
さてピックアップのレビューです。
これもずっと書きたいと思っていた記事。
僕はあんまりピックアップを頻繁に交換しようと思う方じゃない。
特に(2013年秋を境として)、Deviserさんとこの楽器に惚れてからは、楽器そのものの鳴りが良ければ、ピックアップは素直なもの、普通のもので十分だと考えて、なるべくストックのピックアップをそのまま使うようにしてきた。
もちろん予算なんてなかったのも事実であり、理由のひとつだ。
そして、どうしてもピックアップ交換の必要が出てきた時は、GOTOHさんのピックアップを使ってきた。
それは、実績から言って信頼できるメーカーであり、音が素直であり、そして何より安価で手に入るものだったからだ。
もちろん僕も、これまでにDiMarzioやDuncanなど、多少はいろいろなピックアップを「遍歴」してきた。それは過去の記事にもちらっと書いたことがあると思う。
でも、GOTOHさんとこの「Classic α」とか使ってみて、結果は全然良かった。
だから、安価なものだけど全然良いと思っているんだ。
確か2年くらい前にもあらためて「猫ポール」にもHB-Classic αを載せたけど、全然満足してるからね。
さて、これまでにGOTOHさんとこのハムバッカー、
HB-Classic α、HB-Customと試してきて、昨年秋頃についにHB-Distortionに手を出しました。
このHB-Distortionは、インターネット上でいくつか好意的なレビューを見かけたりして、GOTOHのピックアップの中では比較的定評があるモデルかもしれません。
で、僕はこれを現在、手持ちのギターのうち2本に取り付けています。
1本目のギターにつけて結果がよかったから、もう1本のギターにも搭載しちゃった。
だから、結構悪くないんだよね。
ぶっちゃけたところ、じゃあDiMarzioのモデルを選ぼうってなっても、結構選択肢が難しいんだよね。
ひととおりパワーがあって、でも素直で、そこそこ低音がちゃんと出て、クリアで分離もよくて、バランスが良いピックアップ、みたいな。欲しいものはシンプルなんだけど、DiMarzioのピックアップって、特徴がありすぎるモデルが多いじゃない。
まあダンカンのCustomとかでいいのかな、とか言ってしまってもいいんだけど。でもダンカンのあの取って付けたようなちょっとピッキングニュアンスが軽い感じの「素直さ」っていうのもちょっと鼻につくな、みたいな。(そんなこと思うやついないか)
考えてると面倒くさくなってきて。
で、安いからまたゴトーでいいや、って。
そうそう、HB-Customについても、以前に記事を書いていると思う。
HB-Customは、非常に素直で、ちょうどいいバランスで、ミッドにほんの少しだけゆるやかに押し出しがあって、それほどパワーはなくて、コイルタップしても非常にいい、という印象だった。パワーはそれほど必要ないけど、ほどよくモダンな音が欲しいという場合にはばっちりで、僕的にはかなり好印象だった。
ではHB-Distortionはどうなのか。
残念ながら、レコーディングには使ってないんですよ。
昨年末から今年にかけて、手持ちの2本のギターにHB-Distortonを搭載したけど、それは”Diary Of A Godman”のレコーディングが終わってからの話。
搭載したギターは、Bacchusは今は無き「フィリピン製Global Series」のGraceモデル2本。最初に取り付けたのが“Navy”と呼んでいるオイルフィニッシュのモデル。それが結果が良かったので、そのあとに、「シリアルナンバー1」のモデルにも取り付けた。
“Navy”は昨年発表した”Coming Back Alive”アルバムでもかなり使ってるし、今回の”Godman”アルバムでも、オープニングトラックの”Good News”で使ってる。でも、その録音を行ったのは、ピックアップを変える前。だからレコーディングはストックピックアップでやったんだ。逆に言うと、レコーディング終わったから、後はもう趣味の領域で好きなピックアップに変えちゃおう、っていう事。「さあ、作品は作り終えたから、あとは老後の楽しみのために自由にチューンナップしちゃおう」って。
ちなみに2本とも、リア(ブリッジポジション)に取り付けました。だから、今回のレビューは「リア」のモデルについての評価。
で、HB-Distortonなんですが。
僕の印象では、「こしあん」です。
それも、めちゃくちゃなめらかな漉し餡ではなくて、かといって荒い粒餡でもなくって、ほんの少し、ほどよく質感が残っている程度の漉し餡。
伝わるかな〜。伝わらないかもな〜。
「JBの中身をこしあんにしたもの」
