうか。
とんでもない自己否定に悩まされています。

それは、創作と営業は、やはり脳味噌の使う領域が違うからです。
右脳だか左脳だかわかりませんが。

そのように、考えれば考えるほど、自分が(自分たちが)やってきたことが、いかに時流に外れた、時代状況に合わないもので、一般世間といかに距離が遠いか、ということに、愕然とするわけです。

しかし逆に言えば、そんな厄介なことをやってきたわりには、結構ここまで頑張っている、ということも言えるわけですが。

Spotifyひとつ考えても、何年もの間、ぜんぜんリサーチもせず、見ることもなく、漫然と放置しながらアルバムをアップしていただけなのだけれど。

営業やPRにまったく疎いまま、創作することだけを考えてきた割には、よくここまでやってきた、ということも言えます。

 

今、考えている「ベスト盤」をどのような形で発表するのか。
ここには、やはりCOVID-19、コロナウイルスの影響も絡んできます。
つまり、国内メインでやっているバンドさんと違い、CDを販売する際に、海外に発送しなければならない。そして、今、コロナウイルスの影響で海外への発送は難しくなってしまっている。(Bandcampは自分で発送する仕組みですからね)
盤を制作して売る、ということにストップがかかってしまっているわけです。

もっとも、今の時代において、盤を制作することはもうNOかもしれません。
レーベル、という話をすれば、昨今ではレーベルですらなく、「キュレーター的な役割を持ったディストリビューター」がレーベルに取って代わる立ち位置になって来ていると思います。大手のレコード会社もそういった分野に手を出していると思いますが、それはつまり、「もうフィジカルの盤は商売の対象ではない」という宣告でもあるわけです。

コロナウイルスの影響も増し加わって、その意味では、インディレーベルすらもこれからもっと淘汰されていくかもしれない。絶対的にそういった「ディストリビューター」の方が有利ですもんね。

話逸れましたが、ベスト盤の件など。
過去アルバムの曲をあらためてシングルとしてアップしてみたんですが、リリース日が過去だとやはり新曲として扱ってもらえないようで、ベスト盤の収録曲をシングルとしてあらためて配信するという戦術はどうやら効果が薄いようです。

だからもうちょっと考える時間が必要です。

 

僕は圧倒的に世間と距離が遠い。パーソナリティ的に。
だからソーシャルメディア上やインターネット社会においても他者との「共感」ということが非常に得づらい。

そんな僕が本来は営業など考えるべきではないのです。
本来ならば、もっと営業の才覚が人並みにある人がこれを考えるべきだ。
けれども、ある程度はやはり自分でやらなくてはならない。

考えている方法はあります。
最大の方法は、戦略と呼べるかどうかもわかりませんが、自分自身がパーソナリティ的に人間として営業に向かないのであれば、やはりそこも、「音楽」をもって、営業に当たらせる、ということです。

自分ではなく、音楽に働かせるのです。
しかし、それはまた、さらなる仕事量の増加、ということでもあります。
もちろん、それがやれるかと問われれば、やれるはずなのですが。
そうでなければ、そもそも音楽やってませんからね。

 

まだ、しばらく苦しむと思います。
まだ、もう少し、時間をください。
整理がつくには、もう少し、時間が必要です。

 

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