という感じかな。
あるいは、「射程距離の長いJB」なんていう言い方も思い付いた。ちょっと意味不明かもしれないけれど。
なんかね、質感の「きめの細かさ」の感覚が、「こしあん」っぽいんですよ。
それは、長所だと思うんだけど、好みに合わない人もきっといるかもしれない。
そして、パワーは、「ひととおりパワーあるけど、かといってめっちゃハイゲインというわけでもない」という感じ。
そして素直ですね。ハイゲインタイプのピックアップにしては、やはり反応の良さ、ダイナミクス、立体感がある。でもそれは、高級ピックアップ的な「すごい立体感」ではなくて、「ああ、普通に素直だね」っていう程度のダイナミクスと立体感。
コードの分離感は、うーん、ほどほど?? でも、十分にクリアな音ですよ。
低音は十分にしっかりと出ています。ほどよい太さという感じ。これは、僕はちょうど求めていた部分だから、低音がしっかり出てくれて本当によかった。ただ、僕はオールドスクールな演奏しかしないから、果たしてダウンチューニングに合うかどうか、とかそういうのは、なんとも言えないなー。
「こしあん」だから、音のキレ感は結構いいんだけど、でもオーソドックスな音だから、「タイトな低音でキレッキレのジェントなリフをダウンチューンしたギターでパーカッシブに弾く」とか、そういう感じではないかもしれない。
レンジはそこそこ広くて、ダイナミクスの面でも周波数の面でもなんだか余裕があるのを感じる。
かといってミッドレンジの押し出しは全体にちょうどよくあって、それがほどよくウォームな感じ。
レンジ感に余裕があるので、なんだかスケールの大きな音という印象があるかもしれない。
そんでもって、リードプレイをしてみると、ミッドレンジのちょい上くらいに、なんだか一本音の芯があって、そこが「叫び、歌う」「ヴォイス」のように主張してくるよ。これは結構優秀な部分だと思う。
前にも書いたかもしれないけれど、僕はリプレイスメントピックアップの定番中の定番である「ダンカンJB」は割と苦手な方だ。苦手だからこそ、自分のギターには搭載してない。だから、これが本当にJBと比較してどうか、っていうのは、厳密な意味では言えないんだけど、僕にとっては日本人的な「礼儀正しいJB」「デリカシーのあるJB」みたいに感じています。
コイルタップした時の印象は、うーん、これはギターにもよるから、なんとも言えないんだけど、今のところ、「悪くはないけど、めっちゃ良いとも思わない」という感じかなぁ。
「シリアルナンバー1」の子は、ピックアップ変える前は、コイルタップした時の音がいい感じで、その音は”Nabeshima”でもちょこっと使ったし、”Coming Back Alive”でもクリーン/クランチのパートに使った。だから、交換したことでその音を犠牲にしちゃったかもしれないんだけど、ひとまず当面、「シングルコイル」(コイルタップ)の音が必要な曲をレコーディングする予定はないから、まあ別にいいや。
今更だけど、ピックアップのレビューなんてものは、弾く人によっても違うし、機材によっても違うし、また当然ながら搭載するギターによってまったく結果は違うので、あまり参考にはならない、というのが大前提だ。
僕の場合はこうだった、というひとつの記録として、あくまで参考程度にとどめておいてください。
あとはひとつ思ったのは、このHB-Distortionモデル、なんだかマグネットの部分がすごく厚みがあって、ピックアップ全体がサイズ的に厚いみたいなんだよね。取り付ける時にちょっと変な感じだった。まあ、取り付け自体は何も問題なかったけどね。
「厚めのセラミックマグネットを使用」ってオフィシャルのウェブサイトにも説明が書いてあるから、たぶんそういうことなんだと思う。
これが最高のピックアップとは言わないけれど、「とりあえず普通に使えるのが必要」というんだったら、十分にお釣りが来る性能を持っている。
「こしあん」っぽいサウンドは、人によっては野暮ったいと思う人もいるかもしれない。でも僕は、スケールの大きい音が鳴らせそうな気がする。
「こしあん」の質感が嫌いでなければ、万能におすすめできる優秀なピックアップだと思う。
こしあんじゃなくて、生クリームがいい、とか、ドーナツがいい、とか、そういう人は、素直にダンカンやディマジオとか行ったらいいと思います。
もっとも今は、Bare Knuckleとかの方が人気あるのかな。
「こしあん」じゃなくて「つぶあん」派の人は、どうしたらいいんだろう。
つぶあん派の人は、P-90の載った50年代前半のゴールドトップなレスポールを手に入れるしかないんじゃないかな・・・
Les Paul Juniorでもいけるかもしれない。
がんばって。
(何を??)